
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
心臓の4つの部屋
心臓は、図のように4つの部屋に分かれています。
心室肥大とは
「心室肥大」って、あまり聞きなれない病名かもしれませんね。
心室肥大とは、心臓の筋肉(心筋)の内側の壁が徐々に厚くなった状態を意味します。心臓の筋肉が厚くなり過ぎると、収縮力が低下して、やがて心不全を起こします。
どの部屋でも肥大は起こり得ますが、左心室で起こることがほとんどで、それを「左心室肥大」と呼びます。
心室が肥大する原因
心臓の筋肉の壁が厚くなってしまう原因は、高血圧です。
腕や脚の筋肉が圧をかけて運動すると大きくなるのと同じです。高い圧をかけ続ければ、心臓の筋肉も肥大するのです。
高血圧以外にも心臓弁膜症や肥大型心筋症なども心室肥大の原因となります。
心室肥大の症状
心室が肥大すると次のような症状が起こります。
- 呼吸困難
- 倦怠感
- 胸痛
- 運動不耐症
- 胸の鼓動
- めまい
- 失神
- など
上記のような症状がある場合、まずは、循環器(心臓血管系)や腎臓に問題がないか病院で検査をしてもらってください。
なぜなら、上記した症状は、心臓に問題が無くても起こることがあります。例えば、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)です。
ウイルス感染後疲労症候群は、何十年も前にウイルスに感染した後、体内に潜伏しているウイルスによって起こされる疲労感や過呼吸の症状で、心室肥大の症状と非常によく似ています。
新型コロナウイルスも、PVFSを引き起こします。
そのため、以前から高血圧が指摘されている人で、上記のような症状がある場合には、病院で検査して原因を明確にすることをお勧めします。
なお、ウイルス感染後疲労症候群については、『ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)』をご確認ください。
心臓保護作用が期待される食品
循環器の病気とその前兆、例えば、高血圧や高脂血症(高コレステロール)や動脈硬化を改善して、心臓を守ることが期待されている食品は次のとおりです。
なお、裏付けとなる研究論文は最後に参考文献として一覧にしています。
1. 赤/黒ブドウジュース

2020年9月に『PloS One』に掲載されたマウスを使った研究では、赤/黒ブドウジュースによって左心室肥大と高血圧が予防できる可能性が示されています。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)受容体遺伝子を欠損させ、高脂肪食で飼育し、脂質異常症、インスリン抵抗性、左心室肥大を起こさせたマウスを用いて、ブドウジュースの効果を評価しています。
30匹のオスのマウス(3か月齢)を次の3つのグループに分けて比較しています。
- 高脂肪食
- 高脂肪食+体重1kg当たり1日2gのブドウジュース
- 高脂肪食+体重1kg当たり1日20mgのシンバスタチン
註:シンバスタチン|高コレステロール血症治療薬のひとつ。日本の商品名「リポバス」
60日後、ブドウジュースを与えたグループは、シンバスタチンを与えたグループと同様に次の結果を示したことが報告されています。
- 脂質異常症とインスリン抵抗性が低下
- 善玉コレステロール(HDLコレステロール)が大幅に上昇
- MP-2とMMP-9の発現が低下
- CRPの血清レベルが低下
註:
MMP-2|心筋酸化ストレスを助長する
MMP-9|コラーゲンIV型およびV型を分解する
CRP|C反応性蛋白。体のなかで炎症が起きているときに血液中で上昇するタンパク質
研究者は、ブドウジュースのフェノール化合物の抗酸化力によって、善玉コレステロールが増加し、左心室肥大と動脈性高血圧の発症が抑制されたのではないかと述べています。
この結果から、ブドウジュースには、シンバスタチンと同等の心臓を保護する効果があると期待でき、心疾患予防のための機能性食品としての可能性が示唆されるとしています。
2. グレープシードエキス

グレープシードエキス(ブドウの種からの抽出液)を用いて、収縮期/拡張期血圧(上の血圧/下の血圧)に及ぼす影響をランダム比較した臨床研究を、体系的にメタ分析評価した論文がありました。
グレープシードエキスには、血圧を有意に低下させる作用があり、代謝障害(メタボリック症候群)の患者においても有意な効果があることが明らかにされていると述べています。
ただし、メタ分析の対象となった研究が少ないため、更なる大規模な研究が必要だとも述べています。そのため、グレープシードエキスが医薬品の代わりになるとまでは、現時点では言えません。
でも、予防になると考えてもよさそうではありませんか?
(1)研究で用いられたブドウの種類
今回ご紹介した研究で用いられたブドウは、ラブルスカ種のブドウで、北アメリカ大陸東部からカナダ南東部に自生しているブドウです。

栽培品種として有名なのは、「コンコード」です。
特有のにおいがあることから、フォックス・グレープ(キツネのブドウ)とも呼ばれます。
日本には明治初期に入ってきて、栽培は長野県だけで行われているようです。ほとんどがジュースやワインやジャムに加工されるために栽培されるため、生で市場に出回ることは稀とのことです。
9月に長野県で収穫されます。
3. 豆乳

悪玉コレステロール受容体遺伝子を欠損させた脂質異常症のマウスを用いた研究では、アテローム性動脈硬化と左心室肥大に対して、シンバスタチンと豆乳のどちらに効果があるか比較しています。
43月齢のオスのマウスを次の4つのグループに分けて比較しています。
- 標準食
- 高脂肪食
- 高脂肪食+豆乳
- 高脂肪食+シンバスタチン
60日後、豆乳とシンバスタチンを与えられたグループの次の数値が抑制されたことが報告されています。
- 脂質異常症
- アテローム性動脈硬化病変の進行、および
- 左心室肥大
さらに、次の違いがあったことが報告されています。
- 豆乳・・・善玉コレステロールの減少を防ぎ、中性脂肪とVLDLコレステロールを抑制
- シンバスタチン・・・大動脈の総コレステロール、悪玉コレステロール、およびスーパーオキシドの産生、ならびに腫瘍サイトカインの増加を抑制
註:VLDL(超低比重リポたんぱく)| 肝臓で合成された脂質(半分以上が中性脂肪)を、全身の末梢組織まで運ぶ。
研究者は、豆乳にはシンバスタチンに匹敵する効果が期待できると述べています。
4. インドネシアの薬草

インドネシアでは、ゴツコラ、スズムシ花、チガヤを一緒に煎じたものが、高血圧薬として有効であることが知られていて、これらのハーブを組み合わせた煎じ薬は「CJID」と呼ばれています。
- ゴツコラ(Centella asiatica、和名:ツボクサ、生薬名:積雪草)|欧米ではスピリチュアルなハーブとして精神/心の薬として、日本では、解毒、止血、利尿薬
- スズムシ花(Justicia gendarussa)
- チガヤ(Imperata cylindrica、通称:コゴングラス、生薬名:ボウコン・茅根)|利尿薬、消炎薬、止血薬
その効果を2017年、検証した研究がありました。

高血圧を原因とする左心室肥大は、酸化ストレスから大きく影響を受けることから、酸化ストレスと関係する心臓NADPHオキシダーゼ(NOX)経路(NOX1、NOX2、NOX4)を「CJID」が阻害できるかを検証しています。
40週齢の高血圧マウスと正常血圧のマウスは、それぞれ、煎じ薬を与えられるグループと与えられないグループの2つに分けられ、5週間後、高血圧グループのうち、煎じ薬を与えられたグループで次の効果が観察されています。
- 上の血圧と心拍数が有意に減少
- 左心室の形態と機能が大幅に改善
- マロンジアルデヒドを減少させ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を活性化
- 心臓スーパーオキシド(超酸化物)と過酸化水素の発生が減少
- マロンジアルデヒド|脂質過酸化分解生成物の一つ。脂質過酸化の主要なマーカー
- スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)|抗酸化物質
研究者は、煎じ薬がNOX経路を阻害し、活性酸素の生成を減らすことによって、高血圧を原因とする左心室肥大を抑制したと述べています。
これはマウスを使った研究であり、ヒトにおける効果を検証したものではありませんが、伝統的に用いられてきた煎じ薬に実際の効果がある可能性を示したものです。
5. カリウム塩
カリウム塩とは、塩化カリウムのことで、通常の塩化ナトリウム(ナトリウム塩)を代替するために市販もされている代替塩です。
日本高血圧学会も『高血圧管理・治療ガイドライン2025』の中で、ナトリウム塩をカリウム塩に置き換えることを推奨しています。(ただし、高カリウム血症リスクがない場合にのみです)
韓国の延世大学医学部による研究によれば、食塩を摂る量が減ると、食事全体が改善され、血中コレステロール値や尿酸値が低下することが示されています。
なお、高カリウム血症については「高カリウム血症」をご確認ください。
断酒

今年(2025年)8月に発表された日本高血圧学会の『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、高血圧の人の1日の飲酒量の目安として、エタノール換算で次の量を推奨しています。
- 男性・・・1日約20~30mL(日本酒1合、ビール中瓶1本以下)
- 女性・・・1日約10~20mL以下
しかし、米国の高血圧ガイドラインでは、最も望ましいのは「断酒」だと明記されています。
また、世界保健機関(WHO)も、2023年に「健康にとって安全なアルコール摂取レベルは存在しない」との声明を出しています。
聖路加国際病院は、2012年10月から2024年3月まで、日本の予防医学センターで定期健康診断を受けた成人のデータを分析した次の結果を2025年10月に発表しています。
1. アルコール「常飲者」が減酒すると
アルコールを常飲している25,621人(平均年齢50.5歳、女性52.1%)を対象にした調査では、1日に飲むアルコールの量が減少するに従い、血圧が次のとおり減少しました。
- 0.5杯未満減・・・有意な降圧なし
- 0.5~1杯減・・・上の血圧0.4mmHg低下、下の血圧0.4mmHg低下
- 1~2杯減・・・0.9mmHgmmHg低下、1.4mmHg低下
- 2~4杯減・・・2.4~4.6mmHg低下、2.2~3.0mmHg低下
- 4杯超減・・・5.6mmHg低下、5.0mmHg低下
毎日飲む量を1杯減らすだけでも血圧を有意に下げる効果があります。
2. アルコール「非常飲者」が飲み始めると
調査開始時にアルコールを習慣的に飲んでいなかった31,532人(平均年齢50.0歳、女性70.4%)を対象にした調査では、毎日飲むアルコールの量が増加するに従い、血圧が次のとおり上昇しました。
- 0.5杯未満・・・有意な昇圧なし
- 0.5~1杯・・・上の血圧0.4mmHg上昇
- 1~2杯・・・上の血圧1.2mmHg上昇、下の血圧0.8mmHg上昇
- 2~4杯・・・2.8~3.6mmHg上昇、1.7~2.5mmHg上昇
- 4 杯超・・・4.4mmHg上昇、3.0mmHg上昇
1日に1杯飲むだけでも血圧を有意に上げてしまう影響があることが分ります。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

簡単にまとめるなら、心臓のためには、ワインなどのアルコール飲料を止めて、ぶどうジュースを飲みましょうということではないでしょうか。
そして、上記の研究論文を読んでいて思い出したのが、聖ヒルデガルトの心臓病の薬のレシピです。パセリとハチミツと赤ワインで作ります。
1. 聖ヒルデガルトの心臓病の薬の作り方

材料
- 赤ワイン 5カップ
- パセリ 8-10本
- 赤ワインビネガー 大さじ2杯
- ハチミツ 3/4カップ
作り方
- ハチミツ以外を鍋で5分沸騰させずに煮る
- ハチミツを加えて更に5分煮る
- アクとパセリを除いて冷やし、毎日30cc飲む
ヒルデガルトは、ブドウジュースではなく、赤ワインを使っています。中世の時代に既に彼女が赤ブドウが心臓に効くことを知っていたのが不思議ですが、やはり、いずれの国の伝統医療も、あなどれないです。
研究で用いられたブドウジュースは、火を加えない生のジュースです。そのため、このヒルデガルトのレシピが、本当に現代医療で検証できるほど、心臓病に効くかどうかはわかりませんが、試してみるのは悪くないと思います。
なお、このレシピは、ドイツ料理専門家の野田シェフのご著書に記載されていたものです。
2. 有機栽培コンコードのジュース

日本で無農薬栽培、あるいは有機栽培されたブドウを探すのは、まだまだとても難しいのですが、でも、病気改善のために飲食する食品は、やはり無農薬であったり無添加であることが理想的です。
単に長野県のコンコード種のブドウだからと言うだけでは、手放しで喜ぶことはできません(笑)ちなみに写真の無農薬のコンコードのジュースは、自然栽培のそらさんで見つけました!
長野県産ではありませんが、長野県の株式会社アルプスさんが販売しています。100%コンコード、しかも有機栽培(実質、無農薬栽培)のストレート果汁です。
他にも取り扱いしているお店や生産者さんはいらっしゃると思いますので、皆さんも探してみてくださいね。
3. 薬に頼る前に食事から
左心室肥大の治療に用いられる薬には、しばしば副作用を伴うものが多いです。
でも、毎日ブドウジュースを1杯飲むことで副作用が起こることはありません。日常的に取り入れられる予防法として、これらの研究はとても魅力的です。
薬を飲むよりも、ずっと美味しく楽しく続けられるのではないでしょうか。
健康診断で高脂血症や高血圧、動脈硬化などを指摘されたことがある人、あるいは、循環器に不安がある人も、1日3食食べるのです。その毎日の食事が、あなたの症状を改善し、将来、心不全を起こす心配を取り除いてくれるものであることが理想です。
ただし、ブドウジュースやブドウの種のエキス、そして、豆乳やハーブティが薬の代わりになるとは、現段階で言うことはできません。
でももし、本当に効果が表れたのなら、薬の量を減らしてもらえるかもしれません。
とはいえ、もしおひとりで取り組むことに不安やむずかしさを感じるのなら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献
- 『[91] 心臓が大きいと言われたら』、循環器病情報サービス、国立循環器研究センター
- “Grape juice attenuates left ventricular hypertrophy in dyslipidemic mice”, Martins ÂM, Silva Sarto DAQ, Caproni KdP, Silva J, Silva J, Souza PS, et al. September 3, 2020, PLoS ONE 15(9): e0238163. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0238163
- “The impact of grape seed extract treatment on blood pressure changes. A meta-analysis of 16 randomized controlled trials”, Haili Zhang, MM, Shuang Liu, MM, and Geng Tian, MD, PhD
- “Soy milk versus simvastatin for preventing atherosclerosis and left ventricle remodeling in LDL receptor knockout mice”, L Santos, A P Davel, T I R Almeida, M R Almeida, E A Soares, G J M Fernandes, S F Magalhães, V G Barauna, J A D Garcia, Braz J Med Biol Res, . 2017 Feb 20;50(3):e5854. doi: 10.1590/1414-431X20165854, PMID: 28225891 PMCID: PMC5333721
- “Indonesian herbal medicine prevents hypertension-induced left ventricular hypertrophy by diminishing NADPH oxidase-dependent oxidative stress”, Erna Sulistyowati, Jong-Hau Hsu, Yuan-Bin Cheng, Fang-Rong Chang, Ying-Fu Chen, Jwu-Lai Yeh, Oncotarget, 2017 Sep 30; 8(49):86784-86798. doi: 10.18632/oncotarget.21424, PMID: 29156835 PMCID: PMC5689725
- “High and low sodium intakes are associated with incident chronic kidney disease in patients with normal renal function and hypertension.”, Yoon CY, Noh J, Lee J, Kee YK, Seo C, Lee M, Cha MU, Kim H, Park S, Yun HR, Jung SY, Jhee JH, Han SH, Yoo TH, Kang SW, Park JT., Kidney Int. 2018 Apr;93(4):921-931. doi: 10.1016/j.kint.2017.09.016. Epub 2017 Dec 1. PMID: 29198468.
- 「高血圧管理・治療ガイドライン2025」、日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会編、2025年8月29日、ライフサイエンス出版
- “2025 AHA/ACC/AANP/AAPA/ABC/ACCP/ACPM/AGS/AMA/ASPC/NMA/PCNA/SGIM Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults“, A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Hypertension. 2025 Oct;82(10):e212-e316. doi: 10.1161/HYP.0000000000000249. Epub 2025 Aug 14. PMID: 40811516.
- “Blood Pressure After Changes in Light-to-Moderate Alcohol Consumption in Women and Men: Longitudinal Japanese Annual Checkup Analysis.”, Suzuki T, Fukui S, Yoneoka D, Aoki J, Fujiwara T., J Am Coll Cardiol. 2025 Oct 15:S0735-1097(25)07781-2. doi: 10.1016/j.jacc.2025.09.018. Epub ahead of print. PMID: 41123524.
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング



