食で心と体をつなぐ – ホリスティック・ヘルスコーチング の ソフィアウッズ・インスティテュート

あなたのバイオ個性に着目するNYC発ポストモダンな食事法

バクテリア・コミュニケーション

私達は自分を人間だと思っていますよね。でも、もし宇宙人が地球人をみたらどんな風に見えるでしょうか。私達は、ほぼ細菌(バクテリア)の塊です。自分自身の1兆個の細胞10倍以上の共生細菌の細胞、10兆個のバクテリア細胞が私達を内外から取り囲んでいます。

遺伝子でみたら、私達は、約3万個の遺伝子で構成されていますが、その100倍もの細菌の遺伝子が私達の体内や体表に存在しています。私達は、せいぜい10パーセントか、あるいは、測定のしかたによっては1パーセントだけの人間ということになります。

私達は自分を人間だと思っていますが、私達の90〜99パーセントは、細菌なんですよね。

バクテリア

それに細菌はただ私達の中や表面に乗っかっているだけではありません。細菌は、環境からの攻撃をはねかえして私達の健康を維持してくれています。食べ物を消化してくれたり、ビタミンを作ってくれたり、免疫システムを教育して、悪い細菌を排除するように指導してくれたりもしています。共生細菌は私達が生きていく上で、なくてはならない存在です。

でも、細菌(バクテリア)というと、私達に悪影響を及ぼすもののことばかりが注目されがちです。特に、ペニシリン(抗生物質)が発明されて以来、人類は、細菌を殺すことばかり考えてきたように思います。殺菌石鹸や洗剤がよく売れています。

でも、たとえ数は多くても、顕微鏡でしか見えない様な小さな生き物が、どうして、私達人間にとってそれほどの影響力をもっているのか不思議ではありませんか?

そんなことを調査した研究者がいます。

細菌は、個々で存在している時や数がかなり少ない時、活動しないことをつきとめました。私達も独りでいる時、私達の行動は限られています。また、大きな部屋にぽつん、ぽつんとしか人がいない時、何か大きな行動に発展することはあまりありません。

じゃあ、細菌は、いつ動き出すのか。

増殖して一定の数を超えると、全ての細菌が同時にいっせいに活動し始めるそうです。

疑問は

細菌達はどうやって自分が独りなのか集団の中にいるのかを判別しているのか

ですよね。

細菌達は、細胞分裂する度に特殊な分子(化学物質)を分泌するそうです。その分子の量を細菌達は認識でき、どれくらいの数の仲間が近くにいるのか知ることができるそうです。そして、その分子量が一定量を超えた時、細菌達は、一斉に活動を開始するようになるのだそうです。

バクテリア

「毒性」についても同様です。細菌が数個、体内に入ったくらいでは、細菌達は活動を開始しないので、何の影響も受けません。もし私達の免疫システムが正常に働いていれば、その時点で、細菌を異物と認識し作動してくれます。

でももし、免疫システムのパトロールを潜り抜けた細菌がいたとすると、その細菌はまず静かに待ち、増殖を始めます。そして、一定の数を越えた時、増殖した全ての細菌が一斉に毒性の攻撃を開始するのです。そうなったら、攻撃は大抵成功し、彼等からみて巨大な人間を弱らせたり、死に至らしめることができるのです。

そして、細菌達が行う集団行動は 何百もあるそうですよ。

それぞれの細菌は、自分と同じ種類の細菌の数を数えることができる一方で、他の種類の細菌が分泌する分子の数も認識できるのだそうです。そのため、全細菌人口の中で、自分と同種の細菌がどのくらいの割合で存在しているのかまで把握できるとのことです。どの種が多数派なのか、どの種が少数派なのか、それによって、実行すべき行動を決めるのだそうです。

私達の腸内の共生細菌の70%以上が日和見細菌(状況によって態度を変える細菌)だと言われています。

共生細菌の分布(構成)バランスを適切に保つ

つまり、大切なことは、毒性をもった細菌を殺すことではなく、毒性をもった細菌が活動に必要な数に達するほど増殖できないよう、善玉菌の数を増やすことです。共生細菌の分布のバランスを適切に保つことです。

このバランス、経済学のゲーム理論を学んだことがある人には馴染みがあると思いますが、ナッシュ均衡の状態にあります。つまり宿主をだまし討ちにするような方法で(例えば宿主が病気になったり死んだりするほど)増えても、結局、自分自身の利益にならないため、それぞれの菌がそれぞれの利益を最大化できるお互いの数で、均衡しているのです。

食事を変化させると、新しい菌が加わるので、一時的にこのナッシュ均衡が崩れます。そして再び新たな均衡に辿り着くまでの時間が必要となります。『腸内細菌の構成には、遺伝子型よりも食事が優位』でご紹介した通り、人間でも3日から10日かかります。菜食から肉食への変化ではたった一晩、でも肉食から菜食への変化では1週間以上の時間がかかります。新たな均衡が生まれる前に、食事改善を止めてしまえば、元の均衡に戻ってしまいます。食事を単なるダイエットではなく、ライフスタイルにすることの大切さが細菌のコミュニケーションからも裏付けられますね。

マイクロバイオータ(共生細菌・常在菌)の分布(構成)が人間の健康を決める

どの種の菌が大勢を占めているか等、菌の人口分布(菌の構成比)は、菌同士のコミュニケーションによって決まり、それによって、私達の代謝や様々な健康状態が影響を受けるのですが、それと同時に、私達の代謝機能の状態もまた、菌の分布に影響を与えます。

そうした相互作用を解明することで、今後、病気治療のために、どのような菌の分布が各病気の回復に適切なのかを判明させようとしている研究者もいます。戦略的な治療のためには、菌同士のダイナミックな力関係・相互作用を無視することはできないからです。

でも、病気治療のために用いられる様々な抗生物質などの影響で、現在では、細菌は恐ろしく多剤耐性になってしまいました。抗生物質は全ての細胞膜を破壊するか、細菌がDNAを複製できないように働きます。毒性がある細菌も善玉菌も無差別に殺します。そして耐性菌だけが生き残るのです。そうなると、私達の中には、耐性菌しかいないことになりますから、他の菌と勢力争いをする必要もありません。少しでも増殖すれば、十分に毒性を発することができるのです。

不治の病と言われたC.デフィシル菌感染症は、抗生物質で荒野となった腸内に住みつきます。どんな抗生物質にも死ぬことがないため、治療法がないと言われてきたのです。でも、近年の研究によって、善玉菌を移植した途端、一晩で症状が改善し始めたことが報告されています。C.デフィシル菌感染症患者に抗生物質を与えることは、単に他の菌を排除し、C.デフィシル菌が住みやすい独占した環境を造ってあげるだけだったということです。そして解決策は、C.デフィシル菌を食べてしまう善玉菌を移植すること(善玉菌に感染させること)だったわけです。なんとも皮肉ですね。

細菌は何十億年も前から地球にいます。人間は、数十万年です。多細胞の組織の行動ルールは、細菌(単細胞)が決めたものです。そのルールを抗生物質や殺菌剤などによって、勝手に変えられると思いあがった人間の傲慢さを思い知らされるような症例ですよね。

細菌達のコミュニケーションの方法やその構成比が重要だということが解明された今、

私達が日常生活でできることは

  • 自分自身の免疫力を信じること
    • そのために、無差別に共生細菌を殺してしまう殺菌剤や薬をむやみに使用しないこと
  • 悪玉菌を排除するのではなく、善玉菌を増やすこと
    • そのために、善玉菌が好む食事やライフスタイルをおくること

 

参考文献:
How bacteria “talk”“, Bonnie Bassler, TED2009, Feb 2009
Missing Microbes“, Feb 2015, Martin J. Blaser, MD
The demographic determinants of human microbiome health“, Sylvie Estrelaemail, Marvin Whiteley, Sam P. Brownemail, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.tim.2014.11.005

参考:
腸内細菌の構成には、遺伝子型よりも食事が優位
ミクロフローラとプロビオティクス – ボディエコロジーの考え方
腸内環境の修復が必要かもしれない11のサイン
腸内ミクロフローラが私達の世界観を左右する
それはどこにでもいる(翻訳シリーズ)』
生きている菌と死んだ菌
石鹸なし、シャンプーなし、バクテリア満載 – 私の衛生実験(翻訳シリーズ)
細菌がどのようにして私達を定義し、形づくり、癒してくれるのか(翻訳シリーズ)』

 

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Author: Chise

森智世(もりちせ) | 公認 統合食養ヘルスコーチ(Certified Integrative Nutrition Health Coach) / ソフィアウッズ・インスティテュート代表 / 米国代替医療協会(AADP) 公認ホリスティック・ヘルスコーチ / 女子栄養大学 食生活指導士 / 国際ヘルスコーチ協会 公認国際ヘルスコーチ/ 経営学修士(MBA)| ひとりひとりのバイオ個性に着目したポストモダンでホリスティックな食事法を推奨し、マインド・ボディ・コネクション(心と体のつながり)を食を通して実現します。また、私達を取り巻くすべての環境 - 人間関係、仕事などの社会環境、自然環境、体内環境(マイクロバイオーム) - を考慮するボディ・エコロジストです。長期に渡り過ごした米国やヨーロッパの情報も、判りやすく解説を入れて配信していきます。厚生労働省「健康寿命をのばそう」プロジェクトメンバー / 目黒区男女平等共同参画審議会委員 / 日経ウーマンオンライン連載コラム『ホリスティック美女講座』執筆。食事法や健康などご相談のある方やヘルスコーチングを受けてみたい方は初回コンサルテーション(無料)にお申し込みくださいね!

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