
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
大きな声で言えない話
女性の体の不調や変化について、大声で話しにくい風潮があります。
女性が成長する過程で、初潮について多少学ぶ機会はあっても、その後のことを家族で話題にすることも、学校で学ぶ機会も特にありません。
女友達にも敢えて言い出しにくく、かと言って婦人科の先生にも訊きにくて、結局、よほどの大事(おおごと)ではない限り、そのままにしてしまう女性が多いと感じます。
なので、今回は、女性ならではのおトイレの悩みについてお伝えします。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
おトイレが近いですか?
外出中に何度もおトイレに行きたくなったり、くしゃみをするとおしっこが出てしまったなんてこと、ありませんか?
もしそうだったとしても、あなたはひとりではありません!
おトイレが近いという女性は、とても多いです。
おトイレが近くても命に係わることはありませんが、生活の質を著しく損う可能性のあることだということは確かです。
おトイレが近くて、尿漏れが心配で、旅行や運動、お友達や家族とのお出かけを楽しめなかったり、次第に外出することや他人と会うことを避けるようになってしまう人もいらっしゃいます。
尿道にも共生細菌がいる

従来の医学では、尿道に共生細菌がいるとは考えられてきませんでした。尿道は無菌だと医学部では教えます。
しかし、腸内には共生細菌が住んでいることを今では誰でもが知っています。そして、腸内だけでなく、皮膚の上や体のさまざまな場所に共生細菌が住んでいることも知られてきています。
最新の高度な検出技術とDNAの解析技術によって、従来では検出できない程の極めて小さな細菌も発見することができるようになり、尿道は無菌だという認識が誤りであることが明らかにされています。
女性の尿道に多い共生細菌

女性の尿道で最も多い細菌は乳酸菌です。
その他にも次のような菌が棲んでいます。
- ビフィズス菌
- 連鎖状球菌
- ブドウ球菌
- アエロコッカス菌
- ガードネレラ菌
- など
尿道に棲んでいるマイクロバイオータ(共生細菌)の種類、その顔ぶれの変化と、特定の病気との関係を調査する科学的調査が多く行われています。
尿漏れ(尿失禁)には2つのタイプがある

尿漏れは、非常に微量で数滴の漏れであることもあれば、ズボンを濡らしてしまうほど大量になるほど重症化することもあります。
最も代表的な尿漏れのタイプは、ストレス性尿失禁と急性尿失禁の2つです。
1. ストレス性尿失禁
- 咳やくしゃみをした時、重いものを持ち上げた時、運動をした時などに起こります。
- 人体の仕組みに関係する解剖学的な問題だと考えられています。
2. 急性尿失禁
- 突発的な尿意で、洗面所まで間に合わないことで起こります。
- 身体の機能に関係する生理学的な問題だと考えられています。
おトイレが近くなる原因

おトイレが近くなる原因にはいくつかありますが、身体的には骨盤底筋と膀胱が大きく関係しています。
骨盤底筋は、女性にとって非常に大切な臓器です。
骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉の総称です。ハンモックのように膀胱や子宮、大腸などの臓器を支えています。また、腹筋や背筋などの体幹筋と密接に関係していて、姿勢を保ったり、排尿や排便をコントロールする役割も担っています。
膀胱は、尿を溜めておく袋状の臓器で伸縮性があります。膨らむことで尿を溜めおいています。
膀胱を支えている骨盤底筋が弱ったり、膀胱の伸縮性が損なわれると、おトイレが近くなり尿漏れが起こるようになります。
骨盤底筋が弱ることによって起こる問題を、女性の約3人に1人が人生で一度は経験すると言われています。
おトイレが近い女性は多いんです。
骨盤底筋と膀胱の機能が弱くなる原因
骨盤底筋が弱ったり、膀胱の伸縮性が損なわれるのは、次のような理由によります。
1. 慢性的な便秘
慢性的な便秘によって、おトイレで”いきむ”ことが習慣になると、骨盤底筋に余分な圧(ストレス)が長期間に渡ってかかることになります。そのことで、骨盤底筋の筋繊維が弱っていきます。
そして、排泄物が溜まった腸に膀胱が圧迫され続け、伸びることができなくなれば、多くの尿を保持することが難しくなります。そのことで頻繁にトイレに行かなくてはならなくなります。
2. 肥満/太り過ぎ

骨盤底筋はさまざまな臓器を支えているハンモックのような臓器です。
そこに臓器以外の大きな重りを乗せたままにしたらどうなると思いますか?
次第にハンモックが伸び切りになってしまうように、骨盤底筋の筋繊維も余分な脂肪の重さで弱くなります。
3. 妊娠/出産
妊娠中、骨盤底は成長する子宮を支え続けています。
経腟分娩によって、骨盤底筋が伸び過ぎたり、損傷したりすることがあります。また、出産後、骨盤底筋が元の位置に戻るのが難しくなることもあります。
そのため、出産後におトイレが近くなる女性は多いです。
4. 老化と更年期

年齢と共に尿道に棲んでいる共生細菌の顔ぶれが変わることが示されています。
また、加齢によって筋肉が老化します。骨盤底筋も筋肉です。
更年期に入ると、エストロゲンの濃度が減少し筋肉組織が弱くなり弾力性が低下します。骨盤底筋が臓器をあるべき場所に保持することが難しくなります。
尿失禁から骨盤内臓器脱に至るまで、閉経後の女性の約50%が何らかの骨盤底筋の機能障害を経験すると考えられています。詳しくは『骨盤内臓器脱』をご確認ください。
5. 甲状腺機能低下症(橋本病)
橋本病では、甲状腺機能の低下による筋肉の衰弱と神経機能の変化が起こり、骨盤底筋の機能障害や膀胱に問題を起こすことがあります。
治療を受け甲状腺機能を適切に保つことで、骨盤底筋の機能障害を予防できる可能性があります。
6. 慢性の咳

喘息やアレルギーなどによる慢性の咳は、骨盤底筋にも大きな負担をかけます。
7. 尿道の共生細菌の変化
『産婦人科学アメリカンジャーナル(the American Journal of Obstetrics and Gynecology)』誌に掲載された最新の研究は、尿漏れ(尿失禁)のない女性と比較して、尿漏れのある女性の尿道には、異なる種類の菌が住んでいることを示しました。
具体的には次のことが明らかにされています。
- 菌の種類が異なる
- 菌の多様性が異なる
- ストレス性尿失禁と急性尿失禁とでは、尿道細菌が異なる
ただ、因果関係はまだ証明されていません。
そのため、菌の顔ぶれが変わったことでおトイレが近くなるのか、おトイレが近くなったから特定の菌が増えたのかは、まだ判らないのです。
8. その他
次の要因も骨盤底筋に悪い影響を及ぼすことがあります。
- 喫煙
- ひんぱんに重いものを持ち上げる動作(筋トレなどを含む)
- 長時間座ったままのライフスタイル
- 骨盤周辺の手術
- 遺伝
- など
最初の3つは、あなたの意思で変えることができるものです。上記3つのライフスタイルが当てはまり、かつ、おトイレが近いなら、そろそろそのライフスタイルを変えるタイミングなのかもしれませんね。
習慣を変えるだけで70%改善できる

『米国内科学会学術誌(Annals of Internal Medicine)』に掲載された最近の研究は、尿漏れの治療には、薬ではなく、行動療法に効果があることを伝えています。
おトイレが近いことも、おしっこを漏らしてしまうことも、
習慣を変えるだけで、
約70%改善させることができる
と、示されています。
しかも、尿漏れの行動療法の専門家のプログラムを受けなくても、ほとんどの人は、自宅で自分で改善させることができるんです。
1. 膀胱を訓練する
排尿訓練によって、おトイレを遠くできる可能性があります。

排尿訓練は、おトイレとおトイレの間隔を開けることから始まります。
例えば、1時間おきにおトイレに行きたくなる人は、1時間30分まで、あと30分がまんしてみるのです。がまんできるようになったら、今度は2時間待つようにします。こうして、次第におトイレとおトイレの間隔を広げていくのです。
もし30分延長することが不安なら、例えば、15分延長、10分延長でも構いません。ご自分のペースで少しずつ時間を延長してみましょう。
目標は、3時間から4時間おきにおトイレに行くことです。
3時間以上おトイレをがまんできるようになるまでには、5~6か月ほどかかります。ゆっくりとご自分のペースで無理をせずに訓練を続けてください。
2. 骨盤底筋を鍛える

骨盤底筋は、どの年齢の女性にとってもとても大切な臓器ですが、歳をとるほど更に大切になっていく臓器です。
ありがたいことに、骨盤底筋の健康は、自宅で回復させることができます。
骨盤底筋を鍛えることで、腹部に圧力がかかった時、例えば、くしゃみをした時や重い荷物を持った時にも尿道を閉じたまま維持することができるようになります。
骨盤底筋を鍛える運動は、ケーゲル運動と呼ばれます。
簡単に骨盤底筋を鍛える方法
ケーゲル運動には様々な方法があります。ここでは一番簡単な方法をご紹介します。

おならを我慢するようにお尻の穴を締めて収縮させるのです。
次の方法で行うと効果があると考えられています。
- お尻の穴を締める運動を1日に30回行う
- 1セット10回を、3セット(朝・昼・晩)行う
- 締めている時間は1回につき5秒から10秒
また、尿漏れのタイプごとに適したお尻の穴を締めるタイミングは、次の通りです。
1)ストレス性尿失禁の場合
膀胱に圧力がかかる前に、お尻の穴を締めてください。
例えば、くしゃみが出そうになったら、くしゃみをする前の息を吸い込んだ時に一緒にお尻の穴を締めてください。
咳やくしゃみや重いものを持ち上げる前に、意識して忘れずにお尻の穴を締めなくてはなりませんから、練習が必要です。
意識しなくてもお尻の穴を締めるようになるくらい、習慣になるまで続けてくださいね。
効果が表れるまでには、2~4か月かかると考えられています。
2)急性尿失禁の場合
尿意が起きた、その瞬間にお尻の穴を締めてください。
そして尿意が納まるまで締めたまま待ちます。強い尿意が治まったら、おトイレまで慌てずに行ってください。
尿意が起こる度にこれを繰り返しいくと、症状が改善していきます。
効果を感じられるようになるまでには、約3か月くらいかかると考えられています。
もし、上記にした行動療法を続けても改善しない場合には、泌尿器科あるいは産婦人科を受診してくださいね。
3. 運動する

運動の中でも骨盤周辺の筋肉を健康に保つ効果のある、次の運動がお勧めです。
- ウォーキング
- 散歩
- 水泳
- ヨガ
- など
こうした身体負荷が比較的低い運動は、不必要な負担を骨盤底筋にかけずに骨盤全体の健康を改善するのに役立ちます。
4. 体重を管理する
適正体重の幅は、一人ひとり異なりますが、それでもやはり、日常生活が困難になるほどの肥満は解消した方が良いでしょう。
もしあなたのおトイレの近さが太り過ぎによるものではないかと感じるのでしたら、食生活の見直しや日常生活に運動を取り入れるなど、体脂肪を減らす努力をしてみましょう。
ソフィアウッズ・インスティテュートはそのお手伝いができますよ。
5. 利尿作用のある飲料を避ける
膀胱は、輪ゴム(尿道括約筋)で口を留めた水の入った風船のようなものです。

もし風船が大量の水で目いっぱいに膨れ上がっていれば、ちょっとした刺激でも、漏れ出てしまうことは想像しやすいのではないでしょうか。
むやみに水を大量に飲まない
既に、おトイレが近いという自覚がある人は、なるべく水分を摂らないようにしているのではないかと思います。
一方で、まだそうした問題が起きていないと、水を大量に飲むことが美容に良いといった誤った情報によって、不必要に大量の水分補給をしている女性もいらっしゃいます。
皮肉にも、不要で過剰な水分摂取は、過活動膀胱が起こるリスクを高めます。
過活動膀胱になると、頻繁な排尿衝動と強い尿意を伴い、夜中もトイレに起きなくてはならなくなります。そして、急性尿失禁やストレス性尿失禁が起こりやすくなります。
カフェインやアルコールを制限する

カフェインは、あなたをおトイレに近くする原因物質のひとつです。
カフェインは、通常のスピードよりも速く尿を作るよう腎臓を刺激します。しかし膀胱は、急激に満たされることを好みません。膀胱は過活動になり、排出すべきでないタイミングで収縮して尿を排出してしまうようになります。
つまり、急性尿失禁が起こる可能性が高くなるのです。
カフェインはコーヒーだけでなく、緑茶や紅茶にも含まれています。また、炭酸飲料やアルコールにも利尿作用があります。
6. 便秘を改善する
慢性的な便秘があり、おトイレが近いという人は、便秘を改善するだけでおトイレの問題が解決してしまうかもしれません。
便秘の改善には、『便秘の改善法』をご参照ください。
7. 食事を改善する
豚肉・鶏肉などの煮凝りと軟骨

これらの食品にはコラーゲンが豊富に含まれています。
コラーゲンは筋肉の結合組織の構成要素です。コラーゲン豊富な食品を食べることで、骨盤底筋を支える筋肉や靭帯を強化します。
コラーゲンが体内で合成されるためには、さまざまなビタミンとミネラルが必要です。詳しくは『コラーゲンを増やす食品』をご確認ください。
魚・卵・椎茸

これらの食品にはビタミンDが豊富に含まれています。
体内のビタミンD濃度が低いと筋力が弱まることが指摘されています。ビタミンDを不足させないことで、骨盤底筋の回復力を高めることができると考えられます。
詳しいビタミンDの機能と多く含む食品については『ビタミンD』をご参照ください。
魚油・亜麻仁油・えごま

これらの食品には、オメガ3不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
オメガ3脂肪酸は、炎症を軽減し、間質性膀胱炎や慢性骨盤痛など、炎症性疾患の症状の改善に効果があると考えられています。
詳しいオメガ3不飽和脂肪酸の機能と多く含む食品については『DHA/EPA』をご確認ください。
発酵食品

上述した通り、おトイレを近くしたり急な尿漏れには、尿道の共生細菌の顔ぶれが関係しています。
ただし、その関係が因果関係かどうかはまだ判っていません。プロバイオティクスを摂ることで、おトイレの近さや尿漏れを予防したり改善したりできるかを調べた研究もありません。
でも、例え、発酵食品(プロバイオティクス)を食べることが直接的に尿道の細菌の顔ぶれを変化させることがなかったとしても、便秘の改善にはなります。便秘はおトイレを近くする原因のひとつですから、まったく無駄にはなりません。
統合食養ヘルスコーチとしては、発酵食品を食べることには、何らかの効果があるのではと期待しています。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

おトイレが近い人は、今回ご紹介した方法をいくつか試してみてはいかがでしょうか。
でももし、お一人で取り組むことに不安や難しさを感じのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献:
- “Bladder bacterial diversity differs in continent and incontinent women: a cross-sectional study”, Travis K Price, Huaiying Lin, Xiang Gao, Krystal J Thomas-White, Evann E Hilt, Elizabeth R Mueller, Alan J Wolfe, Qunfeng Dong Linda Brubaker, Am J Obstet Gynecol, 2020 Nov;223(5):729.e1-729.e10. doi: 10.1016/j.ajog.2020.04.033. Epub 2020 May 5
- “4 behavioral changes to tame urinary incontinence”, May Wakamatsu, MD, JULY 10, 2019, Women’s Health, Harvard University
- “An emerging link between the urinary microbiome and urinary incontinence”, Jeannine Miranne, MD, MS, AUGUST 12, 2020, Harvard Health Blog
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング