アルツハイマー病とツバメの巣|糖鎖バランスが重要

2015/08/27/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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糖鎖とは

2015年1月15日に、理化学研究所(理研)グローバル研究クラスタ疾患糖鎖研究の共同研究グループは、バイセクト糖鎖と呼ばれる糖鎖がアルツハイマー病を進行させることを発見したと発表しました。

画像出所: 弘前大学大学院医学研究科「泌尿器科学と糖鎖生物学

糖鎖は、私達の体内の約60兆個もの細胞ひとつひとつに産毛のように付着しているレセプター(受容体)と呼ばれるもので、ひとつの細胞の表面に約500~最大10万本もあると言われています。

糖鎖は、細胞の種類や状態に関する情報、ホルモンに関する情報等を伝えるほか、免疫システムにも関与していて、細胞間のコミュニケーションに重要な役割を果たしているものです。細胞同士は糖鎖のアンテナが触れ合うことで、互いに連絡し合っています。

そのため、神経細胞の表面に糖鎖がないと脳のネットワークがうまく作れなくなってしまいます。糖鎖に異常があると、病気の原因となってしまうのです。

糖鎖の材料である糖鎖栄養素が不足すると、不完全な糖鎖が生成され、生体内の細胞同士が情報のやり取りを行うことができなくなり、体にあらゆる不調が生じるようになります。

バイセクト糖鎖とは

アルツハイマー病の原因は、アミロイドβと呼ばれるペプチド(タンパク質)が脳に蓄積することにあると考えられていますが、アミロイドβが蓄積していくメカニズムについては不明な点が多く残されています。

バイセクト糖鎖は、アルツハイマー病患者の脳で量が増えるという研究結果が既に報告されています。

今回、共同研究グループは、バイセクト糖鎖を持たないマウスの脳では、アミロイドβの蓄積が激減し、記憶能力の低下が抑えられることを発見しました。

アミロイドβは、βセクレターゼ(BACE1)と呼ばれる酵素によって作られるのですが、BACE1によるアミロイドβ合成は、バイセクト糖鎖を欠損させると抑制できることを共同研究グループが突き止めたのです。

バイセクト糖鎖の合成プロセス

バイセクト糖鎖は、酵素GnT-IIIによって作られ、酵素GnT-IIIは、β-カテニンによって 発現が増えることが判っています。

βカテニン ⇒ GnT-III ⇒ バイセクト糖鎖 ⇒ BACE1 ⇒ アミロイドβ

だったら、β-カテニンを抑制するような食品ってないんでしょうかね?と、思いいろいろ調べてみることにしました。

1. バイセクト糖鎖だけを抑えるのは難しい

糖鎖は8種類の糖鎖栄養素の複雑な組み合わせによって形成されています。

まず、糖鎖が不完全だったり異常を起こさないようにするには、すべての糖鎖栄養素をバランスよく食事から摂りいれることが大切だと考えられます。

8種類の糖鎖栄養素

糖鎖栄養素は、次の8つです。

  1. グルコース(Glc): ほとんどの植物・穀物、キノコ、コロイド天然水等に含まれる
  2. ガラクトース(Gal): ツバメの巣、乳製品、キノコ等
  3. マンノース(Man): ツバメの巣、キノコ、アロエ、サボテン、コロイド天然水、コンニャク等
  4. フコース(Fuc): ツバメの巣、藻類(特にモズクやひじき)、亜麻等
  5. キシロース(Xy): 穀物や植物の皮、キノコ、コロイド天然水、メープルシロップ等
  6. N-アセチルノイラミン酸(NANA): ツバメの巣、母乳、ホエイたんぱく等
  7. N-アセチルガラクトサミン(GalNAc): ツバメの巣、キノコ、鮫軟骨、牛乳等
  8. N-アセチルグルコサミン(GlcNAc): ツバメの巣、甲殻類の甲羅(カニ、エビ)等

こうしてみると、「ツバメの巣」って単に高級食材というだけでなく、実際に健康によさそうだということが分かりますね。また、キノコもなかなか健闘しています。

しかし、現時点では、いったいどの糖鎖栄養素がバイセクト糖鎖になってしまうのか判っていないので、やはりバランスよく食べることが最良の予防だと思われます。

糖鎖栄養については『炎症性腸疾患・大腸がんなどを予防・改善する腸内細菌と腸粘膜の栄養戦略』もご参照ください。

単糖のサプリメント

8種の糖鎖栄養を単糖で製品化しているサプリメントなどもあるようです。

しかし、糖は多糖類として自然界に存在するため、単糖の状態で食べても、体は糖を認識しないと言われています。そのため、単糖のサプリメントの効果には確証がありません。

2. β-カテニンを抑制する食品

今年(2015年)の6月に発表された論文(これ以前に発表されている同じ結論の論文が多くあります)によれば、ビタミンD3がβ-カテニンを抑制することが報告されています。

ビタミンD3は、私達が日光浴することで自らの体内で作り出すことができる動物性のビタミンDです。に含まれているものもD3です。キノコ類に含まれているのは、D2と呼ばれる植物性のビタミンDです。

詳しくは『ビタミンD』をご確認ください。

やっぱり日光浴って大切ですね!

アルツハイマー病予防になるかもしれない食品

こうやって見ていくと、

  1. 糖鎖栄養素を満遍なく含んでいるツバメの巣
  2. ビタミンD3を多く含んでいる魚
  3. 適度な日光浴

が、アルツハイマー病を予防する食事とライフスタイルとしては効果的なのではないかと思われます。

キノコ類も全ての糖鎖栄養素ではないものの、多くを含んでいること、そして、機能的にビタミンD3と同等と考えられているビタミンD2を豊富に含んでいることから、予防に効果が期待できるのではないでしょうか。キノコ類の中でも椎茸の詳しい機能については『椎茸』をご参照ください。

アルツハイマー病と認知症シリーズ

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

アルツハイマー病予防にという理由なら、もしかしたら、たまの贅沢としてツバメの巣のスープも許されるかもしれませんね!

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング