【限定公開】記憶力に不安?認知症でしょうか?若年性認知症15のリスク要因と兆候

2024/10/01/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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あなたの年齢が80代や70代なら、物忘れが多くなったり、記憶力が衰えて日常生活が困難になったら認知症やアルツハイマー病ではないかと、心配になると思います。

でも、40代50代60代だったらどうでしょうか。

それは単なる物忘れなのでしょうか。それとも、やはり認知症なのでしょうか。

認知症は、高齢者がかかる病気だと思われがちですが、高齢者ではない若い世代の人にも発症する可能性のある病気です。

65歳未満で発症する認知症は、若年性認知症と呼ばれます。

同じ年齢で認知症を発症したとしても、同じ症状を示す人はひとりもいないとハーバード大学のアンドリュー・バドソン医師はおっしゃっています。その症状の現れ方は、ひとりひとり異なるのだそうです。

そのため、若年性認知症の症状にもさまざまあり、ひとつではないのですが、若年性認知症と高齢者に発症する遅発性認知症との間にはいくつかの共通した違いがあることも分かっています。

高齢者に発症する認知症は、人種に関係なく女性に多いのですが、若年性認知症は男性に多い病気です。

若年性認知症では、最近の出来事/エピソードを記憶し思い出す認知機能に問題が現れる傾向があります。

一方で、65歳以上で発症する典型的な認知症では、認知症による影響と老化による影響の両方から、思考と記憶に変化が起こります。

老化によって変化する脳の部分は主に前頭葉です。前頭葉は、情報を頭の中に維持して操作する、ワーキングメモリー/作業記憶と呼ばれる能力や、人が抱えている問題への洞察力や自己認識力など、さまざまな認知機能を担っています。

つまり、遅発性認知症では、エピソード記憶だけでなく、作業記憶、洞察力、自己認識力の全てに問題が現れます。

そのため、若年性認知症は、遅発性認知症の初期症状であるとも考えられています。

うつ病と不安症は、若年性認知症で発症しやすい疾患です。

若年性認知症では、自己認識力は失われないため、自らの状況について憂鬱になったり、将来に不安を感じることが多いため、うつ病や不安症を併発しやすいことが確認されています。

一方、遅発性認知症では、洞察力や自己認識力も低下するため、生活上の困難に気づかないことが多く、自らの状況を悲観的に感じることがあまりないと言います。

バドソン先生は次のようにおっしゃっています。

「認知症を患う私の高齢の患者のほとんどは、
自分の記憶障害は非常に軽度である、または、
記憶障害はまったくないと言います。」

高齢ドライバーによる事故が多いのは、こうした自己認識力の欠如によって、自分の運転技術を客観的に認知できないために、免許返納に応じないケースも多いのだろうと思いました。

若年性認知症は、病状がより早く進行することが近年、示されています。

若年性認知症を40代や50代で発症すると、遅発性認知症よりも家族に混乱をもたらす可能性が高くなると考えられています。

例えば、次のような役割を果たせなくなるため、あなたの配偶者/パートナー/家族は、子供の世話と親の世話とあなたの世話と、自分の仕事を全て行わなければならなくなります。

  • 子供の世話や教育
  • 仕事の継続
  • 収入の獲得
  • 家事など日常生活に必要な諸々

厚生労働省の『若年性認知症ハンドブック』には、保険や年金や自治体で受けられるサポートなどやその手続き方法など、詳しい情報が掲載されていますので、若年性認知症と診断されたら、是非、ご一読ください。

でも、大丈夫。若年性認知症は稀な病気です。

日本の厚生労働省の「若年性認知症ハンドブック」には、平成21年3月現在で、日本には、若年性認知症患者が37,800人いると記載されています。2019年の日本の総人口は、約1億2,617万人ですから、日本では人口全体の約0.03%、1万人に3人の割合で発症する病気ということになります(統計がとられた年が異なるのでおおよその数値ですが)。

65歳以上の高齢者は3,589万人です。総人口から65歳以上の人口を除いた、65歳未満の人口を用いて計算しても、約0.04%と、65歳未満人口の1万人に4人の割合となります。

平成21年の調査では、65歳以上の高齢者の認知症患者は、460万人と推計されています。若年性認知症患者37,800人と併せて認知症患者全体で試算すると、約0.8%が若年性認知症ということになります。認知症患者の100人に1人弱です。認知症患者の99.2%は高齢者ということです。

バドソン医師によれば、世界中の認知症患者の約10%、10人にひとりが65歳未満で発症しているとのことですから、世界平均と比較すると、日本人の若年性認知症の発症率は、10分の1と言えそうです。

ただし、次の事柄が当てはまる場合には、65歳未満で認知症を発症するリスクが上昇することが、2023年12月に『JAMA Neurology』誌で発表されました。

この新しい研究では、プロジェクトに参加した時点で37~73 歳だったイギリスに住む約50万人(89%白人、54%女性)を2006 年から 2010 年まで追跡調査しています。その結果、若年性認知症のリスク上昇に関連する15の要因が特定されています

15項目のうち、次の11の要因は、若年性認知症リスクを高めることが明らかにされたものです。

  1. 遺伝子
  2. アルコール使用による障害
  3. ビタミンD欠乏
  4. 社会的孤立
  5. 聴覚障害
  6. 脳卒中
  7. 糖尿病
  8. 心臓病
  9. 起立性低血圧
  10. 正規教育の低さ
  11. 社会経済的地位の低さ

残りの次の4つは、若年性認知症の発症を示している可能性のあるサイン/兆候です。

  1. 握力の低下
  2. アルコールを飲む習慣のある人が飲まなくなる
  3. うつ病
  4. C反応性タンパク質の高値

若年性認知症の発症リスクを高める11の要因のうち、正規教育と社会的地位に関する要因以外の9つの要因についてバドソン医師が説明を加えています。

2種類のアポリポタンパク質E(APOE)とその対立遺伝子4種は、アルツハイマー病の遺伝的リスク因子として特定されているものです。

2種のAPOEの4種のタンパク質が、脳のアミロイドβの効率的な除去を阻害することが、若年性認知症の発症の原因と考えられています。

また、両親のどちらかが若年性認知症を発症していることも、発症リスクを高める要因です。

ダウン症候群の人もアルツハイマー病斑の遺伝子を含む余分な染色体のコピーをもっているため、40代~50代で約半数の人が、アルツハイマー病を発症することが観察されています。

アルコール使用障害では、前頭葉を含む脳のいくつかの部分に損傷が生じ、実行機能や作業記憶に問題が生じます。

アルコール使用障害と栄養不良が重なると、新しい記憶の形成に重要な海馬領域にダメージが起こります。

アルコールとビタミンとの関係では、大量の飲酒によってビタミンB1欠乏に陥り、神経細胞に障害が起こり、その結果、認知症になる可能性があることが明らかにされています。

多くの研究が、特定のウイルス感染が認知症のリスクを高めることを示唆していて、ビタミンD不足によって、ウイルスに感染しやすくなることが示されています。

過度に日光浴(紫外線)を避けることや、魚を食べる頻度が少ないことが認知症のリスクを高める主要な要因ということですね。

なお、詳しいビタミンDの機能については『ビタミンD』をご確認ください。

社会的な孤立は、認知症の主要な危険因子です。

正確なメカニズムは不明ですが、ヒトが社会的な動物として進化したために、脳も社会的な相互作用のために存在していると考えられ、社会的な接触や交流が少ないと、脳の健康の維持が難しくなるのだと考えられています。

聴力が低下すると(難聴になると)認知症のリスクが高まります。

脳への刺激が減少することと、社会的交流が減少することが原因と考えられています。補聴器を使用することでリスクを軽減させることができます。

難聴については『難聴』をご参照ください。

脳卒中は、脳に直接ダメージを与えます。

特に、血管性認知症を引き起こす可能性があることから、脳卒中を起こしたことがあることは認知症のリスク要因です。

心疾患は、脳卒中の主要なリスク要因です。

糖尿病は、合併症として脳卒中を起こすリスクを上昇させます。特に、糖尿病の中年の男性で脳卒中を起こすリスクが高くなることが示されています。

立ち眩みのことです。起立性低血圧症は、ひどくすると、脳損傷によって認知症を引き起こす可能性があります。

また、パーキンソン病型認知症やレビー小体型認知症などの症状として起こることもあります。

なお、起立性低血圧の詳しいことは『起立性頻脈症候群』をご確認ください(以前、IN YOUに提供した記事です)。

次の4項目は、認知症の発症と関連していることが判明した認知症の兆候を示すものです。

握力の低下は、虚弱の兆候でもあるため、認知症と関連して起こることがよくあります。

認知症になると、習慣的にアルコールを飲んでいた人が飲酒をやめることがあるため、いつもお酒を飲んでいた人が、突然、お酒を飲まなくなることも認知症の兆候と考えられています。これを「認知症の健康効果」と呼ぶ人もいます。

お酒に限らず、習慣的にやっていたことを突然やらなくなったり、興味を示さなくなることも認知症の兆候です。

また、うつの症状も認知症と関係しています。物忘れを思い悩むことでうつを発症することがあるからです。

認知症の兆候が血液検査で分かることもあります。

血液中のC反応性タンパク質の増加は、体内のどこかで炎症が起こってるサインです。炎症が脳で起きている可能性もあります。

まだ、65歳になっていないのに、日々の記憶力に不安がある場合には、どうしたら良いのでしょうか。

まずは、冒頭でお伝えしたように、65歳未満で認知症を発症する可能性は非常に低いので、落ち着きましょう。

バドソン先生によれば、65歳未満の人の記憶障害の最も一般的な原因のひとつは、

睡眠不足

です。もし毎日7時間未満の睡眠しかとれていないとしたら、まずは十分な睡眠によって脳の疲労を回復させてみてはどうでしょうか。なお、脳機能を高める睡眠の仕方については『脳機能を高める睡眠』をご確認ください。

その他には次のような要因も記憶力を低下させることがあります。

  • 更年期
  • 甲状腺疾患
  • 頭部外傷
  • 化学療法
  • 薬の副作用

など

次のライフスタイルが基本的な認知症リスクを避けるために有効です。

  • 良質な睡眠
  • 適切な日光浴
  • 魚を食べる
  • 有酸素運動
  • 野菜とフルーツを多く食べる
  • アルコールを控える
  • 社会活動への参加/人との交流
  • ストレスの解消(適度な休息と運動)

健康的な食事と運動で健康的な体重を維持し、生活習慣病(脳卒中、心臓病、糖尿病)の予防を心がけることが基本ですね。

そして、もし聴覚に不安があるのなら、早期に補聴器を使用することも認知症の予防になります。

なお、認知症/アルツハイマー病を予防する詳しい食事とライフスタイルについては、『認知症シリーズ』をご覧ください。

今までに執筆した脳機能を保護・向上させる方法については、次の記事をご参照ください。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

まだ20代、30代、40代・・・65歳未満で睡眠も十分にとっていて、上記した事柄に心当たりもないのに、自分の記憶力に不安があったり、物忘れが多いと感じ、家族やご友人などから指摘されるほど記憶力に不安があるのなら、病院を受診して確認をしてもらうことも大切です。稀な病気とは言え、発症の可能性はゼロではないのですから。

もし、自分では不安だけれども、特に、周囲から心配されるほどではないのであれば、まずは今回ご紹介したことから生活の改善を始めてみてはいかがでしょうか。何かしら心当たりがある項目があれば、まずは、その改善に取り組んでみましょう。

そして、もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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脳機能を高める食事、認知症予防の食事についてもコースに含まれています。

新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング