意図しない急な体重減少が起きたら疑うべき病気

2023/11/07/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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体重が減るのはいいこと?

意図せずに体重が減ったら「ラッキー!」と思いますか?その程度にもよりますが、理由に心当たりがない、急な体重減少は深刻な病気のサインかもしれないのです。

今回のブログ記事は、意図しない体重減少についてお伝えします。なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。

意図しない急な体重減少の正式な医療用語は、「クシア(cachexia)」です。「ケ」にアクセントがあります。

和名は「悪液質」です。体重が激減することが「悪液」ってどういう意味?となりますが、「悪液質」と聞いて、ヒポクラテスの「体液病理説」や「四体液説」を想起したのは、私だけじゃないのではないでしょうか。

「体液病理説」は、体全体の体液のバランスや状態が乱れることで病気になるとする学説で、ひとつの現象だけを見るのではなく、体全体を診なくてはいけないことを説いているホリスティック医療の概念です。

独り言です。もし、「悪液質」という日本名がヒポクラテスの「体液病理説」から命名されたのであれば、「カへキシー」という別の日本語名もギリシャ語が語源なのでしょうか?「cachexia」がなぜ「カヘキシー」になるのか不思議なんですよね・・。

日本語名はさておき・・

カケクシアとは

カケクシアは、弱々しくやせ細ってしまった状態を指す言葉です。病名ではありません。病気によって引き起こされる状態/症状を指します。

高齢者や、長期に渡る闘病、認知症の人などによく見られると言ったら、イメージできる人もいるのではないでしょうか。

やせ細るのは、十分に食事をしていないからだろうと思っている人が多いですが、そうではありません。カケクシアは、かなり複雑で深刻な「消耗性症候群」なんです。栄養失調とは異なり、筋肉組織の分解と体脂肪の喪失を伴う、体の代謝機能の不全が関係しています。そのため、カケクシアの改善には、代謝機能の恒常性を回復させ、炎症を抑え、栄養素が体に適切に吸収されるようにするための医療による介入が必要となります。

たくさん食べれば良いわけではないのです。

カケクシアの特徴的な症状

カケクシアの特徴的な症状には次のようなものが含まれます。

  • 顕著な体重減少
  • 筋肉消耗
  • 虚弱
  • 食欲不振

など

栄養失調とどう違うの?

栄養失調によってもやせ細りますが、栄養失調は、カケクシアではありません。栄養失調によるやせ細りは、適切な食事をすれば治ります

代謝機能が正常に働いていないことがカケクシアの原因ですから、カケクシアは食べても治りません。カロリーが足りていない訳でも、偏食が原因でもありません。

ただ、食欲不振や偏食が代謝機能の不全から起きているのだとしたら、カケクシアの可能性が高いです。

高齢者がやせ細るのは自然現象?

カケクシアは、確かに高齢者によくみられます。そのため、加齢による自然な現象だと思われがちですが、違います。やせ細っていない80代はたくさんいらっしゃいます。

カケクシアは、年齢に関係なく発症します。子供にも若者にも起きます。(ただし、子供にカケクシアがみられる時は、がんを発症しているケースが多いです。)

高齢者に多くみられる理由は、加齢が原因なのではなく、長年の慢性疾患や慢性炎症が原因です。病気による嚥下障害や食事を飲み込む時の不快感が原因することもあります。また、サルコペニアと呼ばれる筋肉機能の低下によってもカケクシアは起こります。サルコペニアによってカケクシアが起こっている場合には、重篤な病気がある可能性が高いです。

サルコペニアの原因

ちなみに、サルコペニアの主な原因は、糖尿病です。男性では性腺機能低下症も含まれます。 また、次の要因もサルコペニアの原因となります。

  • 筋力運動不足/身体機能の低下(運動に関わる神経細胞の減少)
  • 血行不良(有酸素運動不足)
  • 生活習慣病(糖尿病を含む、体内炎症性の慢性疾患)
  • 体重減少
  • ビタミンD不足(日光浴不足)
  • 甲状腺ホルモンの減少

などです。

糖尿病とカケクシアとの関係については、後にお伝えします。

カケクシアの体内で起きていること

カケクシアの体内では、エネルギーを造り活用する正常な体の代謝バランスが混乱状態に陥っています。

何らかの病気がある時、免疫細胞は炎症性物質(サイトカイン)を放出し、病気と戦い始めます。しかしその戦いが長期に渡ると、興奮状態に陥った免疫細胞は大量のサイトカインを放出するようになり、病体だけでなく、通常細胞や臓器まで爆撃の対象となり体内に大火事を起こします。そして、体は、サバイバルモードに切り替わり、筋肉と脂肪を分解しエネルギーに変え、脅威と戦おうとし始めてしまいます。その結果、筋肉や脂肪の分解によって、筋肉消耗や意図しない体重減少が起こります。

更に、炎症性物質は、筋肉を造るために不可欠なタンパク質の吸収を困難にするため、筋肉量はどんどん減少していきます。

カケクシアは、停電が起きた時に、家を壊して、柱を燃やして明かりを燈しているようなものです。

カケクシアの体内で増加していることが報告されている主な炎症性物質は、IL-6(インターロイキン6)とTNFα(腫瘍壊死因子α)です。IL-6とTNFαは、血液検査で測ることができます。

カケクシアを改善するためには、体内炎症を抑えること、つまり、炎症性物質のIL-6とTNFαなどを減少させることが有効で、かつ、重要だと考えられています。

しかし、炎症性物質を減らしただけでは、カケクシア自体を治すことはできません。カケクシアを治すためには、その引き金となった慢性疾患/基礎疾患を治す必要があります。

カケクシアを起こすリスクの高い病気

カケクシアを高い確率で引き起こす病気について、次にお伝えします。

糖尿病

糖尿病の神経痛や高血糖がカケクシアを起こすと考えられがちですが、高血糖自体は、直接的には、カケクシアを起こしません。高血糖は、カケクシアを悪化させる要因ですが、原因ではないのです。

II型糖尿病がある人は、インスリン抵抗性をもっています。インスリン抵抗性とは、体内の細胞がインスリンに反応しないことを意味します。インスリンが分泌されているのにも関わらず、血糖値が下がらない状態です。このインスリン値の高い状態が、筋肉を分解し、ブドウ糖をエネルギーとして利用することを妨げ、やせ衰えを起こすのです。

糖尿病による神経痛は、血糖値の不安定さから体内に炎症が起こることで発生します。神経痛によって運動に関わる神経細胞が損傷し、また痛みもあるため、運動することが困難になり、筋肉が衰えます。

前述したように、糖尿病はサルコペニアの主な原因です。そして、サルコペニアは、カケクシアを起こす主な原因のひとつです。

更に、腎臓病を併発すると、カケクシアになるリスクは更に高まります。

このように糖尿病によるカケクシアは多面的なんです。

糖尿病によるカケクシアの改善

大前提として、血糖値を安定させることが必要です。そのための医療による助けが必要です。薬は忘れずに飲みましょう。

  • 筋肉を維持するために、たんぱく質豊富な食事を心がけましょう(ただし腎臓病を併発している場合を除く)
  • できる範囲で運動をしましょう。
  • メトフォルミンの服用によって不足してしまうビタミンB12を補うために、貝類などビタミンB12豊富な食品を意識して食べましょう。ビタミンB12豊富な食品については『ビタミンB12』をご確認ください。

その他、糖尿病の予防改善にとって好ましい食事や食品については、『糖尿病』をご参照ください。また、『心疾患・糖尿病』に掲載している記事や、IN YOUに提供した『インスリンとスタチンの代わりになる食品』も併せてご参照ください。

心臓・腎臓・肺の慢性疾患

心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、腎臓病などの慢性疾患も、カケクシアになるリスクを高めます。

カケクシアを予防するためには、慢性疾患を適切に治療すること、悪化させないことが最良な方法となります。

心疾患や肺の健康にとって良い食事や食品については次の記事をご参照ください。

また、IN YOUに提供した『インスリンとスタチンの代わりになる食品』も併せてご参照ください。

認知症

カケクシアは、末期の認知症で起こることが多いです。認知症も脳細胞の炎症によって起こる、炎症性疾患のひとつと言えます。

食欲に関係する脳機能の変化によってカケクシアが起こります。食事を拒否する行動として現れ、体重減少と筋肉消耗が起こります。

認知症予防の食事や食品については、次の記事をご参照ください。

また『認知症』に掲載している記事もご参照ください。

自己免疫疾患

リウマチ関節炎などの自己免疫疾患などでみられる慢性的な体内炎症は、カケクシアが起こるリスクを高めます。

自己免疫疾患の症状の緩和に寄与する食事については、次の記事をご参照ください。

がん

カケクシアは、抗がん治療に対する反応の低下など、がんの予後不良の一因となります。現在、がんで起きるカケクシアを治療するための、承認された治療法はほとんどありません。しかし、さまざまな研究と臨床試験の増加によって、がんによるカケクシアの治療の見通しは、改善されつつあります。

詳しいことは、あなたの主治医に確認することをお勧めします。ヘルスコーチの私がここでできることは、基本的な情報を提供することです。

がんで起こるカケクシアは、がん細胞の存在に対する次のような体の複雑な反応の結果として起こります。

  • 炎症性反応|多くのがんは、全身に炎症性反応を引き起こします。免疫細胞が造り出した炎症性物質が筋肉消耗と体重減少を起こします。
  • がん細胞による栄養の略奪|がん細胞は、大量のエネルギーを必要とするため、通常細胞から栄養を盗み成長します。通常細胞への栄養の枯渇によって、筋肉が消耗し体重減少が起こります。
  • 食欲の変化|がん細胞自体、あるいは、がん治療によって、食欲に変化が生じます。エネルギー消費量が増加するのと同時に、腸での栄養吸収・消化、腸に留まる時間が変わることによって、食欲が減退します。

カケクシアの3つのステージ

がんによるカケクシアには次の3つのステージがあります。

  1. 前カケクシア
  2. カケクシア
  3. 難治性カケクシア

難治性カケクシアと診断される時は、余命3ヶ月以内になった時です。

がんと戦っている免疫細胞や通常細胞に十分な栄養を与える必要があります。ただし、がん細胞の栄養とならず、免疫細胞と通常細胞のみをサポートできる食事バランスと食品の選択が重要となります。免疫細胞が必要とする栄養素は、がん細胞にとっても必要な栄養素であることが多いため、がんの食事療法は非常に難しくなります。

詳しくは、『がん細胞と免疫細胞の栄養争奪戦』をご確認ください。また、『がん』に掲載の食品も併せてご参照ください。

点滴で栄養補給することも選択肢となるでしょう。また、疼痛管理や精神的なサポートを受けることが重要になります。

副甲状腺機能亢進症

副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺が副甲状腺ホルモンを造りすぎてしまうことで起こります。もし放置されれば、骨と筋肉が分解されていってしまいます。

カケクシアのリスク要因として考えられることが少ない病気ですが、筋肉消耗が起こりやせ細っていきます。

もし前述した病気に心当たりがないのにも関わらず、急激な体重減少が起きた時には、副甲状腺機能の亢進をひとつの可能性として検査してもらってくださいね。

副甲状腺機能亢進症は、治療可能な病気です。

カケクシアのための基本の食事

私たちは一人ひとり異なります。それを統合食養学は「バイオ個性」と呼びます。

それは、あなたにとっての薬が、他の人にとって毒になるかもしれないこと、他の人にとっての薬が、あなたにとって毒になるかもしれないことを意味します。

それを踏まえた上で、カケクシアを改善するための次の食事をお伝えします。

1. 栄養ドリンク/スムージーの活用

素早い栄養補給のために、栄養ドリンク/スムージーを活用することが選択肢となるでしょう。

統合食養学は、原則的には、食事を液体に置き換えることを勧めません。食事はあくまでも噛んで食べるものです。

しかし、カケクシアは、栄養の吸収と活用などの代謝機能が不全になっているため、その両方を助けるためには、スムージーなど消化吸収に大きな負担とならない方法が選択肢となり得ます。

前述したように、カケクシアの原因となっている疾患は様々です。

その疾患の改善をサポートし、あなたのバイオ個性に沿った適切な食品を選び、スムージーなどにして、食事に加えることをお勧めします。

また、食欲不振がある場合にも、液体であれば、多少抵抗感を和らげられるのではないでしょうか。

スムージーの作り方については『スムージー解剖図』をご確認ください。

2. 魚油

魚油に含まれているオメガ3不飽和脂肪酸には、抗炎症作用があります。そのため、食事に加えるだけでなく、カケクシアが起きている際には、サプリメントとしても摂取することが選択肢となるでしょう。

がんによるカケクシアの改善のために推奨されている EPAの量は、1日約2,000mgです。ただし、効果があるとする量については、研究によってバラツキがあることをお伝えしておきます。また、多くの研究が、2~3か月継続して摂取する必要があると述べています。

3. 抗炎症性の食品

炎症性物質のIL-6とTNFαを減少させることが報告されている食品と成分は次の通りです。

こうした食品をスムージーに混ぜても良いですね。以前、詳しい説明を記事にしたものは、リンクしましたので、併せてご確認ください。

その他、抗炎症性の食事については『体内炎症を減らす食品』をご参照ください。

4. アミノ酸ロイシンとHMB

カケクシアなどによる筋肉消耗の改善効果が示されているのは、アミノ酸の中でもロイシンとよばれる必須アミノ酸と、そのロイシンから造られる「3-ヒドロキシイソ吉草酸(HMB)」とよばれる物質です。HMBが筋肉を分解するいくつかの物質の作用を弱めることが報告されています。

また、HMBは、ロイシンよりも即効性があると考えられていて、カケクシアの改善には、1日に3g摂ることが推奨されています。HMBは、サプリメントとして購入できるようです。

また、がん専門医は、がん患者の筋力維持のためには、HMBとグルタミンとアルギニンを一緒に、4週間以上、摂取することを勧めています。ただし、がん患者のタンパク質の摂取については注意も必要です。詳しくは『がん予防・治療をサポートする食事の構成』をご確認ください。

肉類・魚類・豆類で、ロイシンを多く含んでいる食品の中で、アルギニンとグルタミン酸も多く含んでいる食品を調べてみました。厚生労働省の食品成分データベースには「グルタミン」の登録がないため、「グルタミン酸」で調べています。グルタミンはグルタミン酸から体内でも造られるアミノ酸です。

  • 数の子
  • 大豆(粉末、凍り豆腐、湯葉)
  • 煮干し(トビウオ、鰹、鰯、鯖、たら、貝柱)
  • スルメ
  • ふかひれ
  • 桜エビ
  • ビーフジャーキー

煮干しってカルシウム源のイメージが強いですが、優秀なタンパク源、特に、筋肉量の維持にとって重要な食品ですね。

5. NSAIDs

NSAIDsは、非ステロイド性抗炎症薬のことです。イブプロフェンアスピリンなどがこのカテゴリーに含まれます。(アセトアミノフェンはNSAIDsではありません。)

このNSAIDsの鎮痛薬が、カケクシアに伴う炎症の改善に効果があることが報告されています。

イブプロフェンとアスピリンの副作用や効果などについては、『イブプロフェン』『アスピリン』をご参照ください。

6. 避けるべき食品

  • 超加工食品(食品添加物、白砂糖などが使用されている食品)
  • アルコール
  • カフェイン

詳しくは『体内炎症を起こす食品』をご確認ください。なお、白砂糖が体内炎症を誘発することについては『白砂糖』をご確認ください。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

意図しない急激な体重減少のカケクシアは、その後ろに重大な病気の可能性を秘めています。

今回お伝えしてきた通り、原因はひとつではありませんし、食事が足りていないわけでもありません。

ただ共通して言えることは、体内炎症による代謝機能の不全です。

必要なことは、引き金となった病気を適切に治療すること、そして、体内の炎症を軽減する食事と、筋力を低下させないための食事と運動です。

今回の記事が大きな病気の発見や、カケクシアの改善にとってお役に立てていれば嬉しいです。そして、もし、おひとりで取り組むことに不安や困難があるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング