ハーバード大学病院肥満症専門医が「カロリーではなく食事の質」という理由

2024/11/28/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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「カロリーは単純な算数」という誤解

ほとんどの人が、体重を落とす方法は単純な算数だと考えています。

口にするカロリーを減らせば痩せられる

or/and

消費するカロリーを増やせば痩せられる

と・・・

しかし、何十年にも渡って信じられて来たこの古い戦略が、実は、大きな間違いであることをハーバード大学医学部の小児医療の助教授であり、肥満症の専門医のファティマ・コーディ・スタンフォード医師は、説明します。

ソフィアウッズ・インスティテュートのアプローチの基である 統合食養学は、カロリー計算をしません。あなたの健康にとって重要なことは、カロリーではなく、食品のもつ機能だからです。

この、統合食養学の開発にはハーバード大学の栄養学部長ウォルター・ウィレット博士も関わっています。そして、今回、ハーバード大学病院の肥満症専門医が、統合食養学のアプローチを分かりやすく裏付ける記事を書かれていましたので、和訳要約してお伝えします。

全てのカロリーは平等ではない

“Not all calories are created equal”

「全てのカロリーは生まれながらにして平等ではない」

この言葉はまさしく、統合食養学を開発した世界最大のヘルスコーチ養成専門学校(IIN)の校長先生ジャシュア・ローゼンタール先生(2024年現在は退官されています)がよくおっしゃっている言葉です。

では「全てのカロリーは生まれながらにして平等ではない」とは、どういうことなのでしょうか?

これは、リンゴを100kcal分(約2個)食べるのと、お肉を100kcal分(約40g)食べるのとでは、カロリーは同じ100kcalですが、体に与える影響は同じではないということを意味しています。

カロリーの数字だけで、その食事が健康か不健康かを判断することはできません。

カロリー信仰を捨てる

スタンフォード先生は、次の様に述べています。

注意深くカロリー計算をしても、常に同じ結果を生むわけではないということが真実です。あなたの体のカロリーを燃やす力は、多くの要因に依存しています。例えば、どんなものを食べたのか、あなたの基礎代謝、あなたの腸内細菌の顔ぶれなどです。誰かと同じカロリーの食事をしたとしても、あなたの体重は、その人と同じにはなりません。

更に、「カロリー信仰を捨てなさい」とも、スタンフォード先生はおっしゃいます。

「カロリー摂取とカロリー消費についての
この概念は、古いだけでなく間違っています

これからは、カロリー計算ではない、異なるアプローチを摂るべき時だと述べられ、食事の質を向上させて、継続可能なライフスタイルを築くことの重要性を強調しています。

あなたの体がどれだけ効率よく食べたカロリーを消費(代謝)できるかは、主に次の3つの要因によって決まります。

1. 腸内細菌の顔ぶれ

数兆個もの微生物があなたの腸内に住んでいます。あなたの腸内で多数を占めている微生物の種類によって、あなたがどれほど食事からカロリーを吸収しやすいかが異なります。

太りにくい体質の人は、太りやすい人とは異なるタイプの腸内細菌が多いことが科学によって明らかにされています。

「痩せている人の腸内細菌を肥満症の人に移植すると、
体重変化が起こります」

あるタイプの腸内細菌は、他のタイプの細菌よりもカロリーを効率的に代謝できる能力をもっているからです。

あなたを太らせる腸内細菌については『内気で小心者の常在菌を豹変させリーキーガットを起こす弾きがねとなるもの』をご参照ください。

2. 基礎代謝

基礎代謝とは、あなたが眠っている時(呼吸以外の活動をしていない時)に消費するカロリー量のことです。基礎代謝が高ければ、眠っているだけで、やせられるというわけです。

あなたたちひとりひとりには、「決められた体重の幅」があります。

この「幅」は、遺伝子や環境、そしてあなたの行動など、いくつかの要因によって決定され、脳の深い部分にある視床下部は、体温や体重が「決められた幅」から低くなり過ぎないようコントロールしています。

体重を減らしたいと考えている人にとっては、迷惑な話かもしれません。

この「決められた幅」があるから、あるところまで体重が落ちると、突然、何をしても体重が落ちなくなるという現象が起こるのです。

決められた幅よりも体重が落ちなくなるのは「代謝順応」が起こるからです。そして、これが、96%もの人が食事制限の後にリバウンドしてしまう理由です。

スタンフォード先生は次のようにおっしゃっています。

「食事制限と運動によって、
短期間に大幅に体重を落とすことに成功した人は、
その後、体からの反撃にあいます。」

食事制限などによって急激に大きく体重を落とすと、基礎代謝もまた大幅に落ちます。基礎代謝が落ちるということは、太りやすい/痩せにくい体になったということです。

食事制限によって体重を急激に落とすことで、カロリー燃焼に急ブレーキが踏まれたような状態になります。脳がブレーキを踏み続けている間は、カロリーは燃えないので体重が減らなくなるだけでなく、食べた分が丸々体に蓄積されていくことになります。

だから、リバウンドするのです。

また、脳が一旦ブレーキを踏んでしまうと、なかなかその足を離してくれなくなるので、脳が安心してブレーキから足を離せるような食事をしなくてはなりません。

脳に急ブレーキを踏ませずに体重を適正に維持する方法を、セルフドクターコースで教えています。

余談:「食事制限と運動で短期間に結果にコミット」ってどこかのCMで聞いたことがありますね(笑)確かにみなさん痩せられていますが、その後超絶リバウンドされて私のところへご相談にいらっしゃる人多々です。

3. 食事の質

食品の選択は、カロリー摂取に影響を与える可能性があります。でもそれは、その食品自体に含まれているカロリーの量のことではありません

『細胞代謝(Cell Metabolism)』誌に2019年に発表された論文は、超加工食品を習慣的に食べることの多い人は、より多くのカロリーを欲する傾向にあると報告しています。

この調査では、被験者は2つのグループに分けられ、総摂取カロリーが同じになるよう食事が提供されます。ただし、ひとつのグループの食事は自然食品で構成されており、もう一方のグループの食事は超加工食品(コンビニフード)で構成されています。

2週間、食べ続けてもらった結果、次の変化が起こったと報告されています。

超加工食品を食べたグループのみ
全員の体重が増加

同じカロリーの食事が与えられていたのにです。

また、好きなだけ食べても良いと伝えると、超加工食品を提供されたグループは、平均してひとり当たり1日に500kcal多く食べました。その後、自然食品の食事に切り替えると、欲するカロリー量が減少しました。

これは、脳はカロリーに反応して満腹を感じているのではないことを示しています。

そして、総カロリーは同じでも、自然食品は少ない量で満足が得られ、加工食品では得られないことも表しています。だから、余分に食べてしまうのです。

「脳は健康的でナチュラルな食品を好みます。」

なお、超加工食品については『ウルトラ・プロセスフード(超加工食品)』を参照ください。

体重管理(ウエイト・コントロール)の成功要因

カロリーを数えることが体重を管理する上で信頼できる方法ではないとしたら、あなたは不要な脂肪を落とすのに何をしたら良いのでしょうか?

スタンフォード先生が勧めていらっしゃる方法をご紹介します。

1. 食品の質に注目する

お料理する時には、加工食品や化学調味料を使わない、あるいは減らす努力をしましょう。

上でお伝えした通り、加工食品はあなたにもっと食べたいと思わせるだけです。

その代わりに、全粒穀類、果物、野菜などの自然食品を多く食べるようにしましょう。

2. 定期的に運動する

体重を落とすためには、週に150分間(1日20分以上)の中程度以上の運動をすることを目標にしましょうと、スタンフォード先生はおっしゃっています。

「もちろん何もしないよりは、どんな運動でも良いですが、
体重を落としたいのであれば、少しキツイと感じる運動の方が効果的です。」

中程度の運動とは、運動しながら話ができるけれども歌うことはできない程度の運動のことです。

ソフィアウッズ・インスティテュートの経験から言うと、これは、肥満の程度にもよると思いますが、今までのクライアントさんたちは皆、キツイ運動などすることなく、食事とご自分が心地よいと感じる軽い運動だけで適正体重に戻っています。

また、『運動好きじゃない人を運動好きにさせる意外な方法』も参考にしてくださいね。

3. しっかりと眠る

睡眠不足は、サーカディアン・リズムと呼ばれる体内時計のリズムを狂わせ、体重増加を招きます

あなたの体は夜眠って昼間起きていることを好みます。看護師を20年間追跡調査した研究では、夜勤をする看護師はより太りやすいことが報告されています。睡眠不足や質の悪い睡眠は、体内リズムを乱し、体を混乱させます。睡眠不足は、あなたの食欲を刺激するホルモンの分泌を促し、あなたの体重を増加させます

睡眠と体重増加との関係については、『「睡眠が足りないと食事を減らしても痩せない」』をご参照ください。

4. 医薬品に注意する

医薬品の中には体重を増加させるものがあります。

詳しくは『あなたが痩せないのはその薬が原因かもしれません』をご確認いただくとして、最近、太り始めた人で、同時期に新しい薬を飲み始めた人は要注意です。

自己判断で止めず、必ず、医師に別のお薬に替えてもらえるか相談してください。

5. ストレスを解消する

睡眠の質と同様にストレスも体重を増加させます

ストレスと上手に付き合うことができれば、体重を増加させずに済みます。

ストレス太りのメカニズムについては、セルフドクターコースで詳しく教えています。

6. ヘルスコーチに相談する

「大体、ダイエットは失敗するものだと多くの人が信じています。
でも、それば間違いです。」

と、スタンフォード先生はおっしゃいます。

様々な他の不調や病気と同様に、体重も専門家からのサポートが必要なことです。健康的に体重を減らすために必要なことは、食事制限と運動だけではありません

「専門家に相談してみましょう。」

と、スタンフォード先生は勧めています。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

統合食養学の公認ヘルスコーチは、ひとりひとりのバイオ個性に沿ってヘルスコーチングを行います。それは食事に留まらず、ライフスタイルへの提案に及びます。

あなたのバイオ個性に沿ったお食事にご興味があれば、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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初回相談を無料でお受けしています。

あるいは、ヘルスコーチに頼ることなく、ご自分で取り組んでみたい人や、今回お伝えした体の仕組み(決められた体重幅、代謝順応、サーカディアンリズム、ストレス太り、睡眠と肥満の関係など)について詳しく学びたいと思う人は、セルフドクターコースで学ぶことをご検討ください。

ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。

食事制限することなく体重を適正に保つ方法についても学べますよ。

新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献:“Stop counting calories”, October, 2020, Harvard Women’s Health Watch

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング