【亜鉛】美肌・美髪・不妊予防に不可欠なミネラル|不足する原因・多く含む食品・注意すべきサプリメント

2014/10/13/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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こんな症状に悩まされていませんか?

  • 抜け毛が多い、髪が薄くなった
  • 口内炎になりやすい
  • 肌荒れがなかなか治らない
  • 爪が横に大きく凹んでいる

これ全部、亜鉛が不足しているサインです。

亜鉛の食事摂取基準(2020)

成人一日の摂取基準です。

  • 女性|必要量:7mg、推奨値:8mg、限界量:35mg
  • 男性|必要量:9mg、推奨量:11mg、限界量:40~45mg

ただし、妊娠中と授乳中の女性は次の量が推奨されています。

  • 妊婦|必要量:8mg、推奨量:10mg
  • 授乳婦|必要量:10mg、推奨量:12mg

亜鉛の機能

亜鉛は、200種類以上の酵素の構成成分です。そして、約300種類の酵素の働きに関与しているため、細胞が行う代謝の多くは、亜鉛を必要とします。

つまり、亜鉛は、あなたの生命活動に必要不可欠な希少ミネラルです。

実際、亜鉛は細胞外液よりも、細胞内に多く存在しています。

細胞内での亜鉛の機能は、次の3つに分類できます。

  1. 触媒的機能
  2. 構造的機能
  3. 調整的機能

1. 触媒的機能|免疫機能・神経系の働きをサポート

免疫機能や神経の働きを正常に保つなど、次の働きをしています。

  • 傷の治癒
  • 風邪予防
  • 紫外線予防
  • 精神安定|情緒安定、うつ予防
  • 記憶力改善|認知症予防
  • 嗅覚
  • 味覚
  • など

2. 構造的機能|細胞の生成・タンパク質の合成

亜鉛は、細胞分裂が正常に行われるために必要な成分であり、また、コラーゲンの合成に必要なミネラルです。

そのため、次の働きにとって不可欠なミネラルです。

  • 胎児の成長
  • 成長期の子供の発育
  • 骨の成長
  • 皮膚の炎症や傷の回復
  • お肌のターンオーバー、シミ予防、ハリの維持、しわ予防
  • 育毛、髪表面のキューティクルの生成
  • など

3. 調整的機能|ホルモンの合成・分泌に関与

さまざまなホルモンの合成と分泌に関係しています。

  • インスリンの合成(血糖値の正常化)
  • 性ホルモンの合成(不妊、更年期症状などの予防)
  • 女性ホルモン機能の調整(生理不順、PMS、婦人科系疾患の予防)
  • 精子の生成(精子はタンパク質と亜鉛が結び付いて合成される)
  • など

亜鉛が不足すると・・

亜鉛が不足するとどうなるでしょうか?

細胞内の亜鉛濃度が一定値を下回ると、次のような疾患や不調が現われます。

  1. 発育不全|思春期で不足すると性的な発達が遅れます。成人男性では性機能不全が起こり、妊婦の場合は胎児の成長不良が起こります。
  2. 味覚障害|舌の表面の味蕾(みらい)と呼ばれる味を感じる細胞の新陳代謝が悪くなり、味覚障害が起こります。
  3. 皮膚炎|口内炎、 傷が治りにくい など
  4. 免疫力低下|風邪を繰り返し、ひきやすいなどの症状が起こります。
  5. 脱毛|根毛に多く存在するので、不足すると抜け毛が多くなります。東洋医学でも髪は「腎の華」と言われ、「腎」機能の状態を表すと考えられています。
  6. 貧血|赤血球の生成に関与しています。
  7. 下痢|腸粘膜の免疫機能が低下することで起きます。
  8. 骨粗鬆症|亜鉛は骨の合成に必要です。
  9. 夜盲症

亜鉛が不足する原因

亜鉛は、次のライフスタイルや病気によって、不足しやすくなります。

  • 加齢
  • 動物性食品をあまり食べない|ヴィーガンなどの食事傾向
  • タンニンの多い飲料|ワインやコーヒー、紅茶などに多く含まれるタンニンは、ミネラルの腸内吸収を低下させる
  • 過剰な飲酒|アルコールの代謝には亜鉛が必要なため、大量のアルコールの代謝に大量の亜鉛が消費されてしまう
  • 大量の汗|汗や尿と共に亜鉛は体外に排出されるため、アスリートやサウナ愛好者など汗を頻繁に大量にかく人で不足する
  • 病気|肝疾患、糖尿病、腎臓病(透析)、胃腸疾患など
  • 妊娠中・授乳中
  • 投薬|糖尿病、不眠症、うつ病、 関節リウマチ、痛風、 パーキンソン病、 てんかんなどの薬には、亜鉛の排出を促すものがある
  • 鉄分のサプリメント

亜鉛不足の症状があり、上記したライフスタイルなどに該当する人は、まずはそのライフスタイルを見直すことが大切です。

亜鉛不足を起こしやすい医薬品

亜鉛不足を起こしやすい医薬品には次のものがあります。

次のお薬を服用している人は、亜鉛不足にならないよう、亜鉛を豊富に含む食品を意識して食べるようにしましょう。

  • ペニシラミン(ウィルソン病治療薬)|金属結合剤
  • ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA、鉄過剰治療薬)|金属結合剤
  • エタンブトール(結核治療薬)|金属結合性がある
  • 抗けいれん薬(特にバルプロ酸ナトリウム)
  • 利尿剤|亜鉛の尿中排出を増やす

子供の発育遅延または体重増加の大幅な遅れは、軽度亜鉛欠乏症の一般的特徴です。

成長にかなりの遅れのある子供に亜鉛を補給する無作為化プラセボ対照試験が1970年代~1980年代の米国コロラド州デンバーで数件行われています。その結果、中度の亜鉛補給(1日5.7mg)によって、偽薬群よりも成長率が改善されたことが報告されています。

亜鉛欠乏症によって成長が制限される正確なメカニズムは不明ですが、インスリン様成長因子1(IGF-1)という成長を調整するホルモンの反応に関係している細胞シグナル伝達に亜鉛が影響することが、研究で明らかにされています。

妊娠中の母親の亜鉛不足が、新生児の注意力低下や生後6ヶ月での運動機能不良と関連があることが示されています。

授乳中の母親の亜鉛補給によって、極低出生体重児の運動機能の発達が改善することが観察されています。

また、子供への亜鉛の補給によって、神経心理学的機能(注意力など)が改善されたことが報告されていますが、これは亜鉛が他の微量栄養素と一緒に供給された場合にのみ観察された現象でした。亜鉛などのミネラルは食事から一緒に摂ることが効果的です。

ただし、亜鉛の補給によっては、乳幼児の神経学的・行動学的発達が改善しないとする研究報告もあります。

亜鉛は、自然免疫細胞(好中球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞)や獲得免疫細胞(B細胞やT細胞)の正常な発達や機能にとって特に必須の栄養素です。

亜鉛が不足すると、多くの免疫機能に次のような悪影響をもたらします。

  • 特定のサイトカイン(有害物質と戦う炎症性物質)の生成減少
  • 亜鉛依存性の酵素や転写因子の活性低下
  • T細胞の機能に重要な亜鉛依存性胸腺ホルモンのサイムリンの活性低下
  • など

その結果、さまざまな病原体に感染しやすくなり、風邪、インフルエンザ、下痢、肺炎などが起こりやすくなります

2018 年の 「臨床栄養学の米国ジャーナル(The American Journal of Clinical Nutrition)」 に掲載された研究では、亜鉛が不足することで、ウイルス感染からの回復を遅らせることが示されています。

また、風邪の引き始めに亜鉛を補給することで、罹患期間を短縮できることなどが示されています。

妊娠中の亜鉛の栄養状態が悪いことは、次の好ましくない妊娠結果と関連性があることが明らかにされています。

  • 低出生体重
  • 早産
  • 分娩合併症
  • 先天性異常
  • など

しかし、妊娠中の亜鉛の補給が上記の結果を予防できるかについては、異なる結果がさまざまあり明確ではありません。そのため、妊娠を望む女性は、妊娠する前から(妊活中に)亜鉛不足の状態を改善させておくことが重要だと考えます。

亜鉛は、次のような理由によって、加齢黄斑変性の発症に関わっていると考えられています。

  1. 加齢黄斑変性で影響を受けた網膜に亜鉛が高濃度で見つかっている
  2. 加齢と共に網膜の亜鉛の含有量が減る
  3. 加齢と共に網膜での亜鉛依存性酵素の活動が低下する

ただし、亜鉛のみの補給による効果は限定的だと考えられています。

加齢性眼疾患研究(AREDS)で用いられた、次の処方が現在では、加齢黄斑変性の治療の標準となっています。

  • 抗酸化物質(ビタミンC、カロテンなど)
  • 亜鉛

糖尿病の患者には、軽度の亜鉛欠乏症があることが、しばしば観察されています。

しかし、糖尿病患者による亜鉛の追加補給は、血糖値コントロールに悪影響を示したとする報告があるなど、効果が示されていません。

そのため、糖尿病患者には、亜鉛を必要以上に摂ることは勧められていません。

亜鉛を多く含む食品

動物性の食品では、青魚や貝類や内臓肉に多く含まれています。

米国食品医薬品局(FDA)は、100g中に一日の必要量の10%以上を含んでいる時、その栄養素を豊富に含んでいると定義しています。

その基準でみると、上記のトップ20以外にもたくさんの食品に亜鉛が豊富に含まれています。

その他の栄養素との相互作用

1. 銅

1日に50mg以上となる大量の亜鉛を数週間に渡って摂取すると、銅の生物学的利用性に影響すると考えられています。

亜鉛の大量摂取によって、メタロチオネインというタンパク質が腸で合成されます。メタロチオネインは腸で銅に吸着し、銅の体内吸収を妨げます。

一方で、銅を大量に摂取しても亜鉛の吸収は妨げられません

詳しい銅の機能については『』をご参照ください。

2. 鉄分

食事から摂取する鉄分は問題を起こしません。

しかし、サプリメントで摂取する鉄分は、1日38~65mgで、亜鉛の吸収を減らすと考えられています。

1日に60mgを超える鉄分の摂取を妊婦や授乳婦に勧める専門家がいらっしゃるようですが、鉄分のサプリメントでの摂取は、亜鉛欠乏を招くので要注意です。

鉄分の亜鉛も食事から摂ることを基本にしてくださいね。

鉄分の詳しい機能については『鉄分』をご参照ください。

3. カルシウム

動物実験では、食事からのカルシウムを大量に摂取すると、亜鉛の吸収が低下したことが報告されていますが、ヒトでも同じことが起こるのかはまだ判っていません。

一方で、フィチン酸の多い食品(全粒穀類など)を多く食べている女性では、食事からカルシウムを1日1,800mg摂っても、亜鉛の吸収率に影響しなかったことが報告されています。フィチン酸がカルシウムと亜鉛の関係に影響している可能性があると研究者は述べています。

カルシウムの詳しい機能については『カルシウム』をご参照ください。

閉経後の女性に牛乳やサプリメントの形でカルシウムの摂取量を890mg増やしたところ(カルシウムの総摂取量は1日1,360mg)亜鉛の吸収率と体内の亜鉛バランスが低下したことが報告されています。

しかし、思春期の女性にカルシウムのサプリメントを1,000mg増加させて、総摂取量を1日1,667mgにしても、亜鉛の吸収率や体内の亜鉛バランスに影響がなかったことが報告されています。

ただし、生理が有るか無いかが、つまり、女性ホルモンの量がカルシウムと亜鉛の関係に影響するのかについて、明確なことはまだ判っていません。

4. 葉酸(フォレイト)

食事から摂った天然の葉酸の生物学的利用性(体内での利用可能性)は、亜鉛に依存しまています。亜鉛の摂取量が少ないと、葉酸の吸収率が減ります

一方で、葉酸を大量に摂取しても亜鉛の体内バランスは影響を受けず、同様に、亜鉛を大量に摂取しても葉酸のバランスは崩れないことが報告されています。

葉酸の維持には、亜鉛を多く摂ることよりも不足させないことが重要ですね。

葉酸の詳しい機能については『葉酸』をご参照ください。

5. ビタミンA

ビタミンAは、次のような多くの働きにおいて亜鉛を必要としています。

  • 血液中でビタミンAを輸送するタンパク質とビタミンAを結合させる
  • レチノールのレチナールへの変換に必要な酵素の合成(レチナールは、目で光を吸収して暗い場所で目を慣らさせるタンパク質ロドプシンの合成に必要)
  • 肝臓に貯蔵しているビタミンAの体内への放出
  • など

ビタミンAの詳しい機能については『ビタミンA』をご参照ください。

亜鉛のサプリメントの注意点

市販されている亜鉛サプリメントは、次の形態のものがほとんどです。

  • 酢酸亜鉛
  • グルコン酸亜鉛
  • ピコリン酸亜鉛
  • 硫酸亜鉛
  • など

最も吸収されやすい形態であると宣伝されていますが、ヒトにおいてこの主張を支持するデータはほとんどありません。

限定的な動物実験でのみ、亜鉛の排出を相殺できる可能性が示されているにとどまります。

風邪の症状を改善すると宣伝されているグルコン酸亜鉛のトローチ(Cold-EEZE)の効果は低い、または、全くないという研究結果が一貫して示されています。

ある研究では、亜鉛のトローチを使用した人の大多数に、味の悪さや吐き気などの副作用が起きてたことを報告しています。

亜鉛の点鼻薬を使用したヒトが無嗅覚症になった症例報告が複数あります

亜鉛による無嗅覚症は不可逆である(治らない)可能性があるため、亜鉛を含む点鼻薬や、ジェル、スプレーは避けるべきと、研究者は述べています。

なお、グルコン酸亜鉛の点鼻スプレー(鼻からの吸引)は、実験動物で嗅覚消失(無嗅覚症)を起こすことが知られています。

一方で、2025年に名古屋大学大学院環境労働衛生学と中国の浙江中医薬大学が共同で行った、マウスへの亜鉛点鼻試験では、明らかな副作用は認められなかったことから、ヒト換算した投与量である13μg未満の亜鉛であれば、理論的には、人間でも亜鉛の点鼻薬によってアレルギー症状を改善できるのではないかと述べています。

この研究だけでは、わたしは使う気持ちになれませんけどね・・・

次の医薬品は、亜鉛のサプリメントとの同時服用によって吸収が阻害されます。亜鉛自体の吸収も阻害されます。

  • テトラサイクリン系抗生物質
  • キノロン系抗生物質
  • ビスホスホネート(骨粗鬆症改善薬)

これらの医薬品と亜鉛のサプリメントの服用の間隔を2時間以上空けることで、相互作用を避けることができます。

ただし、亜鉛のサプリメントを服用している人は、必ずその旨、医師に伝えることをお忘れなく。

亜鉛過剰摂取による副作用

通常の食事の場合、摂りすぎることを心配する必要はありません。ただし、サプリメントで一度に多量の摂取すると次のような症状が起こります。

1. 急性毒性の症状

亜鉛の急性毒性には次のようなものがあります。

  • めまい
  • 頭痛
  • 腹痛/胃痛
  • 下痢
  • 吐き気/嘔吐
  • など

1回に225~450mgの亜鉛を摂取すると、通常、嘔吐が起こります。

1日に50~150mgをサプリメントで摂取すると、軽度の胃腸障害が起こることが報告されています。

2. 慢性的な過剰摂取の症状

亜鉛のサプリメントによる1日の摂取の総量が60mg以上になると、銅欠乏症の症状が現れます。詳しい銅欠乏症の症状については『』をご確認ください。

亜鉛を含む入歯接着剤の慢性的な使用(1回に17~34mgの亜鉛を含む接着剤を1週間に2本超使用)によって、銅欠乏症が発生したことが報告されています。

2016年9月にサイエンス誌『ネイチャー』に発表された論文によれば、亜鉛の摂りすぎは、腸内細菌相を変容させ、C. ディフィシル菌感染症に対する抵抗力を低下させ、重篤化させる可能性があることが報告されています。

C. ディフィシル菌は、抗生物質への耐性をもつ、難治な大腸炎を起こす病原菌です。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング