
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
体重が気になる人たちや体内の汚染が気になり始めた人たちの間で人気になっているのがファスティング/断食です。
プチ断食なども現れ、「ちょっとファスティングでもやってみようかなぁ~」なんて軽く考えている人や定期的に実行している人も増えています。
それに伴い、ファスティング/断食に対する誤った情報による誤った方法を勧める人たちや実際に誤った方法で実行している人も増えています。
そこで、今回は、ファスティング、特に、インターミッテント・ファスティングによる効果を適切に得るために必要な知識と方法をお伝えします。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献一覧として掲載しています。
元々は精神の浄化のため

ファスティング/断食は、新しい概念ではありません。
例えば、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教、仏教などの多くの宗教によって昔から行われてきた修行のひとつです。
しかしそれは、肉体の浄化による精神の浄化を目指したもので、乱れたライフスタイルの辻褄合わせにやる現代人のファスティングとは趣が異なります。
また近年では、兵士の訓練にも取り入れられることがあるようです。それは戦争時に、長期間空腹でも戦闘態勢が保たれるよう肉体と精神の持久力を高めるために行われるもので、やはり、一般的なファスティングとは様子が異なります。
ファスティングのダイエット効果の嘘と本当

ファスティング/断食は、一般的に、3~4日間以上、水分補給のみで過ごすものです。人気のファスティングでは、スムージーやジュースなどの摂取が許容されていることが多いようです。
体は通常、ブドウ糖と脂肪酸をエネルギー源としています。食事から摂ったそうしたエネルギー源から様々な身体活動に必要な分を使い、残った分を体脂肪として蓄えます。
食事が得られない時は、貯蔵しておいた脂肪をブドウ糖と脂肪酸に分解しなおしてエネルギー源として使用します。つまり、ファスティング(断食)をすることで、体は体内に貯蔵してある脂肪を消費して使わざるをえなくなります。
体から余分な脂肪が減りますから、3~4日で効果が実感できる簡単なダイエット法ということも、ファスティング人気のひとつの理由です。
効果は長続きするか?
水だけ、あるいは、朝食に少量のジュース、昼食に少量のスープなどを食べるファスティング/断食を行った際の効果を米国イリノイ大学シカゴ校が調査しています。
ファスティング期間の長さによるダイエット効果は次の通りでした。
- 5日間・・・体重4〜6%減少
- 10日間・・・体重2〜10%減少
- 15〜20日間・・・体重7〜10%減少
しかし、この体重減少の3分の2は、筋肉が減少したことによるもので、脂肪の減少は3分の1のみでした。つまり、このタイプのファスティングは、主に筋肉を減少させてしまうため、リバウンドしやすい体を作るだけだということを意味します。実際、このタイプのファスティング終了後には体重が速やかに戻ることが報告されています。
また、健康な人では、次の指標の改善がファスティング中に現れますが、ファスティング終了後には消えてしまうことも報告されています。
- 血圧
- 血糖値
- インスリン抵抗性
- HbA1c値
そして、I型糖尿病とII型糖尿病の人では、ファスティング前後で上記の指標改善が見られないことも明らかにされています。
ファスティングのデトックス効果の嘘と本当
また、細胞内に溜まった有害物質を排出できると謳っているファスティングの指導者がいることもファスティング人気を支える理由のひとつです。ただし、細胞内からの有害物質の排出に関しては、実際のところ、科学的な裏付けは存在しません。
ファスティングを勧める人たちがよく口にする「オートファジー」は、細胞内のタンパク質のリサイクルの仕組みであって、デトックスの仕組みではありません。ましてや、タンパク質以外の物質のリサイクルもデトックスもしません。
もちろん、数日間、固形物を胃や腸に入れないことによる胃腸の休息で、体の自然な排泄が促されるようになります。その意味においてのデトックス効果はあります。
毒を貯める仕組み
それに、3~4日またはそれ以上のファスティングを行う場合には、正しい準備が必要です。ファスティング中にやってはいけないこともあります。
誤った方法でファスティングを行うと、逆に有害物質を溜め込んでしまうことになります。適切な指導の下で行うのでなければお勧めしません。
ジュースクレンスの真実
ファスティングの一種の「ジュースクレンス」は、一定期間、固形食を取らずにジュースのみで必要な栄養素を補う方法です。
米国ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部による研究は、野菜や果物のジュースのみの食事を3日間続けると、腸内と口腔内の常在菌のバランスに変化が起こることを明らかにしています。
具体的には、次の機能に関係する細菌分類群の相対的存在量が増加したことが観察されています。
- 腸管透過性(リーキーガット)
- 炎症
- 認知機能低下
ジュースのみでたった3日間過ごすだけで、上記した疾患の発症リスクが高まるということです。ヘルシーどころか、非常に有害な行為だと言えます。
なお、ジュースによるその他の影響については『ジュース vs スムージー』をご確認ください。
インターミッテント・ファスティングとは

インターミッテント・ファスティングとは、その言葉の通り、断続的に行う(やったり・やらなかったりを続ける)ファスティングのことです。
この食べたり食べなかったりする食事法が、短期間のファスティングを行うよりも健康にとって良い働きをすることが多くの研究によって裏付けられています。
その理由には、ヒトの歴史が関係していると考えられています。
狩猟時代のヒトは、狩りをしたり、種や実を拾い集めて食べ物を獲得していました。今のようにコンビニがあったわけではありませんから、食べ物が手に入る日もあれば、まったく手に入らない日もあったはずです。そのため、あなたの体は食べたり食べなかったりしても病気にならないように造られることとなりました。
そのため、現代のいつでも食べられる便利な環境が、返って健康を損なう原因になっていると考えられ、時々、食べない機会を設けることによって体の機能が健康的に維持されると、考えられるようになったのです。
インターミッテント・ファスティングの方法

インターミッテント・ファスティングを適切に行うと、体内に若干のストレスが生まれます。
この若干のストレスが、返って体のストレス耐性を高めることとなり、基礎代謝が上がり、酸素の供給が少なくても(有酸素運動をしなくても)体脂肪をエネルギーに変換できる太りにくい体を作り、細胞の再生が促されると考えられています。
準備の必要も副作用もない
インターミッテント・ファスティングは、ケトン体ダイエット等とは異なり副作用を起こす心配もなく、ファスティング/断食のように準備期間やファスティング中にやってはいけないこともありません。(なお、ケトン・ダイエットについては『ケトン体ダイエットは病気治療の食事法』をご覧ください。)
また、特殊な器材や食材や追加費用も必要なく、簡単に行うことができます。
インターミッテント・ファスティングには、様々な方法があります。ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。
1. 時間を区切って行う
1日の中で食事をしても良い時間を8時間に限定する方法です。最も簡単な方法です。
特に、多くの研究によって効果が裏付けられているのは、食事を朝7時から午後3時までの8時間に限定する方法です。
つまり、朝食と昼食は食べ、夕食を抜くことを意味します。
その後の16時間を水分(水・お茶・ハーブティなど)だけで過ごします。水分補給では、糖分や脂肪分が含まれているものを避けます。例えば、ジュース類はNG。また、お砂糖やミルクが含まれているものも避けます。
急に食事時間を8時間に限定することが難しい場合には、まず、食事時間を12時間(例えば、朝7時から夜7時まで)に限定することから始めることをお勧めします。それができるようになったら、次に10時間(例えば、朝7時~夕方5時まで)に限定し、徐々に慣れていく方法を試してみてください。
ただし抜くのは常に夕食です。朝食ではありません。最近、プチ断食とか言って朝食を抜くライフスタイルがファッション化しているようですが、朝食を抜くことにはさまざまな健康リスクが伴います。
朝食を抜くことの危険性については、こちらの記事をご参照ください。
2. 量を制限する
3日に1日のペースで、食事の量をいつもの3分の1にして過ごす方法です。毎食食べて構いません。ただし、1食の量を3分の1にするのです。
この方法では、夕食を抜くことはしません。抜く代わりに量を減らします。
2日に1日のペース(1日置き)でも構いません。
3. ハイブリッドにする
食事の時間を朝7時から午後3時までの8時間に限定し、かつ、食事の量を3日に1回、いつもの3分の1にします。
夕食を抜き、かつ、3日に1回は朝食と昼食も量を減らす方法です。
インターミッテント・ファスティングの効果

体重減少、気分改善
米国アラバマ大学が、食事時間を朝から昼にかけての8時間以内に制限し、その後の16時間を水だけで過ごすタイプのインターミッテント・ファスティングによる影響をランダム化比較試験を用いて調査しています。
14週間後の結果は次の通りでした。カッコ内は単にカロリー制限食を食べただけのグループの結果です。
- 体重・・・平均6.3kg減少(平均4kg減少)
- 内臓脂肪、血圧、血糖値改善(有意差なし)
しかし、次の評価では、インターミッテント・ファスティングを実施したグループで有意な大きな改善が示されています。
- 身体活動
- 気分状態(活気・活力、疲労-無気力、抑うつ-落ち込み)
- 睡眠
- 食事時間帯に対する満足度
肥満と糖尿病の改善
ハーバード大学医学部の准教授で、ジョスリン肥満クリニック専門外来のディレクターでもあるオサマ・ハムディ医師は、インターミッテント・ファスティングは、次の病気の改善に最も効果を示すと、述べています。
- 危険な肥満(肥満症/病的肥満)
- Ⅱ型糖尿病(生活習慣病)
また、中国科学院(Chinese Academy of Medical Sciences)は、早期II型糖尿病患者を対象に、3日ごとに1日だけカロリー制限食(通常食の4分の1)を食べる(1週間に連続しない2日をカロリー制限食で過ごす)タイプのインターミッテント・ファスティングの血糖値に与える影響について、2種類の糖尿病薬(メトホルミンとエンパグリフロジン)の効果と比較する非盲検並行群間ランダム化試験を行っています。
16週間後の結果は次の通りでした。
HbA1c値・・・全てのグループで低下しましたが、インターミッテント・ファスティングを行ったグループ(1.9%減)は、薬を服用した2つのグループ(1.6%、1.5%減)と比較し有意な低下を示しました。
体重・・・全てのグループで減少しましたが、インターミッテント・ファスティングを行ったグループ(平均9.7kg減)は、薬を服用した2つのグループ(平均5.5kg減、平均5.8kg減)と比較し有意な低下を示しました。
ウエスト周囲長、ヒップ周囲長、血圧、中性脂肪、コレステロール・・・インターミッテント・ファスティングを行ったグループで、他の2つのグループと比較し著明な改善が見られました。
脳機能・身体機能の向上
インターミッテント・ファスティングの効果はそれだけでなく、次の効果も報告されています。
- 認知機能の改善
- 持久力の向上
- 身体的ストレス耐性の向上
特に、筋トレを一緒に行うと、より効果的だとハーバード大学のオサマ医師は述べています。
インターミッテント・ファスティングで重要なこと

インターミッテント・ファスティングを行う際には、次のことを心にとめ、守っていただくことをお願いします。
- 体の声を聴くこと
- 体の声に従うこと
- 無理に行わないこと
- 水分補給を忘れないこと
痩せたいという気持ちばかりが先走って、無理なファスティングはくれぐれもしないようにお願いします。
繰り返しになりますが、フル・ファスティングを行うのなら、正しい指導(ファスティング前の準備食の指導、ファスティング中のNG行為、回復食の指導の全ての指導)ができる人と行ってください。
インターミッテント・ファスティングをやってはいけない人
次に該当する人は、必ず、インターミッテント・ファスティングやファスティング/断食を行う前に医師に相談してください。
- Ⅰ型糖尿病(自己免疫疾患)
- Ⅱ型糖尿病(生活習慣病)
- 慢性疾患/基礎疾患がある
- 妊娠中、授乳中
- 低血糖
- 痩せすぎ、虚弱体質
- がん
- 未成年者
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新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献:
- “Efficacy and safety of prolonged water fasting: a narrative review of human trials”, Mark Ezpeleta, Sofia Cienfuegos, Shuhao Lin, Vasiliki Pavlou, Kelsey Gabel, Krista A Varady, Nutrition Reviews, Volume 82, Issue 5, May 2024, Pages 664–675, https://doi.org/10.1093/nutrit/nuad081
- “Effects of Vegetable and Fruit Juicing on Gut and Oral Microbiome Composition“, Sardaro, Maria Luisa Savo, Veronika Grote, Jennifer Baik, Marco Atallah, Katherine Ryan Amato, and Melinda Ring, 2025. Nutrients 17, no. 3: 458. https://doi.org/10.3390/nu17030458
- “Effectiveness of Early Time-Restricted Eating for Weight Loss, Fat Loss, and Cardiometabolic Health in Adults With Obesity: A Randomized Clinical Trial.”, Jamshed H, Steger FL, Bryan DR, Richman JS, Warriner AH, Hanick CJ, Martin CK, Salvy SJ, Peterson CM., JAMA Intern Med. 2022 Sep 1;182(9):953-962. doi: 10.1001/jamainternmed.2022.3050. PMID: 35939311; PMCID: PMC9361187
- “Can scheduled fasting improve your health?”, May, 2020, Harvard Women’s Health Watch
- “5:2 Intermittent Fasting Meal Replacement Diet and Glycemic Control for Adults With Diabetes: The EARLY Randomized Clinical Trial.”, Guo L, Xi Y, Jin W, Yuan H, Qin G, Chen S, Zhang L, Liu Y, Cheng X, Liu W, Yu D. A, JAMA Netw Open. 2024 Jun 3;7(6):e2416786. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.16786. PMID: 38904963; PMCID: PMC11193124
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング