あるはずのない臭いを感じたら疑って欲しいいくつかの病気の可能性

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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あなたにしか分からない臭い

今回は、稀に起こる不思議な症状について、それがもしかしたら大きな病気のサインかもしれないということを踏まえ、記事にすることにしました。

不思議な症状とは、しないはずの臭いがするというものです。

そんなことが起きたら、気味が悪いですね。

怖くて不安になるかもしれません。

いったい何が原因なのかと、室内をくまなく点検するかもしれません。

周囲の人に訊ねても、誰にもそんな臭いはしないと言う。

もしそんなことがあったら、あなたは幻嗅(ファントスミア)を経験している可能性があります。

幻嗅(ファントスミア)

幻嗅(ファントスミア)とは、実際には存在しない臭いを知覚することを指す医学用語です。 「嗅覚の幻覚」です。

幻嗅は、好い香りの時もあれば不快な香りの時もあり、強さもまちまちです。片方の鼻孔だけで感じることもあれば、両方の鼻孔で感じることもあります。

幻嗅(ファントスミア)に似ている症状に、パロスミア(異嗅症、嗅覚錯誤)と呼ばれる別の症候群があります。しかし、パロスミア(異嗅症、嗅覚錯誤)の臭いは実在します。ただ、歪んだ方法で臭いを知覚してしまう疾患です。

幻嗅で多く報告されている臭い

幻嗅で報告される臭いは様々ですが、次の様な臭いの報告が多いようです。

  • 焦げた臭い
  • 腐った食べ物
  • 金属臭
  • 糞便や腐敗臭
  • 化学薬品、ガスまたは塗料
  • 花の香り、フルーツの香り

数分で消える幻嗅の原因となる疾患

数分で消える、でも繰り返す幻嗅(ファントスミア)には次の様な原因が考えられます。

偏頭痛

偏頭痛によって幻嗅が起こることがあります。

側頭葉発作

脳の側頭葉の発作によって幻嗅が起こることがあります。発作と言っても、てんかん発作の様な、激しい痙攣(けいれん)を起こして床に倒れこんだりする様なものではありません。

この発作は、ずっと分かりにくく、発作が起きていることに周囲が気がつかないこともあります。

側頭葉発作が起きている人には、次の様な症状も現れることがあります。

  • 感覚障害(嗅覚、視覚、味覚)
  • 情緒不安(恐怖や説明のつかない不安)
  • 幻聴、幻視
  • 浮遊感(ドロップアタック/一過性脱力発作など)
  • 顔や体のしびれやうずき
  • 発話困難、言語障害
  • 言葉を理解できない、または一時的な混乱
  • 意識喪失
  • 記憶喪失

症状はこれらに限定されません。また、これらの症状が全て起こるわけでも、一度に起こるわけでもありません。

側頭葉発作による幻嗅は数分で消えます

慢性膵炎

慢性膵炎は、時間の経過とともに膵臓の炎症と損傷が進み、膵臓が萎縮する疾患です。

慢性膵炎によって代謝の不均衡や栄養不良などが起こり、その結果、側頭葉発作を起こすことがあります。そして、この2つの疾患には相関関係があることが判っています。

慢性膵炎や膵臓萎縮を起こしている人で、幻嗅を経験したことがある場合には、側頭葉発作が起きている可能性があるので、医師に相談し検査を受けてみることをお勧めします。

数日間以上続く幻嗅の原因となる疾患

側頭葉発作による幻臭は、数分で消えるのが普通です。

ですから、もし幻嗅が数日間以上続くようなら、次の疾患の可能性が考えられます。

  • 化学物質または有害物質への曝露
  • 上気道感染症/副鼻腔炎
  • 外傷性脳損傷(TBI)/頭部外傷
  • 神経変性疾患
  • 嗅覚神経芽細胞腫などの腫瘍(ポリープ)
  • 嗅神経の損傷または機能障害

感染症

次の感染症でも幻嗅が起こります。幻嗅だけでなく、幻聴や幻視が現れることもあります。

  • 副鼻腔真菌症(アスペルギルス菌)
  • ライム病(ボレリア・ブルグドルフェリ菌)
  • 髄膜炎
  • コロナウイルス感染症(オミクロン株)

いくつかの研究が、次の様な神経障害の初期の兆候として、嗅覚の異常が起こることがあると報告しています。嗅覚だけでなく様々な幻覚と神経障害には相関関係があると考えられています。

相関関係が必ずしも因果関係を意味するわけではありません。幻覚と神経障害の間に直接的な関係があるかどうかを判断するには、神経科医による診断が必要です。

末梢神経障害

末梢神経障害によって、嗅覚神経が損傷することがあります。嗅覚神経の損傷によって、幻嗅だけでなく、嗅覚の喪失や歪んだ嗅覚など、様々な嗅覚障害が生じる可能性があります。

神経変性疾患と脳腫瘍

いくつかの研究は、幻嗅は、多発性硬化症やアルツハイマー病などの神経変性疾患や脳腫瘍などによる神経学的症状として起きている可能性があることを示唆しています。

小線維性神経障害

C 線維として知られる小神経線維は、嗅覚神経を支配しています。嗅覚神経は、鼻腔の内側にあって特殊な感覚細胞で構成されています。この細胞には繊毛と呼ばれる小さな神経線維があって、鼻腔に突き出ています。その繊毛が臭いを検知して電気信号を脳に送信し、脳はその電気信号を解読して、臭いが何であるかを判断します。

そのため、この小神経線維が損傷すると、幻嗅や嗅覚の喪失や歪んだ嗅覚が起きます。

幻嗅の原因となる医薬品

また、次の様な医薬品の服用の副作用として、稀に幻嗅が起こります。

  • 抗生物質(メトロニダゾール、スルホンアミド)
  • 抗うつ薬(三環系抗うつ剤、SSRIs)
  • 抗精神病薬(リスペリドン、クロザピン)

服用している全ての人に必ず起こるわけではありません。でも、もしこうしたお薬を服用していて幻嗅があるのなら、主治医にご相談させることをお勧めします。

幻嗅の原因となる栄養偏重

ご紹介してきた大きな病気だけでなく、栄養のバランスが崩れても幻嗅が起こることがあります。

ビタミンB1(チアミン)不足/欠乏

ビタミンB1の不足や欠乏によって末梢神経障害が起こることがあります。

一方で、ビタミンB1が多くなり過ぎても頭痛が起こります

詳しいビタミンB1の機能については『ビタミンB1』をご確認ください。

ビタミンB2不足/欠乏

ビタミンB2の不足や欠乏によっても偏頭痛が起こることがあります。

詳しいビタミンB2の機能については『ビタミンB2』をご確認ください。

ビタミンB6過剰

高用量のビタミンB6の服用は、脳発作や側頭葉障害などの神経学的症状を起こすことがあります。ただ、静脈注射や大量の錠剤を一度に服用するなどした場合にのみ発症するため、通常の食事などで起こることはありません。

ビタミンB6のサプリメントの服用は、妊娠中あるいは何かの他の病気がある場合には、必ず、医師に相談してから服用することをお勧めします。

ビタミンB6の詳しい機能については『ビタミンB6』をご確認ください。

側頭葉発作の治療

側頭葉発作の治療には、通常、抗てんかん薬が処方されます。目的は発作の頻度を減らし、他の発作が起こらないよう予防するためです。

また、次の様な治療法が用いられることもあります。

迷走神経刺激(VNS)

小さな機器を胸の皮下に埋め込みます。その器械を通して電気信号を迷走神経経由で脳に送る治療法です。

ケトジェニック食事療法(ケトン体ダイエット)

高脂肪で低炭水化物のケトン体ダイエット法が、てんかん発作などの脳発作の改善に有効であることが示されています。詳しくは、『ケトン体ダイエット』をご確認ください。

医薬品を服用したり、胸に機器を埋め込むことに比べたら、食事を変える方がずっと安価で不安が少ないのではないでしょうか。

もちろん、治療を受けるなと言っているのではありません。ただ、治療を受けている間も私達は1日3食食べるのですから、その食事が治療を後押しするものであることが望ましいですね。

カンナビジオール(CBD)

カンナビジオール(CBD)は、大麻草から抽出される非精神活性成分の1つです。痛みや炎症を抑える作用はありますが、幻覚作用はありません。そのため、CBDは、大麻取締法第1条により、いわゆる「大麻」にはあたらないとされ、日本での使用も適法です。

しかし、CBDを含んだ製品が大麻に該当しないことを厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取締部(マトリ)によって、事前に承認されていなければなりません(関税法70条)。今日では、CBDを含む関節炎用のクリームなどを見つけることができますが、正式な承認を受けている製品であることを購入前に確認することをお勧めします。特に、輸入品をご自分でネット経由で直接購入するような場合には必ず確認してくださいね。

そして、複数の臨床研究によって、側頭葉発作を含む特定の脳発作に対して、CBDに治療効果があることを示しす有力な報告がなされていますが、抗てんかん薬と併用した際の安全性に問題があること、また、依存性の有無の検証がまだなされていないこと等から、CBDを脳発作の治療に使用することは、FDA(米国食品医薬品局)によってもまだ承認されていません。(当然、日本でも未承認です)

補足情報

稀に起こる不思議な症状は、臭いだけではありません。存在しない光を感じる現象もあります。それについては、『光視症(フォトプシア)』をご確認ください。

また、詳しい偏頭痛の対処法については『頭痛』をご覧ください。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

適切な検査を受ける

しないはずの臭いがした時には、それと同時に起きているかもしれない、今回ご紹介したその他の体の不調や疾患などを鑑みながら、まずは、適切な検査を受けることをお勧めします。

幻嗅は様々な原因で起こります。

今回ご紹介した原因が、原因の全てではありません。まずは耳鼻咽喉科などの専門医を受診することから始めませんか。

食事を見直す

そして、それと同時に食事を見直すことも大切です。

今回ご紹介した様なビタミンやミネラルが不足するような食事を続けていたのなら、食事を改善するだけで症状が改善するかもしれないのです。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング