バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
葉酸は、妊婦さんに積極的に摂ることが勧められている栄養素のひとつですが、葉酸をサプリメントから摂る場合には気を付けなければならない重大なことがあります。
今回は、そんなことも含め、葉酸という栄養素についてお伝えします。
葉酸の食事摂取基準(2020)
成人の一日の摂取基準です。男女ともに同じです。
- 必要量:200μg
- 推奨量:240μg
- 限界量:900~1,000μg
葉酸の性質
葉酸は、水溶性のビタミンで、ビタミンB群に含まれる栄養素の一つです。「葉酸」という名前の他に、「ビタミンB9」とも「ホラシン」とも呼ばれる栄養素です。
食品中の葉酸の大半は、酵素たんぱく質と結合した状態で存在しています。そのため、加熱調理によって活性が失われやすいのが特徴です。
体内利用率は低い
葉酸が体内で利用可能な状態になるためには、次のような様々なハードルが存在しています。
- 胃酸による酵素タンパク質からの遊離
まず、葉酸は、胃で胃酸の働きによって酵素たんぱく質から遊離されます。
しかし、それぞれの食品に含まれているその他の成分の組み合わせによって、タンパク質からの遊離されやすさには違いが生じます。 - 腸内の酵素による分解
胃酸によって遊離した葉酸は、腸内の酵素によって分解されます。 - 小腸の上皮細胞で吸収
しかし、葉酸が細胞膜を通過するのには、特殊な輸送体(トランスファータンパク質)が必要です。
葉酸の機能
メチル基の運搬
核酸やアミノ酸の代謝の過程に必要となる炭素残基(例:メチル基)の輸送を仲介していると考えられています。
例えば、メチル基は、遺伝子の発現やさまざまなタンパク質が体内で機能する上で必要な「メチル化」にとって不可欠なものです。
残基|分子構造にくっついている主要構造以外の部分
DNAの合成とメチオニンの代謝
葉酸は、DNAの合成とメチオニンの合成に重要な役割を果たしています。
メチオニンは、DNA、RNA、タンパク質、リン脂質などが体内で利用できるようにする「メチル化」と呼ばれる作用に必要な成分(Sアデノシルメチオニン、SAM)の合成に必要なアミノ酸です。
DNAのメチル化は、遺伝子発現や細胞の分化にとって、不可欠な作用です。DNAの正常なメチル化が損なわれることは、がんの発症と関係していると考えられています。
アミノ酸の代謝
葉酸は、メチオニン、システイン、セリン、グリシン、ヒスチジン等の重要なアミノ酸の代謝が正常に行われるために必要なビタミンです。
メチオニンが正しく、もうひとつのアミノ酸システインに代謝されるためには葉酸が必要です。この時、葉酸が不足すると、メチオニンはホモシステインという毒性のあるアミノ酸に変換されてしまいます。
そして、毒性のあるアミノ酸ホモシステインをメチオニンに戻すためにも、やはり葉酸が必要です。
葉酸(とビタミンB12)の欠乏は、体内のメチオニンの減少とホモシステインの蓄積を起こします。ホモシステインの血中濃度が高くなると、心血管疾患および認知症を含むいくつかの慢性疾患の発症リスクが上昇すると考えられています。
葉酸の働き
お肌のシミ予防
葉酸は細胞の再生に関わっているビタミンです。
お肌のターンオーバーには欠かせません。シミ予防には葉酸の多い食品を食べると効果的です。
妊娠中の女性にシミができやすいのは、胎児の成長に葉酸が奪われることで、自身の皮膚細胞の再生のための葉酸が不足することが原因のひとつだと考えられています。
胃腸炎の予防
葉酸は、腸管粘膜の細胞の新生にも関わっています。
そのため、不足すると潰瘍の原因となることがあります。
心疾患予防
葉酸は、アミノ酸システインがメチオニンに代謝されるために必要なビタミンです。葉酸が不足し、血中に毒性のあるホモシステインの濃度が高くなると、心血管疾患リスクが高くなります。
葉酸を十分に摂取している人ほど、循環器系疾患を起こすリスクが低下することが判っています。
認知症予防
血中のホモシステインの濃度が高いほど、認知症/アルツハイマー型認知症の発症リスクと高くなるという相関関係があることが明らかにされています。
そのため、葉酸を十分に摂取していることが、認知症予防になると考えられます。
がん予防
がんと葉酸の関係においては、葉酸を不足させないことが重要であることが報告されています。
葉酸が不足すると、がんリスクが上昇するものの、葉酸を大量に摂取したとしても、がん予防にはならないことが報告されています。
ただし、男性の大腸がんだけは、葉酸の摂取量が多いほど、発症リスクが低くなることが報告されています。
葉酸不足/欠乏症
悪性貧血
葉酸が極端に不足すると、巨赤芽球性貧血(赤血球が巨大化して破壊されて起こる悪性貧血)を発症する可能性があります。
また、骨髄の中で赤血球が新生されにくくなることからも、悪性貧血が起きます。
症状としては、疲労感、虚弱、息切れなどです。
同じ症状がビタミンB12欠乏でも起こります。
巨赤芽球性貧血が、どちらのビタミンの不足によって起こっているのかを判別することが重要です。
例えば、ビタミンB12欠乏によって起こった巨赤芽球性貧血を、誤って葉酸の大量補給によって治療しようとすると、ビタミンB12欠乏の発見を遅らせてしまい、結果、不可逆性の(回復不可能な)脳損傷を起こしてしまう危険があります。
鉄分補給によっても改善しない貧血がある人は、必ず、病院で検査を受け適切な栄養素の補給を正しく行うことが重要です。
葉酸不足/欠乏になりやすい人
偏食によって葉酸不足が起こります。
それ以外では、次の生活習慣が葉酸の吸収を阻害するため、葉酸不足/欠乏に陥りやすいので要注意です。
- 大量のアルコール摂取
- 喫煙
遺伝子変異
天然の葉酸が体内でどれだけ有効に利用できるかは、遺伝子構成によって大きく異なることが明らかになっています。具体的には、次の能力に差が生じます。
- 様々な食品に含まれている葉酸を取り出す力
- 天然の葉酸を小腸で吸収できる形に分解する力
- 葉酸を細胞輸送する特殊なトランスポーターの数(吸収する力)
これらの作用に関係する遺伝子に変異をもっている場合には、葉酸不足/欠乏になりやすいといえます。
妊婦だけでなく妊活中の女性にも葉酸は不可欠
胎児の成長
葉酸は、細胞が新生する際のタンパク質、遺伝子、核酸の合成に関わっているビタミンです。そのため、胎児の成長には欠かせません。葉酸は妊婦さんには欠かせない栄養素です。
妊婦さんが食事から摂る葉酸の量としては、1日800 μgが厚生労働省より推奨されています。
しかし、妊娠前の妊活中の女性にとっても、葉酸の体内濃度は、胎児の成長に重要です。
※ サプリメントで摂取する際の注意事項については、後述します。必ず確認してください。
胎児の神経管閉鎖障害
葉酸が十分に摂取されていないと、胎児の神経管閉鎖障害が起きます。
胎児の神経管閉鎖障害とは、受胎後およそ28 日で起こる神経管の形成異常で、次の異常となって現れます。
- 無脳症
- 二分脊椎
- 髄膜瘤など
この胎児の形成異常の発生には、受胎前後の葉酸の摂取が大きく影響していること、妊娠前からの葉酸の十分な摂取が神経管閉鎖障害の発症リスク低減に有効であることが数多くの研究から明らかにされています。
重要な神経管の形成が起きる妊娠初期に、母体が十分な葉酸栄養状態であることが望まれます。
妊娠を希望している女性は、日頃から、葉酸豊富な食事を心がけていることが大切です。
葉酸そのものだけでなく、葉酸代謝に関連する酵素(ビタミンCやビタミンB12)も、神経管閉鎖障害の発症リスクの低減に関連しているという報告がありますから、忘れず一緒に摂りたいですね。
過剰摂取による副作用
食事から摂る場合には、それほど心配する必要はありませんが、サプリメントから摂る場合には、過剰摂取とならないよう注意が必要です。
神経管閉鎖障
1日 1,000μg 以上の葉酸を摂取すると、成人で神経管閉鎖障害の発症が認められたとする報告があります。
葉酸は少なすぎても多すぎても神経障害を起こす可能性のある栄養素だと言えますね。
過剰摂取以外にも葉酸のサプリメントには危険なものがあります。後述しますので、ご確認ください。
葉酸を多く含む食品
葉酸は、食べ物から取り入れることが安心で安全です。
葉酸を多く含むフルーツは、
他の栄養素との相互作用
ビタミンB6とビタミンB12
ホモシステインの代謝経路には次の2つがあり、その両方に関与しているのが葉酸です。
- ホモシステインからメチオニンを合成・・・葉酸とビタミンB12
- ホモシステインをシステインに変換・・・葉酸とビタミンB6
葉酸は、ビタミンB6やビタミンB12と協働して働いているビタミンです。
詳しいビタミンB6の機能については『ビタミンB6』を、ビタミンB12の機能については『ビタミンB12』をご確認ください。
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2は、葉酸を生体活性(体内で利用可能な形態に)するために必要なビタミンです。
ビタミンB2の詳しい機能については『ビタミンB2』をご参照ください。
やはり、ビタミンB群は、一緒に働いていますね。だからこそ、サプリメントで葉酸だけを個別に摂るのではなく、食品から全部一緒に「ビタミンB群」として食べることが重要ですね。詳しくは『ビタミンB群』をご参照ください。
ビタミンC
ビタミンCは、天然葉酸が胃で分解されてしまうことを抑制して、生物学的利用性(体内での利用生)を高めてくれると考えられています。
ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンC』
2つの葉酸
ご存知ですか?
葉酸には、2種類あることを。
日本語では両方を「葉酸」と表記するので区別ができないのですが、英語では、ひとつを Folate(フォレイト)、もうひとつを Folic Acid (フォリック・アシッド、フォリック酸)と呼び区別されています。
Folate(フォレイト)|天然葉酸
フォレイトは、食品に含まれている天然の葉酸のことです。
天然の葉酸は、複数のグルタミン酸を含むポリグルタミン酸です。
上述した通り、食品に含まれている天然葉酸の消化吸収には抽出と分解と吸収には、それぞれに特殊な酵素が必要ですから、体内吸収率は約50%と高くありません。また、遺伝子構成による影響を受けやすいという難しさもあります。
しかし、食品中には、あなたの体が直ぐに活用できる状態、還元された分子として存在しているため、一旦、吸収されれば、肝臓に負担をかけることなく体内で機能します。
Folic Acid(フォリック・アシッド)|合成葉酸
サプリメントや機能強化食品などに使用されている人工的に造られた物質です。
合成ビタミンの葉酸は一つのグルタミン酸しか含まないモノグルタミン酸です。
そのため、抽出・分解・吸収に特殊な酵素の助けを必要としません。ほぼ100%吸収されます。
しかし、人工物ですから、そのままの状態では体は活用できません。肝臓によって活性化する必要があります。
合成葉酸(フォリック・アシッド)の危険性
乳がん・大腸がんの発症リスク上昇
フォリック酸が、乳がんや大腸がんの発症リスクを高めたとする研究報告があります。
胎児の気管支の成長を妨げ先天性の喘息に
妊娠中の女性がフォリック酸を摂取することで、胎児の気管支の成長を妨げ先天性の喘息を発症させるとする事例が報告されています。
胎児の成長に欠かせない葉酸ですが、間違った葉酸を選んでしまうと胎児を病気にさせてしまう可能性があります。
葉酸のサプリメントの選び方
以上の理由から、私が公認ヘルスコーチの資格を取得したNYCの学校の先生でもある予防医学の権威ジョエル・ファーマン医師は、葉酸をサプリメント(フォリック酸)で摂ることに警鐘を鳴らしています。
フォリック酸のサプリメント
大抵のサプリメントに含まれている「葉酸」は、フォレイトではなくフォリック酸です。次のような合成物質が使用されています。
- フォリン酸
- レボメフォリック酸
日本語表記「葉酸」のサプリメントについては、それが、フォレイトなのかフォリック酸なのかを製造元に必ず確認してくださいね。でも、日本で販売されている葉酸のサプリメントや食品添加剤(ご飯を炊く時にポンっといれるだけのようなもの)は、ほぼ、全てフォリック酸です。
フォレイトのサプリメント
フォレイトの形態の天然の葉酸を摂る一番の方法は、食品を食べることです。
しかし、繰り返しますが、天然葉酸の吸収率は低く個人差が大きいことから、妊婦さんなど一定量の葉酸が必要な時には、サプリメントの摂取もひとつの選択肢となり得ますが、その際には、必ず、フォレイトのサプリメントを選ぶようにしてください。
海外製品でしかフォレイトのサプリメントは入手できないと思いますので、成分表記としては、次のいずれかであることを確認するようにしてくださいね。
- 5メチルテトラヒドロ葉酸
- L-5-methyltetrahydrofolate
- L-5-MTHF
※ この2つの葉酸を区別なく勧めるヘルスコーチや食事指導者には、本当に栄養素についてアドバイスできる資格を有しているのか、確認した方が良いように思います。ちなみに医師免許取得に必要な学問に栄養学の修得は含まれていませんので、一般の医師には知らない人が多くても不思議はありませんから、医師に確認するなら、機能性医療や統合医療を実践している医師に確認すると良いでしょう。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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女性ホルモンを手懐ける方法などについても教えています。
新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。
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参考文献:
- “Folate“, Micronutrient Information Center, Linus Pauling Institute, Oregon State University
- “DO NOT take multivitamins that contain folic acid. And if you are pregnant, DO NOT take prenatal vitamins that contain folic acid!“, Joel Fuhrman M.D.
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング