バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
秋になると食べたくなるのが栗
秋じゃなくても、有機のむき栗がいつでもレトルトで買えようになった世の中ですが、それでも、やっぱり私が栗を食べたくなるのは秋です。
栗は、ブナ科の果実です。
世界中にたくさんの品種があるようですが、大きく分けると
- 和栗
- 中国栗
- ヨーロッパ栗
- アメリカ栗
の4種類あるそうです。
こんなイガの栗もあるようです。なんだかエイリアンみたいですね(笑
栗は森の木になるんだから全部無農薬でしょ?
と、思っている人もいると思いますが、案外そうではないのです。
小さな穴の開いた栗を見たことありますか?私が子供の頃は栗の中から小さなミミズみたいな虫が出てくることがありました。今でも栗拾いに行くと小さな穴の開いた栗を見かけます。
でも、最近では、防虫剤を使っているので、穴の開いた栗を見かけることが少なくなりました。穴が開いた栗なんて見たことないという世代もいるでしょうね。
防虫剤の他にも、収穫後に薫蒸して虫を追い出してから出荷することもあるようです。
なので、お野菜を選ぶのと同じように、無農薬/自然栽培の栗を選ぶと安心です。
栗の成分は調理方法によって変化する
栗は収穫後数日寝かせた方が甘い
栗のデンプンは、サツマイモのデンプンに似ています。そのため、収穫してすぐに食べるよりも3~4日寝かせてから食べた方が、デンプンが糖に変わって甘くなります。
栽培農家さんが収穫して、私達の手元に届くくらいのタイミングで丁度良いのかもしれませんね。
栗は焼いた方が美味しい
栗を茹でた場合と焼いた場合で、栗に含まれているデンプンとアミロースの変化を調べた研究がありました。
栗に熱を加えると、次のような変化が起きることが報告されています。
- デンプン量は、茹でても焼いても有意に大きく減少する
- アミロース量は、茹でると増えるが、焼いても変化しない
アミロースは少ない方が粘り気が強く冷めても味が劣化しません。
つまり、栗は、茹でるとパサパサして、冷えると美味しさが減少するけれども、焼き栗にするとしっとり感が維持されて冷えても美味しいと、いうことが科学的に裏付けられたことになります。
確かに、お家で作る茹で栗はパサパサしていますが、天津甘栗に代表されるように焼き栗はしっとりしています。
東洋医学では栗は老化予防の食べ物
東洋医学では、栗は、「脾」「胃」「腎」の働きを助け、血の巡りをよくして体を元気にすると考えられています。「腎」の老化によって起こる老人性の腰痛や筋肉の衰えに効果があると言われています。
栗にはカリウムが豊富です。ナトリウムの排出を促し、確かに、腎の働きを助ける作用があります。また、西洋のナッツ類には存在しないビタミンCが和栗には豊富です。免疫力を高めたりお肌を守ったりしてくれます。しかも、デンプンに守られていますから、栗のビタミンCは熱に強いことも有難いです。
ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンC』カリウムの機能については『カリウム』をご確認ください。
近年、栗に含まれているプロアントシアニジンという成分が、胃炎を起こすIL-8と呼ばれる物質が胃で分泌されることを抑制したことが報告されています。そのことでピロリ菌の活性を抑えることができたとのことです。
プロアントシアニジンの量が多ければ多いほど、IL-8の分泌は抑制されること、タンニンと共同で働くことが報告されています。
栗が脾・胃・腎に良いことは、医学的にも栄養学的にも裏付けられているということです。
ただ、プロアントシアニジンとタンニンは、両方とも栗の食用でない部分に最も多く含まれているというのが残念です。
栗はマルチなサプリメント
様々なビタミン・ミネラルが豊富
栗は、伝統的なミネラルをほぼもっています。上の画像で見て判る通り、ビタミンはAもBもCも持っています。ただもっているだけでなく、多くの栄養素で、1日の必要量の10%以上をもっています。
FDA(米国食品医薬品局)は、1日に必要な量の10%以上の栄養素を持っている時、その栄養素が豊富と表現できると定義しています。
代謝と再生に関わるビタミンB群が豊富なことからも、栗がアンチエイジング、老化予防、生活習慣病予防になることが裏付けられます。
ビタミンB群の働きについては『ビタミンB群』をご確認ください。
生栗と茹で栗を比較しても、それほど大きく栄養価が減少していないことが素晴らしいですね。ただ残念なことに、和栗よりも中国栗の方が栄養バランスは良さそうです。
タンパク質とオメガ3も持っている
栗にはビタミン・ミネラルだけでなく、タンパク質もオメガ3オイルも含まれています。
食生活が乱れて栄養バランスを欠いていると感じたら、サプリメントを口に放り込む代わりに、天津甘栗を食べてみるのが良さそうです。
栗の栄養価については『秋はナッツが美味しい季節!それぞれの栄養価と個性教えます』もご覧ください。
ただ多く食べ過ぎるととんでもないことに
日本消化器病学会誌に、栗の食べ過ぎで胃石ができた患者さんのことが報告されています。その胃石の98%は、タンニンでできていたそうです。
特に、渋皮に多く含まれているタンニンは、抗酸化物質です。でも食べ過ぎたら石になってしまうということです。
それにタンニンは、腸でのミネラルの吸収を阻害してしまいますから、やはり食べ過ぎには要注意ですね。
なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとし。ほどほどが大切です。
乳酸菌を腸に届けたいなら栗といっしょに食べる
乳酸菌やビフィズス菌を食事から摂る場合、課題となるのが、胃液と胆汁酸の存在です。多くの菌は、胃液と胆汁酸によって死んでしまいます。
乳酸菌などの生存率は、一緒に食べる食品に大きく左右されることは既に分かっている事実ですが、栗の難消化性食物繊維と栗エキスの効果を検証した研究がありました。
次の様に準備した乳酸菌に、それぞれ胃液と胆汁酸をかけて生存率を調べています。
- 栗の難消化性食物繊維にくっつけた乳酸菌
- 栗エキスにひたした乳酸菌
栗エキスにひたした乳酸菌は、耐性を示したことが報告されています。
これは、栗のデンプン質による効果ではなく、栗に含まれている疎水性ペプチド(水溶液中で溶解することを阻止する成分)とオリゴペプチドの顕著な耐性によるところが大きいとのことです。
難しい話はどうであれ、また、栗エキスと栗の食物繊維のどっちが乳酸菌をより良く守れるのかは、日常生活の上ではどっちでも良いことです。
だって、栗を食べる時、その二つを分離して食べる人はいないのですから、笑。
つまり、ヨーグルトなど発酵食品を食べる時には、栗と一緒に食べると善玉菌が腸まで届く可能性が高くなると、覚えておけば大丈夫!
老化予防レシピ
栗と豚肉または鶏肉を塩と酒だけで煮込みます。
写真は、鶏肉と和栗を塩と酒と出汁で煮たものです。和栗は自然栽培のものと、言うか、母の友人宅の木に成ったもの(笑)です。出汁は煮干し・昆布・鰹節・椎茸を一晩浸水したものをそのまま煮だしています。
その他の栗レシピ
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参考文献:
- “Effect of thermal processing on the physicochemical properties of chestnut starch and textural profile of chestnut kernel”, Kan L, Li Q1, Xie S, Hu J, Wu Y, Ouyang J, Carbohydr Polym. 2016 Oct 20;151:614-623. doi: 10.1016/j.carbpol.2016.06.008. Epub 2016 Jun 2.
- “A case of gastric perforation caused by chestnut bezoars”, Okagawa Y, Takada K, Arihara Y, Kato J, Nihon Shokakibyo Gakkai Zasshi. 2017;114(10):1830-1835. doi: 10.11405/nisshoshi.114.1830.
- “A bio-guided approach for the development of a chestnut-based proanthocyanidin-enriched nutraceutical with potential anti-gastritis properties”, Sangiovanni E, Piazza S, Vrhovsek U, Fumagalli M, Khalilpour S, Masuero D, Di Lorenzo C, Colombo L, Mattivi F, De Fabiani E, Dell’Agli M, Pharmacol Res. 2018 Aug;134:145-155. doi: 10.1016/j.phrs.2018.06.016. Epub 2018 Jun 18.
- “Effect of chestnut extract and chestnut fiber on viability of potential probiotic Lactobacillus strains under gastrointestinal tract conditions”, Blaiotta G, La Gatta B, Di Capua M, Di Luccia A, Coppola R, Aponte M, Food Microbiol. 2013 Dec;36(2):161-9. doi: 10.1016/j.fm.2013.05.002. Epub 2013 May 25.
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング