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バイオ個性で食べて健康と幸せを手に入れるホリスティック栄養学ヘルスコーチ

意図しない急な体重減少が起きたら疑うべき病気

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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体重が減るのはいいこと?

意図せずに体重が減ったら「ラッキー!」と思いますか?その程度にもよりますが、理由に心当たりがない急な体重減少は深刻な病気のサインかもしれません。

今回のブログ記事は、意図しない体重減少についてお伝えします。

意図しない急な体重減少の正式な医療用語は、「クシア(cachexia)」です。「ケ」にアクセントがあります。

和名は「悪液質」です。体重が激減することが「悪液」ってどういう意味?となりますが、「悪液質」と聞いて、ヒポクラテスの「体液病理説」や「四体液説」を想起したのは、私だけじゃないのではないでしょうか。

「体液病理説」は、体全体の体液のバランスや状態が乱れることで病気になるとする学説で、ひとつの現象だけを見るのではなく、体全体を診なくてはいけないことを説いているホリスティック医療の概念です。

独り言です。もし、「悪液質」という日本名がヒポクラテスの「体液病理説」から命名されたのであれば、「カへキシー」という別の日本語名もギリシャ語が語源なのでしょうか?「cachexia」がなぜ「カヘキシー」になるのか不思議なんですよね・・。

日本語名はさておき・・

カケクシアとは

カケクシアは、弱々しくやせ細ってしまった状態を指す言葉です。病名ではありません。病気によって引き起こされる状態/症状を指します。

高齢者や、長期に渡る闘病、認知症の人などによく見られると言ったら、イメージできる人もいるのではないでしょうか。

やせ細るのは、十分に食事をしていないからだろうと思っている人が多いですが、そうではありません。カケクシアは、かなり複雑で深刻な「消耗性症候群」なんです。栄養失調とは異なり、筋肉組織の分解と体脂肪の喪失を伴う、体の代謝機能の不全が関係しています。そのため、カケクシアの改善には、代謝機能の恒常性を回復させ、炎症を抑え、栄養素が体に適切に吸収されるようにするための医療による介入が必要となります。

たくさん食べれば良いわけではないのです。

カケクシアの特徴的な症状

カケクシアの特徴的な症状には次のようなものが含まれます。

  • 顕著な体重減少
  • 筋肉消耗
  • 虚弱
  • 食欲不振

など

栄養失調とどう違うの?

栄養失調によってもやせ細りますが、栄養失調は、カケクシアではありません。栄養失調によるやせ細りは、適切な食事をすれば治ります

代謝機能が正常に働いていないことがカケクシアの原因ですから、カケクシアは食べても治りません。カロリーが足りていない訳でも、偏食が原因でもありません。

ただ、食欲不振や偏食が代謝機能の不全から起きているのだとしたら、カケクシアの可能性が高いです。

高齢者がやせ細るのは自然現象?

カケクシアは、確かに高齢者によくみられます。そのため、加齢による自然な現象だと思われがちですが、違います。やせ細っていない80代はたくさんいらっしゃいます。

カケクシアは、年齢に関係なく発症します。子供にも若者にも起きます。(ただし、子供にカケクシアがみられる時は、がんを発症しているケースが多いです。)

高齢者に多くみられる理由は、加齢が原因なのではなく、長年の慢性疾患や慢性炎症が原因です。病気による嚥下障害や食事を飲み込む時の不快感が原因することもあります。また、サルコペニアと呼ばれる筋肉機能の低下によってもカケクシアは起こります。サルコペニアによってカケクシアが起こっている場合には、重篤な病気がある可能性が高いです。

サルコペニアの原因

ちなみに、サルコペニアの主な原因は、糖尿病です。男性では性腺機能低下症も含まれます。 また、次の要因もサルコペニアの原因となります。

  • 筋力運動不足/身体機能の低下(運動に関わる神経細胞の減少)
  • 血行不良(有酸素運動不足)
  • 生活習慣病(糖尿病を含む、体内炎症性の慢性疾患)
  • 体重減少
  • ビタミンD不足(日光浴不足)
  • 甲状腺ホルモンの減少

などです。

糖尿病とカケクシアとの関係については、後にお伝えします。

カケクシアの体内で起きていること

カケクシアの体内では、エネルギーを造り活用する正常な体の代謝バランスが混乱状態に陥っています。

何らかの病気がある時、免疫細胞は炎症性物質(サイトカイン)を放出し、病気と戦い始めます。しかしその戦いが長期に渡ると、興奮状態に陥った免疫細胞は大量のサイトカインを放出するようになり、病体だけでなく、通常細胞や臓器まで爆撃の対象となり体内に大火事を起こします。そして、体は、サバイバルモードに切り替わり、筋肉と脂肪を分解しエネルギーに変え、脅威と戦おうとし始めてしまいます。その結果、筋肉や脂肪の分解によって、筋肉消耗や意図しない体重減少が起こります。

更に、炎症性物質は、筋肉を造るために不可欠なタンパク質の吸収を困難にするため、筋肉量はどんどん減少していきます。

カケクシアは、停電が起きた時に、家を壊して、柱を燃やして明かりを燈しているようなものです。

カケクシアの体内で増加していることが報告されている主な炎症性物質は、IL-6(インターロイキン6)とTNFα(腫瘍壊死因子α)です。IL-6とTNFαは、血液検査で測ることができます。

カケクシアを改善するためには、体内炎症を抑えること、つまり、炎症性物質のIL-6とTNFαなどを減少させることが有効で、かつ、重要だと考えられています。

しかし、炎症性物質を減らしただけでは、カケクシア自体を治すことはできません。カケクシアを治すためには、その引き金となった慢性疾患/基礎疾患を治す必要があります。

カケクシアを起こすリスクの高い病気

カケクシアを高い確率で引き起こす病気について、次にお伝えします。

糖尿病

糖尿病の神経痛や高血糖がカケクシアを起こすと考えられがちですが、高血糖自体は、直接的には、カケクシアを起こしません。高血糖は、カケクシアを悪化させる要因ですが、原因ではないのです。

II型糖尿病がある人は、インスリン抵抗性をもっています。インスリン抵抗性とは、体内の細胞がインスリンに反応しないことを意味します。インスリンが分泌されているのにも関わらず、血糖値が下がらない状態です。このインスリン値の高い状態が、筋肉を分解し、ブドウ糖をエネルギーとして利用することを妨げ、やせ衰えを起こすのです。

糖尿病による神経痛は、血糖値の不安定さから体内に炎症が起こることで発生します。神経痛によって運動に関わる神経細胞が損傷し、また痛みもあるため、運動することが困難になり、筋肉が衰えます。

前述したように、糖尿病はサルコペニアの主な原因です。そして、サルコペニアは、カケクシアを起こす主な原因のひとつです。

更に、腎臓病を併発すると、カケクシアになるリスクは更に高まります。

このように糖尿病によるカケクシアは多面的なんです。

糖尿病によるカケクシアの改善

大前提として、血糖値を安定させることが必要です。そのための医療による助けが必要です。薬は忘れずに飲みましょう。

  • 筋肉を維持するために、たんぱく質豊富な食事を心がけましょう(ただし腎臓病を併発している場合を除く)
  • できる範囲で運動をしましょう。
  • メトフォルミンの服用によって不足してしまうビタミンB12を補うために、貝類などビタミンB12豊富な食品を意識して食べましょう。ビタミンB12豊富な食品については『ビタミンB12』をご確認ください。

その他、糖尿病の予防改善にとって好ましい食事や食品については、『糖尿病』をご参照ください。また、『心疾患・糖尿病』に掲載している記事や、IN YOUに提供した『インスリンとスタチンの代わりになる食品』も併せてご参照ください。

心臓・腎臓・肺の慢性疾患

心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、腎臓病などの慢性疾患も、カケクシアになるリスクを高めます。

カケクシアを予防するためには、慢性疾患を適切に治療すること、悪化させないことが最良な方法となります。

心疾患や肺の健康にとって良い食事や食品については次の記事をご参照ください。

また、IN YOUに提供した『インスリンとスタチンの代わりになる食品』も併せてご参照ください。

認知症

カケクシアは、末期の認知症で起こることが多いです。認知症も脳細胞の炎症によって起こる、炎症性疾患のひとつと言えます。

食欲に関係する脳機能の変化によってカケクシアが起こります。食事を拒否する行動として現れ、体重減少と筋肉消耗が起こります。

認知症予防の食事や食品については、次の記事をご参照ください。

また『認知症』に掲載している記事もご参照ください。

自己免疫疾患

がん

副甲状腺機能亢進症

カケクシアのための基本の食事

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ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

意図しない急激な体重減少のカケクシアは、その後ろに重大な病気の可能性を秘めています。

今回お伝えしてきた通り、原因はひとつではありませんし、食事が足りていないわけでもありません。

ただ共通して言えることは、体内炎症による代謝機能の不全です。

今回の記事が大きな病気の発見や、カケクシアの改善にとってお役に立てていれば嬉しいです。そして、もし、おひとりで取り組むことに不安や困難があるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング

Author: Chise

森智世(もりちせ) | 公認 統合食養ヘルスコーチ(Certified Integrative Nutrition Health Coach) / ソフィアウッズ・インスティテュート代表 / 米国代替医療協会(AADP) 公認ホリスティック・ヘルスコーチ / 女子栄養大学 食生活指導士 / 国際ヘルスコーチ協会 公認国際ヘルスコーチ/ 経営学修士(MBA)| ひとりひとりのバイオ個性に着目したポストモダンでホリスティックな食事法を推奨し、マインド・ボディ・コネクション(心と体のつながり)を食を通して実現します。また、私達を取り巻くすべての環境 - 人間関係、仕事などの社会環境、自然環境、体内環境(マイクロバイオーム) - を考慮するボディ・エコロジストです。長期に渡り過ごした米国やヨーロッパの情報も、判りやすく解説を入れて配信していきます。厚生労働省「健康寿命をのばそう」プロジェクトメンバー / 目黒区男女平等共同参画審議会委員 / 日経ウーマンオンライン連載コラム『ホリスティック美女講座』執筆。食事法や健康などご相談のある方やヘルスコーチングを受けてみたい方は初回コンサルテーション(無料)にお申し込みくださいね!

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