バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
死因の1位は大腸がん&自閉症児は10倍
大腸がんは日本人女性の死因No.1
個人的にも近年、炎症性の腸疾患をもっている人が増えている印象があります。
また、そこまで悪くなくても、頑固な便秘や突発性の下痢を抱えている人が多いという実感がヘルスコーチングを通してあります。
なによりも、大腸がんは日本人女性の死因の第1位ですし、男女合わせた罹患数でも大腸がんは1位です。
自閉症児は10年で10倍に
そして、ここ数年、自閉症をもった子供が増加傾向にあるように感じています。
実際、「発達障害支援チャンネル」に掲載されていた、文部科学省による「令和元年度 通級による指導実施状況調査結果について」に基づく統計によれば、2009年から2019年の10年間で、日本で自閉症と診断された子供の数が10倍になったことが示されています。
そんな中、サイエンス誌『ネイチャー・メディシン』に、自閉症と腸疾患との関係に関する調査概要(リサーチブリーフィング)が掲載されていました。
これからお子さんを妊娠する予定のある人達への参考になればと、和訳要約することにしました。
元の研究論文などは最後に参考文献として一覧にしています。
調査概要
クローン病や潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患(以下、IBD)は、次の様な症状と関係の深い慢性の自己免疫疾患です。
- 免疫調節不全
- 腸内細菌叢の変容
- ミクロ栄養素の吸収不良
- 貧血など
近年、IBDをもつ親の特徴と子の自閉症スペクトラム障害(多因子病因の神経発達障害)発症との関連性を示唆する証拠が増加傾向にあります。
この関連性を解明することで、自閉症の起源に関する重要な洞察が得られると研究者は考え、4つの相互補完的な分析アプローチを活用し、表現型と遺伝子型のデータから因果関係の推論(三角測量)を試みています。
三角測量|因果関係の推論を向上させるために、根本的に同じ研究課題の文脈内で、信頼性に補完効果のある、無関係な異なるバイアス源を持つ2つ以上のアプローチを用いる方法
調査の詳細
スウェーデンのデータを用いた分析
スウェーデンで行われた全国民を対象としたコホート研究から200 万組を超える親子の診断データを用いて親のIBDと子の自閉症との関連性を分析しています。
ベースとなるデータが大規模であることから、分析結果に選択バイアスが起こる可能性が低く、統計的な有意性が保証されています。しかし、診察によるデータであるため、IBDと自閉症の誤診や誤分類の可能性を排除することはできないと研究者は説明しています。
英国のデータを用いた分析
英国で行われた全国民を対象とした多遺伝因子リスク・スコア分析(ALSPAC)のデータを基に、IBDの診断に関係なく、多遺伝因子リスク・スコア分析によって、母親の遺伝的要因が子の自閉症と関連しているかどうかを調査しています。
ちなみに、今回の多遺伝因子リスク・スコア分析では、多層遺伝(他の独立した経路を介して結果に影響を与える一般的な遺伝的変異)の潜在的な影響は検出されていません。
ゲノム全領域関連解析 (GWAS) の要約統計データ分析
多面的な遺伝子変異の影響を評価するために、ゲノム全領域関連解析 (GWAS) の要約統計データを用いて、次の2つの分析が行われています。
- メンデルランダム化分析|自閉症に対する IBD の遺伝的な因果関係の分析
- 連鎖不均衡スコアの回帰分析|IBDと自閉症の遺伝的な相関関係の分析
補足
- ゲノム全領域関連解析 (GWAS)|ヒトゲノム全体を網羅する一塩基多型(SNP)について,数百万〜1千万カ所程度の遺伝子型を次世代シークエンサーなどを用いて決定し,SNP頻度と特定の疾患発症頻度などを統計的に解析する研究
- メンデル・ランダム化分析|遺伝子多型は環境要因の影響を受けずに無作為に子孫に配分されるという「メンデルの独立の法則」に従い、遺伝子多型を用いてランダム化する分析法。統計学的な因果推論の枠組みを利用して、観察研究に用いるデータから因果推論を可能にする方法
- 連鎖不平衡分析|ある集団の中で、複数の対立遺伝子や遺伝的マーカーの間にランダムではない相関(特定の組合せの頻度が有意に高い現象)が見られる集団遺伝学的な現象の分析
分析によって判明した新しい事実
分析の結果、親が炎症性腸疾患(IBD)を発症している、あるいは、IBDに関する遺伝子変異を保有していることが、子の自閉症の発症と関連性があることが示されました。
母親のIBDと子の自閉症は因果関係
4種類の調査分析の結果は次の通りでした。
- 母父双方のIBDと子供の自閉症には関連性がある
- IBDの遺伝子変異を持つ母親の子供の自閉症発症との間には関連性がある
- 子の自閉症と親の潰瘍性大腸炎の遺伝子変異には因果関係がある
しかし、IBDと自閉症との間に遺伝的な相関関係を示唆する証拠は示されませんでした。
つまり、IBDをもっている、あるいは、その遺伝子変異をもっている女性が妊娠すると、生まれた子供は高い確率で自閉症を発症することが判明したのです。
母親のIBDの症状が胎児の脳の発達に影響か
今回の研究は、母親のIBDによって現れる症状(例えば、免疫調節不全、腸内細菌叢の変容、ミクロ栄養素の吸収不良、貧血などの症状)が、子宮内の環境や胎児の脳の発育に影響を与えている可能性を示唆していると研究者は考えています。
今後の研究について
多様な民族のデータ解析の必要性
今回の研究が主にヨーロッパ系の人々のサンプルデータを使用して実施されたことから、この関連性を深く理解するためには、多様な民族のデータを用いた研究が求められると研究者は述べています。
例えば、台湾が行った全国民を対象とするコホート研究では、父親のIBDと子の自閉症との関係が示唆されています。
IBDと自閉症を関連付ける病因の解明
研究者は、今後は、今回発見された因果関係の根底にある、潜在的な病因(メカニズム)を理解することに注力すると述べています。(「なぜ親のIBDが子に自閉症を起こすのか」の解明)
具体的な遺伝的な影響や子宮内の環境にどのように影響を与えているのかを調査する予定とのことです。
メカニズムの詳しい解明は、自閉症を生物学的に理解することに役立ち、自閉症の人々のケアと生活の質の向上に貢献すると研究者は述べています。
この研究成果について、カナダのジェイコブ・ヴォルストマン医師は次の様に述べています。
「 今回報告された、親(主に母親)の IBD と子供の自閉症との間の関連性の中でも、2つの側面が際立っています。第一に、母親の遺伝的要因、おそらく免疫システムに関係している遺伝子が、子宮内の胎児の脳の発達に影響を与えている可能性です。第二に、異なる角度から1つの問題に答えるために独立した分析手法を融合させることの価値をエレガントにやってみせたことです。」
Jacob Vorstman, The Hospital for Sick Children, トロント, オンタリオ、カナダ
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
その原因がライフスタイルや食事、あるいは他の疾患によるものなのか、遺伝子変異によるものなのかに依らず、母親がIBDをもっていると、高い確率で子供が自閉症を発症するという今回の結果は衝撃的です。
近年、腸に課題を抱えている人と自閉症児の両方が増えていることを鑑みると、必ずしもIBDという重篤な疾患でなくとも、母親(あるいは父親)の腸内環境からの影響を胎児が受けている可能性があると考えずにはいられません。
これから父親・母親になろうとしている人は、是非、腸内環境を万全に整えることも妊活に加えていただければと思います。
ソフィアウッズ・インスティテュートでは、今までも腸内環境についていくつか記事を執筆しています。こちらに一覧にしますので、お役に立てていただければ嬉しいです。
- 『炎症性腸疾患(IBD)・壊死性腸炎・大腸がんを予防・改善する腸内細菌と腸粘膜の栄養戦略』
- 『食事中の塩分が腸内細菌と免疫機能に与える影響』
- 『あなたの不調は大腸と小腸のどっちが原因?発酵食品を食べれば良いわけではない大腸と小腸で必要な栄養は違う』
- 『腸内細菌時代の食事と病気を科学的に考える』
- 『何を食べたら良いのでしょうか|炎症性腸疾患(IBD)の新しい食事ガイドライン』
そしてもし、おひとりで取り組むことに不安や心配があるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献
- “Uncovering links between parental inflammatory bowel disease and autism in children”, Research Briefing, 13 July 2022, Nature Medicine volume 28, pages1353–1354
- “Parental inflammatory bowel disease and autism in children”, Aws Sadik, Christina Dardani, Panagiota Pagoni, Alexandra Havdahl, Evie Stergiakouli, The iPSYCH Autism Spectrum Disorder Working Group, Golam M. Khandaker, Sarah A. Sullivan, Stan Zammit, Hannah J. Jones, George Davey Smith, Christina Dalman, Håkan Karlsson, Renee M. Gardner & Dheeraj Rai, 02 June 2022, Nature Medicine volume 28, pages1406–1411 (2022)
- 「最新がん統計」、国立研究開発法人国立がん研究センター
- 「【最新統計】通級に通う発達障害児(自閉症・ADHD・学習障害)の人数」、発達障害支援チャンネル、2021-02-22、更新2022-01-27
- 「Mendelian randomization(メンデル・ランダム化)とは」、2017-12-04、統計学と疫学と時々、助教生活
- “genome-wide association study“、実験医学増刊 Vol.35 No.7
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング