バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
国際ヘルスコーチデー
1週間ほど前に、ニューヨークタイムズ紙のパーソナルヘルス面を1976年から執筆しているジェーン・ブロディ記者がヘルスコーチを活用することの意義や、ヘルスコーチの活動を組み入れた今後の医療や保険の在り方について言及されていました。
また、ちょうど6月16日が国際ヘルスコーチデーとして今年も米国連邦議会によって承認されたこともあり、記事を和訳要約してお伝えします。(原文を読まれたい方は、原典へのリンクは最後にあります)
本文の中でも触れられていますが、ヘルスコーチは、管理栄養士とは異なり国家資格ではないことから、誰でも勝手に名乗ることができてしまうタイトルです。しかしながら、私が取得したIIN™の公認ヘルスコーチ資格は、米国の連邦議会において承認されることによって全米における活動、食事指導やライフスタイル改善などの活動をする権利と資格が法的に保証(公認)されているものです。また国際ヘルスコーチ資格についても同様に認められた資格です。(詳しくは『IIN™のヘルスコーチ資格の「公認」の合法性』をご覧ください。)
ヘルスコーチは健康を自己管理できるツールを提供する
著者: 2021年6月7日 ジェーンE. ブロディ
ヘルスコーチは健康を自己管理できるツールを提供してくれるのに、どこにでもいるわけではありません。
あなたは、生活の質を著しく劣化させる糖尿病、高血圧、心疾患、肥満症、関節痛、呼吸器疾患、胃腸障害などの生活習慣病を抱えている133万人のアメリカ人のひとりですか?
あなたは、ご自分の病状や治療法についてどれくらい理解していますか?何が治療の妨げになるのか、改善を遅らせないためには何ができるのか知っていますか?主治医の指示に従うのは難しいと感じていませんか?
または、現在あなたは健康かもしれません。でも、今の習慣が将来の健康を害し、生活習慣病につながる可能性もあります。
どちらであっても、ヘルスコーチのサポートを受ければ望ましい結果を得られる可能性は高まります。
プライマリーケアにおけるヘルスコーチの役割
ヘルスコーチの役割は、私達がしっかりと健康管理に取り組めるよう、必要な知識、スキル、ツール、そして自信を与えることです。
管理栄養士のような国家資格ではないため、誰でもがヘルスコーチと自称できてしまうものの、ヘルスコーチの中には行動保健学や栄養学など、医師が医学部で一般的に学ぶことのない分野において専門的な教育と訓練を受けている者がいます。そして彼等は次第に、プライマリーケアの中に組み込まれ始めています。
プライマリーケア|一次医療、「身近に気軽に相談にのってくれる総合的な医療」の意で総合診療外来
医師の専門分野外でサポートを提供
患者がより良い健康を築くことをサポートすることに加え、ひとりの患者に割ける時間が平均12分~15分に限られる医師のサポートもします。
「医者は患者に、食事は腹八分目にして、適度な運動し、薬を忘れずに飲んでくださいね。では3か月後にまた会いましょうと、伝えるかもしれませんが、それをどうやって実行したら良いかまで教えることはしません。」
と、マサチューセッツ州のプライマリーケアの医師、ルシカ・フェルナンドプール先生はおっしゃいます。
フェルナンドプール医師が立ち上げた、全国にネットワークをもつプライマリーケア機関のアイオラ・ヘルスは、全国数十か所において、ヘルスコーチを医療プロセスの不可欠な要素として組み入れてきました。例え医者に時間的な余裕があったとしても、医師は患者をやる気にさせ、行動変容を促す手法を学んではいません。
しかし残念なことに、現在、医療をサポートできるヘルスコーチは多くありません。
ヘルスコーチ費用は保険対象外
ヘルスコーチを雇っているクリニックは敷居が高く、ヘルスコーチを活用する費用は医療保険ではカバーされません。医療機関にとってもヘルスコーチによって提供するサービスを医療報酬請求のためのポイントとしてカウントすることもできません。
そのため、患者の健康回復を助けるためにヘルスコーチを活用するプライマリーケア機関のほとんどは、その費用を患者に直接請求することになります。
アイオラの例では、ヘルスコーチング料金を含む定額料金を患者から受け取るキャピテーション・システムと呼ばれる方法にのっとって、メディケアアドバンテージを通して運営されています。つまり患者が健康でい続けるほど、収益が増える仕組みです。
メディケアアドバンテージ|民間の健康保険会社を通じて医療給付を提供する米国の健康保険プランのひとつ。メディケアアドバンテージプランでは、医療受益者は民間保険会社に月額保険料を支払い、入院と外来サービスの両方の補償を受ける。処方薬の代金もカバーされている。
ヘルスコーチの取り組み姿勢
パセリクリニックのヘルスコーチ、エリカ・ゼルナーは
「変わることに抵抗のない患者に出会ったことがありません。コーチは患者をしっかりと理解するために時間をかけ、各人のやる気スイッチを見つけ、それぞれが求める目標、病院を必要としない人生の99.9%の健康に向けて準備するのです。」
と、述べました。
(註:パセリクリニックのヘルスコーチはIIN卒業生たちです)
シアトルにあるアイオラ・プライマリーケアのヘルスコーチとして、アンジェラ・ヒルの目標は、患者と良好な関係を築き、彼等が何に不安を覚えているのか、目標とする健康は何か、そして、習慣を変えられない理由について理解することだと、言います。
「私は、患者が置かれている状況を理解し、彼等が何に躊躇しているのかを理解し、そこから前に進むのです。共に私達は実現可能な目標を定め、患者が容易に実行することができる計画を立てます。」
ヘルスコーチを活用する価値
患者の行動変容を促す
ハーバード大学医学部プライマリーケアセンターのラッセルS.フィリップ医師は、次の様に述べています。
「ヘルスコーチングを、プライマリーケアにとって、なくてはならないものにしなくてはなりません。糖尿病や高血圧などの生活習慣病と患者が上手に付き合えるようサポートすることは、症状の改善につながります。」
医師が医療に専念できる環境を作る
また、次の様にも述べています。
「プライマリーケアの医者が、診察、治療、そしてその他多くの医療的な問題に集中するためには、患者の生活習慣の改善を助け、良い習慣が維持できるようサポートするヘルスコーチがいるということは、素晴らしいことです。」
患者の医療費負担を削減する
ヘルスコーチの価値を証明する臨床研究は多くありませんが、メイン州ポートランド市にある南メイン大学の研究者は、ヘルスコーチからサポートを受けた患者は、医療費を1か月412ドル(約4万円)節約できたと報告しています。この調査は、6か月以上に渡り、1,161人の患者の医療費を調べています。
金銭的な節約は横においても、ヘルスコーチがもたらす患者への価値は測り知れません。
ヘルスコーチ活用事例
コートニー・ハミルトンのケース
ロスアンジェルスの編集者コートニー・ハミルトンは、ヘルスコーチによって良い結果を得た素晴らしい見本です。
「普通の食事で、まるで妊婦のようにお腹が膨れ上がるのは普通ではない」と、彼女に告げたパセリクリニックのヘルスコーチに出会うまで、彼女は20年以上IBS(炎症性大腸症候群)による腸症状に悩まされてきました。パセリクリニックは、全国にネットワークをもつプライマリーケア・クリニックです。
ロスアンジェルスにあるクリニックでの検査は、彼女が今まで頻繁にやってきた危険なダイエットの結果、ガスを発生させるバクテリアによって彼女の腸内が占領されてしまっていることを明らかにしました。まず有害な菌を殺すために抗生物質で治療した後、有害な菌が二度と繁殖しないよう、食事を大きく変える必要があると告げられました。ヘルスコーチは具体的な食事法を教え、不調や疑問へ常に対応してきました。
「最初は思うようにいきませんでした。人生の楽しみだった食べ物は、生活の質を向上させるために禁止されてしまいました。でもヘルスコーチは辛い時に寄り添い、健康的な選択が楽にできるよう導いてくれました。彼女はレシピや料理のコツだけでなく、レストランでどんなものを注文したら良いかまで教えてくれました。数か月後には、何十年かぶりに腸の活動が普通になったんです。」
と、ハミルトンは言います。
アリソン・ティバルスのケース
シアトルに住む76歳のアリソン・ティバルスは、アイオラのヘルスコーチから指導を受けるまで、高血圧の管理に苦労していました。
「私のヘルスコーチは、私の健康に深く関与してくれました。私のことを心から気にかけ、理解してくれている人がいると分かること、私の話に耳を傾けケアしてもらえるというのは、歳をとるほど嬉しいことです。」
肺移植を待つ女性のケース
ミネソタ州ロチェスター市のメイヨークリニックでウェルネスコーチングチームのマネージャー、ケイティ・バーナードは、肺の移植手術の待機リストに載っている、高いストレスを抱え不眠に陥っていた66歳の女性について話してくれました。
「医者は、彼女は今、良い状態にあると言っていますが、彼女の食事を変え、運動習慣を作ることで、次第に変化していき、睡眠の質が180度変わったのです。」
ヘルスコーチ費用をカバーするプランの必要性
バイデン政権がアメリカの天文学的な医療費問題を解決したいなら、もっと多くの人達にとってヘルスコーチが身近に活用できるような仕組みを構築することで、上手く行くように思います。現代医療へのヘルスコーチの関与がまだ十分ではないという現実は、アメリカ医療の「一文惜しみの百失い(安物買いの銭失い)」構造を露呈しているように思います。
障害や早逝の主な原因となる生活習慣病に支払われる医療費は、社会保障に支払われる数兆ドルの予算のほとんどを占めています。医療保険制度改革の下で、生命保険を求めるアメリカ人の急増を考えると、保険会社はヘルスコーチング費用までカバーできるプランの提供を考えることが賢明であろう。
医療保険制度改革|アメリカ合衆国で試みられているユニバーサルヘルスケア制度(国民皆保険)の取り組み
原典:”We Could All Use a Health Coach – Health coaches can give patients the tools they need to improve their own care and well-being, but they aren’t widely available“, Jane E. Brody, June 7, 2021, Personal Health, New York Times
ソフィアウッズ・インスティテュートの感想
日本では、まだまだヘルスコーチへの公式な認知度が非常に低いと感じます。食事指導というと管理栄養士の仕事だと思われている人々が公民問わず圧倒的多数です。
また、民間においてはヘルスコーチという言葉が独り歩きして、今回のニューヨークタイムズ誌の記事にあった様に、玉石混在の状態です。
その中において、IINから資格を取得した公認ヘルスコーチは、少なくとも米国連邦議会において活動が保証されています。そうした”まとも”なヘルスコーチが認知され、その活躍の場が日本で、もっと広がるよう、信頼のおけるヘルスコーチの活躍の場を広げるために私自身、何ができるのか、何をすべきなのか考えることが必要な時期に入ったように感じました。
次の記事も参考にしていただけたら嬉しいです。
ヘルスコーチングを受ける
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