バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
あなたの寝室はどれくらい暗いですか?
もうどこかで何度となく聞いた話かもしれませんが、スマホなどの電子機器の明かりは、睡眠の質を低下させます。
寝室で、電子機器などのデバイスを使用しなかったとしても、例えば、寝室にある他の明かりはどうでしょうか。
オレンジ色の豆電球をつけたまま寝ていませんか?
窓から街灯の灯りが差し込んで来てはいませんか?
エアコンやその他の電気機器のポチっとした小さなランプが目に入る位置にありませんか?
そんな些細な光に関係なんてあるの?
光は、あなたがいつ目覚めるべきか、そして、いつ眠くなるべきかを決定する唯一最も重要な要因です。
あなたの中には、体内時計があります。睡眠と覚醒のリズムを調節しています。朝日を見る/浴びると、脳の松果体とよばれるところからセロトニンという覚醒のホルモンが分泌され目覚めていきます。そして日没頃から、メラトニンという睡眠誘導のホルモンが松果体から分泌されはじめ、夜に自然な睡眠導入が促されます。
メラトニンは、暗闇に反応して分泌され、光によって生成が抑制されます。そして、電子機器デバイスの光によって、メラトニンの生成が抑制されることが複数の研究によって報告されています。
夜見るタブレットやスマホやPCの画面は、外で見る満月よりも100倍も明るいのです。夜間照明で明るくなっている屋外の駐車場と比べても10倍も明るいのです。
なお、メラトニンの詳しい機能については『メラトニン』をご確認ください。
体内時計のリズムとリセット
体内時計は、人工的な光が発明される、ずっと前に体に備わった機能のひとつです。体内時計の一日は約25時間です。でも、私たちの生活時間は一日24時間に決められています。そのため、毎日、体内時計をリセットしなければ、生活時間と体内時間は徐々にずれていき、さまざまな健康問題へとつながっていきます。
体内時計をリセットする方法のひとつが、朝日を見ることです。
電子機器の光による影響
就寝の数時間前に電子書籍を読んだ人と、印刷された書籍を読んだ人の生物学的な影響を比較した研究では、電子書籍を読んだ人は入眠に時間がかかり、メラトニン分泌が減少し眠気が軽減され、体内時計のタイミングが遅くなり、翌朝の目覚めまで低下することが示されています。
特に、夜間に電子機器の光にさらされることによって、翌日の昼間のパフォーマンスや健康、安全にも影響を及ぼす可能性があります。
部屋の灯りによる影響
明かりをつけて寝ると、眠りが浅くなり、頻繁に途中覚醒するだけでなく、特に睡眠の深さと安定性に関係する脳派の振動に永続的な影響を及ぼすことが明らかにされています。
街灯などの夜間の屋外の人工光さえも、睡眠不足と関連しています。
光の影響は睡眠だけではない
夜間の光の影響は睡眠だけにとどまりません。次のような疾患の発症リスクを高めることが明らかになっています。
なお、睡眠との関係について詳しい記事をリンクしていますので、ご参照ください。
たった5ルクスの光でうつ病
2010年~2014年に奈良県で行われた研究では、就寝中たった5ルクスの明るさであっても、うつ病のリスクを上昇させたことが示されています。
5ルクスの明るさというのは、間接照明の明るさです。ムーディなバーとか上映中の映画館と同じくらいの明るさ(暗さ)です。
調査開始時には、うつ症状がなかった863人の被験者のうち、5ルクス以上の明るさの中で就寝していた153人のうち73人(約48%)にうつの症状が現れたことが報告されています。これは、5ルクス未満の部屋で就寝していた人たちと比較して、有意に高い発症率でした。また、10ルクス以上の寝室で就寝していた人たちのデータにおいても、やはり高いうつ発症率が確認されています。
夜間の明るさでアルツハイマー病リスク上昇
メラトニンは、アルツハイマー病の発症と関係の深いアミロイドβタンパク質の除去に関わっているホルモンです。夜間に明るい光を浴びることで、その分泌が減少すれば、認知症リスクが高くなると考えられます。
米国のラッシュ大学メディカルセンターが、アメリカの48州を対象に、夜間の屋外の人工灯とアルツハイマー病との関係を調査した結果、次の事実が明らかになりました。
- 夜間に浴びる光が明るいほど、アルツハイマー病の発症率が高い
- 65歳未満の人は、夜間光の影響を大きく受けやすい
研究者は次のように述べています。
「夜間に光を浴びることは睡眠障害に関連し、
睡眠障害は認知機能障害とアルツハイマー病のリスク上昇に関連しています。また、夜間に明るい光を浴びる行為は、体内時計(概日リズム)を乱し、
体内時計の乱れはアルツハイマー病の発症の前に起こることが多く、
アルツハイマー病のリスク因子である
肥満、糖尿病、うつ病などのリスク上昇に関係しています。マウスを用いた実験では、
夜間の光によって、炎症性サイトカインのインターロイキン(IL-1β)が
脳内で増加することが観察されています。」
認知機能を向上させる睡眠法とは?
英国のカーディフ大学の研究者らは、18歳から35歳までの約90人の健康な被験者に、最初の一週間は就寝時にアイマスクを、次の一週間は小さな穴が開いているアイマスクをして寝てもらい、日々の睡眠パターンを睡眠日記に記録してもらいました。
そして、各一週間の6日目と7日目に、3種類の認知テストを行いました。
記憶力
ひとつめのテストでは、「対連合学習」が行われました。関連する単語のペアを記憶し、ペアの片一方を見て、もう一方を答える形式のテストです。
結果、多くの被験者において、穴が開いていないアイマスクで一週間過ごした時の方が、成績が良かったことが報告されています。
ほんの小さな穴から洩れ入る光の有無ですら、記憶力に違いが生じるというのは驚きです。
反応速度・注意力
2つめは、「精神運動覚醒テスト」が行われました。画面に数字が表示されたらクリックするものです。反応時間、ミスクリック、反応遅延などを計測して、疲労感や注意力の変化を客観的に評価するために用いられるテストです。
このテストにおいても、穴が開いていないアイマスクをした時の方が、作業の反応速度が向上したことが報告されています。
約35人の参加者を対象とした2回目の実験でも、穴の開いていないアイマスクを着用して就寝すると、エピソード記憶の定着と注意力が向上することが示されています。
ここでも、ほんの小さな穴から洩れ入る光の有無で、注意力や反応速度に違いが生じるということにも驚きです。
運動技能
3つめは、「運動技能学習テスト」が行われました。5桁の数字の列を正しい順序でタップしていくものです。このテストでは、パフォーマンスに差はみられませんでした。
睡眠の質
また、各参加者が記録した睡眠日記からは、2つのアイマスクと睡眠量や睡眠の質との間に有意な関係性はみられませんでした。
約35人の参加者を対象とした2回目の実験では、研究者らはヘッドバンド装置を用いて睡眠の質の客観的なモニタリングを実施しました。結果、アイマスクの穴の有無によって睡眠サイクルは変化しないことが確認されました。
完全に光をシャットアウトして眠っても眠らなくても、計測できる睡眠の質には大きな変化は起きないようですが、にもかかわらず、記憶力と反応速度?瞬発力?注意力?が向上するというのは不思議ですね。脳には、まだ、科学で計測できない働きがあるということのようです。
研究者が勧めるライフスタイル
大切なことは、
「昼間は自然光を浴びて、夕方になったら暗い場所で過ごす」
ことだと研究者は言います。
日中は、蛍光灯の光の下ではなく、できるだけ自然光の下で過ごすことを勧めています。
夜の睡眠の質が、寝室の明るさから影響を受けることは想像しやすいですが、昼間、自然光を浴びることが認知機能に関係していることに意外性を感じた人は少なくないのではないでしょうか。
自然光が入らない都会のオフィスで働いている人は、お昼休みや休憩時間に散歩に出かけたり、ランチを買いに出たり、できるだけ自然光に接する時間を作るようにしてみましょう。
そして、夕方になったら、電子機器の画面を夜間モードにして、テレビ画面も明るさを落として観るようにしましょう。そして、リビングの照明は、白色よりは黄色い暖色系の光に変更するのがお勧めです。本などを読む時には、手元だけに光をあてるようにすると良いですね。
記憶力と注意力などの認知機能/脳機能を高める睡眠
総合すると、記憶力と注意力などの認知機能/脳機能を高める睡眠とは、次の方法がお勧めと言えそうです。
- 就寝時間の数時間前から、電子デバイスの画面を見ない(あるいは夜間モードに設定する)
- 外から街灯の光が漏れ入って来ないようにカーテンを閉める
- ランプ等の光が見えない位置へ電気機器(目覚まし時計や加湿器など)を移動させる(あるいは覆い隠す)
- 常夜灯(オレンジ色の小玉電球)を消して寝室を真っ暗にして眠る
もしさまざまな理由で、寝室を真っ暗にできなければ、アイマスクを着用しましょう。最も簡単で安価な方法ではないでしょうか。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
夜中に目が覚めてしまったら
夜中に目が覚めてしまってもスマホで時間を確認しないことです。ブルーライトで本格的に目が覚めてしまいます。昔ながらの夜光性の目覚まし時計で確認しましょう。
夜中におトイレに行くような時は、部屋や廊下の電気は点けないままで行くのがお勧めです。もし足元が心配なら、人感センサーを活用することをお勧めします。
できるだけ光を目にしないようにすることで、再入眠がスムーズになりますよ。
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献
- “Light Me up? Why, When, and How Much Light We Need”, Céline Vetter, Andrew J. K. Phillips, and Gena Glickman, Volume 34, Issue 6, Journal of Biological Rhythms, Society for Research on Biological Rhythms, First published online December 8, 2019, https://doi.org/10.1177/0748730419892111
- “Melatonin is required for the circadian regulation of sleep”, Avni V. Gandhi, Eric Mosser, Grigorios Oikonomou, and David A. Prober, Neuron. 2015 Mar 18; 85(6): 1193–1199, doi: 10.1016/j.neuron.2015.02.016, PMCID: PMC4851458, NIHMSID: NIHMS664441, PMID: 25754820
- “Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness”, Anne-Marie Chang, Daniel Aeschbach, Jeanne F Duffy, Charles A Czeisler, Proc Natl Acad Sci U S A, 2015 Jan 27;112(4):1232-7, doi: 10.1073/pnas.1418490112. Epub 2014 Dec 22, PMID: 25535358, PMCID: PMC4313820
- “Let there be no light: the effect of bedside light on sleep quality and background electroencephalographic rhythms”, Jounhong Ryan Cho, Eun Yeon Joo, Dae Lim Koo, Seung Bong Hong, Sleep Med, 2013 Dec;14(12):1422-5. doi: 10.1016/j.sleep.2013.09.007. Epub 2013 Oct 16, PMID: 24210607
- “Bedroom Light Exposure at Night and the Incidence of Depressive Symptoms: A Longitudinal Study of the HEIJO-KYO Cohort”, Kenji Obayashi, Keigo Saeki, Norio Kurumatani, Am J Epidemiol, 2018 Mar 1;187(3):427-434. doi: 10.1093/aje/kwx290, PMID: 28992236
- 「光害でアルツハイマー病リスク上昇」、太田敦子、2024年9月11日、メディカル・トリビューン
- “Outdoor nighttime light exposure (light pollution) is associated with Alzheimer’s disease”, Robin M., Robin M., Bichun Ouyang, Ali Keshavarzian, Front. Neurosci., 06 September 2024, Sec. Neurodegeneration, Volume 18 – 2024 | https://doi.org/10.3389/fnins.2024.1378498
- “Wearing an eye mask during overnight sleep improves episodic learning and alertness”, Viviana Greco, Damiana Bergamo, Paola Cuoccio, Karen R Konkoly, Kike Muñoz Lombardo, Penelope A Lewis, Sleep, Volume 46, Issue 3, March 2023, zsac305, https://doi.org/10.1093/sleep/zsac305, 15 December 2022
- “Maximizing Sensitivity of the Psychomotor Vigilance Test (PVT) to Sleep Loss”, Mathias Basner, MD, PhD, MSc and David F. Dinges, PhD, Sleep. 2011 May 1; 34(5): 581–591, 2011 May 1, doi: 10.1093/sleep/34.5.581, PMCID: PMC3079937, PMID: 21532951
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング