【マグネシウム】不足すると性格が変わる?血管と骨がもろくなる?マグネシウムの機能と多く含む食品

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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マグネシウムの食品摂取基準

1日の推奨値

  • 成人女性 270 – 290mg
  • 成人男性 280 – 350mg

1日の限界値 350mg

マグネシウムの性質

大人の体には、マグネシウムが約25g含まれていると言われています。その約50%~60%が骨に貯蔵され、残りは、軟骨と筋肉に含まれています。血液の中には約1%未満しか存在していません。

食事から摂取したマグネシウムの約30%~40%が体内に吸収されます。吸収される量は、食品に含まれているマグネシウムの量と、一緒に食べる食品中の他の栄養素との相互作用によって変化します。

マグネシウムはイオン化されて、Mg2+の形態にならないと、体内の生理機能に活用(生理活性)できません。マグネシウムイオンは、カリウムイオンの次に細胞内に最も多く存在している陽イオンです。細胞内液の中にあり細胞の基本的な機能に関与しています。

タンパク質と結合してキレート化したマグネシウムは、マグネシウムイオンのバッファーとしての役割をもっています。

マグネシウムの機能

マグネシウムは、代謝に欠かせない300 以上の機能に関与していて、人体の構造と機能にとってとても重要な役割を果たしています。その中から主なものをいくつかご紹介します。

体の構造の構築

マグネシウムは、骨、細胞膜、染色体で構造を造る役割を果たしています。

生命維持

生命維持にとって必要不可欠な次の物質の合成には、マグネシウムが必要です。

  • 遺伝子にとって必要不可欠なDNARNAと言った核酸やタンパク質の合成
  • 炭水化物脂質の合成する酵素の活性
  • 肝臓で造られる非常に強力な抗酸化物質グルタチオンの合成

イオンの細胞膜輸送

カリウムやカルシウムなどのイオンが細胞膜を通過するにはマグネシウムが必要です。そのため、カルシウムが骨や歯に使われるように助けていると言えます。

イオンを輸送する役割を担っているため、間接的に神経シグナルの伝導、筋肉収縮、心拍リズムに影響を与えています

細胞の移動/神経伝達

細胞を包んでいる体液中のカルシウムとマグネシウムの濃度は、多くの様々な種類の細胞の移動に影響を与えます

細胞移動は、例えば傷の治癒などにとって重要な役割を果たしています。また、神経伝達物質(ホルモン)が細胞間を正常に伝達されるのを助けています。

神経伝達物質には、セロトニン(幸福ホルモン)、ドーパミン(快楽ホルモン)、アドレナリン(やる気のホルモン)などが含まれます。そのため、マグネシウムが不足すると、気分が落ち込んだり、イライラしたりするのです。

エネルギー(元気/ATP)の産生

炭水化物と脂肪の代謝を必要とするエネルギーの素ATP(アデノシン三リン酸 )の合成に関わる化学反応の多くは、マグネシウムに依存しています。そのため、マグネシウムが不足すると私達は元気を失います(エネルギー切れを起こします)。

体内のほぼ全ての生理作用のエネルギー源であるATPは、マグネシウムと結合したMgATPという複合体として存在しています

細胞シグナルの伝達

細胞シグナルの伝達には、MgATP が必要です。

MgATPから造られる細胞シグナル伝達に必要な環状アデノシン一リン酸 (cAMP) は、副甲状腺ホルモンの分泌など、多くのプロセスに関係しています。

他の栄養素との相互作用

栄養素はサプリメントからではなく、食品から摂ればお互いのバランスを崩すことはありません。

亜鉛

サプリメントで亜鉛を多量に摂取すると、マグネシウムの吸収が確実に妨げられます

ある研究では、健康な成人男性が亜鉛の1日の許容量の3倍以上の量をサプリメントで摂取した際、マグネシウムの吸収が大幅に減少し、体内のマグネシウム・バランスが損なわれたことを報告しています。

亜鉛については『美肌や美髪・不妊予防に不可欠なミネラル亜鉛を豊富に含む食品と不足してしまう原因』をご確認ください。

食物繊維

臨床研究によって、食物繊維を大量に摂取するとマグネシウムの活用率(生理活性)が低下することが既にわかっています。

タンパク質

食事から得られるタンパク質の量が減ると、マグネシウムの吸収率が低下することが報告されています。

思春期の少年を対象とした研究では、タンパク質の摂取量が1日に30 g未満のグループで、マグネシウムの吸収が最も低くなることを示し、マグネシウムの吸収には、タンパク質の摂取量が直接的に関係していると報告しています。

ビタミンD

ビタミンDがマグネシウムの腸内吸収率を向上させている可能性があります。

しかし、カルシウムやリン酸の吸収がビタミンDに依存している様に、マグネシウムの吸収がビタミンDに依存している(ビタミンDがないと吸収されない)かどうかは、未だ明らかではありません。

ビタミンDについては『ほぼ全ての細胞が必要とするビタミンDはほぼ全ての機能と関係している』をご確認ください。

マグネシウムが不足しやすい人

マグネシウムの吸収が少なくなると、腎臓は尿へ排出するマグネシウムの量を抑制することができるため、バランスの取れた食事をしている健康な人が、マグネシウム欠乏症を起こすことは、かなり希です。

しかし次のような傾向のある人はマグネシウムが不足しやすくなります。

  • 偏食のある人
  • アルコール依存症の人

高齢者

加齢に伴い次の傾向が見られるため、高齢者は、マグネシウムが不足する傾向があると言えます。

  • 腸でのマグネシウムの吸収率は、年齢とともに減少する
  • 尿へのマグネシウムの排出量は年齢とともに増加する

病気

また、次の疾患や症状などをもっている人はマグネシウム欠乏に陥る可能性があります。

  • 胃腸疾患
  • 腎臓疾患(原発性アルドステロン症など)
  • 内分泌系の疾患や代謝系疾患(糖尿病や副甲状腺機能低下など)
  • 過剰な母乳の分泌

など

マグネシウム不足の症状

重度マグネシウム欠乏症が自然に起こることは稀です。そのため、実験的にマグネシウム欠乏症をヒトに誘発させた研究があります。

血液中のマグネシウム濃度が低下した状態が続くと、十分なカルシウムを食事からとっていても、低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度の低下)が起きることが観察されました。カルシウムを一定の濃度に保つ働きをしている副甲状腺ホルモンの分泌が上昇しても、低カルシウム血症は解消されませんでした。

マグネシウムの不足が持続すると、副甲状腺ホルモンの分泌も極わずかになっていきます。

結果、マグネシウムの欠乏が続くと次の様な症状を起こすことが判っています。

  • 低カルシウム血症
  • 低カリウム血症
  • ナトリウムの蓄積
  • ビタミンDの作用の阻害
  • 血液中の副甲状腺ホルモン濃度の低下
  • 副甲状腺ホルモンの作用の阻害
  • 神経性並びに筋肉症状 (震え、筋肉痙攣、筋強縮)
  • 食欲不振
  • 吐き気/嘔吐
  • 性格の変化(うつ、イライラなど)

つまりマグネシウム不足は、直ちに、大きな病気や不調を引き起こすことはありませんが、慢性疾患の発症リスクを高めると考えられています。詳しくは、後述の病気との関係についてご覧ください。

なお、カルシウムについては『ミネラルの精神安定剤・筋肉痛予防にもなるカルシウムを多く含む食品』をご確認ください。

マグネシウムを豊富に含む食品

マグネシウムの多い食品群

米国FDA(食品医薬品局)は、可食部100g中、1日の推奨値の10%以上を含んでいる食品は、その栄養素の栄養源(「豊富」に含んでいる)と定義しています。

マグネシウムは植物性と動物性食品の両方に豊富に含まれています。表には載せられませんでしたが、貝類にも多く(170mg前後)含まれています

ピュアココア

チョコレートは、ピュアココアから作られます。

気分の落ち込む人の多い2月頃にチョコレートをたくさん食べるイベントがあるのは偶然でしょうか。(チョコメーカーの戦略と言われていますが、チョコメーカーはなぜ2月のイベントを選んだんでしょうかね?素敵な偶然です)

ミネラル成分や抗酸化物質が豊富にとれるチョコレートについては、『チョコレートの選び方』をご参照くださいね。チョコレートなら何でも良いわけではないんですよ。

ナッツ類

全粒穀物とナッツ類、シーズ類もマグネシウムが豊富です。詳しいナッツとシーズの栄養価については、以前執筆した記事のリンクをご参照ください。

マグネシウムの多い野菜と果物

マグネシウム野菜

マグネシウムは、植物の緑色の色素クロロフィルの一部です。そのため、緑色の葉物野菜は、マグネシウムの優れた供給源となります。

乾燥野菜(山菜)やドライフルーツが多くランクインしていますね。

ではどうなんだろうかと思い、更に生野菜だけで調べてみました。

マグネシウム

これでも十分、10%基準をクリアしています。

上の表にランクインしている食品の中で、今まで個別に詳細な機能について執筆したものを下にリンクしておきますので、ご確認ください。

また、日本の厚生労働省が発表している食品成分表にはチアシードの登録はないのですが、チアシードもマグネシウムを多く含む食品だと言われています。ご興味ある人は『チアシードを和食に活用する方法とチアシードを食べると危険な人』をご参照ください。

ミネラルウォーター

意外なところでは、水もマグネシウムの良い供給源となります。特に、硬水は硬ければ硬いほどマグネシウム含有量が高くなります。

硬水を用いた研究では、日常的に軟水を飲むグループと比較して、硬水を飲む習慣のあるグループの心疾患による死亡率が低いことが報告されています。ただ硬水にはマグネシウムの他にも様々なミネラルが含まれていることから、マグネシウムだけの効果とは言い切れないと研究者は述べています。

また、ノルウェーの人口の約3分の2を対象に実施された大規模なコホート研究では、飲料水の中のマグネシウムの濃度が高いほど、股関節の骨折率が少ないことが報告されています。

マグネシウムのサプリメント

市販されているマグネシウムのサプリメントには、次の形態が用いられています。

  • 酸化マグネシウム(便秘薬などに使われているタイプです)
  • 水酸化マグネシウム
  • グルコン酸マグネシウム
  • 塩化マグネシウム(経皮マグネシウムとして販売されているのもこのタイプです)
  • クエン酸マグネシウム塩
  • アスパラギン酸マグネシウム(キレート状のアミノ酸)

このうち、次の3種類は、胃酸過多や逆流性食道炎などの制酸剤として使用されているものです。

  • 水酸化マグネシウム
  • 酸化マグネシウム
  • 三ケイ酸塩

なお、後述する病気治療のための静脈注射に用いられているのは、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)です。なお、エプソムソルトについては『お塩なのにお塩じゃないお塩』をご参照ください。

過剰摂取による副作用

食品の中に自然に存在するマグネシウムに毒性はありません。しかし、サプリメントなどを用いたマグネシウムの過剰摂取による副作用が報告されています。

過剰摂取による副作用の初期段階では、下痢が起こります。その状態が続くと高マグネシウム血症(血液中のマグネシウム濃度の上昇)になります。

高マグネシウム血症は、次の症状を起こします。

  • 低血圧
  • 嗜眠(しみん|意識障害のひとつで、外部の刺激に反応しなくなり眠ったような状態になること)
  • 錯乱
  • 不整脈(心拍の乱れ)
  • 腎機能低下

など

高マグネシウム血症が進行すると、筋力低下や呼吸困難が起こり、心停止を引き起こす可能性があります。

また、腎機能障害のある人は、例え推奨容量内のマグネシウムを服用した場合でも、あるいは、マグネシウムを含む便秘薬や制酸剤を服用した場合でも、過剰摂取の症状が起こることがあります。

マグネシウムと病気との関係

予めお伝えしておくと、マグネシウムを治療に用いた研究で使用されているマグネシウムの量は、厚生労働省が定めた1日の限界値をかなり超えています。マグネシウムの多量摂取には、心停止を含む、上記した様な副作用があるので、これら全ての研究は、医師の監督の下で行われています。

皆さんが自己判断でマグネシウムを多量に摂取されることを防止するために、食品摂取基準で定められた限界値を超える量が研究で用いられている場合には、ここに具体的な量を記載することは差し控えます。

もし病気改善のためにマグネシウムのサプリメントを試したいという意向がある方は、必ず、お医者様にご相談してください。

メタボリック・シンドローム/生活習慣病

9,148 人の成人 (平均年齢50歳) を対象とした米国国民健康栄養調査(NHANES 2001-2010)のデータを分析した2015年の報告では、マグネシウム摂取量が最も低かったグループよりも最も高かったグループのメタボリック・シンドローム発症リスクが約32%も低いことが示されています。

その他の研究においても、マグネシウムの摂取量が多いほど、メタボリック・シンドローム発症リスクが低下することが示されています。また、メタボリック・シンドロームの人の血清(血液中の)マグネシウム濃度が低いことが指摘されています。

11,686 人の女性(45歳以上)を対象とした横断研究では、メタボリック・シンドロームの発症の原因となる体内炎症とマグネシウムの摂取量が逆相関していること、マグネシウム摂取量の最も高いグループのメタボリック・シンドロームの有病率が最も低かったことが示されています。

また、いくつかの無作為対照試験で、マグネシウムを経口摂取後に、炎症性マーカーが減少したことが報告されています。

そのため、マグネシウムがメタボリック・シンドロームの予防に有効ではないかと、研究者は述べています。

高血圧

マグネシウムと血圧の関係を調査した大規模な前向きコホート研究(追跡研究)では、マグネシウムの多い食事をすることで、高血圧が予防できる可能性が示唆されていますが、マグネシウムを多く含む食品(果物、野菜、全粒穀物など)にはカリウムと食物繊維も多いことが多いため、マグネシウム単独での血圧への効果を評価することは困難だとのことでした。

男女5,511人のデータを平均7.6年間追跡した研究では、尿中マグネシウム濃度が最も高かったグループの高血圧リスクが25% 減少していることが示されています。一方で、血液中のマグネシウム濃度と血圧との間には何の関係性も見つかりませんでした。

1,173人を対象に実施された研究では、高用量のマグネシウムを平均11.3か月摂取した場合、収縮期血圧(上の血圧)が2~3mmHg、拡張期血圧(下の血圧)が3~4mmHgも低下したことが報告されています。ただし、降圧効果は高血圧の人でのみ見られ、正常血圧の人の血圧低下はありませんでした。

6か月以上の高用量のマグネシウムの経口摂取によって、降圧剤と同等の血圧低下効果が得られるようです。

血管石灰化/アテローム性動脈硬化症

マグネシウムは、カルシウム拮抗剤として機能すると考えられています。そのため、血管の石灰化を遅くさせたり、改善させる可能性が示唆されています。

血管の石灰化は、動脈内のプラークの蓄積(アテローム性動脈硬化症)が進行して、プラークが石灰化することで起こります。この血管の石灰化が心疾患や心疾患による死亡率を3~4倍に増加させると考えられています。

腎機能が正常な2,695人の中年期の被験者の横断的データ分析では、マグネシウム摂取量が最も低いグループと比べ、最も高かったグループでは、冠動脈の石灰化率が約58%も低いことが示されています。血液中のマグネシウムの濃度が高いほど、血管石灰化率が低くなることが判明しています。

マグネシウムには血管の石灰化の予防効果がありそうですね。ただ、石灰化の手前のプラークの蓄積を予防できるか検証した研究がありませんので、今後に期待したいところです。

また、6か月間のマグネシウムの高用量の経口補給によって、血流媒介性拡張が改善したことが報告されています。血流が上昇した際、上腕(腕の)動脈が正常に拡張したということです。

マグネシウムには治療効果もありそうですね。

心筋梗塞/脳卒中

米国で行われた大規模前向きコホート研究(追跡調査)の医療専門家追跡調査(HPFS)と看護師の健康調査(NHS)のデータを用いて、心疾患とマグネシウム摂取量との関係が調査されています。

約90,000人の女性看護師を28年間追跡した結果、マグネシウム摂取量が最も少なかったグループと比較して、最も多いグループでは心筋梗塞による死亡(非致命的な冠状動脈性心疾患を除く)リスクが 約39%低かったことが報告されています。

また、1日に200mgのマグネシウムを食事から摂っていると、非致命的な心疾患の発症が22%減少することも報告されています。

240,000人以上の被験者を追跡した異なる研究では、食事からマグネシウムを摂取する量が多いほど、脳卒中リスクが8~11%減少すると報告しています。食事による1日のマグネシウム摂取量が100mg増加するごとに脳卒中リスクが7%減少すると研究者は述べています。

血液中のマグネシウムの濃度が高いほど女性は心筋梗塞発症リスクが低くなるものの、3,523人の男性を平均15年間追跡した調査では、血清マグネシウム濃度と心筋梗塞の発症との間に関連性は見られなかったとのことです。しかし、心不全の発症とは逆相関していたことが示されています。

こんなところに男女差があるんですね。面白いです。

急性心筋梗塞の発症から24時間以内に高用量のマグネシウムを静脈投与した際、死亡率を低下できたとする研究と死亡率を悪化させたとする研究とまったく効果がなかったとする研究があり、現在、この治療は行われていないようですが、引き続き、議論と研究がなされる分野になりそうです。

マグネシウムは心筋梗塞や脳卒中の予防にはなるが、心筋梗塞発作の治療に効果があるかは不明ということですね。

動脈瘤性くも膜下出血

脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血(脳卒中の一種)を起こした人は、低マグネシウム血症(血液中のマグネシウムが不足/欠乏している状態)の傾向があることが報告されています。

しかし、動脈瘤性くも膜下出血後にマグネシウムを補給しても、二次性の脳虚血は予防できても死亡率を低下させることはできないことも報告されています。

マグネシウムを不足させないことが重要ですね。

糖尿病/インスリン抵抗性

I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠糖尿病は、マグネシウム不足と関係していることが判っています。

637,922人の被験者と26,828人のII型糖尿病患者を含むメタ分析では、マグネシウム摂取量が多いほどII型糖尿病の発症リスクが約17%低下すると報告しています。更に、複数のメタ分析が、食事によるマグネシウムの摂取量が100 mg増加するごとに、II型糖尿病の発症リスクが8~15%減少すると報告しています。

また、II型糖尿病の人の約50%が低マグネシウム血症になっていることが報告されています。原因は、尿へ排出されるブドウ糖が多いために、マグネシウムの尿中損失も増えてしまうからではないかと考えられています。

マグネシウム不足は、膵臓によるインスリン分泌とインスリン抵抗性にも関連しています。

52,684人の糖尿病ではない被験者に対する追跡調査は、マグネシウムの摂取量が多いほど、空腹時インスリン濃度が低くなることを示しています。つまり、マグネシウムが不足すると、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、インスリン抵抗性の変化に鈍感になる可能性があるのです。

糖尿病予防にもマグネシウムを不足させてはいけませんね。

97人の健康な低マグネシウム血症の人を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、高用量のマグネシウムを3か月間摂取することで、膵臓のβ細胞の機能を改善し、空腹時血糖値とインスリン濃度を低下させたことが報告されています。

そのため、マグネシウム欠乏/不足している糖尿病の人が高用量のマグネシウムを摂取することで、血糖値とインスリン抵抗性が改善する可能性があると考えられています。しかし、マグネシウムが正常値の糖尿病の人に治療効果をもたらすかについては明確になっていません。

骨粗鬆症

骨に貯蔵されていているマグネシウムが、骨の基質とミネラル代謝の両方に影響を与えていることが知られています。骨の表面にあるマグネシウムは、血液の循環によって入れ替わります。

骨のマグネシウム含有量が減少すると、骨のハイドロキシアパタイト結晶が大きくなり、骨は崩れやすくなります。いくつかの研究が、骨粗鬆症ではない女性の骨と比較して、骨粗鬆症の女性の骨にはマグネシウムが少なく、ハイドロキシアパタイト結晶が大きいことを報告しています。

他の栄養素との相互作用の項で記載した通り、血液中のマグネシウムの量が減ると、血液中のカルシウムが減り、副甲状腺ホルモンとビタミンDの作用が阻害されることが判っています。こうした現象は、全て骨量の減少につながります。

閉経後に骨粗鬆症となった女性では、血液中のマグネシウム量が減っていることが多く、また、骨粗鬆症の治療薬テリパラチド(Forsteo)は、副作用として低マグネシウム血症を起こすことが報告されています。つまり、閉経後にマグネシウム不足となると骨粗鬆症になりやすく、その治療のために処方された薬で、更に、マグネシウム不足が悪化するという悪循環が起きるということです。

食事からマグネシウムの摂取量が多いほど、骨密度が高くなることは様々な大規模追跡研究によって示されていますが、骨折を予防するかどうかについては、見解が分かれているようです。

また、骨密度や骨粗鬆症の改善に、マグネシウムのサプリメントの摂取が効果的か否かを検証した研究もほとんどありません。

つまり、骨粗鬆症に関してはマグネシウムの予防効果は確かだが、骨粗鬆症の治癒効果があるかは不明ということになります。

子癇前症および子癇

WHO(世界保健機関)は、重度の子癇前症を起こしている妊婦の子癇予防のための第一選択治療として、抗けいれん薬よりも筋肉注射/静脈注射によるマグネシウムの使用を推奨しています。

日本の産婦人科学会と産婦人科医会も2020年のガイドラインの中で、子癇の再発予防や子癇前症予防のためにマグネシウムの静脈投与を支持しています。

子癇前症と子癇は、妊娠20週以降(妊娠後期)に発生し、出産後6週間まで持続することのある妊娠高血圧障害です。子癇前症(妊娠中毒症)は、妊娠中の高血圧やタンパク尿と重い浮腫があるのが特徴で、子癇は、けいれん発作を伴います。

健康な妊婦さんと比較して、子癇前症の妊婦さんの血液と脳でマグネシウムの濃度が低くなっていることが判っています。ただし、マグネシウム不足が子癇前症などを起こすと言えるまでの証拠はないと研究者は述べています。

高用量のマグネシウムを静脈注射する方法は、長年に渡って、妊婦さんの子癇発作の予防に用いられています。一方で、子癇前症の妊婦さんにマグネシウムのサプリメントを経口摂取してもらった実験では、症状の改善は示されませんでした。

子癇を起こした妊婦さん1,396人に対して、マグネシウムとジアゼパム(抗けいれん剤)の治療効果を比較した無作為化試験では、ジアゼパムよりもマグネシウムの静脈注射の方が、子癇の再発と妊婦の死亡を有意に減少させたことが報告されています。

新生児の脳性麻痺

子癇を起こした妊婦さんにマグネシウムを静脈投与すると、新生児のアプガースコアが高くなったことが報告されている他、集中治療室に入院した新生児の入院期間を短縮できる可能性についても報告されています。

アプガースコアは、神経学的な病気が隠れていないかを確認するために、生まれた直後の新生児の呼吸、循環、中枢神経系の状態を評価する方法です。評価項目は、次の5つで英語の頭文字をとって、アプガー(APGAR)スコアと呼ばれています。

  • 皮膚色/外見(Appearance)
  • 心拍数/脈拍(Pulse)
  • 刺激に対する反応/顔しかめ(Grimace)
  • 筋肉緊張/活動性(Activity)
  • 呼吸(Respiration)

ただ早産や切迫早産などの危険がある場合の出産遅延効果はマグネシウムにはないとのことです。

しかし、マグネシウムの静脈注射が早産で生まれた未熟児の脳性麻痺を大幅に減少させることが示されています。早産の危険のあった妊婦5,493人に出産前にマグネシウムを静脈投与した結果、6,135人の新生児の脳性麻痺の発症率が重篤な副作用なく32%も減少したことが報告されています。しかし死亡率に変化はなかったとのことです。

喘息

喘息のない人と比べ、喘息のある人は低マグネシウム血症になりやすいと考えられています。

マグネシウムは、気道平滑筋細胞へカルシウムを流入させ気管支収縮を引き起こす仕組みを阻害することができ、そのことによって、喘息を起こしている人の気管支を拡張させることができます。

そのため、急性喘息発作で救急救命室に運ばれた人(小児と成人)の中で、最初の治療(酸素、短時間作用型β2アゴニスト、ステロイドの投与)に反応しなかった人にマグネシウムを静脈投与する臨床試験が行われています。

最初の治療に反応しなかった急性喘息の325人の子供を対象としたランダム化比較試験では、マグネシウムの静脈注射によって呼吸機能が改善し、コントロール群と比較して、入院の必要性を30%減少させたことが報告されています。

ただし、マグネシウムが肺機能を改善するか、あるいは、慢性喘息が改善するかについては不明です。

鎮痛作用/ペインマネジメント

マグネシウムは、痛みの伝達に関与している脳と脊髄のNMDA 受容体を遮断する能力を潜在的にもっていると考えられています。そのため、複数の研究で、手術直後の痛みの緩和に関してマグネシウムの効果が調査されています。

帝王切開

帝王切開後の疼痛管理では、通常、硬膜外腔またはくも膜下腔へ鎮痛剤(ブピバカイン/リドカイン)の注射が行われます。

帝王切開を受けた827人を対象とした無作為対照試験では、鎮痛剤の効果をマグネシウムの添加の有無で比較しています。

マグネシウムを投与された女性では、麻酔と感覚遮断がより長く持続し、疼痛スコアの低下と鎮痛剤の消費量の減少をもたらしたことが報告されています。その他の研究においても同様の結果が報告されています。

強い作用の鎮痛剤が少なくて済むのは嬉しいですね。

その他の手術

様々な手術後の局所、局部、全身の疼痛管理についてマグネシウムの静脈投与の有効性が調べられていますが、効果については、様々な結果が報告されていて、未だ、結論がでていません。

神経因性疼痛

神経因性の疼痛へのマグネシウムの効果について調べた複数の臨床研究では、マグネシウムの静脈注射に効果があることが報告されていますが、経口摂取には改善効果がなかったことが報告されています。

偏頭痛

偏頭痛のない人に比べて、繰り返す偏頭痛をもっている人は、赤血球と白血球の両方で細胞内マグネシウム濃度が低いことが報告されています。

また、偏頭痛をもっている女性では、閉経後の女性と比較して、月経のある女性の方が低マグネシウム血症になっている率が高いことも報告されています。

しかし、マグネシウムの経口摂取による偏頭痛の改善効果は示されていません。また、静脈注射の効果にはバラツキがあり、偏頭痛治療へのマグネシウムの有効性については明確ではありません

マグネシウム不足は、偏頭痛の原因ではなく、偏頭痛による結果なのかもしれませんね。また女性ホルモンが関係しているかもしれないというのは面白いですね。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング