バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
唐辛子の効果は痩せるだけじゃない
キムチが好きな人はきっと、ほぼ毎日、唐辛子を食べているのではないでしょうか。
私はキムチが苦手ですが、お蕎麦やおうどんに一味唐辛子を入れて食べるのは好きです。また、きんぴらや焼きそばに唐辛子を加えるのも好きです。
さて、唐辛子に痩せる効果があることを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
でも、唐辛子の力ってそれだけじゃないんですよ。
様々な研究によって、唐辛子を適度に食事に加えることで、すっごい効果が期待できることが示されています。
(裏付けとなっている研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています)
抗がん作用
唐辛子の辛味成分カプサイシンの抗がん作用は、次の機能によって起こることが報告されています。
- セラミドの蓄積
- 核内因子κB (NF-κB)の抑制
- 小胞体(オートファジーに関係)応力誘起
セラミドの蓄積
セラミドは、お肌や髪の潤いに欠かせない成分です。美容情報に詳しい方ならご存知と思いますが、お肌の角質層の細胞と細胞の間で、スポンジのように水分と油分を蓄えている細胞間脂質の50%以上を占めています。
セラミドは、美容に不可欠な成分であるだけでなく、多くの細胞でアポトーシス(細胞死)を誘導するアポトーシス・シグナルの前駆体、あるいはアポトーシス・シグナルそのものであることが解っています。
唐辛子に含まれているカプサイシンが、そのセラミドの蓄積を促すことが報告されています。
NF-κBの抑制
NF-κBは、ストレスや紫外線等の刺激によって活性化される因子です。NF-κBが活性すると次のような疾患の原因となります。
- クローン病や関節リウマチなどの炎症性疾患
- 敗血症性ショック
- がんや多くの悪性腫瘍
- サイトメガロウイルス (CMV) やヒト免疫不全ウイルス (HIV) の増殖
唐辛子のカプサイシンがNF-κBを抑制することが報告されているため、上記した疾患の予防に効果があるのではないかと期待されます。
がん細胞のオートファジーの阻害
オートファジーは、細胞内に発生した不要あるいは異常タンパク質を分解除去する仕組みです。この仕組みを発見した大隅良典 栄誉教授が2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことを覚えている人もいるのではないでしょうか。
ただ、がん細胞内でオートファジーが行われると、分解されたタンパク質をがん細胞が栄養として再利用してしまい、死滅させることが困難になります。そのため、がん患者においては、オートファジーを阻害する抗がん剤が開発されています。
カプサイシンは、細胞内に活性酸素(ROS)を増加させ、オートファジーを阻害し、がん細胞にアポトーシス(細胞死)を促すことが報告されています。
N-アセチルシステイン(NAC)の投与で効果が無くなる
細胞内の活性酸素を減少させる効果のあるN-アセチルシステイン(NAC)を投与すると、カプサイシンの効果が打ち消されてしまうことが報告されています。
つまり、むやみに活性酸素を早期に体内から除去してしまうと、返って、がん細胞の増殖を促してしまう可能性があるのです。体には自然治癒力と自助浄化作用が備わっています。そうした機能は適度な刺激によって活性し強くなっていきます。ですから、体に任せることなく、人為的に活性酸素除去効果を謳っている製品を常用することには注意が必要です。詳しくは『活性酸素分子を多く発生させる運動をする人ほど寿命が延びる』をご覧ください。
N-アセチルシステイン(NAC)は、アセトアミノフェンの過量摂取時の解毒あるいは、気管支炎や肺気腫などに処方される医薬品です。アセトアミノフェンの解毒については、『鎮痛剤(アセトアミノフェン)からあなたの肝臓を守るには – 解毒食品』をご参照ください。
前立腺がん予防と改善
前立腺がん(LNCaP 細胞とPC-3細胞)細胞を用いて、カプサイシンの作用を調べた研究では、カプサイシンが前立腺がん細胞内にROSを発生させ、オートファジーを阻害し、前立腺がん細胞に細胞死を招いたことを報告しています。
また、別の研究では、唐辛子に含まれているカプサイシンを経口摂取することで、前立腺がん細胞の転移を有意に減少させ、がん細胞死(アポトーシス)を有意に発現させたことが報告されています。
更に、唐辛子が、前立腺がんの複数の細胞タイプに対しても効果があったことが示されています。
2006年の雑誌『アポトーシス』に掲載された論文は
「我々のデータは、動物試験において、アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞に対するカプサイシンの役割を示しています。更に、カプサイシンが、様々な化学療法が効かないホルモン不応性前立腺癌に対する抗がん作用があることを示しています。」
との言葉で締めくくられています。
また、カプサイシンが、次の両方のがん細胞に対して、細胞死を促すことが報告されています。
- アンドロゲン受容体陽性の前立腺がん細胞
- アンドロゲン受容体陰性の前立腺がん細胞
更に、カプサイシンが、アンドロゲン受容体の発現を抑えるだけでなく、前立腺特異抗原(PSA)の転写/複製自体を阻害することで、がん増殖を抑制したことが報告されています。
食欲コントロール
カプサイシンは、食欲をコントロールする成分です。
実験では、ある年齢に必要とされるカロリー摂取量の75%(4分の3)のカロリーの食事に、唐辛子2.56 mgを毎食用いると、必要カロリー摂取量100%の食事をした場合と同様の満腹感が得られたことが報告されています。
ってことは、例えば、お蕎麦に唐辛子を小さじ半分かけて食べたら、いつもの4分の3の量で満足できるってことですね(ホントかな?笑)
また、カプサイシンが空腹ホルモン・グレリンの分泌を抑制することも報告されています。
様々な痛みの鎮静
カプサイシンが、神経の先端の痛覚を鈍感にさせることが、ヒトと動物の両方を対象とした多くの研究によって示されています。痛みの原因を止めるわけではありません。
単に、痛覚を鈍くさせるのです。頭痛薬と同じです。
多くの臓器で主に炎症による痛みの伝達を担っているTRPV1受容体の作用を抑えても痛覚伝達を抑制する効果は限定的であることが判っています。
一方、カプサイシンは、十分な量を投与すると末端神経の痛覚受容体TRPV1受容体を長期に渡って刺激し、不応期を起こすことが示されています。
つまり、TRPV1受容体を抑えるよりも、過剰に刺激することで、痛みの伝達が抑えられるということです。面白いですね。
実際、カプサイシンが偏頭痛やのどの痛みなどを改善させたことが報告されています。
高濃度のカプサイシンは神経痛に効く
高濃度のカプサイシンを局所的に塗布することで、骨筋痛と神経痛の両方において鎮痛効果を示すことが報告されています。
カプサイシン濃度8%の湿布が神経痛に効く一方で、湿布箇所に焼けるような感覚も引き起こすことが報告されています。そのため、カプサイシン湿布の前に麻酔効果のあるクリームを塗ることが医療現場では行われてきました。
しかし、麻酔効果のあるクリームを塗った場合と塗らない場合とを比較して、次の様な理由から、カプサイシン8%の湿布はやはり鎮痛効果があると結論付けています。
- 焼けるような感覚にあまり大きな差がない
- 焼けるような感覚は直ぐに治まる
- カプサイシン湿布の鎮痛効果は、湿布をはがした後12週間も続く
なお、多発性骨髄腫や末期のがんで起こる重度の骨痛に対しても鎮痛作用があったことが、マウスを使った動物実験で示されています。ヒトにおいても鎮痛作用があることが期待されています。
胃がん予防(除菌せずにピロリ菌を抑える)
マウスを使った動物実験ですが、カプサイシンとピペリンとクルクミンが、それぞれどれくらいピロリ菌を原因とする胃がんを抑制するかを比べた研究があります。
生後6週間目のマウスに、次の成分をそれぞれ13週間、毎日、餌に混ぜて与えてピロリ菌の抑制効果を検証しています。
- カプサイシン:100ppm
- ピペリン:100ppm
- クルクミン :5,000ppm
3つ全てがピロリ菌の増殖を抑制することが報告されました。
しかし、試験管試験ではクルクミンが一番抑制効果があったものの、動物実験においては、ピぺリンとカプサイシンに有意なピロリ菌抑制効果が示されました。
そのため、ヒトにおいても、胃がんの予防効果があるのではと期待されています。
ただし、胃酸過多には、唐辛子は逆効果ですからご注意を。ピロリ菌と胃酸については『ピロリ菌は病原菌ではなく共生細菌』をご参照ください。
唐辛子を食事に加えましょう
こんな素晴らしい機能をもった唐辛子です。お蕎麦やおうどんに一振りしない理由はないですね。
なお、青唐辛子の旬は7~9月です。
青唐辛子が成熟したものが赤唐辛子で秋頃に出回り始めます。
成熟するほど辛みが強くなります。
また、唐辛子の辛味成分によって、舌の塩味を感じる味蕾が刺激されるため、隠し味に一味唐辛子をまず加えてから塩を入れると、いつもよりも少ない量で同じ塩味を感じられるため、自然と減塩になりますよ。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献:
- “Induction of apoptosis in prostate tumor PC-3 cells and inhibition of xenograft prostate tumor growth by the vanilloid capsaicin”, Sánchez AM, Sánchez MG, Malagarie-Cazenave S, Olea N, Díaz-Laviada I, Apoptosis. 2006 Jan;11(1):89-99
- “Capsaicin, a component of red peppers, inhibits the growth of androgen-independent, p53 mutant prostate cancer cells”, Mori A, Lehmann S, O’Kelly J, Kumagai T, Desmond JC, Pervan M, McBride WH, Kizaki M, Koeffler HP, Cancer Res. 2006 Mar 15;66(6):3222-9.
- “The pepper’s natural ingredient capsaicin induces autophagy blockage in prostate cancer cells”, Ramos-Torres Á, Bort A, Morell C, Rodríguez-Henche N, Díaz-Laviada I, Oncotarget. 2016 Jan 12;7(2):1569-83. doi: 10.18632/oncotarget.6415.
- “Capsaicin increases sensation of fullness in energy balance, and decreases desire to eat after dinner in negative energy balance”, Janssens PL, Hursel R, Westerterp-Plantenga MS, Appetite. 2014 Jun;77:44-9. doi: 10.1016/j.appet.2014.02.018. Epub 2014 Mar 12.
- “The effects of capsaicin and capsiate on energy balance: critical review and meta-analyses of studies in humans”, Ludy MJ, Moore GE, Mattes RD, Chem Senses. 2012 Feb;37(2):103-21. doi: 10.1093/chemse/bjr100. Epub 2011 Oct 29.
- “Capsaicin-based therapies for pain control”, Smith H, Brooks JR, Prog Drug Res. 2014;68:129-46.
- “Treatment of neuropathic pain with the capsaicin 8% patch: is pretreatment with lidocaine necessary?”, Kern KU, Nowack W, Poole C, Pain Pract. 2014 Feb;14(2):E42-50. doi: 10.1111/papr.12143. Epub 2013 Dec 1.
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- “Bone pain induced by multiple myeloma is reduced by targeting V-ATPase and ASIC3”, Masahiro Hiasa, Tatsuo Okui, Yohance M Allette, Matthew S Ripsch, Ge-Hong Sun-Wada, Hiroki Wakabayashi, G David Roodman, Fletcher A. White, and Toshiyuki Yoneda, Cancer Res. 2017 Mar 15; 77(6): 1283–1295, doi: 10.1158/0008-5472.CAN-15-3545, PMCID: PMC5355000, NIHMSID: NIHMS845411, PMID: 28254863
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