バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
水素水の主張
水素水の効果については、既に、様々な議論がありますね。
統合食養学の公認ヘルスコーチの私としても、ソフィアウッズ・インスティテュートの見解をまとめてみることとしました。
難しいことは、おいておいて
「水素水は、私達の体内で発生する活性酸素
(過酸化水素から放出される酸化物質)を
中和し無害なものにしてくれる」
ということが、水素水の健康効果を信じる人達の主な主張です。
酸化物質(活性酸素)を中和してくれるので、細胞の酸化によって引き起こされる様々な病気予防に効果があるというわけです。
- 心臓疾患
- 糖尿病
- 神経疾患
- 認知症
といった、深刻な病気予防だけでなく、単純に、アンチエイジング(老化防止)としての人気が高まったように思います。
この主張が本物かどうかということを考えてみる前に、体内で発生する過酸化水素の仕組みについて整理してみようと思います。
過酸化水素
私達の細胞は、常に、過酸化水素を発生させています。私達が生きている以上、これは止められません。
過酸化水素は、文字通り、酸素が普通よりも多く結びついた(酸素過多の)水素のことです。構造のバランスが悪いので、とても不安定な物質です。そのため、余分な酸素を放出して安定した状態に戻ろうとします。その時放出される酸素が活性酸素です。活性酸素は細胞を酸化させてしまいます。
中でも非常に強力な酸化力を持つヒドロキシラジカルと呼ばれる物質になることが時々あるため、過酸化水素は、発生したら素早く中和しないと危険です。
疑問|水素水を販売するメーカーは、このヒドロキシラジカルのみをターゲットできると、主張しますが本当でしょうか?
身近な過酸化水素水
過酸化水素は細胞の中だけでなく、身近な商品としても存在しています。
オキシドール(オキシフル)です。
怪我をした時などの殺菌剤として使います。傷口につけると、シュワシュワっと泡が出てきますが、その泡が活性酸素です。活性酸素が悪い菌を殺してくれるのです。
活性酸素は免疫機能の一部
上述したように、私達の通常の細胞内で発生した過酸化水素は、ただちに中和されないと危険です。
でも、白血球(免疫細胞)内で発生する過酸化水素は、悪い菌やウィルスを退治する役割があり、重要不可欠な私達の免疫機能の一部です。
ですから、むやみに、体内の過酸化水素を全部中和してしまえば良いというものでもないのです。
疑問|最近の水素水の中には、体内で発生する2種類の過酸化水素(免疫細胞内の過酸化水素と通常細胞内の過酸化水素)を区別して、通常細胞内の過酸化水素だけを無毒化できると謳っているものがあるようです。本当でしょうか??
過酸化水素を人為的に中和するのは逆効果
過酸化水素は放っておけば、細胞を酸化させてしまう危険な物質ですから、もちろん私達の体は、何もせずに放っておくことはしません。
私達の体内には、ちゃんと、過酸化水素を直ちに中和する仕組みが備わっています。「グルタチオン-アスコルビン酸回路」と呼ばれる仕組みです。ですから、わざわざ過酸化水素を中和するものを飲食しなくても大丈夫なんです。
当然、運動をすると細胞活動が活発になりますから、その分、過酸化水素も多く発生します。しかし、運動後に、人為的に飲食物などを通して過酸化水素を中和してしまうと、体は自ら過酸化水素を中和しなくても良くなってしまいます。一見、良いことのように思われますが、それは、体内で抗酸化物質が造られないことを意味します。
グルタチオン-アスコルビン酸回路の働き
「グルタチオン-アスコルビン酸回路」は、体内で発生する過酸化水素に反応して、抗酸化物質を造る働きをしています。「グルタチオン-アスコルビン酸回路」は、刺激されればされるほど、体内の抗酸化物質が増えることが判っています。
「グルタチオン-アスコルビン酸回路」に働くチャンスを与えないということは、運動による抗酸化力の向上、免疫力の向上効果が得られないことを意味します。
科学的には、筋トレなど、過酸化水素を多く発生させる活動をした直後には、「グルタチオン-アスコルビン酸回路」に任せ、何もしない方が、錆びない体を作るためには効果的です。
つまり、もし水素水の中和効果が本物だと信じるのなら、運動直後に飲むのは返って逆効果になるだけなので飲まない方が良いでしょう。効果が嘘なら、単なる水分補給ですから構いません。
運動と活性酸素については『活性酸素を多く発生させる運動と寿命』もご参照ください。
高校化学では
「化学だなんて、ヤメてぇ~!」と、いう悲鳴がどこからか聞こえてきそうですけれど、図を観たらそれほど難しい話じゃないってわかると思います。
図の「H(水素原子)」と「O(酸素原子)」の数を数えながらみてくださいね。矢印(⇒)の右と左で数が同じになっていることを確認してください。
では、あらためて、高校化学では、過酸化水素を安定させるためには、次のプロセスが必要です。
1. 2H2O2 ⇒ 2H2O + O2 過酸化水素は、酸素を放出して、水となって安定する
ここで放出される酸素(活性酸素)の中に、ヒドロキシラジカルという酸化力の高い活性酸素になってしまうものがあり、水素水は、そのヒドロキシラジカルだけをターゲットにできるという理屈ですね。
次に
2. O2 +2H2 ⇒ 2H2O 放出された酸素は、水素と結びついて水になる
という化学式が成り立ちます。
この化学式を観る限り、過酸化水素から放出された酸素の中和には、水素を取りこむことが効果的なことが判ります。
だから、体は、NADHの水素イオンを使っているわけですし、最近では、水素水を飲むと良いという理屈になるわけですね。
疑問|こうした仕組みの中で、水素水が無差別ではなく、ヒドロキシラジカルとなった活性酸素だけをターゲットにできるということに不思議を感じます。試験管の中では可能であろうと想像できますが、生体内で果たして本当に可能なのか疑問が生じます。
私達の遺伝子が選択した方法は・・
私達ヒトの体内では、実験室でみるような、水素を直接使う簡単で効率的な方法ではなく、ビタミンC、グルタチオン、NADHと、カタラーゼという物質を使う「グルタチオン-アスコルビン酸回路」という複雑な方法が選択されています。
その名前から、次の2つが関わっているということは直ぐに判ります。
- グルタチオン(抗酸化物質)
- ビタミンC(アスコルビン酸)
その他にも次の様な抗酸化物質も関与しています。
- NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
- カタラーゼ等
カタラーゼは私達の唾液の中にも豊富に含まれています。私の子供の頃は、軽い擦り傷なんかは「唾をつけとけば治る」と言われていましたが、これは、本当のことなんです。唾液は、オキシドールと同じ働きをしてくれます。なお、カタラーゼの詳しい機能については『カタラーゼ』をご確認ください。
グルタチオン-アスコルビン酸回路に水素は出てこない
「グルタチオン-アスコルビン酸回路」は、かなり複雑な仕組みなので、詳細に踏み込むことはしませんが、簡単に言うと次のような仕組みです。
- カタラーゼとアスコルビン酸(ビタミンC)が過酸化水素から余分な酸素を除去し水に還元する。
- アスコルビン酸が引き受けた余分な酸素は、グルタチオンに引き継がれる。
- グルタチオンが受け取った酸素は、NADHによって還元される。
本当はもっと複雑なんですが、ムリヤリ簡単にするとこんな風になります。
気がつきましたか?
水素分子は出てこないんです。
厳密にはNADHに水素イオンが存在しているのですが、体は、直接的な水素分子を必要としない方法で、過酸化水素を無毒化しているのです。
なぜ、私達の遺伝子は、進化の過程で、簡単で効率的な方法を採用せずに、複雑な方法を選んだのでしょうか?そこに水素水を飲むことが本当に効果があるのかどうかを考えるヒントがあるように思います。
公認ヘルスコーチの私の見解
市販の水素水には様々なものがあるようですから、百歩譲って、もしかしたら、体内の自然な「グルタチオン-アスコルビン酸回路」をぶっ飛ばかして、放出された酸素を細胞内で直接水素と結合させることができる状態のものがあるのかもしれません。
腸から水素が吸収され、それがそのままの形で、細胞へ届き、酸素と結合するルートが私達の体内のどこかにあるのかもしれません。
ですから、水素水の全てを否定するつもりはありません。が・・
体は合理的にできている
体に備わった自然治癒力を信じる統合食養学の(ホリスティック)ヘルスコーチとしては、私達の遺伝子が、水素そのものではなく、「グルタチオン-アスコルビン酸回路」を過酸化水素の無毒化に選んだのには、それでなければならない理由、別の方法ではダメな理由があるに違いないと考えます。
だって、遺伝子の目的は生き残ることですから、無駄なエネルギーを消費せずに簡単に体を守ることができるのであれば、その仕組みを採用したはずです。効果が同じなら、わざわざエネルギー消費の大きい複雑な仕組みを選ぶ理由はありません。
にもかかわらず、複雑な方法を選んだということは、必ず、それでなければならなかった理由があるはずだと思うのです。
結論
上記を踏まえ、ソフィアウッズ・インスティテュートは、体内の過酸化水素を中和するのなら、水素水ではなく、「グルタチオン-アスコルビン酸回路」を回すために必要な食品を飲食することをお勧めします。
具体的には
- ビタミンC
- グルタチオン
- NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
- カタラーゼ
等が豊富に含まれている食品か、これらの物質の材料となる食品を食べることをお勧めします。
グルタチオン-アスコルビン酸回路に必要な食品
野菜と果物
ビタミンCを豊富に含んでいるのは、野菜と果物です。
ビタミンCだけでなく、野菜と果物には抗酸化物質(ポリフェノールなど)、つまり、活性酸素を無毒化する物質が多く含まれていることは、既に誰でも知っていることですから、驚くようなことではありませんね。
ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンC』をご確認ください。
ナッツとシーズ
グルタチオンは、3種類のアミノ酸(グルタミン酸、シスチン、グリシン)が結合して体内で造られるトリペプチドと呼ばれる物質です。ですから、これら3つのアミノ酸が豊富に含まれている食品を食べたらいいんです。
ナッツ類が代表的な食品ですが、ナッツに抗酸化作用があることも近年よく知られています。
また、硫黄はグルタチオンを増やしますので、硫黄になる成分を多く含む食品もお勧めです。硫黄とグルタチオンになる成分の多い食品は、更に『グルタチオン』 をご覧ください。
キノコ(舞茸・椎茸)、魚(魚卵・鰹・鮪・鰯)
NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、ナイアシンから造られます。
ナイアシンは食品からも摂れますし、トリプトファン(アミノ酸)を用いて体内で自前で造ることもできます。トリプトファンの1/60がナイアシンになります。
トリプトファンの多い食品については『トリプトファン』 をご覧ください。
アブラナ科の野菜
カタラーゼは、肝臓に多い酵素です。でも酵素は胃酸で分解されてしまうので、カタラーゼを多く含む食品(レバーなど)を食べても、カタラーゼの状態で体内に吸収されることはありません。
アブラナ科のお野菜が体内のカタラーゼを増やすことが動物実験ですが、報告されています。
その他
アムラ(インディアン・グズベリー)または、次の成分を多く含んでいる食品を積極的に食べると良いと言われています。
しかし、実証研究が少ないため確実性は低いです。
ちなみに、オキシカインは、南フランスのアヴィニョン地方で栽培されているヴォークルシアン種のメロンに含まれている成分で、グリアジンという小麦由来のタンパク質でコーティングされています。他のメロンには少ないようです。また、グリアジンはグルテンの成分なので、シリアック病やグルテン不耐症がある人は避けてくださいね。
また、梅干しを食べると唾液中のカタラーゼは増えますが、細胞内のカタラーゼが増えるのかは不明です。
2016年12月16日追記
国民生活センターが、水素水として販売されている10銘柄と、発生器9銘柄について、調査し、『容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」-「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です-』を発表しました。
また、2016年現在、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可されたものはなく、1つも届出すらなされていないとのことです。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
バランスの良い食事をして、「グルタチオン-アスコルビン酸回路」が素早く機能するような生活をおくるよりも、水素水を飲む方が、ずっと簡単だと思う人も多いかもしれませんね。
だから、水素水が爆発的に人気があるのでしょう。。
水素水の効果が本物かどうかに依らず、私には、遺伝子の都合を無視して、錠剤や液体をお手軽・簡単に体に放り込むファストなライフスタイルよりも、体の自然治癒力や遺伝子の選択に寄り添うスローで丁寧なライフスタイルの方が魅力的で、理に適っているように思えます。
そして万が一、水素水に本当に酸化還元作用があるとしたら、運動後には絶対に飲まない方が良いということは言えます。
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