バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
お店で購入できるシナモンには2種類ある
この季節になるとシナモンが恋しくなります。
米国やドイツで暮らしていた時には、この季節になると様々なところから、シナモンの香が漂っていました。ホット・アップルサイダーの中のシナモンスティックだったり、シナモンロールだったり、ジンジャーブレッドだったり・・・。
さて、お店で購入できるシナモンには2種類あるってご存知でしたか?
- セイロンニッケイ
- カッシア
セイロンニッケイ
スパイス専門店などで売られているもので、風味が良いと言われています。
カッシア
スーパーマーケットなどで広く売られているタイプのものです。
シナモンを使った臨床研究(人体実験)では、大抵、このタイプのシナモンが使われます。
シナモンは漢方の生薬
シナモンは、とても身近なスパイスですが、古来から薬として用いられてきました。
日本には遣唐使によってもたらされたと言われています。和名は桂皮(ケイヒ)、漢方薬の生薬です。体を内側から温める効果があると考えられていて、冷えからくる腹痛や関節痛、月経痛などの痛みの緩和に用いられてきました。体を温める効果があるので、葛根湯の7つの生薬のひとつです。
シナモンは、聖書の中にもしばしば登場するスパイスです。
例えば、『出エジプト記』では、シナモンは「必ず携えておくもの」のひとつとして記載されています。(出エジプト記 30:23)
科学で示されたシナモンの機能
2014年の専門誌『エビデンスに裏付けられた代替医療(Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine)』は、シナモン抽出液やシナモン精油に含まれる次の成分の機能について、今まで報告されてきた多くの研究論文の内容をまとめて掲載しています。
- 桂皮アルデヒド
- 桂皮酸
- 桂皮酸エステル
『エビデンスに裏付けられた代替医療』に掲載されていたシナモンの機能についてお伝えします。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
抗炎症作用/炎症性疾患の予防改善/がん予防
カッシアの皮(シナモン)から抽出した2’-ヒドロキシ桂皮アルデヒドが、核内因子κB (NF-κB) を不活性化することで、一酸化窒素の産生を抑制したことが報告されています。
これは、シナモンの成分に抗酸化作用があることを意味します。
NF-κBは、ストレスや紫外線等の刺激によって活性化される因子で、次の疾患に関与しています。
- クローン病や関節リウマチなどの炎症性疾患
- 敗血症性ショック
- がんや多くの悪性腫瘍
- サイトメガロウイルス (CMV) やヒト免疫不全ウイルス (HIV) の増殖
関節リウマチの改善
シナモン(カッシア)のエタノール抽出物が、脾臓チロシンキナーゼを不活性化することが観察されています。
脾臓チロシンキナーゼは、免疫シグナル伝達の重要な調節物質で、不活性化させることで関節リウマチの改善が期待される物質です。
更に、シナモンの水性抽出物が、リポ多糖類によって発症した腫瘍壊死因子αの血中濃度を減少させたことも報告されています。
腫瘍壊死因子αは、マクロファージ(免疫細胞)により産生され、固形がんに対して出血性の壊死を生じさせるサイトカイン(炎症性物質)ですが、過剰になると、関節リウマチ、乾癬などの発症を誘発する物質でもあります。
抗がん作用(血管新生の抑制)
シナモンの水性抽出液とプロシアニジンが、血管内皮の成長因子サブタイプ2キナーゼを不活性化させ、がんに伴う血管新生を抑制したことが報告されています。このことから、シナモンの抗がん作用に期待されています。
シナモンの桂皮アルデヒドの血管新生抑制効果について多くの検証がなされていて、桂皮アルデヒドを化学合成した物質が、試験管試験と動物実験の両方で、腫瘍の成長を抑制したことが報告されています。
大腸がん
スイスで行われたマウスの実験で、大腸がんに対するシナモンとカルダモンの効果を調べています。
シナモンとカルダモンの抽出物によって次の効果が表れたことが報告されています。
- 抗酸化酵素であるグルタチオンS-転移酵素の活性が上昇
- 過酸化脂質が減少
メラノーマ
シナモン(カッシア)の精油が、次の効果を示したことが報告されています。
- メラニンの生成を抑制
- メラノーマ細胞の酸化ストレスを抑制
脳神経障害/認知症予防と改善
シナモンの成分が脳を保護することが報告されています。
シナモン(カッシア)の多くの成分が、中枢神経系において、次の物質の産生を抑制したことが報告されています。
- 一酸化窒素合成物(iNOS)
- 酸素添加酵素(COX-2)
- 一酸化窒素(NO)
そのことから神経変性疾患の治療に効果があるのではないかと期待されています。
グルタミン酸中毒予防
シナモンの水性抽出物プロシアニジンのタイプAトリマー1(トリマー1)に、グルタミン酸ナトリウム(MSG、味の素)の摂取によって発生する興奮物質から脳神経を保護する作用があることが報告されています。
パーキンソン病の予防と改善
シナモンの代謝物が、次の因子を増加させることが報告されています。
- パーキンソン病の初期段階で劣性となってしまう常染色体型DJ-1
- 脳神経栄養因子(BDNF)
- 神経栄養作用をもつニュートロフィンと呼ばれるタンパク質の一群(NT-3)
これは、シナモンの成分がパーキンソン病を予防・改善できる可能性を意味する他、認知症の予防改善できる可能性も意味しています。
アルツハイマー病予防
動物実験ですが、シナモン抽出成分が、次の物質の産生を抑制したことが報告されています。
- アミロイドβ寡量体
- ニューロン褐色細胞腫(PC12)細胞の毒性
- タウ・タンパク質の蓄積
- フィラメント・タウの形成
これは、アルツハイマー病の予防・改善に対して期待できることを意味します。
糖尿病予防(血糖値管理)
インスリン模倣因子(IPF)
シナモンに含まれている数種類のポリフェノール(抗酸化物質)が、インスリンのような挙動を示すものがあることが報告されています。
例えば、ルチン、カテキン、ケルセチン、ケンフェロール、イソラムネチンなどです。
インスリン抵抗性マウスのインスリン感受性を改善させ、糖尿病予防効果を示したことから、インスリン模倣因子(IPF)と命名されています。
IPFを含んでいるスパイスは他にもありますが、シナモンには他のスパイスの20倍以上のIPFが含まれているとのことです。例えば、次のようなIPFを含んでいます。
- シンナムタンニンB1|フラボノイドの一種
- ポリフェノール・タイプAポリマー
- ナフタレンメチル・エステル|ヒドロキシ桂皮酸から派生した化合物で、血糖値を下げるる作用が観察されている
シナモンの抗酸化成分カルコンノイドの一種であるメチルヒドロキシカルコンは、IPFだと考えられてきましたが、IPFではないことも判明しています。
糖新生の低下
糖新生とは、ブドウ糖以外の物質をブドウ糖に作り変えてしまう体内の仕組みです。主にアミノ酸(タンパク質)のひとつアラニンが肝臓でピルビン酸に還元されることで、糖新生に重要な役割を果たしています。
マウスを使った動物実験では、シナモンの水性抽出物が、アラニンの腸内吸収を有意に低下させたことが観察されています。
糖尿病の人もそうではない人もシナモンを食事に加えるだけで血糖値を安定させられそうですね。
糖尿病患者のコレステロールと血圧管理
複数の研究が、シナモンが血糖値を下げるだけでなく、コレステロール値も低下させることを報告しています。
Ⅱ型糖尿病(生活習慣による糖尿病)の患者にシナモンを4週間から8週間、1日120mgから6g摂取してもらったところ、次の数値が低下したことが報告されています。
- 総コレステロール
- 悪玉コレステロール
- 中性脂肪
また、善玉コレステロール値を上昇させ、短期的な摂取においても上と下の両方の血圧を下げる効果があったとのことです。
ただ、残念なことに、糖尿病のマーカーであるHbA1cの値には変化がみられなかったそうです。
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
HbA1cは、血液中のヘモグロビンがどれくらい糖と結合してしまっているかを示す指標です。ヘモグロビンは赤血球に含まれているタンパク質です。血糖値が高い状態が続けば、糖と結合するヘモグロビンの割合(HbA1c)も増えます。
血液中の糖と結びついたヘモグロビンは「糖化ヘモグロビン」と呼ばれ、この糖は赤血球が死ぬまで離れません。そのため、HbA1cは過去1~2か月間の血糖値の状態を表すと言われています。言い換えれば、短期間の食事の影響を受けない指標です。
コレステロールと中性脂肪を低下させる量
鶏の場合
シナモン精油を与えられたブロイラーの鶏のコレステロール値が減少したことが報告されています。
つまり、まったく運動をしなくてもシナモン・オイルを食べるだけで鶏は痩せたということです。
ヒトはどうなんでしょう?運動しなくても、ただ大量にシナモンを食べるだけで痩せられるのなら魔法の粉ですね。
マウスの場合
マウスの餌の15%をシナモン(カッシア)の粉末にして、35日間与えると、次の数値が低下したことが報告されています。
- 総コレステロール
- 中性脂肪
- 悪玉コレステロール
とはいえ、私達が食事の15%をシナモンにするのは現実的に大変ですし、1か月以上続けたら飽きそうです。
ヒトの場合
