
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
コロナ後遺症
新型コロナウイルスに感染すると、回復した後も次の様な臓器に影響が残ることが問題視されています。
- 心臓
- 神経系
- 血管
- 肺
- ミトコンドリア
症状は200以上もあって、重症度は様々です。急性感染後12週間以上経っても症状が残っている場合に後遺症と診断されることが多いようです。発症後79日後においても、症状がひとつも残っていないと回答した人はたったの1%未満だそうです。
こうした後遺症は、通称で「Long COVID(ロング・コヴィッド)」と呼ばれています。
2021年3月4日に発表された調査論文によれば、集中治療室での治療を受けた新型コロナウイルス感染者のICUサバイバーに顕著なLong COVID(コロナ後遺症)は、次の複合要因によって起こるとのことでした。
- 直接的な肺傷害による肺機能障害
- 集中治療後症候群(PICS: post intensive care syndrome)
- ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)
それに加え、2022年5月11日に『ネイチャー』誌に発表された論文によれば、後遺症を発症した患者の腸内にウイルスの断片が残存していることを発見し、腸内の免疫B細胞が進化を続けながら過活動状態が続いていることを報告しています。
そしてコロナ後遺症が起こる原因には、過剰な免疫反応、それによる血栓、ウイルスの断片(ウイルスリザーバー)の残存などが考えられるとしています。研究者は「ウイルスの亡霊」と呼んでいます。
(裏付けとなる研究論文を最後に参考文献として一覧にしています)
ウイルス後遺症はコロナだけではない
長い人生、誰しも1度や2度やそれ以上、疲れたな~と、感じたことはありますよね?
一般的に私達が「疲れたなぁ~」と感じることの原因は、
- 睡眠不足
- 人間関係のストレス
- 仕事のストレス
- 運動などによる肉体疲労
などです。
他にも、塩酸ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン剤)配合の アレルギー症状緩和薬(ドリエルなど)を服用した後などに起きる
- 薬物誘発性疲労
なんてのもあります。
でも、これらの「疲れ」は、みな一時的なもので、何かの病気によって起こっているものではありません。
今回、読んでいただきたいのは、日常生活の妨げになるほどの、あるいは、人生を楽しむことの妨げになるほどの慢性的な、あるいは定期的に起きる疲れについてです。

- ピラティスを始めたら、15分も経たずに息切れがしたり、めまいが起きて、心臓がバクバクしだした。
- 今までは平気だった3kmのジョギングなのに、久しぶりに走ろうとしたら息が苦しくなって、休憩しないと走り切れず、帰宅後は、疲れ切ってしまいずっと横になっていた。
- 駅の階段を上ろうとして、途中で息切れがして登り切れず、階段の途中で座り込んでしまった。
- 片付けないといけない用事だったが、あまりに疲れていたため予定変更するしかなかった。
- 駐車場からスーパーの入口まで歩いただけなのに疲れてしまい、しばらくベンチで休憩しないと買い物ができなかった。
こうした状態は、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)と呼ばれる病気である可能性があります。
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)とは
ICD-10(International Classification of Disease|国際疾病分類のこと)に掲載されている本物の病気です。
例えば、10年~30年以上前であっても、何かのウイルス性の感染症にかかったことがある場合、そのウイルスがまだ体内に潜んでいることによって、引き起こされる何等かの不調を指します。
潜伏ウイルスによって引き起こされる病気や不調をウイルス感染後疲労症候群(PVFS)と呼びます。冒頭ご紹介した研究は、潜伏ウイルスではなく、ウイルスの断片(ウイルスリザーバー)と呼んでいましたね。
主だった症状が治ってしまうと、まさか、まだウイルスが体内に潜んでいるかもしれないとは多くの人が思わないため、また、潜伏ウイルスは検査によっても見つけられないことも多いため、見過ごされやすい病気です。
ウイルスが体内に潜んでいるケース

水痘帯状疱疹ウイルス|水痘(みずぼうそう)を起こす水痘帯状疱疹ウイルスは、脳と脊髄に永遠に住み着き、後に、帯状疱疹を引き起こすことが判っています。でも帯状疱疹が起きた時(多くは40代以上)、それが5歳の時の水ぼうそうが原因していると考える人は少ないです。
インフルエンザ・ウイルス|インフルエンザにかかったことがある人は、その古いウイルスが再発して毎年、風邪の症状を起こしていることがあります。毎年、別の風邪にかかっていると思っている人がほとんどではないでしょうか。
イギリスの『筋痛性脳脊髄炎協会|Myalgic Encephalopathy Association』が発行したウイルス感染後疲労症候群(PVFS)に関する記事には、もっと多くの症例が掲載されていました。
ヘルペスウイルス|EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)は、唾液に潜んでいるため、回し飲みやキスが原因でうつることが多いため、別名キス病などとも呼ばれますが、過去にこのウイルスに感染したことがある人に起きる倦怠感は、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)の可能性があるとのことです。
ライム病ウイルス|ダニに噛まれてライム病にかかったことのある人に起こる倦怠感もウイルス感染後疲労症候群(PVFS)の可能性があるとのことです。
これらだけではありません。
- 猫にひっかかれることで感染するパルトネラ・ウイルス
- 蚊から感染するウエストナイル・ウイルス
- HIVウイルス
などなど
こうしたウイルスへの感染後に起こる尋常ではない疲労感・倦怠感は、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)である可能性が高いものです。
ウイルス後遺症は他の病気と誤診されやすい

疲労の感じ方は人によって異なることから、医師へ誤解なく伝えることが難しい症状のひとつです。ひどい疲労感や倦怠感があると伝えると、大抵、甲状腺機能低下症かうつ病が疑われてしまいます。
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)による疲労感(エネルギーの枯渇)は、それらの病気とは異なる仕組みによって起こります。
甲状腺機能低下症については『甲状腺機能低下症|(1)こんな症状ありませんか?検査の見方と間違えられやすい病気』をご覧ください。
ミトコンドリアの損傷
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)による疲労は、ウイルス感染によって細胞内のミトコンドリアが弱体化することにより、ATP(エネルギーの源)を体内で作ることができなくなってしまうことで起こります。
多くの場合ウイルス感染は呼吸に影響を与える
私達は無意識のうちに呼吸をしているため、呼吸を意識することは稀です。でもウイルスは、私の呼吸パターンを永久的に変えてしまう力をもっています。
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)は、過呼吸や息切れなどの症状として現れることが多いです。
そのため、次の病気と診断されてしまうことが多いのです。
- CFS(慢性疲労症候群)
- CFIDS(慢性疲労免疫機能不全)あるいは
- ME(筋痛性脳脊髄炎)
一方で、激しい呼吸は、心疾患や腎臓病と関係していることが多く、例えば、腎不全があると肺に水が溜まってしまうので、息切れが起きます。過呼吸や息切れが、腎機能や循環器による症状ではないことを検査してもらうことが重要です。
腸内細菌へのダメージ
ウイルスの多くは呼吸器に損傷を与えることが多いですが、今回の新しい研究によって、腸内環境にダメージを残していることが発見されました。
腸内細菌は免疫細胞と協働し、私達の様々な生理機能の正常な活動に関与しています。エネルギー代謝やビタミンやホルモンの産生も担っています。
そのため、ひどい下痢や便秘、情緒不安、女性ホルモンの乱れによる様々な不調、原因不明の肥満など、多方面に渡って症状を起こしている可能性があります。
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)による「息切れ」と「倦怠感」の仕組み

症状を改善する方法を理解するためには、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)による息切れと倦怠感が、血中への過剰な酸素と二酸化炭素の枯渇に起因していることを理解する必要があります。
言うまでもなく、息を吸うと体内に酸素が取り込まれ、吐くと二酸化炭素が排出されます。
体を動かすと、1分あたりの呼吸は、普段よりも早くなります。酸素と二酸化炭素の交換が迅速になり、血流中の二酸化炭素の濃度が下がります。でも、健康な人は恒常性を維持する機能をもっているので問題を感じません。
しかしウイルス感染後疲労症候群(PVFS)を起こしている人にとって、このプロセスが気分を悪くさせます。
呼吸性アルカローシス
「呼吸性アルカローシス」と呼ばれるものですが、通常pH7.35~7.45(弱アルカリ性)の血液のpH値が、僅かに上昇し(アルカリ性が強くなり)、血液中の二酸化炭素の濃度が下がります。
そして、過剰な酸素の取り込みによって過酸化水素(炎症性の酸化物質)が増加します。更に、過呼吸下では血中の酸素は、ヘモグロビンとより強く結合するようになり、脳へ運ばれる酸素の量が減ります。
そのため、次のような症状が起こります。(喘息によっても同じような症状が起きます。)
- 頭がぼーとする
- めまい
- 虚弱
- 困惑
- 動悸
- 胸の痛み
- 手足の指や唇のしびれ
- 筋肉痛や脚のつり
- 睡眠困難
- 頻繁なあくび
- げっぷ
- 不安症
- 喉の渇き
更に更に、過呼吸は、ATP(エネルギーの源)を作るために必要なリンとマグネシウムを細胞内から枯渇させます。ATPが減少することで、筋肉は疲れやすくなり倦怠感が生じ、更なる息切れが起きます。
ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)による息切れへの対処法

過呼吸あるいは息切れが起きた時
マスクをしたままゆっくりと息を吐きます。マスクをしていない場合には、手で口を覆ってやりましょう。5秒間息を吸い、5秒間息を吐きます。
- 片方の鼻の穴をふさいで、鼻で呼吸します。
- 口をすぼめて、口呼吸します。
- 腹式呼吸をします。
- 5〜10秒間、息を止めます。
過呼吸や息切れ・倦怠感の予防と緩和
ご自分がウイルス感染後疲労症候群(PVFS)であるかもしれないと思われる方は、それによる過呼吸や倦怠感を緩和するために
- 腹式呼吸法を学ぶ
- 口呼吸ではなく、鼻呼吸をする
- 適度な運動をする(適切な筋肉量を保つ)
- 適度な日光浴をする(1日15分)
- 免疫機能をサポートする食事を取り入れる
などの習慣を身につけることをお勧めします。
免疫機能をサポートする食事
腸内環境を整える

統合食養学に則った免疫力アップの食事やボディーエコロジーのアプローチについては、マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターで学ぶことができます。
魚、卵、キノコ類

これらの食品は、呼吸性アルカローシスによって失われるビタミンDを補ってくれます。
詳しくは『ほぼ全ての細胞が必要とするビタミンDはほぼ全ての機能と関係している』をご参照ください。
海藻、山菜

過呼吸によって失られるマグネシウムを補ってくれる食品です。
ナッツ&シーズ、オリーブ、アボカド

ビタミンEは抗酸化ビタミンです。過呼吸によって増加する過酸化水素を中和してくれます。
イチョウの葉茶

イチョウには強力な抗酸化作用があり、動脈血管拡張を誘発して脳により多くの酸素をもたらします。
この作用のため、欧米では「山岳病」または「高山病」予防のため、登山を趣味にされる人達に愛飲されているお茶です。
コーヒーを控える
コーヒーはミネラルの吸収を阻害してしまうので、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)の人は止めた方が良いでしょう。
サプリメント
統合食養学のヘルスコーチとしては、原則的にはサプリメントを勧めることはしません。しかし病気による症状改善のため、食事から摂ることの難しい成分をサプリメントから摂取することは勧めます。
以下の成分の摂取については医師にご相談してからにしてくださいね。
- カタラーゼ|過酸化水素を酸素と水に分解し中和する作用のある物質です。カタラーゼの有用性が報告されています。(体内でカタラーゼを増やす食事については『唾液にも含まれている抗酸化酵素カタラーゼを体内でたくさん作った方が良い理由と作り方』をご参照ください。)
- N-アセチルシステイン|1日2回600mg(ただし医師に相談のこと)
- S.O.D(スーパーオキシドジスムターゼ)|過酸化水素を中和します
- ATP|サプリメントとして摂ることもできます
- TMG(トリメチルグリシン)|低用量(約500 mg)から試すことをお勧めします。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

もしあなたの疲労感や呼吸に関する問題について、今回ご紹介したことに心当たりがあれば、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)の可能性を考えてみても良いのではないかと思います。
また既にコロナウイルスに感染し、その後、疲労感や呼吸に困難を感じているのでしたら、それは確実にウイルス感染後疲労症候群(PVFS)です。
医師に相談の上、適切な治療が行われることが望ましいですが、それと並行して、ご自宅でできる食事による症状の緩和へのサポート情報となれば嬉しいです。
私達は食べたものでできています。
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参考文献
- “Post-viral fatigue (PVF) and Post-viral fatigue syndrome (PVFS) following coronavirus infection”, MEA INFORMATION, May 2020
- “Oligodendroglial cell death induced by oxygen radicals and its protection by catalase”, Y. S. Kim Dr. Seung U. Kim First published: May 1991, https://doi.org/10.1002/jnr.490290111
- “Restoration of cerebrovascular responsiveness to hyperventilation by the oxygen radical scavenger n-acetylcysteine following experimental traumatic brain injury”, E F Ellis, L Y Dodson, R J Police, Nov 1991, 10.3171/jns.1991.75.5.0774
- “N-acetylcysteine as powerful molecule to destroy bacterial biofilms. A systematic review”, S Dinicola, S De Grazia, G Carlomagno, J P Pintucci, Eur Rev Med Pharmacol Sci, 2014 Oct;18(19):2942-8, PMID: 25339490
- “Respiratory alkalosis may impair the production of vitamin D and lead to significant morbidity, including the fibromyalgia syndrome”, John M Lewis, Toinette H Fontrier, J Lynn Coley, Med Hypotheses, 2017 May;102:99-101. doi: 10.1016/j.mehy.2017.03.013. Epub 2017 Mar 8, PMID: 28478843
- “PULMONARY FUNCTION AND RADIOLOGICAL FEATURES IN SURVIVORS OF CRITICAL COVID-19: A 3-MONTH PROSPECTIVE COHORT“, Jessica González, Iván D Benítez, Paola Carmona, Sally Santisteve, Aida Monge, Anna Moncusí-Moix, Clara Gort-Paniello, Lucía Pinilla, Amara Carratalá, María Zuil, Ricard Ferrer, Adrián Ceccato, Laia Fernández, Ana Motos, Jordi Riera, Rosario Menéndez, Dario Garcia-Gasulla, Oscar Peñuelas, Jesús F Bermejo-Martin, Gonzalo Labarca, Jesus Caballero, Gerard Torres, David de Gonzalo-Calvo, Antoni Torres, Ferran Barbé, CIBERESUCICOVID Project (COV20/00110, ISCIII), Chest, 2021 Mar 4;S0012-3692(21)00464-5. doi: 10.1016/j.chest.2021.02.062, PMID: 33676998 PMCID: PMC7930807
- “Coronavirus ‘ghosts’ found lingering in the gut”, Heidi Ledford, 11 May 2022, Nature NEWS
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング