バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
熱中症で腎機能が低下する
結石と関係の深い臓器といえば、腎臓です。
テキサス大学サウスウェスタン医療センターが、熱中症環境下での腎機能への影響を調査した研究を心臓病や慢性疾患などを罹患していない18~39 歳までの若者と65歳以上の高齢者を対象に、2021年3月~2023年3月の間に実施しました。
参加者は、2018年のロサンゼルスの熱波と1995年のシカゴの熱波を再現した、室温47℃+湿度15%と室温41℃+湿度40%に設定された部屋で6日間のインターバルをおいて各3時間過ごします。
室内では日常生活を模倣する目的で、5分間の軽い身体活動を7回行い、1時間ごとに体重1kgあたり3ml(体重50kgならコップ4分の3杯)の水分補給をしています。
結果、腎機能の低下を表す血漿クレアチニン値とシスタチンC値が、高温で湿度の低い環境で高齢者で増加する(腎機能が悪化する)ことが観察されました。湿度がある環境下での変化はわずかでした。ただし、若者ではどちらの環境下においても特段の変化は確認されませんでした。
特に乾燥した高温の環境で高齢者の腎機能が大きな影響を受ける可能性が示されたわけですが、猛暑・酷暑が連日となっている昨今、若者も油断はできないように感じます。
乾燥した環境で腎機能の低下が顕著だった理由には、皮膚表面からの水分の蒸発が水分不足に寄与し尿の濃度が高くなってしまったことに関係していると考えられます。
この体内の水分不足/脱水症状は、これからお伝えする結石と大きな関係をもっています。
地球沸騰化で結石になる人が増える!?
ハーバード大学のケビン・R・ローリン(Kevin R. Loughlin)医師は、地球温暖化/沸騰化が進むにつれて尿路結石の罹患率が上昇するとおっしゃっています。
理由は、猛暑による気温上昇で、年々、脱水症状を起こす人が増え、熱中症だけでなく、結石になる人が増えると言うのです。
水分不足になると、腎機能が低下するだけでなく、結石になりやすくなるってことでしょうか?
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
尿路結石の兆候
健康な人のおしっこは淡黄色で透明です。
でも、普段よりおしっこが白っぽく濁っていたら、尿路結石の可能性があります。
尿路結石は、非常に痛いとよく聞きますが、激しい痛みを伴うものばかりではありません。また、尿の成分が石くらい大きくなった塊ばかりでもなく、微細な結晶も結石です。
結石以外でおしっこが白濁する理由
おしっこが白く濁る原因には、結晶(結石)以外にもあります。
- 尿路の細菌感染(腎盂炎、尿道炎、尿道炎、前立腺炎、性病など)
- 血尿
- 女性のおりものの混入
- その他の疾患(腎臓・膀胱・前立腺がん、腎結核など)
様々な浮遊物によって濁って見えるのです。
尿路結石の主な症状
尿路結石の約90%が食品成分が原因で起こっています。
食品に含まれている成分が原因の尿路結石は、自然と口にしてしまうものなので、なかなか予防や再発予防が難しいものです。また、次のような症状を伴う決して楽な疾患ではありません。
- おトイレが近い
- 残尿感
- 排尿のたびに焼けるような痛みが尿道に起こる
- 腎臓のある腰のあたりの痛み
日本人の生涯罹患率(一生の内一度は尿路結石になる人数)は、男性15.1%、女性6.8%だそうです。
結石は自然治癒力に任せる
ヒポクラテスは、「ヒポクラテスの誓い」に、結石の治療について次のように記載しています。
「私が、結石の治療にナイフを使うことはない。
だが、内なる職人達に任せるだろう。」
“I will not use the knife, not even verily, on sufferers from stone,
but I will give place to such as are craftsmen therein.”
内なる職人達(craftsmen therein)とは、すなわち自然治癒力のことです。体内の自然の循環や浄化作用のことです。
そりゃそうですね。本当に石ころくらい大きかったら切り出すこともできるかもしれませんが、体内の化学反応によって大量にできた微細な「結晶」は、切り取ることはできません。
体が洗い流してくれるのを待つしかないのが尿路結石です。
尿路結石(結晶)の種類
尿路結石には次の4種類があります。このうち1番と2番は食事とライフスタイルによって起こる結石です。
- シュウ酸カルシウム/リン酸カルシウム結石
- 尿酸結石
- ストラバイト(リン酸マグネシウム・アンモニウム)結石
- シスチン結石
3番はバクテリアによる感染症、4番は遺伝病です。
いずれも、食事やライフスタイルを見直すことによって予防したり、症状を改善することが可能です。
全ての結石に共通するリスク要因
種類に関係なく、全ての尿路結石に共通するリスク要因は
脱水、水分不足
です。
意外じゃありませんか? 少なくとも私には意外でした。
水分補給に適した水
水分を補給する際は、それが「水」であることが重要です。普通の軟水、浄水を飲むことを心がけましょう。
次の飲料は水分補給に適しません。
- ミネラルウォーター(硬水)・・・飲み過ぎると、腎臓を傷めます。
- ジュース・・・糖分が含まれているため返って脱水を起こします。
- コーヒー、お茶、紅茶・・・カフェインには利尿作用があるので脱水を起こします。
- スポーツ飲料・・・スポーツで大量の汗をかいた人、熱中症になりかけている人、あるいは、熱中症になってしまった人には電解水は効果的ですが、そうではない人にとっては、返って糖分と塩分の摂り過ぎになるので勧められません。
人体が出来上がっていく進化の長い過程で、スポーツ飲料の様な水分を自然界から得ることは稀ですから、あなたの体は、普通の水を飲むだけでちゃんと機能するようにできています。余分なものを人為的に含めずとも、体に任せて、普通の浄水で大丈夫です。
尿路結石経験者の水分補給
結石の発症リスクを高める要因は脱水なので、既に尿路結石になったことがある人は、意識して水分補給をすること、水分不足にならないよう意識することが重要です。
尿路結石経験者の再発予防のために、ローリン医師は次のアドバイスを述べています。
「再発率は、1日に2リットルの水分補給で
半分に抑えることができる」
米国の泌尿器科協会(The American Urological Association)のガイドラインでは、結石経験者に、1日 2.5 リットルの水を飲むことを勧めています。
尿路結石未経験者の水分補給
結石を経験したことのない人は、むやみに2リットル以上の水を飲む必要はありません。返って、腎臓を傷めます。
一律に決められた量ではなく、ご自分の体の声を聴き、必要な水分補給を十分にすることが大切です。
1. カルシウム結石
最も一般的な結石(おしっこを白濁させる原因)です。カルシウム結石には、次の2種類があります。
- シュウ酸カルシウム結石
- リン酸カルシウム結石
2つのカルシウム結石共通の予防法
驚くかもしれませんが、カルシウム結石の予防にカルシウムを減らす必要はないんです。カルシウム結石を経験している人も、再発予防のためにカルシウムの摂取量を減らす必要はないんです。
カルシウム結石の予防にとって、最も重要なことは、水分補給です。
「健康な成人に必要なカルシウム量をしっかりと摂って問題ない」
と、ローリン医師は述べています。
なぜか?
シュウ酸カルシウム結石の予防
食事に含まれているカルシウムは、シュウ酸が腸で吸収されないように、腸内でシュウ酸と結合しています。そのため、通常、尿の中には、結石するほどのカルシウムは含まれないのです。
シュウ酸カルシウム結石の予防に重要なのは次の2つです。
- 十分な水分補給
- シュウ酸の多い食品を食べ過ぎない
- 動物性たんぱく質を食べ過ぎない
シュウ酸は、次の野菜などに多く含まれています。
- タデ科・・・ルバーブなど
- カタバミ科・・・スターフルーツなど
- アカザ科・・・ホウレン草、ビーツ、スイスチャードなど
その他にも、じゃがいもや、ナッツ類やチョコレートなどにも含まれています。緑茶の中でも玉露や抹茶に多く含まれています。コーヒーや紅茶にも比較的多くのシュウ酸が含まれています。だから水分補給は「水」でなければならないのです。
カルシウム結石を予防するには、シュウ酸を多く含むこれらの食品を食べ過ぎないことと、シュウ酸を減らすように正しく調理することが大切です。
シュウ酸を多く含む食品を食べた際には、カルシウムを含む食品も一緒に食事から摂って、シュウ酸が吸収されないようにすることも重要です。献立やお料理に使う食材の組み合わせで様々に工夫できますね。
一方で、カルシウムのサプリメントを避けることが鍵となります。サプリメントで摂取する場合は、結石を増加させてしまう可能性があるので要注意です。
なお、カルシウム豊富な食品については、『カルシウム』をご参照ください。
リン酸カルシウム結石の予防
カルシウム結石のもうひとつ、リン酸カルシウム結石は、シュウ酸カルシウム結石よりも稀な結石です。
リン酸カルシウム結石の予防に重要なのは、次の2つです。
- 十分な水分補給
- スイカやきゅうりなどカリウムが多くて水分量の多い果物や野菜を食べる
結石になりやすい夏に、スイカやきゅうりが旬を迎えるというのは、季節と共に生きることの意味を実感します。
予防だけでなく、リン酸カルシウム結石の改善のためにも、積極的にカリウムの多い食品を食べることをお勧めします。
リン酸カルシウム結石は、放っておくと、次の疾患を起こしてしまいます。
- 副甲状腺機能亢進症 (副甲状腺ホルモンの過剰分泌)
- 尿細管性アシドーシス (体内に酸を蓄積してしまう腎臓病)
- 尿路感染症
これらの病気がある人は、リン酸カルシウム結石が原因していないか検査してもらうと良いでしょう。
なお、カリウムの多い食品は『カリウム』をご参照ください。
2. 尿酸結石
強酸状態の尿では、尿酸が尿に溶け込んでしまうために結石が起こります。
尿酸結石の人の尿には次のような特徴があります。
- 尿酸値・・・正常
- 尿のpH値・・・非常に強い酸性
柑橘類の果汁の摂取と尿路結石症との関係に関する英語、フランス語、スペイン語のすべての言語で発表された研究のシステマチック・レビューによれば、グレープフルーツジュースは結石のリスクを高める作用があることが報告されています。
尿酸結石の予防
動物性タンパク質、または、炭水化物の多い食事傾向の人は、体内が酸性に傾いている可能性が高いため、体内をアルカリ化してpHを正常化できる食事が良いですね。例えば、次の様なものです。
- 十分な水分補給
- お野菜や果物
- 柑橘類のジュースやお酢などクエン酸の多いもの
- 炭酸水素ナトリウム(重曹)/重曹水
アメリカのテキサスA&Mサイエンスセンターの医学部(Texas A&M sciences Center College of Medicine)による無作為化比較試験は、酸性に傾いた血液を果物と野菜、または重曹(炭酸水素ナトリウム)が中和し、腎機能を改善させることを明らかにしています。
重曹については『重曹を自然療法の治療薬として使う7つの用途と作り方』をご参照ください。
様々な柑橘類の中で、尿のpHのアルカリ化効果があり、結石予防効果が最も高く認められたのは、オレンジジュースでした。クエン酸の多いイメージのあるレモン果汁には、尿のpHのアルカリ化効果は認められず、結石の予防効果は、オレンジジュースよりも小さかったことが報告されています。
3. ストラバイト結石
ストラバイト結石は、リン酸マグネシウム・アンモニウム結石とも呼ばれる、米国で希少病に指定されている稀な結石です。
尿のpHを中性からアルカリ性にしてしまうバクテリア感染によって起こります。尿がアルカリ性に傾くことで、リン酸マグネシウムが結石します。
治療には、尿を酸性にして、アンモニアを減らし、結石を溶かす作用をもつ、アセトヒドロキサム酸 (AHA)剤 が処方されます。
4. シスチン結石
シスチン結石は、シスチン尿症という遺伝病で起こる結石です。尿中のシスチン(アミノ酸の一種)の量が多くなり、結石します。
シスチン結石の予防
ほとんどのシスチン結石は、次の方法によってコントロール可能です。
- 十分な水分補給
- タンパク質を食べ過ぎない
- 尿のpHを調整する投薬
シスチンはタンパク質成分(アミノ酸)なので、お肉などの食べ過ぎが要注意です。
全ての結石は水割り!で予防
ローリン医師は、次の言葉を覚えておいて欲しいと述べています。
“Dilution is the solution to the pollution.”
水割は濁りの解決法
英語だと韻を踏んでいて面白いのですが、日本語にするとつまらないですね(笑)
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
体が脱水しやすい夏は、熱中症予防のためだけでなく、結石予防のためにも、十分な水分補給を心がけたいですね。特に、お肉大好き、甘いもの大好き、野菜大嫌いの人は、水分補給をお忘れなく!
また、結石があるのではないかと不安に感じるのなら、不安をそのままにせずに泌尿器科を受診してくださいね。
そしてもしおひとりで改善や再発予防に取り組むことに難しさや不安があるのなら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
- “Kidney Function Biomarkers During Extreme Heat Exposure in Young and Older Adults”, Zachary J. McKenna, Whitley C. Atkins, Josh Foster, et al, Luke N. Belval, Joseph C. Watso, Caitlin P. Jarrard, Craig G. Crandall, June 24, 2024, JAMA. 2024;332(4):333-335. doi:10.1001/jama.2024.9845
- Prevalence of Kidney Stones in the United States. European Urology, July 2012.
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- Medical Management of Kidney Stones: AUA Guideline. American Urological Association, August 2014.
- “Role of Citrus Fruit Juices in Prevention of Kidney Stone Disease (KSD): A Narrative Review”, Yazeed Barghouthy, Bhaskar K Somani, Nutrients, 2021 Nov 17;13(11):4117. doi: 10.3390/nu13114117, PMID: 34836376, PMCID: PMC8625077
- Meta-analysis of randomized trials for medical prevention of calcium oxalate nephrolithiasis. Journal of Endourology, November 1999.
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- “What causes kidney stones (and what to do)”, MAY 17, 2019, Kevin R. Loughlin, MD
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