ヒトを対象とした研究では、1日に6gのシナモンを食べた場合に、次の数値が低下したことが報告されています。
- 血糖値
- 中性脂肪
- 総コレステロール
- 悪玉コレステロール
シナモンは大さじ1杯約5.4gと言われていますので、毎日大さじ1杯強のシナモンを食べることになります。これならいけそうな感じがします。
心疾患予防
多くの研究が、シナモン(カッシア)の桂皮アルデヒドと桂皮酸に、心筋虚血症などの循環器系疾患の予防効果があることについて報告しています。
トロンボキサンA2(TXA2)は、様々な免疫・炎症反応に関与する代謝産物のひとつで、血小板表面に結合し、血小板凝集を誘導します。そのため、TXA2を抑制したり、TXA2受容体をブロック(阻害)することは、血栓症を予防することになります。
シナモンから抽出されるリグナンのひとつのシンナモフィリンは、トロンボキサンA2受容体をブロックすることが、マウスと豚を使った実験で確認され、動脈硬化を予防することが観察されています。
そのため、シンナモフィリンには、次の様な役割が期待されています。
- トロンボキサン合成酵素抑制剤
- TXA2受容体阻害剤
TXA2受容体の不全が関係している病気の治療に並行して取り入れることで治療効果を高めるのではないかと期待されています。
抗菌作用
シナモン精油が、次の菌類に対して、抗菌作用を示したことが報告されています。
- バクテリアとカビ|リステリア菌、フェカリス菌、黄色ブドウ球菌、セレウス菌、サルモネラなどのグラム球菌、E.Coli大腸菌、肺炎球菌、腸炎エルシニア菌
- 酵母|トルラ酵母、分裂酵母、カンジダ、パン酵母
老化予防/最終糖化産物(AGEs)形成の抑制
AGEは、タンパク質の糖化反応(メイラード反応)によって作られる生成物の総称で、私達の体の老化に関与している物質と言われています。現在判っているだけでも、数十種類あると言われています。
なお、2018年4月にIN YOUに寄稿した記事『衝撃ニュース!米国カリフォルニア州の高等裁判所がコーヒーショップに「発がん物質使用の警告文」の掲載を命令。その真相は?!』では、アクリルアミドについて記載しています。
AGEsは、次の疾患を悪化させると言われる物質です。
- 糖尿病や糖尿病の合併症
- アテローム性動脈硬化症
- 慢性腎不全
- アルツハイマー病などの神経変性疾患
シナモンから抽出される次の様なフェノール類とフラボノイドが、AGE形成における中間反応物質であるメチルグリオキサール(MGO)などを除去することに関与し、AGEの形成を阻害する可能性が示唆されています。
- エピカテキン
- カテキン
- プロシアニジンB2
シナモンをお料理に活用する
美味しくて素晴らしい機能が期待できるスパイスを使わない理由はないですね。
シナモンをお料理に活用する基本的な考え方については『キッチンを薬局に|基本の15ハーブの効能と使い方(3)』をご参照ください。
シナモンを使った簡単レシピ
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献:
- “Cinnamon use in type 2 diabetes: an updated systematic review and meta-analysis”, Allen RW, Schwartzman E, Baker WL, Coleman CI, Phung OJ, Ann Fam Med. 2013 Sep-Oct;11(5):452-9. doi: 10.1370/afm.1517.
- “Effect of short-term administration of cinnamon on blood pressure in patients with prediabetes and type 2 diabetes”, Akilen R, Pimlott Z, Tsiami A, Robinson N, Nutrition. 2013 Oct;29(10):1192-6. doi: 10.1016/j.nut.2013.03.007. Epub 2013 Jul 16.
- “Cinnamon: A Multifaceted Medicinal Plant”, Pasupuleti Visweswara Rao and Siew Hua Gan, Volume 2014, Article ID 642942, 12 pages, Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, http://dx.doi.org/10.1155/2014/642942
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング