バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
脳の炎症を抑える野菜中心の食事
アルツハイマー病や認知症の予防、あるいは、症状の進行を遅くする効果のあるホリスティックな方法を5回に渡ってお伝えする、今回は、第4回目です。
第2回目では、食事バランスと野菜について、第3回目では、果物とナッツ、ハーブとスパイスについてお伝えしました。
第4回目の今回は、脂質と炭水化物とミネラルについてお伝えします。
6. 良質な脂質を積極的に摂る
脳細胞を保護しているミエリンは、コレステロールでできています。そのため、良質な油は脳細胞を守るために必要です。
魚(魚油)、亜麻仁油、えごま油、オリーブオイル
オメガ3不飽和脂肪酸
2012年までに発表されている研究はいずれも、初期のアルツハイマー病あるいは初期の認知症の患者には効果があるものの、病状が進んでしまった患者にはあまり効果がないことを報告しています。
ただ、これらの研究は短期間に行われたもので、長期に渡ってのオメガ3不飽和脂肪酸の摂取が行われていないことから、病状が進んだ患者に対しても、長期間のオメガ3不飽和脂肪酸の摂取によって、改善される可能性があるのではないかと期待されています。
実際に、マウスを使った実験では、マウスの寿命(2年)の約10%、つまり2か月半の間、オメガ3不飽和脂肪酸を与え続けたところ、アミロイドβタンパクの蓄積を減少させ、脳細胞死を減少させ、認知機能を改善したと報告されています。この効果は、メスよりもオスで顕著であったとのことですが、脳細胞死の減少はメスで顕著だったとのことです。
寿命の10%という期間を人間に単純に当てはめると、7年から8年ということになります。かなりの長期となりますが、日々の食事にオメガ3不飽和脂肪酸を取入れない理由はないですよね。
ビタミンE
オリーブオイル(エキストラバージン)は、ビタミンEの多いオイルです。そのオリーブオイルの抗酸化作用が認知機能の保護やアルツハイマー病予防に効果があるとする報告が数多くあります。
アミロイドβタンパクの増殖と脳細胞の酸化を伴う加齢による認知症を発症させたマウスを使った実験では、ココナッツオイル、バター、オリーブオイルをそれぞれ6週間与えたところ、オリーブオイルを与えたマウスにのみ、その行動に認知機能の改善がみられ、脳御細胞内で、抗酸化物質であるグルタチオンが上昇し、アミロイドβタンパク質の増加に関係すると考えられている酸化物質であるアルデヒドが減少したと報告しています。
参考:『あなたのビタミンEは本物ですか?』
7. トランス脂肪酸と飽和脂肪酸を控える
トランス脂肪酸とは、植物油に水素を添加して作られる化合物で、マーガリン、ショートニング、植物油脂などに多く含まれる脂肪酸です。
トランス脂肪酸とあわせて、飽和脂肪酸を多く含む油は、さまざまな慢性疾患や体内炎症の原因と考えられています。
また、トランス脂肪酸と飽和脂肪酸は、PCRM(Physicians Committee of Responsible Medicine、責任ある医療を目指す医師の会)が、摂取を控えるよう推奨している油です。
コーヒー用のクリームなどはトランス脂肪酸です。トランス脂肪酸については、今年(2015年)6月に、米国食品医薬品局(FDA)によって、危険物質と認定されています。詳しくは、『トランス脂肪酸』をご確認ください。
8. サプリメントで摂ってはいけないミネラル
サプリメントからではなく食品から摂ることが重要となるミネラルです。
銅、鉄分、亜鉛
PCRMは、マルチビタミンのサプリメントを飲む場合には、胴や鉄分や亜鉛が含まれていないものを使用することを推奨しています。
確かに、これらのミネラルは、食事から摂る分には過剰になることも不足することもあまりありませんが、サプリメントで摂る場合には、過剰になることが容易です。過剰摂取した場合に脳に蓄積されることが観察されていますので、サプリメントにはご注意ください。
食品ミネラルとしては、次の研究報告がありました。
約20年前の1998年に発表された研究では、アルツハイマー病の患者の脳のプラークに、通常よりも高いレベルの銅、鉄分、亜鉛が検出されたことから、それらのミネラル成分が、アルツハイマー病と関係があるのではないかと報告しています。
しかし、その後の2011年に発表された研究は、アルツハイマー病の患者の95%に現れる脳アミロイド血管症について調査しているのですが、この研究は、重度の脳アミロイド血管症の患者の脳には、非ヘム鉄が高レベルで存在していたと報告しています。
脳アミロイド血管症は、脳に微小出血を起こす血管障害であることから、高い鉄分レベルは、この脳内の微小出血によるものと推察できます。したがって、アルツハイマー病患者の脳内の高レベル鉄分は、血管障害による結果であって、高レベルの鉄分が脳の血管障害を引き起こすとまでは、言えないようです。
また、亜鉛は大脳灰白質に高レベルで存在していること、銅はアルツハイマー病の細胞自体では減少しており、血管系(循環器系)に集中して存在していたと報告しています。
更に、2014年に発表された研究は、アルツハイマー病で亡くなった患者の脳を調査しています。重度のアルツハイマー病の患者の脳の新皮質では、鉄分が高レベルで存在していたものの、銅は減少しており、亜鉛は健常者の脳と変わりはなかったと報告しています。
こうしたことから、銅、亜鉛、鉄分がアルツハイマー病と相関関係はあるものの、因果関係を証明するまでには至っていません。
ただ、初めにご紹介した通り、サプリメントでこうしたミネラルを過剰摂取すると、脳への蓄積が観察されていますので、念のため、PCRMが推奨するように、サプリメントは避けることが大切だと言えますね。
カルシウム
カルシウムもサプリメントからではなく、食事で摂ることが重要です。
脳の松果体は、アミロイドβタンパクの合成を抑制する働きがあるメラトニンと呼ばれる脳内ホルモンを分泌する器官です。
加齢によってその松果体が石灰化(カルシウム結晶)し、メラトニンの分泌が減少することが判っています。また、アルツハイマー病患者でも、メラトニンが急激に減少することが確認されています。
そして、カルシウムのサプリメントによる石灰化とアルツハイマー病との関係性は、明らかにされている事実です。
そのことから、アルツハイマー病予防には、カルシウムをサプリメントで摂らないことが重要だと考えられています。
詳しくは『カルシウムのサプリメントと心疾患・脳障害、アルツハイマー病、骨粗鬆症との関係』をご確認ください。また、カルシウムを多く含む食品については『カルシウム』をご確認ください。
9. 全粒穀類を選ぶ
炭水化物を選ぶ際には、白いものではなく、茶色のものを選ぶようにしましょう。
具体的には、白米ではなく玄米、白い小麦ではなく全粒粉、白い砂糖ではなくブラウンシュガーや黒砂糖などを選ぶようにしましょう。
フィチン酸
玄米などの全粒穀類や種(たね)やナッツの薄皮には、フィチン酸と呼ばれる抗酸化作用をもった成分が含まれています。
フィチン酸には、松果体の石灰化を抑制する作用があり、全粒穀類を食べることで、松果体の石灰化を予防できるとの仮説が立てられています。
フィチン酸は、大腸がんの予防にも効果があります。詳しくは『フィチン酸』をご確認ください。玄米の正しい食べ方などもご紹介しています。
10. アルミニウムを避ける
アルミニウムは神経毒です。
ココアやベーキングパウダーなどに含有されていることがあるので、アルミの入っていないものを購入するようにしましょう。
>>『アルツハイマー病と認知症(5)予防と改善のライフスタイル』
ソフィアウッズ・インスティテュートからのご提案
さて、アルツハイマー病や認知症の予防、あるいは、症状の進行を遅くする効果があるとされる食事や食品についてお伝えしてきました。日々の生活の中に、ちょっとだけ意識して取り入れるだけで大きな違いを生むと思います。
そして大切な栄養素は、食事で摂るということを基本にしてくださいね。
でももし、おひとりで取り組むことに不安や心配があるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
- “The effects of long-term omega-3 fatty acid supplementation on cognition and Alzheimer’s pathology in animal models of Alzheimer’s disease: a systematic review and meta-analysis”, Hooijmans CR, Pasker-de Jong PC, de Vries RB, Ritskes-Hoitinga M., J Alzheimers Dis. 2012;28(1):191-209. doi: 10.3233/JAD-2011-111217.
- “A potential role for crystallization inhibitors in treatment of Alzheimer’s disease“, Grases F, Costa-Bauzà A, Prieto RM, Med Hypotheses. 2010 Jan;74(1):118-9. doi: 10.1016/j.mehy.2009.07.029. Epub 2009 Aug 8.
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング