
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
新しく発見された常在菌の挙動
理化学研究所の生命医科学研究センターの粘膜システム研究チームが2023年1月に発表した発見がとても面白かったので、要約してご紹介します。
ちなみに、この研究については、理研から送られてきたプレスリリースの記事で知ったのですが、その記事だけでは分からない点があったため問い合わせをしました。すると直ぐ翌日には研究チームリーダーの大野先生から丁寧なお返事をいただきました。そこに実際の論文へのリンクもつけてくださっていたので、詳細を理解することができました。この場をもちまして迅速でご丁寧なご対応に感謝申し上げます。
さて、その発見とは
私達の腸内にいる常在菌のひとつが、
あることをきっかけに糖尿病や肥満などの代謝性の病気
を悪化させてしまう物質を大量に造るようになる
と、いうものです。
そうした、菌が造る健康を害する物質は、エンドトキシン(内毒素)と呼ばれています。
そして、今回判明した、エンドトキシンを造るその菌の名前は、フジモナス・インテスティニ(Fusimonas intestini)、略してFI(エフアイ)と呼ばれている菌です。
FI菌は病原菌ではなく常在菌

この、FI菌は、常在菌、つまり共生細菌です。病原菌ではありません。私達全員がもっているわけではありませんが、誰しももっている可能性のある菌です。
また、持っていたとしても、腸内細菌全体に占める割合は、あまり多くないマイナーな菌だと考えられています。なぜなら、この菌は、仲間がいないと腸内に定着しにくい内気な奴だからです。
常在菌だけど善玉ではない
ただ、FI菌は善玉菌ではありません。そのため、特に、普段から良い行いをしているわけではありません。
例えば、次のような物質を造っています。
- エライジン酸(トランス脂肪酸)
- パルミチン酸(飽和脂肪酸)
- ステアリン酸(飽和脂肪酸)
適量であれば、飽和脂肪酸は細胞膜やホルモンやビタミンを造る材料となる物質ですから構いませんが、多くなり過ぎると、飽和脂肪酸もトランス脂肪酸も動脈硬化や肥満、糖尿病、心疾患を起こすことが知られている物質です。
トランス脂肪酸は天然にも工場的にも存在する脂肪酸ですが、欧米では危険物質として認定されています。詳しくは『トランス脂肪酸の危険性』をご確認ください。
ですから、少なくともエライジン酸は、確実にエンドトキシン(内毒素)と言えます。
トランス脂肪酸なんて造る常在菌がいるんですね・・・驚きました。
豹変するキッカケとは
とは言え、仲間がいないと定着しにくい内気な菌は、ただそこにいるだけでは、大きな悪事を行うことはあまりありません。悪さをするポテンシャルはもっているけれども、キッカケを与えさえしなければ、特に問題を起こすことのない菌です。
その、FI菌をとんでもなく豹変させるキッカケが、今回、明らかになったのです。
仲間の存在

仲間がいないと定着しにくいと先ほど書きましたが、その仲間とは、次の様な菌達です。
- 大腸炎を引き起こす代表的な大腸菌(E. Coli)(悪玉常在菌)
- FI菌と同じラクノスピラ科に属する(親戚筋の)ラウティア・ハイドロジオトロフィカ菌(BH菌、常在菌)
- 同じくラクノスピラ科に属する(親戚筋の)マルビンブリアンティア・フォーテキシゲンス菌(MF菌、常在菌)
です。
大腸菌は増えすぎると下痢など大腸炎を起こすことが知られている悪玉菌ですが、この子も常在菌です。誰の腸の中にもいる可能性のある菌です。
ラクノスピラ科の菌は、大腸がんを予防する酪酸を造ることが知られている他、一方で増えすぎると糖尿病を起こす可能性があることが報告されている一族です。
FI菌だけの場合と比較して、大腸菌とFI菌の両方をもっている宿主では、造られるエライジン酸(トランス脂肪酸)とパルミチン酸(飽和脂肪酸)の量が2倍になることが観察されています。
FI菌は仲間と一緒にいると、普段の2倍多く働くようになるようですね。ちょっと迷惑です。
健康な人の3人に1人以上がもっている
でも、どの子も誰の腸の中にいても不思議のない菌達です。
実際に、34人の糞便検体を調べたところ、健康な人のFI菌保菌率は約38.2%だったことが報告されています。健康な人でも約3人にひとり以上がFI菌をもっていることになります。言い換えれば、FI菌をもっていても健康でいられるということです。
ただ、FI菌の数と空腹時血糖値や肥満度(BMI)には、正の相関があることも今回明らかにされました。つまり、FI菌の数が多くなるほど、血糖値と肥満度が悪化するということです。
やはり大腸菌同様に、FI菌も、むやみに増やさずマイナーな菌のままにしておくこと、この子達があまり多く増えすぎないように管理することが重要だと分かります。
重要な共犯者の存在

ただ、FI菌を本当の意味で凶悪な菌に豹変させるためには、もう一段、共犯者からの手助けが必要なことが今回明らかにされました。
その共犯者とは、私達、宿主です。
宿主の脂肪の多い食事(高脂肪食)によって、それまで控えめだったFI菌が増え始め、肥満や糖尿病を悪化させるエンドトキシン(内毒素|トランス脂肪酸と飽和脂肪酸)を大量に造るようになることが今回発見されたのです。
脂肪酸が豊富な培地でFI菌を培養した実験においても、エライジン酸(トランス脂肪酸)の増加が確認されています。
つまり、
FI菌を本当に凶悪な菌に豹変させるのは
私達自身による油の摂り過ぎ、脂の多い料理の食べ過ぎ
なんです。
今、健康に見える人でも、3人に1人以上はFI菌をもっているわけですから、油断して脂っこい食事ばかりつづけていると、知らぬ間にFI菌が増殖して、体内でどんどん毒素を造り、気がついたら肥満や糖尿病になってしまっているかもしれません。
また、大腸菌とFI菌の両方をもっている場合には(多くの人が普通に当てはまる)、2倍太りやすいわけですから、注意が必要です。
でもタンパク質と炭水化物は嫌い

面白いことに、タンパク質や炭水化物などの水溶性代謝物(アミノ酸や糖)を与えても、FI菌の働き(トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の産生)に変化が起きないことが報告されています。
つまり、FI菌をもっていたとしても、脂質が多くなり過ぎない限り、お肉を食べてもご飯を食べても、健康的な食事をしていれば、それほど心配する必要はないということになります。
実際に、FI菌をもっていても、健康的な食事をしている宿主の体重には変化が起きないことが観察されています。
FI菌は肥満と糖尿病の直接的な原因

これまでお伝えした通り、FI菌が豹変するためには、仲間の存在と宿主による高脂肪食という条件が整わなければなりません。
しかし言い換えれば、条件が整いさえすれば、FI菌は肥満や糖尿病の直接的な原因になることが、細菌の遺伝子の研究によっても、今回明らかになったのです。
実際、肥満&糖尿病患者34人の糞便検体を調べたところ、肥満&糖尿病患者のFI菌保菌率は、70.6%でした。肥満の人の約3人に2人以上がFI菌をもっていることになります。さきほどの健康な人の保菌率38.2%と比べると明らかに多いです。
FI菌が肥満と糖尿病を起こす仕組み

FI菌を大腸菌と一緒にして、高脂肪食を食べたら、体内のトランス脂肪酸と飽和脂肪酸の両方が増加することは、既にお話した通りですが、なぜか血液中の脂肪酸の量はほとんど増加しないことがマウスの実験によって明らかになりました。
血液中の脂肪酸が増えないのになぜ肥満になる?
血液中の脂肪酸の量が増えないのに、どうして、肥満や高血糖が起こるのでしょうか。
・・・・
あなたも食べているかもしれないエライジン酸
今回の記事への補足となる記事
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