バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
心と体をつなぐホリスティックな食事法について、
ニュースレター登録者限定のキャンペーン情報等も配信しています。
ご登録は、こちらから
もれなく統合食養学(ホリスティック栄養学)冊子が無料ダウンロードできます
目次
ゴボウを食用にしているのは日本人だけ?
ゴボウは、欧州や中国で古くから薬として用いられてきたそうですが、食用として栽培しているのは日本だけなのだそうです。(中国や韓国の食用は日本から逆輸入されたもののようです。)
関東と関西のゴボウ
私は静岡県育ちで東京に住んでいるため、長いゴボウしか知りませんでしたが、関西のゴボウは短く、また「葉ゴボウ」というものがあることを知りました。
ゴボウの旬はいろいろ
- 関東産の長いゴボウの旬は、9月~1月(秋・冬)
- 夏ゴボウ(新ゴボウ)は、6月~8月
- 関西の葉ゴボウは、春先
と、ゴボウの種類によって季節も様々。ほぼ1年中楽しめるお野菜ですね。
ゴボウに多い食物繊維とは
ゴボウには食物繊維が豊富で、1日の必要量(13.3g)のなんと約43%(5.7g)が100g中に含まれています。その40%が水溶性食物繊維で、残りの60%が不溶性食物繊維です。
米国食品医薬品局(FDA)の定義によって、100g中に1日の必要量の10%以上の栄養素を含んでいる時、「豊富」という表現を用いることが許可されています。
食物繊維の正式な定義は、「非消化性炭水化物とリグニン」です。
リグニン
食物繊維の定義「非消化性炭水化物とリグニン」のリグニンとは、木質素と呼ばれるもので、ゴボウには、リグニンが含まれていることが報告されています。ゴボウの木の様な質感を作っているものです。
リグニンは不溶性食物繊維に分類されます。
イヌリン
イヌリンは、多糖類に分類される炭水化物です。水溶性食物繊維に分類されるのです。
私達ヒトは、イヌリンを消化分解する酵素をもっていないため、イヌリンを食べてもそのまま排出されます。つまり、イヌリンは非消化性炭水化物です。
ゴボウの食物繊維の約3.5%~4%がイヌリンだとする研究報告があり、ゴボウはイヌリンを多くもっている野菜のひとつに数えられています。
イヌリンの一部は、腸内細菌によって発酵されてオリゴ糖に変換されます。オリゴ糖もヒトには利用できない糖ですが、腸内細菌のエサとなるので善玉菌を増やす役割を果たしています。
イヌリンからオリゴ糖を栽培して栄養にしている腸内細菌は、まるで腸内を畑にしているみたいですね。
ゴボウの健康効果
ゴボウはその食物繊維の多さから便秘に良いことが知られていますが、ゴボウの力はそれだけではありません。近年、様々な抗酸化物質(ポリフェノール)もゴボウから見つかっています。
今回は、ゴボウの驚くべき健康効果についてお伝えします。
(裏付けとなっている研究論文は、参考文献として最後に一覧にしています。)
腸内環境改善
イヌリンは水溶性食物繊維なので水分を吸収してジェルのようになって、余分な糖や老廃物を吸着し体の外へ排出を促してくれます。そのため便秘が改善されると同時に悪玉菌の排除にも役立ちます。
また、上で説明した通り、イヌリンは腸内で発酵してオリゴ糖になり善玉菌の食べ物となるため、腸内で様々な善い働きをしてくれている善玉菌が増えることで、腸内環境が改善します。
善玉菌は、ビタミンDやビタミンKやビタミンB群や様々なホルモンを腸内で造ってくれている他、私達の代謝(エネルギー消費)にも大きく関わり、免疫機能の一部としての役割を果たしています。腸内環境が改善されることによって、便秘だけでなく、私達の健康を多方面に渡って大きく改善してくれることが期待できます。
ソフィアウッズ・インスティテュートでは腸内環境をボディエコロジーに沿って4つのステップで改善する方法をマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースで教えています。
大腸がん予防/抗がん作用
ゴボウに含まれているリグニン(不溶性食物繊維)が腸内の発がん性物質を吸着することが報告されています。
また、漢方薬(生薬)の牛蒡子(ゴボウシ=ゴボウの種)の薬効成分アルクチインが食用のゴボウにも含まれていることが報告されており、アルクチインには抗腫瘍作用があることが判っている成分です。
肝機能(デトックス)サポート
全てマウスを用いた動物実験ですが、ゴボウ茶あるいはゴボウに含まれているアルクチインが、様々な肝毒によってダメージを受けた肝臓の修復、肝硬変の改善に効果を示したことが報告されています。
また、ゴボウには、肝臓の解毒作用を促進する作用をもつルテオリンも含まれています。
このことからヒトにおいても、肝機能サポート作用があることが期待されています。
血糖値の改善(糖尿病予防と改善)
イヌリンは水分と一緒になるとジェル状になることから、胃から腸へ食物の移動をスムーズにし余分な糖の吸収を抑える働きがあることが報告されています。そのことで血糖値の急上昇を予防し、糖尿病の予防と改善に役立つと考えられています。
ムクミ・高血圧・動脈硬化の改善(心疾患予防と改善)
ゴボウの生薬成分アルクチインには、利尿作用があり体内の余分な水分の排出を促すことでムクミが改善されるだけでなく、高血圧の予防と改善にもなります。
それだけでなく、ゴボウにはカリウムが豊富に含まれています。
ゴボウは1日の必要量(2000mg)の約16%(320mg)を100g中に含んでいます。カリウムは体内の余分なナトリウムの排出を促すことで、やはり、ムクミを改善し、高血圧の予防と改善をしてくれるミネラルです。
ただし、ゴボウの利尿作用は本物なので、利尿剤を服用している場合には、脱水症状を起こす可能性があります。まずは医師・薬剤師にご相談くださいね。
更に、ゴボウには、血管を活性酸素によるダメージから守り、血管をしなやかにするケルセチンも含まれています。ケルセチンは、コレステロールを減少させ、動脈硬化を予防する働きがあるポリフェノールです。
炎症性疾患の改善
ケルセチンには、関節痛など炎症性の痛みを緩和する抗炎症作用があることから、変形性関節症の患者を対象とした研究がありました。
鎮痛剤アセトアミノフェンと治療薬グルコサミンを服用している変形性関節症の患者36名(50〜70歳、男性10人・女性26人)をランダムに次の2つのグループに分け症状を比較しています。
42日間、食事の30分後に
- ごぼう茶を3杯(1杯あたり150 ccのお湯に2gのゴボウ)飲むグループ
- 150ccの白湯を3杯飲むグループ
ゴボウ茶を飲み続けたグループの血中の炎症性マーカーが有意に低下したことが報告されています。
骨を作る
骨の重要な成分である、カルシウム、マグネシウム、リンがゴボウには含まれています。
1日に必要なカルシウム(550mg)とリン(800mg)の約8%(46mg、62mg)がゴボウ100g中に含まれています。「豊富」と呼べる10%には満たないものの、少ないわけでもありません。マグネシウムは1日の必要量(325mg)の23%(54mg)も含んでいます。こちらは十分に豊富です。
成長期のお子さんにも、骨粗鬆症が気になる年齢の人にも食べて欲しいお野菜です。
妊婦の栄養(胎児の成長)
細胞の再生に不可欠な栄養素である葉酸をゴボウは豊富に含んでいます。1日の必要量(200μg)の約34%(68μg)も含まれています。
葉酸を不足させないことが重要となる妊婦さんにとって、とても頼もしいお野菜のひとつです。
ただし、ゴボウのサプリメント(主成分アルクチイン)については、この限りではありません。妊婦さんと胎児への安全性が確認されているわけではありませんので、ゴボウを食事の中で食べることは構いませんが、サプリメントで摂ることは避けてください。
美肌(肌トラブルの改善)
ケルセチンは、ビタミンPとも呼ばれることがあるビタミンの様な働きをするポリフェノールです。主にビタミンCの働きを助けると考えられています。美肌以外のビタミンCの働きについては『ビタミンCは多く摂れば摂るほど美容効果と免疫力がアップするの嘘と本当』をご確認くださいね。
また、あまり多くはありませんが、ゴボウにはビタミンCも含まれているんですよ。1日に必要な量の約4%を含んでいます。
更に、お肌の抗酸化ビタミンとも呼ばれるビタミンEを豊富に含んでいます。1日に必要なαトコフェロール量(6mg)の10%(0.6mg)を含んでいます。詳しいビタミンEの働きについては『あなたのビタミンEはコンプリートですか?』もご参照ください。
もちろん上で紹介した通り、葉酸も豊富ですから、お肌のターンオーバーを助け、シミ予防にもなりますね。
また、アレルギー症状を押さえる作用のあるルテオリンがゴボウには含まれていますので、アレルギー性のお肌トラブルの改善にも期待できそうです。
余談ですが、ゴボウ抽出液をホメオパシーに用いた研究では、外用薬として用いることでニキビや軽度の火傷の改善に効いたとする報告があります。
花粉症・アレルギー症状の改善
花粉症やアレルギー症状の改善に効果があるとされる、ルテオリンとケルセチンの両方をゴボウは含んでいます。
治すところまでいかなくても、ゴボウを食事に加えてみることで症状が改善するかもしれません。
貧血予防・改善
ゴボウに含まれている鉄分は決して「豊富」とは言えませんが、1日の必要量(7.7mg)の約9%(0.7mg)を含んでいるので、まぁ、多いと言えるのではないでしょうか。
でもゴボウが貧血予防と改善に効くのは、豊富に含まれている銅のお陰です。
鉄分は体内でセルロプラスミンと呼ばれるタンパク質によって酸化されないとヘモグロビン(赤血球の成分)の合成に使うことができません。そしてこのセルロプラスミンを運んできてくれるのが、銅なんです。ですから、貧血の予防と改善には鉄分だけでなく銅も不可欠です。詳しい銅の働きについては『生命維持にとって不可欠な銅は多くても少なくても問題』をご参照ください。
ゴボウには1日の必要量(0.6mg)の3分の1以上、なんと35%(0.21mg)もの銅が含まれています。茹でても27%(0.16mg)も残っています。
幸せ体質になる(気分改善・うつ予防)
幸せ体質を造る上で不可欠な幸福ホルモン・セロトニンの材料となるビタミンB6とトリプトファンがゴボウには含まれています。
ビタミンB6は、1日の必要量(1mg)の約10%(0.1mg)が100g中に含まれています。トリプトファン(アミノ酸)は、100g中に約13mg含まれています。
トリプトファンの1日に必要な量は、体重1kgあたり4mgとされています。例えば、体重50kgの人なら200mg必要ということになります。ゴボウ100g中のトリプトファン13mgは、必要量の約7%となるので、決して豊富とは言えませんが、ゴボウだけで、両方摂れるなんて素敵ではありませんか?それに、トリプトファンは、大豆や肉類と一緒に食べれば十分に簡単に満たせてしまいます。
また、先に紹介した様に、ゴボウにはマグネシウムが豊富です。マグネシウムは体内で幸せホルモン(セロトニン)などの神経伝達物質が正常に伝達されることを助けています。
つまり、ゴボウにはセロトニンを造る材料が含まれているだけでなく、セロトニンがちゃんと体内で機能するための成分も含んでいると言えます。
落ち込んだ時には、ゴボウですね!
ゴボウだけでなく、根本(こんぽん)から幸せ体質を造る詳しい方法については、マインドボディメディシン講座セルフドクターコースで教えています。
おまけ:男性不妊改善?⇒ 更年期症状の改善?
中国ではゴボウは、男性のEDと不妊症を治療するため、あるいは、伝統的には媚薬として用いられていたそうです。また、米国インディアンは、妊婦の分娩を促す薬として用いていたそうです。
しかしその効果や安全性については、科学的には検証されていません。
マウスを用いて検証しようとした研究では、ゴボウの水溶性抽出物を約2週間与えた雄のテストステロン値が上昇し、有効な生殖行動が活発になったことが報告されています。
研究者はゴボウには媚薬効果があることに期待しているようです。
東洋医学の薬膳では、更年期症状を改善する食品のひとつとしてゴボウが用いられます。主に解毒のために用いられるのですが、ヒトに対してもゴボウにテストステロン値を上昇させる効果があるとしたら、確かに、更年期症状の改善のための食養になります。
更年期については、『更年期症状の予防と改善のための統合食養学的アプローチ』をご参照いただく他、マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、症状ごとの食事による詳しい改善法について教えています。
ゴボウの保存方法
ゴボウは乾燥に弱いので、できれば泥つきのゴボウを購入すると乾燥予防になります。新聞紙に包んで野菜室で保管しましょう。庭がある人は、ゴボウの頭を少し出して土に埋めておくと栄養を損なわずに長期保存できます。
泥が洗われているゴボウは、湿らせた新聞紙で包んでポリ袋などに入れて野菜室へ。できるだけ早く食べてしまいましょう。
どちらにしても、風通しの良いところは避けましょう。
さて、ゴボウ・・地味なお野菜ですけど、見直しましたか?
お花はこんなに可愛らしいんですよ。アザミに似ていますね。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
プライベート・ヘルスコーチング・プログラムについて
お気軽にご相談ください。
初回相談を無料でお受けしています。
あるいは、ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースで学びませんか?セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。
新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。
心と体をつないで健康と幸せを手に入れる
ニュースレターのご登録は、こちらから
統合食養学(ホリスティック栄養学)冊子が無料ダウンロードできます
参考文献
- “Position of the Academy of Nutrition and Dietetics: Health Implications of Dietary Fiber”, Wendy J Dahl, Maria L Stewart, J Acad Nutr Diet, 2015 Nov;115(11):1861-70. doi: 10.1016/j.jand.2015.09.003, PMID: 26514720
- “On the presence of inulin and oligofructose as natural ingredients in the western diet”, J van Loo 1, P Coussement, L de Leenheer, H Hoebregs, G Smits, Crit Rev Food Sci Nutr, 1995 Nov;35(6):525-52. doi: 10.1080/10408399509527714, PMID: 8777017
- “Metabolic profile of the bioactive compounds of burdock (Arctium lappa) seeds, roots and leaves”, Rosalia Ferracane, Giulia Graziani, Monica Gallo, Vincenzo Fogliano, Alberto Ritieni, Volume 51, Issue 2, 20 January 2010, Pages 399-404, Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis https://doi.org/10.1016/j.jpba.2009.03.018
- “Effects of Arctium lappa L. (Burdock) root tea on inflammatory status and oxidative stress in patients with knee osteoarthritis”, Leila Maghsoumi-Norouzabad, Beitollah Alipoor, Reza Abed, Bina Eftekhar Sadat, Mehran Mesgari-Abbasi, Mohammad Asghari Jafarabadi, 28 October 2014, International Journal of Rheumatic Diseases, https://doi.org/10.1111/1756-185X.12477Citations: 30
- “A review of the pharmacological effects of Arctium lappa (burdock)”, Yuk-Shing Chan, Long-Ni Cheng, Jian-Hong Wu, Enoch Chan, Yiu-Wa Kwan, Simon Ming-Yuen Lee, George Pak-Heng Leung, Peter Hoi-Fu Yu & Shun-Wan Chan, 28 October 2010, Inflammopharmacology, volume 19, pages245–254 (2011)Cite this article
- “Observational study of Arctium lappa in the treatment of acne vulgaris”, Anjali Miglani, Raj K Manchanda, Homeopathy, 2014 Jul;103(3):203-7. doi: 10.1016/j.homp.2013.12.002, PMID: 24931753
- “Effect of aqueous extract of Arctium lappa L. (burdock) roots on the sexual behavior of male rats”, Cao JianFeng, Zhang PengYing, Xu ChengWei, Huang TaoTao, Bai YunGui & Chen KaoShan, BMC Complementary and Alternative Medicine volume 12, Article number: 8 (2012) https://doi.org/10.1186/1472-6882-12-8
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング