バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
心と体をつなぐホリスティックな食事法について、
ニュースレター登録者限定のキャンペーン情報等も配信しています。
ご登録は、こちらから
もれなく統合食養学(ホリスティック栄養学)冊子が無料ダウンロードできます
目次
いつもと違う疲労感
長い人生、誰しも1度や2度やそれ以上、疲れたな~と感じたことはあるはずです。
一般的に私たちが「疲れたなぁ~」と感じるの原因は、次のようなものです。
- 睡眠不足
- 人間関係のストレス
- 仕事のストレス
- 運動などによる肉体疲労
など
他にも、塩酸ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン剤)配合の アレルギー症状緩和薬(ドリエルなど)を服用した後などに起きる薬物誘発性疲労なんてのもあります。
でも、これらの「疲れ」は、みな一時的なもので、何かの病気によって起こっているのではありません。
今回、読んでいただきたいのは、日常生活の妨げになるほどの、あるいは、人生を楽しむことの妨げになるほどの慢性的な、あるいは定期的に起きる疲れについてです。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
例えば、こんな疲労感です。
- ピラティスを始めたら、15分も経たずに息切れがしたり、めまいが起きて、心臓がバクバクしだした。
- 今までは平気だった3kmのジョギングなのに、久しぶりに走ろうとしたら息が苦しくなって、休憩しないと走り切れず、帰宅後は、疲れ切ってしまいずっと横になっていた。
- 駅の階段を上ろうとして、途中で息切れがして登り切れず、階段の途中で座り込んでしまった。
- 片付けないといけない用事だったが、あまりに疲れていたため予定変更するしかなかった。
- 駐車場からスーパーの入口まで歩いただけなのに疲れてしまい、しばらくベンチで休憩しないと買い物ができなかった。
こうした状態は、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)と呼ばれる病気である可能性があります。
ウイルス感染後疲労症候群とは
ウイルス感染後疲労症候群は、ICD-10(International Classification of Disease|国際疾病分類)に掲載されている本物の病気です。
例えば、10年~30年以上前に何かのウイルスに感染したことがある場合、そのウイルスが体内に潜んでいたり、ウイルスの断片が残されていることがあります。
そうした潜伏ウイルスやウイルスの断片(ウイルスリザーバー)によって引き起こされる病気や不調をウイルス感染後疲労症候群と呼びます。
ウイルス感染による主たる症状が治ってしまうと、まさか、まだウイルスが体内に潜んでいるとは多くの人が思いませんし、また、潜伏ウイルスは検査によって見つけられないことが多いため、見逃されることが多いのです。
ウイルスが体内に潜んでいるケース
イギリスの『筋痛性脳脊髄炎協会|Myalgic Encephalopathy Association』が発行したウイルス感染後疲労症候群(PVFS)に関する記事には、多くの症例が掲載されています。
水痘&帯状疱疹ウイルス
水痘(みずぼうそう)を起こす水痘帯状疱疹ウイルスは、脳と脊髄に永遠に住み着き、後に、帯状疱疹を引き起こすことが判っています。でも帯状疱疹が起きた時(多くは40代以上)、それが5歳の時の水ぼうそうが原因していると考える人は少ないです。
インフルエンザ・ウイルス
インフルエンザにかかったことがあると、その古いウイルスが再発して毎年、風邪の症状を起こすことがあります。
毎年、別の風邪にかかっていると思っている人がほとんどではないでしょうか。
ヘルペスウイルス
EBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)は、唾液に潜んでいるため、回し飲みやキスが原因でうつることが多いウイルスです。そのため、キス病などとも呼ばれます。
過去にこのウイルスに感染したことがある人に起きる倦怠感は、ウイルス感染後疲労症候群の可能性があります。
ライム病ウイルス
ダニに噛まれてライム病にかかったことのある人に起こる倦怠感も、ウイルス感染後疲労症候群の可能性があります。
次のウイルスもウイルス感染後疲労症候群を引き起こす可能性があります。
- パルトネラ・ウイルス|猫にひっかかれることで感染する
- ウエストナイル・ウイルス|蚊から感染する
- HIVウイルス
などなど
コロナ後遺症
新型コロナウイルスに感染すると、回復した後も次の様な臓器に影響が残ることが問題視されています。
- 心臓
- 神経系
- 血管
- 肺
- ミトコンドリア
症状は200以上もあって、重症度は様々です。急性感染後12週間以上経っても症状が残っている場合に後遺症と診断されることが多いようです。発症後79日後においても、症状がひとつも残っていないと回答した人はたったの1%未満だそうです。
こうした後遺症は、通称で「Long COVID(ロング・コヴィッド)」と呼ばれています。
コロナ後遺症が起こる原因
2021年3月4日に発表された調査論文によれば、集中治療室での治療を受けた新型コロナウイルス感染者のICUサバイバーに顕著なコロナ後遺症は、次の複合要因によって起こるとのことでした。
- 直接的な肺傷害による肺機能障害
- 集中治療後症候群(PICS: post intensive care syndrome)
- ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)
- 過剰な免疫反応による血栓
- ウイルスリザーバー(ウイルスの断片の残存)・・・研究者は「ウイルスの亡霊」と呼んでいます。
腸内にウイルスの断片
2022年5月11日に『ネイチャー』誌に発表された論文によれば、コロナ後遺症を発症した患者の腸内にウイルスの断片が残存していることを発見し、腸内の免疫B細胞が進化を続けながら過活動状態が続いていることを報告しています。
ウイルス感染後疲労症候群は誤診されやすい
疲労の感じ方は人によって異なることから、「疲労」は、医師へ誤解なく伝えることが難しい症状のひとつです。そのため、ウイルス感染後疲労症候群は、次の病気と誤診されやすいことが報告されています。
甲状腺機能低下症またはうつ病
ひどい疲労感や倦怠感があると伝えると、大抵、甲状腺機能低下症かうつ病が疑われます。
しかし、ウイルス感染後疲労症候群による疲労感(エネルギーの枯渇)は、それらの病気とは異なる仕組みによって起こります。
ミトコンドリア病
ウイルス感染後疲労症候群による疲労は、ウイルス感染によって細胞内のミトコンドリアが弱体化することにより、ATP(エネルギーの源)を作ることができなくなってしまうことで起こります。
そのため、ミトコンドリア病と誤診されることも起こりえます。ミトコンドリア病については、『慢性疲労を起こす要因』をご確認ください。
呼吸器疾患
ウイルス感染後疲労症候群は、過呼吸や息切れなどの症状として現れることが多いです。
そのため、次の病気と診断されてしまうことも多いです。
- CFS(慢性疲労症候群)
- CFIDS(慢性疲労免疫機能不全)
- ME(筋痛性脳脊髄炎)
心疾患または腎臓病
激しい呼吸は、心疾患や腎臓病と関係していることが多いです。
例えば、腎不全があると肺に水が溜まってしまうので、息切れが起きます。過呼吸や息切れが、腎機能や循環器による症状ではないことを検査してもらうことも重要です。
大腸炎または多様な疾患
ウイルスの多くは呼吸器に損傷を与えることが多いですが、今回の新しい研究によって、ウイルスは、腸内環境にもダメージを残していることが発見されました。
腸内細菌は免疫細胞と協働し、様々な生理機能の正常な活動に関与しています。エネルギー代謝やビタミンやホルモンの産生も担っています。
そのため、ひどい下痢や便秘だけでなく、次のような症状を表す可能性もあります。
- 婦人科系の不調(生理不順、更年期症状、PMSなど)
- 肥満
など、多方面に渡って症状を起こす可能性があり、誤診される可能性も高くなります。
ウイルス感染後疲労症候群の息切れと倦怠感
症状を改善する方法を理解するためには、ウイルス感染後疲労症候群による息切れと倦怠感が、血中への過剰な酸素と二酸化炭素の枯渇に起因していることを理解する必要があります。
言うまでもなく、息を吸うと体内に酸素が取り込まれ、吐くと二酸化炭素が排出されます。
体を動かすと、1分あたりの呼吸は、普段よりも早くなります。酸素と二酸化炭素の交換が迅速になり、血流中の二酸化炭素の濃度が下がります。でも、健康な人は恒常性を維持する機能をもっているので問題を感じません。
しかしウイルス感染後疲労症候群を起こしている人にとっては、このプロセスが気分を悪くさせます。
呼吸性アルカローシス
「呼吸性アルカローシス」が起こると、通常pH7.35~7.45(弱アルカリ性)の血液のpH値が、僅かに上昇し(アルカリ性が強くなり)、血液中の二酸化炭素の濃度が下がります。
そして、過剰な酸素の取り込みによって過酸化水素(炎症性の酸化物質)が増加します。
更に、過呼吸下では血中の酸素は、ヘモグロビンとより強く結合するようになり、脳へ運ばれる酸素の量が減ります。
そのため、次のような症状が起こります。(喘息によっても同じような症状が起きます。)
- 頭がぼーとする
- めまい
- 虚弱
- 困惑
- 動悸
- 胸の痛み
- 手足の指や唇のしびれ
- 筋肉痛や脚のつり
- 睡眠困難
- 頻繁なあくび
- げっぷ
- 不安症
- 喉の渇き
更に更に、過呼吸は、ATP(エネルギーの源)を作るために必要なリンとマグネシウムを細胞内から枯渇させます。ATPが減少することで、筋肉は疲れやすくなり倦怠感が生じ、更なる息切れが起きます。
ウイルス感染後疲労症候群による息切れへの対処法
過呼吸あるいは息切れが起きた時
マスクをしたままゆっくりと息を吐きます。マスクをしていない場合には、手で口を覆ってやりましょう。5秒間息を吸い、5秒間息を吐きます。
- 片方の鼻の穴をふさいで、鼻で呼吸します。
- 口をすぼめて、口呼吸します。
- 腹式呼吸をします。
- 5〜10秒間、息を止めます。
過呼吸や息切れ・倦怠感の予防と緩和
ご自分がウイルス感染後疲労症候群かもしれないと思われる方は、それによる過呼吸や倦怠感を緩和するために、次の習慣を身につけることをお勧めします。
- 腹式呼吸法を学ぶ
- 口呼吸ではなく、鼻呼吸をする
- 適度な運動をする(適切な筋肉量を保つ)
- 適度な日光浴をする(1日15分)
- 免疫機能をサポートする食事を取り入れる
免疫機能をサポートする食事
腸内環境を整える
統合食養学に則った免疫力アップの食事やボディーエコロジーのアプローチについては、マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターで学ぶことができます。
魚、卵、キノコ類
これらの食品は、呼吸性アルカローシスによって失われるビタミンDを補ってくれます。
詳しくは『ビタミンD』をご参照ください。
海藻、山菜
過呼吸によって失られるマグネシウムを補ってくれる食品です。
『マグネシウム』
ナッツ&シーズ、オリーブ、アボカド
ビタミンEは抗酸化ビタミンです。過呼吸によって増加する過酸化水素を中和してくれます。
詳しくは『ビタミンE』をご確認ください。
イチョウの葉茶
イチョウには強力な抗酸化作用があり、動脈血管拡張を誘発して脳により多くの酸素をもたらすと考えられています。
この作用のため、欧米では「山岳病」または「高山病」予防のため、登山を趣味にされる人達に愛飲されているお茶です。
コーヒーを控える
コーヒーはミネラルの吸収を阻害してしまうので、ウイルス感染後疲労症候群の人は止めた方が良いでしょう。
サプリメント
統合食養学のヘルスコーチは、原則として、サプリメントを勧めることはしません。しかし病気による症状改善のため、食事から摂ることの難しい成分をサプリメントから摂取することを勧めることがあります。
以下の成分の摂取については、必ず医師に相談してください。
- カタラーゼ|過酸化水素を酸素と水に分解し中和する作用のある物質です。カタラーゼの有用性が報告されています。(体内でカタラーゼを増やす食事については『カタラーゼ』をご参照ください。)
- N-アセチルシステイン|1日2回600mg(ただし医師に相談のこと)
- S.O.D(スーパーオキシドジスムターゼ)|過酸化水素を中和します
- ATP|サプリメントとして摂ることができます
- TMG(トリメチルグリシン)|低用量(約500 mg)から試すことをお勧めします。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
もしあなたの疲労感や呼吸に関する問題について、今回ご紹介したことに心当たりがあれば、ウイルス感染後疲労症候群(PVFS)の可能性を考えてみても良いのではないかと思います。
また既にコロナウイルスに感染し、その後、疲労感や呼吸に困難を感じているのでしたら、それは確実にウイルス感染後疲労症候群ではないでしょうか。
医師に相談の上、適切な治療が行われることが望ましいですが、それと並行して、ご自宅でできる食事による症状の緩和へのサポート情報となれば嬉しいです。
私達は食べたものでできています。
ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
プライベート・ヘルスコーチング・プログラムについて
お気軽にご相談ください。
初回相談を無料でお受けしています。
あるいは、ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。
新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。
心と体をつないで健康と幸せを手に入れる
ニュースレターのご登録は、こちらから
統合食養学(ホリスティック栄養学)冊子が無料ダウンロードできます
参考文献
- “Post-viral fatigue (PVF) and Post-viral fatigue syndrome (PVFS) following coronavirus infection”, MEA INFORMATION, May 2020
- “Oligodendroglial cell death induced by oxygen radicals and its protection by catalase”, Y. S. Kim Dr. Seung U. Kim First published: May 1991, https://doi.org/10.1002/jnr.490290111
- “Restoration of cerebrovascular responsiveness to hyperventilation by the oxygen radical scavenger n-acetylcysteine following experimental traumatic brain injury”, E F Ellis, L Y Dodson, R J Police, Nov 1991, 10.3171/jns.1991.75.5.0774
- “N-acetylcysteine as powerful molecule to destroy bacterial biofilms. A systematic review”, S Dinicola, S De Grazia, G Carlomagno, J P Pintucci, Eur Rev Med Pharmacol Sci, 2014 Oct;18(19):2942-8, PMID: 25339490
- “Respiratory alkalosis may impair the production of vitamin D and lead to significant morbidity, including the fibromyalgia syndrome”, John M Lewis, Toinette H Fontrier, J Lynn Coley, Med Hypotheses, 2017 May;102:99-101. doi: 10.1016/j.mehy.2017.03.013. Epub 2017 Mar 8, PMID: 28478843
- “PULMONARY FUNCTION AND RADIOLOGICAL FEATURES IN SURVIVORS OF CRITICAL COVID-19: A 3-MONTH PROSPECTIVE COHORT“, Jessica González, Iván D Benítez, Paola Carmona, Sally Santisteve, Aida Monge, Anna Moncusí-Moix, Clara Gort-Paniello, Lucía Pinilla, Amara Carratalá, María Zuil, Ricard Ferrer, Adrián Ceccato, Laia Fernández, Ana Motos, Jordi Riera, Rosario Menéndez, Dario Garcia-Gasulla, Oscar Peñuelas, Jesús F Bermejo-Martin, Gonzalo Labarca, Jesus Caballero, Gerard Torres, David de Gonzalo-Calvo, Antoni Torres, Ferran Barbé, CIBERESUCICOVID Project (COV20/00110, ISCIII), Chest, 2021 Mar 4;S0012-3692(21)00464-5. doi: 10.1016/j.chest.2021.02.062, PMID: 33676998 PMCID: PMC7930807
- “Coronavirus ‘ghosts’ found lingering in the gut”, Heidi Ledford, 11 May 2022, Nature NEWS
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング