バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ご褒美チョコレートが増えている
チョコレート大好き!と、いう人は多いですね。
この季節になると、たくさんの美味しそうな新作チョコレートが発表され、あなたの興味をそそります。
また、義理チョコが例年よりも減っている一方で、自分へのご褒美チョコや家族や親しい人へじっくりと吟味した良質なチョコレートを選ぶ人が増えています。
そこで今回は、美味しいだけじゃなくて、健康にとって本当に良いチョコレートの選び方についてお伝えします。
ココアとカカオの違いを知っていますか?
チョコレートの話をする前に、まずは、ココアとカカオの話から始めましょう。
カカオ
カカオは、カカオ豆を発酵させ乾燥させたものです。加熱や焙煎をする前の、生の状態のものがカカオです。
発酵乾燥させただけの生のカカオから、次の食品ができます。
- カカオパウダー: カカオ豆を粉末状にしたもの
- カカオバター: カカオ豆の中の白い脂肪層
- カカオニブ: カカオ豆を小さく切り刻んだもの
加熱していないので、焙煎過程で失われてしまう栄養素がそのまま維持されています。
ココア
カカオを加熱焙煎して粉砕したものが、ココアパウダーです。
100%のココアパウダーには、次のような栄養素が含まれています。
- マグネシウムや鉄分などのミネラル
- 焙煎後に残存する抗酸化物質(ポリフェノールやフラボノール)
- 食物繊維
- 良質な脂質
チョコレート
ココアパウダーに、砂糖や脂肪分やミルクを加えてたものが、チョコレートです。
加えるお砂糖の量の違いで、ビターになったり、マイルドになったりします。
ダークチョコレート
チョコレートの中でもここ数年、スーパーフードとして注目を集めているのがダークチョコレートです。
ダークチョコレートとは、次の定義に当てはまるものを指します。
- ココア成分が全体の70%以上あるもの
- ミルク成分をほとんど、あるいは、まったく含んでいないもの
ミルクを含んでいるダークチョコレートはダークではありません。
ダークチョコレートの抗酸化力
裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
カカオの抗酸化成分は、フルーツよりも多いと報告されています。
しかも、ココアパウダーやダークチョコレートに加工されていても、ほとんどのフルーツよりも高い抗酸化成分を含んでいて、ブルーベリーやアサイーよりも高いと言われています。
この抗酸化成分によって、がん予防や免疫反応に関係している酸化還元反応に変化を促すことや紫外線から肌を守ることが期待されています。
1. 心疾患・動脈硬化・高血圧の予防
カカオとココアは、次の抗酸化物質を特に多く含んでいます。
- カテキン
- エピカテキン
- プロシアニジン
- など
これらの成分は、活性酸素のハンターとして働きます。
エピカテキンは、血液中の一酸化窒素を増やすことで、血管内皮に良い影響をもたらし、抗炎症作用を通して循環器系の機能を改善すると考えられているほか、動脈硬化を予防し、高血圧を改善したことが報告されています。
また、カカオとココアに含まれるテオブロミンと呼ばれる成分には、血管拡張作用があります。
2. 糖尿病の予防
カカオとココアに含まれているエピカテキンの抗酸化作用は、インスリン抵抗性の改善に効果があると考えられ、糖尿病リスクの低減につながると期待されています。
また、BMIの改善(肥満改善)に効果を示したと言う報告もあります。
ハーバード大学が行った、研究開始時に糖尿病ではなかった192,000人の成人参加者を30年間追跡調査した研究では、チョコレートをダークチョコレートとミルクチョコレートに分けて効果を検証しています。
チョコレートをまったく食べない人と比較し、一週間に少なくとも5回(28g × 5回)食べる習慣がある参加者のII型糖尿病リスクは、次のように低下することが示されています。
板チョコ1枚が50gなので、板チョコ約2.5枚に相当しますね。
- 一般的なチョコレート・・・10%低下
- ダークチョコレート・・・21%低下
一週間に食べるダークチョコレートの量が28g増加するごとにII型糖尿病リスクが3%低下すると述べています。また、ダーク チョコレートを食べる量は、体重増加と関連しないことも報告されています。
一方で、ミルクが含まれているチョコレートでは、II型糖尿病リスクは低下せず、ミルクを含むチョコレートを食べる量は長期的な体重増加と関連していました。
3. 認知機能の改善
カカオとココアには、テオブロミンとカフェインの組み合わせによるメチルキサンチンと呼ばれる精神薬理学的作用をもつ成分が含まれています。
ココア・フラボノール(flavan-3-ol)150mgを5日間食べたグループのfMRIの検査では、次の効果が観察されています。
- 大脳辺縁系と灰白質への血流増加 ⇒ 認知機能の向上
- 心拍数に変化なし
チョコレート中毒の原因物質
チョコレートが大好きで、常にチョコレートを食べていたい人のことを「チョコレート中毒」なんて呼びますが、それは、実際に脳神経で起きている中毒作用なんです。
チョコレートに含まれているテオブロミンと呼ばれる成分が、いわゆる「チョコレート中毒」を引き起こす主成分です。
テオブロミンには、血管拡張薬、中枢神経刺激薬、利尿薬としての作用もあります。
テオブロミンには脳を刺激する作用があるため、上記したように認知機能の改善に役立つこともありますが、食べ過ぎることは禁物ですね。
全てのダークチョコレートが同じではない
チョコレートがスーパーフードと言われることに納得できる抗酸化作用をお伝えしましたが、ダークチョコレートと呼ばれるものなら何でも良いわけではありません。
原材料の質や製造過程が異なると健康への効果も異なります。
自分へのご褒美チョコレートを選ぶなら、本当の意味でご褒美になるチョコレートを選びましょう。また、特別な人に贈る際にも、その人の健康にとって害になるようなチョコレートは贈りたくないものです。
では、どんなダークチョコレートを選んだら良いのでしょうか。
1. ココアパウダーの製造方法をチェックする
ココアパウダーの製造方法には、次の2つがあります。
チョコレートのパッケージ裏の原材料表にココアパウダーの製法まで記載している製品は非常に少ないことから、パッケージから製法を知ることは難しいかもしれません。
でも、もし「アルカリ加工」といった記載あったなら、それは、ダッチ製法を意味します。下に詳しく製法の違いによる抗酸化成分の残留量を記載しますが、アルカリ加工されたチョコレートは選ばない方が良いでしょう。
伝統的なブロマ製法で作られているチョコレートを選びたいですね。
1. ブロマ製法
- カカオマスを油圧圧搾してココアパウダーを作ります。
- この方法で作られたココアパウダーは、通常のチョコレート色よりも赤みがかっていて、苦味や酸味があります。
- ブロマ製法のココアパウダーのpH・・・弱酸性(pH5.3 – 5.8)
ブロマ製法では70℃以上にカカオを加熱するため、次の変化が抗酸化物質に現れますが、全体としての抗酸化物質の量に大きな変化は生じないことが示されています。
- エピカテキン・・多くが喪失
- カテキン・・・7.5倍増加
2. ダッチ(アルカリ化)製法
- アルカリで中和しながらココアパウダーを作ります。
- この方法で作られたココアパウダーは、通常のチョコレート色で、苦味が丸くなっています。カカオの苦味を消すために、この製法が用いられることが多いです。
- ダッチ(アルカリ化)製法のココアパウダーのpH・・・中性~強アルカリ性
アルカリ化の度合いが高まるにつれて、抗酸化物質の含有量が、直線的に減少することが観察されています。ダッチ製法のココアパウダーでは、抗酸化物質が激減しているとする研究報告が複数あります。
- エピカテキン・・・98%減少
- カテキン・・・80%減少
2. チョコレートの原材料をチェックする
チョコレートを選ぶ際には、チョコレートのパッケージの表に書かれている、あるいは、お店のポップに記載されている宣伝文句ではなく、パッケージ裏の原材料表を確認しましょう。
原材料表は、含有量の多い成分から順に左から記載されています。一番最初に書かれている材料が一番多く入っていることを意味します。
本物のダークチョコレートの原材料表には、ほんの2~3つの材料しか記載されていません。そして、次の言葉のどれかが、一番最初に記載されていることを確認してください。
- ココア
- ココアパウダー
- ココアニブ
- ココアバター
- チョコレートリカー
3. 要注意な原材料
チョコレートには、ココア成分だけでなく、長期間の保存を可能にするため、風味/フレーバーを加えるためなどの理由で、様々なものが添加されています。
1. 砂糖
チョコレートには、カカオの苦味を緩和するために、お砂糖が入っています。お砂糖が入っていないチョコレートをみつける方が難しいと言えます。
重要なポイントは、原材料表の一番最初に「砂糖」と書かれていないことを確認してください。
また、甘味として「砂糖」ではなく、次のいずれかが用いられているものが良いですね。
- ブラウンシュガー
- 甜菜糖
- メープルシロップ
- ココナッツシュガー
- アガベ
- など
2. 乳化剤
乳化剤は、油分と水分を融和(乳化)させるため、油分と水分が分離してしまわないために添加されます。
チョコレートの場合、ココアパウダーとココアバターが分離しないように入れます。
でも、乳化剤を入れなくてもチョコレートは作れます。
乳化剤は食べる石鹸です。あなたの腸内細菌にはダメージを与えることが示されている添加物です。
乳化剤が入っていないチョコレートを選びましょう。しかたなく容認できるものとしては、大豆のレシチンを乳化剤として用いているものです。
3. ミルク(乳脂肪)
チョコレートを柔らかい食感にしたり風味をつけるために乳脂肪が用いられます。
しかし、ダークチョコレートに、乳脂肪(ミルク成分)は必要ありません。入っていないものを選びましょう。
参考:『牛乳アレルギーがある人とヴィーガンは米国製ダークチョコレートに要注意』
4. 香料
ダークチョコレートには、様々な香りやフレーバーが着けられているものがあります。
香りやフレーバーをつけることには何の問題もありません。
ただし、「香料」としか記載のない場合には、大抵、合成香料(化学物質)が使用されていますので、避けることが賢明です。
しかし、原材料表を観ただけでは、その香料が天然か化合物なのかの判別がつかないことが多いのも事実です。
最近では、有機バニラとか、有機レモン油などと記載してくれているものもありますので、天然のスパイスや抽出液(エッセンス)やオイル(精油)などを用いているものを選びましょう。
フレーバーつきのダークチョコレートをお求めなら、オーガニック(有機)認証されているものを選ぶと安心です。
5. 植物油脂、ショートニング、マーガリン
植物油脂、マーガリン、ショートニングと記載のあるチョコレートは避けましょう。
植物油脂、ショートニング、マーガリンなどは、トランス脂肪酸の含有量が非常に多い油脂です。
トランス脂肪酸は、動脈硬化を引き起こし、心疾患や脳卒中を起こす原因物質であることから欧米では「No longer safe」(もはや安全ではない)という基準に分類されている危険物質で、その含有量の多い加工油は食べ物として、もはや扱われていません。
欧米の商品には、トランス脂肪酸の含有量が必ず記載されています。そのため、欧米からの輸入チョコレートであれば、トランス脂肪酸と記載されているものを購入しなければ良いので、トランス脂肪酸を避けることが容易です。
しかし、日本にはそうした規制も表示義務もありません。消費者がそれを知り、避ける行動をしなければなりません。
トランス脂肪酸については『マーガリンや植物油脂ってそんなに体に悪いの?』をご参照ください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
美味しそうなチョコレートがたくさん売り出されるこの季節に、良質で健康に良い、本物のチョコレートを選んでくださいね。
本物のチョコレートと言えば、『Bean to Bar のチョコレートってご存知ですか?』もご参照ください。お店リスト載せています。
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング