
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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新型コロナウイルス感染後疲労症候群
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)は、何十年も前に感染したウイルスが体内に潜伏していることで起こる疲労感や過呼吸です。
ウイルス感染後疲労症候群の詳細については、『新型コロナウイルスだけが原因ではない、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)ってご存知ですか?』をご覧ください。
新型コロナウイルスもこうした感染後の不調を引き起こすことが判っています。新型コロナウイルスによって引き起こされたウイルス感染後疲労症候群(PVFS)は、ロングホーラー(長距離運送)症候群と呼ばれています。
今回、最初にウイルス感染後疲労症候群(PVFS)についてふれたのは、その症状が左心室肥大と似ているからです。
左心室肥大
心臓の肥大は、心筋の内側の壁が徐々に厚くなる病気です。厚くなった心筋は収縮力が低下して、やがて心不全を起こします。
心臓は、図のように4つの部屋に分かれています。

- 右心房
- 右心室
- 左心房
- 左心室
このうち左心室で起こるのが、左心室肥大です。
どの部屋でも肥大は起こり得ますが、左心室で起こることがほとんどです。そして、左心室の肥大で最も多い原因は高血圧です。他にも心臓弁膜症や肥大型心筋症などが原因となります。
高い血圧によって心筋が厚くなるのです。腕の筋肉も圧をかけて運動すると大きくなりますよね。それと同じです。
左心室肥大の症状
- 呼吸困難
- 倦怠感
- 胸痛
- 運動不耐症
- 胸の鼓動
- めまい
- 失神
- 弱点
左心室肥大とPVFSの症状は非常によく似ていますが同じではありません。上記のような症状がある場合、まずは、循環器(心臓血管系)や腎臓に問題がないか検査をしてもらってください。
今回は、循環器の病気とその前兆、例えば、高血圧や高脂血症(高コレステロール)や動脈硬化を改善して、心臓を守ってくれることが期待されている食品とハーブについてお伝えします。
(裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしています)
心臓保護作用が期待される食品
1. ブドウジュース

2020年9月に『PloS One』に掲載されたマウスを使った研究ですが、ブドウジュースが左心室肥大と高血圧の予防になる可能性が示されました。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)受容体遺伝子を欠損させたマウスを高脂肪食で飼育し、脂質異常症、インスリン抵抗性、左心室肥大を起こさせ、ブドウジュースの効果を評価しています。
30匹のオスのマウス(3か月齢)を3つのグループに分け、それぞれ次の食事を与えています。
- 高脂肪食
- 高脂肪食+体重1kg当たり1日2gのブドウジュース
- 高脂肪食+体重1kg当たり1日20mgのシンバスタチン
註:シンバスタチン|高コレステロール血症治療薬のひとつ。日本の商品名「リポバス」
60日後、ブドウジュースを与えたグループは、シンバスタチンを与えたグループと同様の結果を示したことが報告されています。
- 脂質異常症とインスリン抵抗性が低下
- 善玉コレステロール(HDLコレステロール)が大幅に上昇
- MP-2とMMP-9の発現が低下
- CRPの血清レベルが低下
したそうです。
註:
MMP-2|心筋酸化ストレスを助長する
MMP-9|コラーゲンIV型およびV型を分解する
CRP|C反応性蛋白。体のなかで炎症が起きているときに血液中で上昇するタンパク質
ブドウジュースのフェノール化合物の抗酸化力によって、善玉コレステロールが増加し、左心室肥大と動脈性高血圧の発症が抑制されたと考えられるとのことです。
研究者は、ブドウジュースには、シンバスタチンと同様に心臓を保護する効果をもっていることが期待でき、心疾患予防のための機能性食品としての可能性を示唆しています。
聖ヒルデガルトの心臓病の薬
上記の研究論文を読んでいて思い出したのが、聖ヒルデガルトの心臓病の薬のレシピです。パセリとハチミツと赤ワインで作ります。

材料
- 赤ワイン 5カップ
- パセリ 8-10本
- 赤ワインビネガー 大さじ2杯
- ハチミツ 3/4カップ
作り方
- ハチミツ以外を鍋で5分沸騰させずに煮る
- ハチミツを加えて更に5分煮る
- アクとパセリを除いて冷やし、毎日30cc飲む
彼女はブドウジュースそのものではなく、それを発酵させた赤ワインを使っていますが、中世を生きた彼女が赤ブドウが心臓病に効くことをなぜ知っていたのか不思議です。やっぱり伝統医療、あなどれないですね。
上記の研究は火を加えない生のジュースによるものなので、このヒルデガルトのレシピが心臓病に実際に効くかどうかわかりませんが、思い出したのでご紹介してみました。
このレシピを教えてくださったドイツ料理の野田シェフのレストランで開催される聖ヒルデガルトのお食事会については、『欧州代替医療の母、聖女ヒルデガルトのハーブ料理を体験』、『聖ヒルデガルトのイースターお食事会』をご覧ください。
2. グレープシードエキス

ブドウジュースではなく、グレープシードエキスを用いた研究ですが、ヒトを対象としたランダム比較による臨床研究のうち、収縮期/拡張期血圧(上の血圧/下の血圧)の変化に及ぼす影響を体系的にメタ分析によって評価した論文がありました。
研究者は、対象となる研究が少ないため、更なる大規模な研究が必要ではあるが、グレープシードエキスには、血圧を有意に低下させる作用があり、代謝障害(メタボリック症候群)の患者においても有意な効果があることが示されていると述べています。
もちろん、直ちにブドウジュースやシードエキスが医薬品や医療行為の代わりになるとは現時点では言えません。
でも、左心室肥大の治療に用いられる薬には、しばしば副作用を伴うものが多いです。
統合食養学のヘルスコーチとしては、健康診断で高脂血症や高血圧を指摘された人など、循環器に不安がある人が、日常的に取り入れられる予防法として、これらの研究はとても魅力的に思われます。
毎日ブドウジュースを1杯飲むことに副作用はありませんし、美味しく楽しく続けられるのではないでしょうか。
そしてもし本当に効果が表れたなら、薬の量を減らせるかもしれませんよね。
研究で用いられたブドウの種類は?

今回ご紹介した研究で用いられたブドウは、ラブルスカ種のブドウで、北アメリカ大陸東部からカナダ南東部に自生しているブドウです。栽培品種としては、「コンコード」が有名です。
特有のにおいがあることから、フォックス・グレープ(キツネのブドウ)とも呼ばれます。
日本には明治初期に入ってきたようですが、栽培は長野県だけで行われているようです。ほとんどがジュースやワインやジャムに加工されるために栽培されているそうで、生で市場に出回ることは稀とのことです。
9月いっぱいにかけて、長野県で収穫されるそうです。
有機栽培コンコードのブドウジュース

日本では無農薬や有機栽培されたブドウを探すのは難しいため、長野県でコンコード種が栽培されていたとしても、オーガニックである保証はありません。
だからこの記事を書いていて、無農薬のコンコードのブドウジュースってどこで買えるんだろうと考えていました。するとあら不思議!
自然栽培のそらさんの取り扱い商品の中にあるではありませんか!(笑)
求めよ、さらば与えられん
長野県産ではありませんが長野県の株式会社アルプスさんが販売しています。100%コンコード、しかも有機栽培(実質、無農薬栽培)のストレートジュースです。
余談:以前にも記事を書いていて、日本にあるのかしら?と思っていたら、その食品が目の前に現れたということがあります。『聖書に「薬になる」と書かれているおーリーブの葉がコロナウイルス予防になるかもしれません』をご覧ください。
ブドウ以外にも左心室肥大に効果があることが報告されている食品があります。
3. 豆乳

悪玉コレステロール受容体遺伝子を欠損させた脂質異常症のマウスを用いた研究ですが、アテローム性動脈硬化と左心室肥大に対して、シンバスタチンと豆乳のどちらが効果があるかを比較しています。
43月齢のオスのマウスを4つのグループに分け、それぞれに次の食事を与えます。
- 標準食
- 高脂肪食
- 高脂肪食+豆乳
- 高脂肪食+シンバスタチン
60日後、豆乳とシンバスタチンを与えられたグループの
- 脂質異常症
- アテローム性動脈硬化病変の進行、および
- 左心室肥大
が抑制されたことが報告されています。更に、
- 豆乳は、善玉コレステロールが減少してしまうことを防ぎ、中性脂肪とVLDLコレステロールの抑制に効果を示し
- シンバスタチンは、大動脈の総コレステロール、悪玉コレステロール、およびスーパーオキシドの産生、ならびに腫瘍サイトカインの増加を防ぐのにより効果を示した
とのことです。
註:VLDL(超低比重リポたんぱく)| 肝臓で合成された脂質(半分以上が中性脂肪)を、全身の末梢組織まで運ぶ。
研究者は、豆乳にはシンバスタチンに匹敵する効果が期待できると述べています。
4.インドネシアの薬草

インドネシアでは、ゴツコラ、スズムシ花、チガヤを一緒に煎じたものが、高血圧薬として有効であることが知られているそうですが、その効果を2017年、検証した研究がありました。
- ゴツコラ(Centella asiatica、和名:ツボクサ、生薬名:積雪草)|欧米ではスピリチュアルなハーブとして精神/心の薬として、日本では、解毒、止血、利尿薬
- スズムシ花(Justicia gendarussa)
- チガヤ(Imperata cylindrica、通称:コゴングラス、生薬名:ボウコン・茅根)|利尿薬、消炎薬、止血薬
これらのハーブを組み合わせた煎じ薬を「CJID」と呼ぶそうです。

高血圧を原因とする左心室肥大は、酸化ストレスから大きく影響を受けることから、酸化ストレスと関係する心臓NADPHオキシダーゼ(NOX)経路(NOX1、NOX2、NOX4)を「CJID」が阻害できるかを検証しています。
40週齢の高血圧マウスと正常血圧のマウスは、それぞれ、煎じ薬を与えられるグループと与えられないグループの2つに分けられます。
5週間後、高血圧グループのうち煎じ薬を与えられたグループで、
- 上の血圧と心拍数が有意に減少
- 左心室の形態と機能が大幅に改善
- マロンジアルデヒドを減少させ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を活性化
- 心臓スーパーオキシド(超酸化物)と過酸化水素の発生が減少
したことが報告されています。
- マロンジアルデヒド|脂質過酸化分解生成物の一つ。脂質過酸化の主要なマーカー
- スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)|抗酸化物質
研究者は、煎じ薬がNOX経路を阻害し、活性酸素の生成を減らすことによって、高血圧を原因とする左心室肥大を抑制したと述べています。
これはマウスを使った研究であり、ヒトにおける効果を検証したものではありませんが、伝統的に用いられてきた煎じ薬に実際の効果がある可能性を示したものだと思います。
繰り返しになりますが、ブドウジュースや豆乳、そしてCJIDハーブティを飲むことで、高血圧や心室肥大が治るとは現段階では言えません。
でも、こうした食品は、生活の中に取り入れやすく、万が一にも症状の予防や改善が期待でき、薬を減らすことにつながるのであれば、執り入れない理由はないですよね?
高血圧、高脂血症、動脈硬化、心室肥大と診断された人は、是非、これらの食品を習慣にしてみてくださいね。
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参考文献
- 『[91] 心臓が大きいと言われたら』、循環器病情報サービス、国立循環器研究センター
- “Grape juice attenuates left ventricular hypertrophy in dyslipidemic mice”, Martins ÂM, Silva Sarto DAQ, Caproni KdP, Silva J, Silva J, Souza PS, et al. September 3, 2020, PLoS ONE 15(9): e0238163. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0238163
- “The impact of grape seed extract treatment on blood pressure changes. A meta-analysis of 16 randomized controlled trials”, Haili Zhang, MM, Shuang Liu, MM, and Geng Tian, MD, PhD
- “Soy milk versus simvastatin for preventing atherosclerosis and left ventricle remodeling in LDL receptor knockout mice”, L Santos, A P Davel, T I R Almeida, M R Almeida, E A Soares, G J M Fernandes, S F Magalhães, V G Barauna, J A D Garcia, Braz J Med Biol Res, . 2017 Feb 20;50(3):e5854. doi: 10.1590/1414-431X20165854, PMID: 28225891 PMCID: PMC5333721
- “Indonesian herbal medicine prevents hypertension-induced left ventricular hypertrophy by diminishing NADPH oxidase-dependent oxidative stress”, Erna Sulistyowati, Jong-Hau Hsu, Yuan-Bin Cheng, Fang-Rong Chang, Ying-Fu Chen, Jwu-Lai Yeh, Oncotarget, 2017 Sep 30; 8(49):86784-86798. doi: 10.18632/oncotarget.21424, PMID: 29156835 PMCID: PMC5689725
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング