バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
脳の炎症を抑えるライフスタイル
アルツハイマー病や認知症の予防、あるいは、症状の進行を遅くする効果のあるホリスティックな方法を4回に渡ってお伝えしています。これまでの記事は次をご確認ください。
- 『アルツハイマー病と認知症(1)症状』
- 『アルツハイマー病と認知症(2)予防・改善の食事法』
- 『アルツハイマー病と認知症(3)予防・改善の食事法』
- 『アルツハイマー病と認知症(4)予防・改善の食事法』
最終回の今回は、ライフスタイルについてです。
1. 肥満予防/適切な体重管理
2008年3月のニューロロジーに発表された研究は、40代の時の腹部の内臓脂肪の量と、35年後のアルツハイマー病の発症に関連性があることを示唆しています。
6,583人を対象とした調査では、体脂肪下位20%の人と比較し、体脂肪上位20%に入る人は、3倍以上の人が認知症を発症していたとのことです。
アルツハイマー病はIII型糖尿病
2005年以降、脳内のインスリン値とアルツハイマー病との関係を示唆する研究報告があいついでいます。
アルツハイマー病患者の脳内では、異常に高いインスリン値が観察されていることから、アルツハイマー病との関連が疑われている現象で、III型糖尿病と呼ばれています。
II型糖尿病患者はアルツハイマー病/認知症になりやすい
2011年、日本の研究者によって、健康な人と比較し、糖尿病患者はアルツハイマー病や認知症の発症確率が2倍も高いと報告されています。
糖尿病の人全てが、アルツハイマー病を発症しているわけではありませんが、糖尿病もアルツハイマー病も代謝の異常が原因であることを考えれば、関連があったとしても不思議はありません。
血糖値の安定は認知症予防になる
ハーバード大学医学部による37万人を超える糖尿病患者を対象とした研究は、血糖値(HbA1c)を長期間、目標範囲に維持することで認知症/アルツハイマー病の予防になると発表しています。
1型糖尿病| 自己免疫疾患のひとつで、インシュリンを生成する機能の不全から起きる糖尿病です。
2型糖尿病| 生活習慣が原因で起こる糖尿病で、一般的に糖尿病と言われるものです。インシュリンは分泌されるものの、体がインシュリンに対して反応しなくなってしまい、血糖が下がらない状態を指します。
2. 有酸素運動
適度な有酸素運動によって、脳細胞に柔軟な酸素を供給することも予防と改善にとって効果的です。
イギリスの研究
生活習慣とアルツハイマー病の関連性に関する30件の研究を分析した、英国ケンブリッジ大学公衆衛生学のキャロル・ブレイン博士は、アルツハイマー病の3分の1は、不健康な生活習慣が原因となっていると報告しています。
運動不足がアルツハイマー病の22%に影響していることから、運動がもっとも効果が高い予防法だと述べています。
運動は、脳の血量を改善するので効果的だと言うことです。
- 有酸素運動
- 週に3回、20分から30分間のウォーキング
に効果があるとしています。東京なら一駅から二駅くらい歩く距離でしょうか。
日本の研究
日本で行われた研究でも定期的な運動は、最高50%もアルツハイマー病のリスクを低減すると報告しています。
正常な人と経度の認知症の症状のある人265人を対象に、1年間、適度な運動をしてもらったところ、70%の人に有意な記憶の改善がみられたとのことです。更に、運動をする頻度が高かった人ほど、改善度も大きかったとのことです。
- ウォーキング
- サイクリング
- 水泳など
有酸素運動を毎日少なくとも30分間は続けることを推奨しています。
なかなか毎日は大変ですね・・。
アメリカの研究
米国でウォーキングをする154,000人を11年半追跡調査した『ランナーとウォーカーの健康調査(National Runners’ and Walkers’ Health Study)』による2015年の最新報告では、アルツハイマー病予防に効果があるとされる運動は、
- 週75分間のランニング(約7キロから12キロ)
- 週150分間のエクササイズ
- 早足でのウォーキング(約15キロから20キロ)
と、しています。
これは、かなりの運動量です。
PCRM(責任ある医療を目指す医師の会)
週に2時間以上のエアロビクス等の有酸素運動を推奨しています。
認知症予防の運動量は、肥満予防の運動量よりもかなりハードな印象を受けますが、有酸素運動を毎日20分~30分以上というは、どの国の研究においても共通項のようです。
まずは、肥満(メタボ)にならない程度に運動と食事を気をつけておけば、後々、こんなにたくさん運動しなくても良くなるわけですから、入口で予防することの大切さが分かります。
運動を効果的に認知症予防と改善に利用する方法について『音楽がかかっていないスポーツジムはありえない』もご確認ください。
3. 脳トレ
脳は使うほど認知機能の衰えが遅くなります。
知的刺激を脳に与えるような活動は、神経細胞の連結をリッチなものにするため、加齢による喪失を補う保険のように働くのではないかとの仮説が立てられています。
体の筋肉と同じです。
若い時に筋肉を十分に造っていれば、加齢によって多少の筋量が失われても、日常生活に支障をきたすことがないのと同じで、若い時に脳神経細胞を十分に造っておけば、加齢によって多少の神経細胞が失われても日常生活に支障が起こらないのではないかと考えられています。
脳トレゲーム
多くの研究が、脳を刺激するような活動がアルツハイマー病の発症リスクを低下させると報告しています。例えば、
- 読書
- トランプ
- ゲーム
- パズル
- 謎解きなど
最終学歴
正式な教育を受けた期間が長いほど(最終学歴が高いほど)、アルツハイマー病の発症が少ないと報告されています。
4. エッセンシャル・オイル/精油の活用
香りは大脳辺縁系を刺激します。
Smell is the potent wizard
Helen Keller/ヘレン・ケラー
that transport us across thousands of miles
and all the years we have lived.
(香りは優秀な魔法使いです。
何千マイルをも、私達が生きた全ての歳月をも超えて
私達を運びます)
確かに、ある香りを嗅いだときに、よみがえってくる想い出があります。
ヘレン・ケラーが述べている、香りによってよみがえる記憶の現象を「プルースト効果」と呼びます。ロシアの文豪マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』のテーマ「時間と記憶」にちなんで、命名されたのだそうです。
漢方(薬膳)の薬茶は、乾燥した生薬(薬草など)から薬効成分を煮だしたものですが、蒸留法で採った精油も同じです。本物の精油(エッセンシャルオイル)は、危険なほど効果・作用が強いんです。
直接飲むことが危険であるため、古来から、香りや塗り薬として用いられることが多いんです。精油、あなどることなかれ。
ただし、効果が期待できるのは、100%の純度で蒸留法で抽出された精油(エッセンシャル・オイル)だけです。
アロマオイルとして売られているものの多くは、化学香料を用いて香りを合成しているものです。そうしたものに効果は期待できませんので、精油は本物をご利用くださいね。なお、精油の選び方については『トリプル・ピュリティ』をご参照ください。
ローズマリー
ローズマリーの香りは、何千年も前から記憶力を高めると言われてきました。
シェークスピア悲劇『ハムレット』の中で、オフィーリアはこう言っています。
ローズマリーがあるわ。
思い出すために。
愛しい人、祈っています。忘れないで。
“There’s rosemary, that’s for remembrance, pray you, Love, remember.”
【ローズマリーのアロマテラピー】
『インターナショナル・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(The International Journal of Neuroscience)』 で報告された、英国ノーザムビア大学ニューキャッスル校(University of Northumbria, Newcastle)で行われた研究がありました。
ローズマリーの精油を使ったアロマテラピーの結果、144名の参加者の総体的な記憶の質が向上したことが報告されています。
更に、『サイコジェリアトリクス(Psychogeriatrics、老年精神医学)』には、ローズマリーが
- 意識を明白にさせ
- 記憶力を向上させるだけでなく
- アルツハイマー病の予防と改善に効果がある
と記載されています。
【ブレンドによるアロマテラピー】
老齢の認知症患者28名(うち17名はアルツハイマー病)が対象の研究です。
- 朝|ローズマリーとレモンの香り
- 夜|ラベンダーとオレンジの香り
をそれぞれアロマテラピーとして嗅いでもらったところ、自己認知力が有意に高まったと報告されています。副作用は皆無だったとのことです。
ローズマリーは抽出した時期や産地によって成分の含有率にばらつきがあります。
- シネオールタイプ|1.8シネオールが35%以上、カンファーが15%以下
- カンファ―タイプ|1.8シネオールが35%以下、カンファーが15%以上
上記の研究にどちらが使われたのかは不明です。
ローズマリーのその他の素晴らしい効果については『ローズマリーが阻害した、がん細胞のワ―ブルグ効果って何?』をご覧ください。
ニオイコブシ
アルツハイマー病の改善に効果を示したローズマリー精油の主成分(1,8シネオールとカンファー)と同様の成分が、ニオイコブシの精油にも多く含まれています。
そのことから、日本古来の樹木であるニオイコブシの香りにも、アルツハイマー病改善効果があるのではないかと、現在、研究が行われています。
5. 禁煙
タバコは百害あって一利なし。
タバコを吸わない人と比較し、喫煙者はアルツハイマー病の発症リスクが2倍にもなると報告されています。
喫煙が、喫煙者だけの健康被害で終わるなら、どうぞ自己責任ですからご勝手にと思います。でも、副流煙によって周囲まで巻き込むことは確実ですし、アルツハイマー病を発症すれば、ご家族や周囲の人達にとっても、様々な多くの問題を引き起こすことになります。
喫煙は、あなただけの問題に留まらないのです。
6. 抗コリン作用薬の長期摂取を避ける
65歳以上の認知症ではない3,434人の被験者の追跡調査によって、抗コリン作用をもつ薬の長期間の服用と認知症・アルツハイマー病との関係性が報告されています。
抗コリン作用薬を飲んでいない人と比較して、以下の期間、抗コリン作用薬を常用した場合の認知症発症率は次の通りでした。
- 3ヵ月以上 ~ 1年以下| 1.19倍
- 1年超 ~ 3年以下| 1.23倍
- 3年超| 1.54倍
アルツハイマー病においても同様のパターンが見られたと報告されています。
抗コリン作用薬とは、アセチルコリンが受容体と結合することを阻害する薬のことで、副交感神経遮断薬とも呼ばれます。具体的には、アトロピンやスコポラミンといった成分を含む薬です。
抗コリン作用を持つ薬には、次のようなものがあります。
- 抗ヒスタミン剤(アレルギー薬)
- 総合感冒薬(風邪薬)
- 鼻炎薬
- 高血圧治療薬
- 抗パーキンソン病薬
- 抗精神病薬や抗うつ薬
- 精神安定剤
上記したカテゴリーに含まれる薬を飲むことになった際には、次のことに注意をしてください。
- 処方薬|医師・薬剤師に相談して、アトロピンやスコポラミンが含まれていないものにしてもらう。
- 市販薬|成分表を確認して、アトロピンやスコポラミンが含まれていないものを選ぶ。
その他の参考情報
今までにアルツハイマー病に関して執筆した記事です。ご参照ください。
- 『アルツハイマー病とツバメの巣』
- 『アルツハイマー病が感染する可能性』
- 『アルツハイマー病は遺伝するのでしょうか?』
- 『脳波のひとつガンマ波が脳内のゴミをお掃除』
- 『このメーカーのアルツハイマー病予防サプリメントに要注意!』
ソフィアウッズ・インスティテュートからのご提案
さて、5回に渡って、たくさんの食品やライフスタイルについてお伝えしてきました。それだけ、多くの研究がなされている注目の分野だということです。
お伝えした食品やライフスタイルは、科学的な臨床研究や試験管実験・動物実験の中で、有意な効果の報告があるものです。
しかし、これだけ食べていれば、これだけやっていれば、絶対にアルツハイマー病にかからない、認知症にならないというものではありません。
私達はホリスティックな存在です。偏ることなく、生活全体を見渡して、上手に万遍なくとりいれることを考えていただければと思います。
そしてもし、おひとりで取り組むことに不安や心配があるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
プライベート・ヘルスコーチング・プログラムについて
お気軽にご相談ください。
初回相談を無料でお受けしています。
あるいは、ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。
新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。
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参考文献:
- “Larger Belly In Mid-life Increases Risk Of Dementia, Study Suggests“, American Academy of Neurology, ScienceDaily, 27 March 2008.
- “Is Alzheimer’s Really Just “Type 3 Diabetes?””, Dr. Kevin Passero
- “Glucose tolerance status and risk of dementia in the community: the Hisayama study”, Ohara T, et al, Neurology. 2011 Sep 20;77(12):1126-34.
- “Glycated Hemoglobin A1c Time in Range and Dementia in Older Adults With Diabetes”, Underwood PC, Zhang L, Mohr DC, et al., JAMA Netw Open. 2024;7(8):e2425354. doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.25354
- “Cut Alzheimer’s risk by walking: It only takes 20 minutes, 3 times a week”, SOPHIE BORLAND, 13 July 2014
- “One in three cases of Alzheimer’s worldwide potentially preventable, new estimate suggests”, University of Cambridge, July 14, 2014
- “Running and Walking May Lower Alzheimer’s Disease Risk”, MARCH 2, 2015, Journal of Alzheimer’s Disease
- “Educational attainment and cognitive decline in old age”, R S. Wilson, PhD, L E. Hebert, ScD, P A. Scherr, ScD, PhD, L L. Barnes, PhD, C F. Mendes de Leon, PhD, and D A. Evans, MD, Neurology. 2009 Feb 3; 72(5): 460–465. doi: 10.1212/01.wnl.0000341782.71418.6c
- “Cognitive training shows staying power”, Barbara Cire, January 13, 2014, National Institute on Aging
- “Effect of aromatherapy on patients with Alzheimer’s disease”, Jimbo D, Kimura Y, Taniguchi M, Inoue M, Urakami K, Psychogeriatrics. 2009 Dec;9(4):173-9. doi: 10.1111/j.1479-8301.2009.00299.x.
- “Aromas of rosemary and lavender essential oils differentially affect cognition and mood in healthy adults”, Moss M, Cook J, Wesnes K, Duckett P, Int J Neurosci. 2003 Jan;113(1):15-38
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- “Cumulative use of strong anticholinergics and incident dementia: a prospective cohort study”, Gray SL, Anderson ML, Dublin S3, Hanlon JT, Hubbard R, Walker R, Yu O, Crane PK, Larson EB, JAMA Intern Med. 2015 Mar;175(3):401-7. doi: 10.1001/jamainternmed.2014.7663
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング