バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
歯肉炎の特徴
約95%の人が一生のうち一回は、何かしら歯周の病気を経験すると言われています。テレビでも30代から歯肉炎が増えると宣伝しているくらい、とてもポピュラーな病気です。
こんな症状ありませんか?
日本臨床歯周病学会による歯肉炎のセルフチェック項目をここに記載します。
- 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
- ブラッシング時に出血する。
- 口臭が気になる。
- 歯肉がむずがゆい、痛い。
- 歯肉が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
- かたい物が噛みにくい。
- 歯が長くなったような気がする。
- 歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる。
虫歯・歯肉炎・歯周病(歯槽膿漏)?
虫歯は、歯そのものが壊されていく病気です。
歯肉炎は、歯を支えている歯肉(はぐき)の炎症です。冒頭でご紹介した症状を放置して、歯肉炎が長期化すると、歯周病(歯槽膿漏)になります。
歯周病は、歯肉炎よりも深刻です。
歯周病は、歯茎(はぐき)や骨が壊されていく病気です。最後には歯が抜け落ちてしまいます。
なんと、40歳以上の日本人の約8割がこの病気に罹っているんだそうです。
歯肉炎の本当の怖さ
歯肉炎は、歯の隙間に住むバクテリア、歯周病菌によって起こされる歯肉の炎症です。
歯周病菌は、歯を抜け落とすだけでなく、次の様な病気に関与していることが近年の研究によって判明しています。
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 心臓病
- 脳卒中
- がん
- 早産や流産
プラークとバイオフィルムの違い
ほとんどの人が、テレビCMなどでプラークとかバイオフィルムという言葉を聞いたことがあると思いますが、この2つ、どう違うか分かりますか?
プラークは、歯垢とも呼ばれますが、バクテリアの塊です。
虫歯菌や歯周病菌だけでなく、善玉菌も含め、口のなかに住んでいる菌の全てがプラークになります。
ネバネバした物質で、歯を覆っているため、バイオフィルムとも呼ばれます。つまりプラークとバイオフィルムは同じものなのです。
食後8時間でプラークになる
私達が食べたものを栄養として、食後8時間くらいでプラークは形成されると言われています。
このバクテリアの塊が増えると、口臭の原因になったり、虫歯や歯周病の原因になったりします。
歯石は歯周病の直接原因ではないが・・
ちなみに、歯石は、プラークが石灰化して歯の表面にくっついたものです。
この時、菌は既に死んでいるので、歯石は直接的には歯周病の原因にはなりません。しかし、歯の表面を凸凹にしてしまうので、プラークがたまりやすくなります。プラークを溜まりやすくさせることで、間接的に歯周病の原因になっているのです。
歯石になってしまったプラークは歯ブラシでは取れません。歯医者さんでクリーニングしてもらう必要があります。
プラークの効果的な落とし方
歯石にさせないように、こまめにプラークを洗い流すことが大切です。
ただ、プラークは水やマウスウォッシュでうがいしただけでは落ちないことが判っています。
ちゃんと歯ブラシを使って歯磨きしないといけません。
効果的な歯磨きの方法を調べた研究がたくさんあり、ほぼみな同様の結論に達していました。
- 歯ブラシだけよりも、マウスウォッシュと一緒に磨いた方がよりプラークを除去できる
- アルコール系と無アルコール系のマウスウォッシュの効果に差はない
- 精油を使ったマウスウォッシュは、市販のマウスウォッシュの殺菌成分(塩化セチルピリジニウムなど)と同等にプラーク除去と歯肉炎を緩和できる
つまり、
歯磨き後
マウスウォッシュは絶対した方が良い
殺菌成分入りと精油の効果はほぼ同等
最後の「精油を使ったマウスウォッシュは、市販のマウスウォッシュの殺菌成分と同等にプラーク除去と歯肉炎を緩和できる」という一文については、研究によって
- 市販の殺菌成分入りのマウスウォッシュほどではないが、有意に効果がある
- 市販の殺菌成分入りのマウスウォッシュよりも効果がある
など、結論には幅がありました。しかし、総じて、精油には十分効果があるということでした。
まとめると
エッセンシャルオイル(精油)のマウスウォッシュも
十分プラーク除去と歯肉炎予防になる
じゃぁどんな精油でもいいのか?
不思議なことに、「Essential Oil」と書かれているどの論文も、なぜか全て、何の精油を使ったのかの記載がありませんでした。複数の論文の本文を確認しましたが、明示されたものをみつけられませんでした。
科学的な論文上、「Essential Oil」という言葉に、何か特定の定義があるのかについても調べてみましたが、特にそういうわけではなさそうです。
じゃぁ、エッセンシャルオイルなら、何でも良いのか?
と、いう疑問が浮かびましたが、いくらなんでも、そういうわけではないだろうと常識的に思いましたし、私自身もなんだか気持ち悪いので、従来から歯肉炎に効果があると言われてきた、自然療法で歯肉炎の改善に使われている食品やハーブに絞って、ひとつひとつ、歯肉炎やプラーク除去について書かれる論文を調べていくことにしました。
ただ、全てを調べることはできないので、現在までに調べた分だけ報告します。今回調べた食品/精油はこちらです。
- クローブ
- ミント
- セージ
- シナモン
- アロエベラ
- ハチミツ
- ニンニク
- ココナッツオイル
- ティーツリー
- レモングラス
- フランキンセンス
- ミルラ
従来の期待通りの結果が報告されているものもあれば、実は効果が無かったと報告されているものもあります。ひとつひとつ以下にご紹介していきます。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
クローブとミント
昔から、歯の痛みには、クローブと言われてきましたが、残念なことに、クローブ、あるいはクローブ精油のみを用いてプラークや歯肉炎の改善を検証した研究論文を見つけることができませんでした。
クローブを用いたヒトを対象とする研究がないことは、『クローブ』でも触れている通りです。
また、ミントフレーバーのデンタル商品が多いものの、ハーブとしてのミントやミントオイルのみを用いての研究も見つけることができませんでした。
なお、ミントのその他のエビデンスベースの機能については『ミント』をご覧ください。
どちらかが成分として配合されている市販のデンタル製品の効果を検証したものはありました。しかし、様々他の成分も入ってしまっている製品ですから、参考にならないので、ここには紹介しません。
セージ
2013年に発表された試験管試験を行った研究論文では、セージ精油の揮発性成分が有意に歯周病菌を抑制したことが報告されています。
2020年1月に発表されたヒトを対象とした研究は、セージの精油で作ったマウスウォッシュとアルコールベースのマウスウォッシュを6週間使用した効果を比較し、残念なことに、歯肉炎の炎症の改善とプラーク除去の両方において、セージ精油には効果がなかったと報告しています。
従来の自然療法では、沸騰したお湯にセージの葉を数枚入れ、10分ほど煮だした液を冷ましてマウスウォッシュとして歯肉炎の治療に用いています。
この方法による検証が行われていないのでなんとも言えませんが、歯肉炎の改善のためには、セージは精油を用いるよりも、従来通り、葉を煎じて使う方が良いのかもしれませんね。
なお、セージの詳しい機能については『セージ』をご覧ください。
シナモン
30日間、次のいずれかの方法でうがいをした効果を比較している研究がありました。
- シナモン精油
- グルコン酸クロルヘキシジン(市販のマウスウォッシュの殺菌成分)
- 浄水
シナモン精油でうがいを続けたグループは、浄水でうがいをしたグループよりも歯肉炎とプラークの改善は見られたものの、統計的に有意であるほどの改善度合いではなかったと報告しています。
なお、シナモンの詳しい機能については『シナモン』をご覧ください。
アロエベラ
2018年2月に行われたメタ分析の結果、アロエベラを使ったマウスウォッシュは、次の様に報告しています。
- 歯肉炎の炎症改善|クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)と同等の効果あり
- プラーク除去|クロルヘキシジンほどの効果はない
アロエベースのマウスウォッシュを使う場合には、やはり、歯ブラシと一緒に使えば大丈夫そうですね。
なお、アロエの詳しい機能については『アロエ』をご確認ください。
ハチミツ
2018年の研究では、次の3つのマウスウォッシュのいずれかを、22日~28日間使用した際の効果を比較しています。
- マヌカハニー
- 生ハチミツ
- クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)
クロルヘキシジンほどではなかったものの、どちらのハチミツも同じくらい統計的有意に歯肉炎の炎症を改善し、プラークを除去したことが報告されています。
ちなみにハチミツは、1回に10ml 使用されています。
ハチミツのオリゴ糖が虫歯を悪化させてしまうのではないかと心配になりますが、大丈夫なんですね。
ニンニク
この研究はマウスウォッシュではなく、次の液体のいずれかを、4か月間飲んだグループを比較しています。
- 熟成したニンニク抽出液
- 偽薬
結果、熟成したニンニク抽出液を飲んでいたグループで、歯肉炎と歯肉出血が50%も減少したとのことです。
自然療法では、ニンニクを1-2片つぶして、次のような方法がとられたりしますが、お好みの方で試してみてくださいね。
- 直接、患部にのせる
- 岩塩と一緒に患部にのせる
ココナッツオイル
2015年の研究は、ココナッツオイルでオイルプリング(マウスウォッシ)を4日間行った効果を、グルコン酸クロルヘキシジン(市販のマウスウォッシュの殺菌成分)と比較しています。
2019年の研究は、ココナッツオイルのオイルプリングを30日間継続した前後を比較しています。
2つの研究共に、ココナッツオイルには、市販のマウスウォッシュの殺菌成分と同等のプラーク除去効果があったことを報告しています。
ティーツリー
2017年の研究では、次のいずれかのマウスウォッシュで、2週間うがいをした結果を比較しています。
- ティーツリー精油
- クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)
- 浄水
結果、ティーツリー精油には、次の効果があったことが報告されています。
- 歯肉炎と歯肉出血|クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)よりも有意に効果あり
- プラークの除去|あまり効果がなかった
同じ実験が歯肉炎に焦点を当て2020年に再現されています。その結果、同様にティーツリー精油が、クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)よりも歯肉炎に対して効果があったことが報告されています。
この結果は、アロエと同じですね。
レモングラス
次のいずれかのマウスウォッシュで、21日間、1日に2回、うがいをしてもらった効果を比較している研究です。
- 0.25%希釈のレモングラス精油
- クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)
結果、レモングラス精油でうがいをしたグループで、プラークと歯肉炎がクロルヘキシジンよりも有意に改善したことが報告されています。
また、レモングラス精油が口腔内のどの菌に作用しているのかを特定している研究もありました。
レモングラス精油で作ったマウスウォッシュは、次の歯周病菌に効果を示したことが報告されています。
- 口臭の原因となる揮発性硫黄化合物を8日目に既に有意に減少させた
- アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスATCC43718(歯周病菌)
- ポルフィロモナス・ジンジバリスW50(歯周病菌)
一方で、次の虫歯菌には効果がなかったことも報告されています。
- ストレプトコッカス・ミュータンスATCC 25175(虫歯原因菌)
レモングラスは、歯周病と口臭予防には効くが、虫歯予防にはならないということですね。やはり、レモングラスも歯ブラシと一緒に使うと良さそうです。
なお、レモングラスのその他の詳しい機能については『レモングラス』をご確認ください。
フランキンセンス
2019年の研究では、次のいずれかのマウスウォッシュで21日間うがいをした際の効果を比較しています。
- タリア・マルチフローラ抽出液
- フランキンセンス抽出液
- 1.と2.の混合液
- クロルヘキシジン(市販のマウスウォッシュの殺菌成分)
結果、3 種類のハーブタイプのうがい薬はすべて、14 日目から歯垢、歯肉炎、歯肉出血を大幅に改善し、クロルヘキシジンと比較し効果に差が無かったことを報告しています。
また、フランキンセンスの抽出液または粉末を配合したチューイングガムを用いた研究もありました。いずれも歯肉炎の改善に同等の効果があったことが報告されています。
なお、フランキンセンスのその他の詳しい機能については『フランキンセンス』をご確認ください。
ミルラ
ミルラを用いた歯周病に関するうがい薬の研究を見つけることはできませんでしたが、口腔内の炎症を改善することを調べた研究がありました。
2022年に発表された研究(二重盲ランダム化試験)では、インプラント手術を受けた患者を2つのグループに分け、次のいづれかのマウスウォッシュを1週間使い続けた効果を比較しています。
- ミルラ精油
- グルコン酸クロルヘキシジン(マウスウォッシュの殺菌成分)
術後1週間において、2つのグループで、歯肉の腫れ、痛み、出血、発赤に有意な違いがなかったことが報告されています。
ミルラのその他の詳しい機能については『ミルラ』をご確認ください。
結論|市販のマウスウォッシュに代替する食品
今回調べた中では、次の食品とハーブが有望だと分かりました。
- アロエベラ
- マヌカハニーと生ハチミツ(ボツリヌス菌に要注意)
- ニンニク
- ココナッツオイル
- ティーツリー精油
- レモングラス精油
- フランキンセンス
市販のマウスウォッシュに含まれている有効成分以外の添加物、味を調えるために入っているものや綺麗に見せるための着色料、防腐剤などを考えると、同じくらい効果があるのであれば、こうした食品で十分ではないでしょうか。
研究者たちも論文の最後にそう述べています。
しかし、ニンニクは、マウスウォッシュの目的のひとつ、息リフレッシュに真っ向から挑む食品ですから、外出の無い日に、歯肉炎治療のためにお試しいただくのが良いように思います。
マウスウォッシュの作り方と使い方
1. シンプルなマウスウォッシュ
今回の調査の結果を踏まえると、シンプルなマウスウォッシュに使用する精油は、次の3つにしぼって良いと思います。
- レモングラス
- ティーツリー
- フランキンセンス
お好みで、3つをブレンドしても、どれか1つだけでもOKです。
また、使用感?味?の好みで、ミルラやミントやクローブを混ぜても良いと思います。
作り方
次の割合でお好みの量で作ってください。
- 無水エタノール・・・10ml
- 精油・・・4滴以内
上記の材料を混ぜたものを、遮光の瓶などに入れて冷蔵庫保管してください。
使い方
歯をみがいた後、コップ1杯(約200ml)の水にマウスウォッシュを5滴混ぜて口をすすぐ
2. アロエのマウスウォッシュ
材料
- アロエベラの果肉をジュース状にしたもの・・・1/2カップ
- 浄水・・・1/2カップ
- 重曹・・・小さじ1 杯半
- ティーツリー精油・・・1滴(防腐剤として)
作り方
蓋のできるボトルなどに全て入れて、よく混ぜ合わせる
※ 出来上がったものは、冷蔵庫で保存してください。
使い方
- 下に沈殿して分離しているので、使用前にボトルを振ってから使う
- 歯磨きの後で、大さじ1杯を口に含み、くちゅくちゅした後に吐き出す
3. オイルプリング
エキストラバージン・ココナッツオイルを使用することをお勧めします。
- 大さじ1杯くらいのココナッツオイルを口にふくみます。
- 2~3分間、くちゅくちゅした後に吐き出します。
飲み込まないように注意してください。また、歯肉に塗ってマッサージするのも効果的です。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献
- 「歯周病とは」、特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会
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