運動後のダウンタイムを短縮して筋肉痛を緩和する食事とケア

2016/03/13/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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筋肉が前向きになるために必要なこと

「筋肉は、負荷を前向きに受け止める。」

と言うのは、ニューヨーク大学でスポーツ・サイエンスを専門とするトーマス・スウェンセン教授です。

ワークアウトで筋肉を適度に痛め、筋繊維が自己修復しようとする力を利用して、筋肉を次第に強く引き締めていくことができることを示しています。

筋肉は、筋繊維の破壊と修復の繰り返しによって成長し強くなっていきます。

筋肉が前向きになるためには、エネルギーを回復し、筋肉を修復し、再生する時間が必要です。そのためには、次のものを体に与えることが必要です。

  • 適切な食事
  • 十分な睡眠
  • 運動後1~2日の休息

筋肉痛が起こる仕組み

1. エネルギー物質(糖質、脂質)の不完全燃焼

主にビタミンB群の不足によって、エネルギー物質(糖質、脂質)の不完全燃焼が起き、乳酸が発生します。その乳酸を巧く代謝できないと、筋肉痛が起こります。

2. 筋繊維の破壊によって体内が酸性に傾く

運動は筋肉の繊維を一時的に壊します。タンパク質の代謝(筋繊維の破壊)によって、体内が過度に酸性に傾くため、筋肉痛が悪化します。

3. 運動は細胞内に炎症性物質を発生する

更に運動は体内に炎症を起こします。免疫力が弱く抗酸化物質を体内で十分に造ることができないと、筋肉痛やコリの原因となります。

運動前の食事に加えるべきもの

エネルギー物質を完全に燃焼燃焼させ、体内を酸性に傾け過ぎないための食品を運動の前に食べておくことが、運動後の筋肉痛予防だけでなく、回復を速めるための必須条件となります。

1. ビタミンB群豊富な食品

ビタミンB群はエネルギー代謝を高める作用をもっています。

主に、ビタミンB1は糖質代謝、ビタミンB2は脂質代謝、ビタミンB6はタンパク質代謝などの働きもっていますが、ビタミンB群はどれも様々なエネルギー代謝に関わっています。

ビタミンB群を多く含む食品は、豆類、ナッツ類、シーズ(種)類です。また肉類の中では豚肉に多く含まれています。

ビタミンB群の詳しい機能については『意外と知られていないビタミンB群の正しい摂り方』をご参照ください。

2. カルシウム豊富な食品

カルシウムは、骨を強くするというイメージをでとらえている人が多いと思いますが、カルシウムは代謝の過程で体内が酸性に傾くことも予防してくれます。そのため、カルシウム豊富な食品を食べておくことも必要です。

食品100g中の含有量で見ると、実は、牛乳にはそれほど多くのカルシウムは含まれていません。切り干し大根やパセリの方がカルシウムが多いんですよ。干しエビやヒジキにも多くのカルシウムが含まれています。

日本ではなかなか目にしませんが、欧米でパウンドケーキの生地に練り込まれていることの多いポピーシーズは、かなりのカルシウムを含んでいます。

カルシウムの詳しい機能については、『カルシウム』を確認ください。

3. 鉄分豊富な食品

運動中の細胞に欠かせないのが酸素です。細胞に酸素を届けてくれているのが血液中の鉄分です。運動中の酸欠や貧血を予防するために、鉄分豊富な食品も日頃から食事に取り入れておくことが重要です。

海藻類(海苔やヒジキ)だけでなく、豆類、シーズ(種)類、パセリにも鉄分が多いです。

鉄分の詳しい機能については『鉄分』を確認ください。

こうしてみると、ビタミンB群、カルシウム、鉄分を満遍なく摂るなら、豆類、ナッツ類、シーズ(種)類、ヒジキの組み合わせが運動前には最適ということになりますね。

アーモンドクルミひまわりの種などをスナックとして携帯しておくと便利です。

抗酸化作用のある食品は運動前に食べる

運動をする人は、抗炎症作用のある食品を食べことで、筋肉の炎症を抑え、リカバリータイムを短くすると聞いたことがある人は多いと思います。

しかし、抗酸化作用のある食品、抗酸化成分を多くもっている食品は、運動後ではなく運動前に食べることが、その効果を最大限に得るためには必要です。

スイス連邦技術研究所は、運動後の体内の酸化と、体の抗酸化力や免疫力との関係について、2009年の報告書の中で、抗酸化作用のある食品は運動前に食べることによって、多くの人が期待する抗酸化作用、免疫力の向上、リカバリー時間の短縮が起こること、そして、運動後に食べてはいけない理由を詳しく説明しています。

詳しくは『活性酸素を多く発生させる運動と寿命』をご覧ください。

運動前に飲食しておくと良い抗酸化作用をもつ食品は次の通りです。

1. 緑茶

抗酸化物質のカテキンが豊富で、筋肉疲労の緩和に効果があると考えられています。緑茶には脂肪燃焼を促進させる効果もあります。

練習の前に冷やした緑茶を飲むようにしてみましょう。水出し緑茶にしても美味しいですね。

持久系の運動をする人は、ハチミツなど加えると良いです。

2. スイカのジュース

スイカに含まれる「l-シトルリン」という成分が筋肉痛を予防することが『農業と食品化学ジャーナル(The Journal of Agricultural and Food Chemistry)』で報告されています。

500mlのスイカジュースを運動の1時間に飲んだグループは、ダミーのジュースを飲んだグループと比較し、筋肉痛になった人が有意に少なかったとのことです。

ジュースにしなくても、スイカをそのまま食べても構いません。

スイカの詳しい機能については『スイカ』をご参照ください。

3. さくらんぼパインアップルパパイヤりんご

その他にも、さくらんぼ、パインアップル、パパイヤ、りんごが筋肉痛予防になることが明らかにされています。

これらの食品を運動前に食べておくことで、運動によって生じる体内の免疫力の向上を損なうことなく、体内の炎症を抑え、回復が早まることが期待できます。

詳しい機能について執筆した記事を下にリンクしておきますので、ご参照ください。

運動後の食事とケア

1. 運動には抗酸化物質を口にしない

運動後には少なくとも時間をおいてから抗酸化成分を口にしないと、せっかくの運動効果が台無しになってしまいます。

つまり、運動後にフルーツを食べたり、フルーツジュースや水素水を口飲むのは、せっかくの運動効果を台無しにしてしまう非常に誤った行為です。

フルーツの抗酸化成分については『フラボノイド』、水素水にについては『水素水』をご参照ください。

2. タンパク質豊富な食品を食べる

筋肉の修復にはタンパク質(アミノ酸)が必要です。

必須アミノ酸を多く含むタンパク質系の食品を意識的に食べることで、運動によって壊れた筋繊維の修復が促され、その過程で筋肉が成長し強くなることを助けます。

運動後に十分なタンパク質が体に補給されないと、体は身近なもの、例えば脂肪や糖質を使って壊れた筋肉繊維を修復してしまいます。壊れた筋繊維と筋繊維の間を脂肪や糖質でつなごうとしてしまうのです。

すると、筋肉は、霜降り状になります。一旦、霜降り筋肉なってしまうと、なかなか筋肉繊維と絡み合った脂肪や糖質を落とすことが難しくなります。

(1)目指す筋肉によって異なるバランス

  • 硬いスレンダーな筋肉を目指している人| 運動後に脂肪の多いものや甘いものは避けましょう。
  • マッチョで大きい筋肉が欲しい人| 運動後にタンパク質だけでなく炭水化物も一緒に食べると筋肉を大きくすることができます。
  • 柔らかい女性らしい筋肉が欲しい人| タンパク質ばかりでなく炭水化物も一緒に食べると柔らかい筋肉になります。

(2)プロテインドリングについて

運動後にプロテインドリンクを飲む方が多いと思いますが、その際、次の事柄に注意し確かめた上で購入することをお勧めします。

  • 食品添加物(香料、着色料、甘味料)が入っていない
  • 大豆タンパク質|遺伝子組換えでない、オーガニック/自然栽培の大豆
  • ホエイタンパク質|グラスフェッドの乳牛のホエイ

3. 冷やす

ハーバード大学医学部理学療法・リハビリテーション講師、スポールディング・リハビリテーション外来センター暫定医療ディレクターのメリッサ・L・コルバート医師は、捻挫や肉離れが起きた際の標準的な治療法として、PRICE法を紹介しています。

PRICE法は、次の5つの方法の頭文字をとったものです。

  1. 保護(Protection)
  2. 安静(Rest)
  3. 氷(Ice)
  4. 圧迫(Compression)
  5. 挙げる(Elevation)

これは、患部を保護し安静にし、冷却パックを当て、可能であれば包帯で圧迫し、患部を挙上して腫れを軽減することを意味します。冷却パックは、頭痛、足の痛み、腱炎や一部の腰痛などの長期的な症状の緩和にも使用されます。また、冷却療法は、一部の関節炎における炎症を起こした関節の腫れを軽減する効果もあります。

突然の捻挫や肉離れを起こした場合、冷やすことで細胞の活動を抑制し、血管を収縮させ、ヒスタミンと呼ばれる化学物質の放出を阻害することで、腫れを抑えることができます。また、患部を麻痺させることで痛みを和らげる効果もあります。アイスマッサージは、これらの効果に加え、損傷した組織に優しく圧力をかけることで痛みを軽減する効果も併せ持っています。

慢性的な痛みの場合、積極的なアイシングが最も効果的な方法のようです。痛みの悪化につながる可能性のある活動を行う前には、活動の前後に冷やしてみてください。この方法は、一時的な気を紛らわせる刺激(冷たさ)を作り出し、痛みの信号が脳に伝えられる前に遮断します。これにより、脳が慢性的な痛みを認識する方法を再訓練するのに役立ちます。冷やしの効果は、人によって数分から数時間持続する場合もあります。

冷やすには、市販の保冷剤を冷凍庫で保存するか、冷凍野菜の袋、または密閉されたビニール袋に入った氷などを使用します。保冷剤や氷は皮膚に直接当てないでください。組織の損傷を防ぐため、タオルや枕カバーで包んでから当ててください。怪我をしてから最初の2日間は、1回20分以内、1日に4~8回、冷やしてください。怪我の急性期が過ぎたら(通常は2~3日以内)、温熱療法を行うことができます。

冷却パックやアイスマッサージ(痛みのある部分を氷でこする)などの冷却療法は、怪我の直後から数時間後に効果的です。痛みを和らげるだけでなく、冷却療法は炎症や筋肉のけいれんを軽減し、怪我からの回復を早める可能性があります。冷却療法は腰痛などの慢性的な痛みにも推奨されることが多く、多くの人が効果を実感しています。

筋肉を冷やす、あるいは、氷風呂は、筋肉の炎症による熱や腫れを抑えるのに有効です。

多くのプロアスリートが行っている方法です。特にサッカー選手やラグビー選手などゲームが長時間に渡る競技で、疲労物質を素早く体の外に排出し、疲労回復を早める効果が期待されています。

運動の直後に行うことで筋肉痛予防や疲労回復に効果が期待できますが、筋肉痛が起こってしまった後には、あまり効果がないとする研究報告もあります。

4. 十分な睡眠

細胞の再生は眠っている時に起こります。細胞の再生に関係している成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。

眠っている時に最も筋肉組織が修復されることを考えれば、運動後に十分な睡眠をとることが、筋肉の修復を促し、ダウンタイムを短縮する、とても効果的な近道なのです。

寝る子は育つ」と言う諺を聞いたことはありませんか?これは、医学的にも真実です。寝る子は大きく成長するのです(笑)

それでも筋肉痛になってしまったら

筋肉痛は、一旦、起きるとなかなか緩和することが難しいものです。

例えば、イブプロフェン系の鎮痛剤も、ランナーズニーなどの痛みには効果があっても、通常の筋肉痛にはあまり効果をもたないどころか、筋繊維の自己修復する力を弱めてしまうことが研究によって明らかにされています。そのため、市販の鎮痛剤をむやみに使用することは勧められません。

(参考『鎮痛剤(イブプロフェン)に頼らなくても痛みを和らげてくれる食品|鎮痛剤・サプリメントの危険性』)

筋肉痛が起きた時、そのリカバリー(回復)タイムをできるだけ短くする方法をいくつかお伝えします。

1. 生姜

ジョージア大学が行った実験で、運動後に筋肉痛を訴えた生徒のうち、生姜を食べた生徒の約25%の筋肉痛が緩和されたと報告されています。

生姜は生のままでも、調理したものでもほぼ同じ結果だったそうです。

2. ヨガや静態ストレッチ

ヨガは、タフなワークアウトの後のリカバリータイムを短くしてくれる最良の方法です。

ワークアウトの間に、ヨガやストレッチを定期的に加えることで、リカバリータイムを短くしてくれる効果があるだけでなく、次の効果があることが分かっています。

  • 動態柔軟トレーニング
  • コア(体幹)の安定性
  • バランスの強化
  • パフォーマンス低下の原因となる筋肉の硬直の予防

更に、ヨガには、集中力を高め、メンタル面の強化にも効果があります。

3. マッサージ・ローラー

筋トレの後、20分間ローラーで筋肉を激しく擦ったグループは、そうでないグループと比べて筋肉痛がそれほどひどくならなかったという報告があります。

筋肉痛や筋肉のコリを緩和してくれるだけでなく、筋肉をほぐしてくれるので、怪我のリスクを抑えて体に柔軟性を与えてくれます。

特に、体操競技のパフォーマンスの向上に有効であることが明らかにされています。

4. ミズメサクラの精油

ミズメサクラの精油成分の99%は、サリチル酸メチルです。湿布薬のあの匂いの成分です。あの香の元が、非ステロイド性抗炎症作用そして筋肉消炎作用のある薬効成分なんです。

そのため、筋肉痛のある部位にキャリアオイルと混ぜてマッサージする、あるいは湿布することで、痛みの緩和と回復を促してくれます。

ミズメサクラの精油の使い方の詳細は、『日本古来の樹木ミズメザクラが筋肉痛解消に効く』をご覧ください。

運動に関するその他の記事

運動に関する心と体の健康についての記事です。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

今回ご紹介したこれらの方法が、完全に筋肉痛を無くしてくれるわけではありません。

筋肉負荷の高い運動は、2~3日のインターバルを置いて続けることが理想的ですし、何日も筋肉痛がとれないような場合は、お医者様に相談してくださいね。

また、全ての筋肉痛が運動で起きるわけではありません。何か別の病気のサインかもしれませんあら、無理な我慢や自己判断をせずに、病院を受診することをお勧めします。

もし運動のための食事について、おひとりで取り組むことに難しさや不安があれば、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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