バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
沖縄料理のゴーヤチャンプルーで人気のお野菜ゴーヤ
ゴーヤはキュウリの仲間ですが、苦瓜(にがうり)と呼ばれるくらい、苦いキュウリです。
アジア、アマゾン、東アフリカ、カリブ海の熱帯地域を含む世界中で栽培されていて、お野菜として食べられているだけでなく、民間療法や代替療法の薬としても広く使用されています。
実家でも夏はベランダの緑のカーテンとしても育てている馴染みのある夏野菜です。
近年、ゴーヤに驚くべき薬効があることが次々と報告されています。ゴーヤの成分を用いた創薬研究も行われているようです。
今回は、そんなゴーヤについてお伝えします。
裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
ゴーヤの薬効成分
ゴーヤには、次の様な生物活性化学成分が含まれていることが報告されています。
- ククルビタン型トリテルペノイド(ククルビタシンB、チャランチン、カラビロシドXI)
- トリテルペン配糖体(クグアシンJ)
- フェノール酸(クグアグリコシドC)
- フラボノイド(モモルジコシドQ-U)
- サポニン
- タンパク質(α-モモルカリン、RNase MC2、MAP30)
- 脂肪酸(α-エレオステアリン酸)
など
これらの成分には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用、抗糖尿病作用、抗菌作用、抗肥満作用、免疫調節作用があると報告されています。
ククルビタシン
ウリ科のお野菜にもれなく含まれている渋味成分です。血糖値や血圧を下げる効果や鎮痛作用があると言われている他、抗腫瘍効果があると報告されてます。ククルビタシンについては『甘くないメロンは細胞デトックスのチャンス』もご参照ください。
モモルデシン
ゴーヤの苦味成分(フラボノイド)です。血糖値や血圧を下げる効果や整腸作用、胃酸の分泌を促すことから消化促進作用が認められています。
チャランチン
チャランポランみたいな名前ですが、脂溶性のタンパク質です。別名「植物性インスリン」と呼ばれるくらい、血糖値を下げる効果が認められていますが、実は、チャランチンは、脂肪を溶かし糖に変換する(血糖値を上げる)ホルモン・グルカゴンの働きもサポートします。また、血中コレステロール値を下げる働きがあります。
α-モモルカリン(α-MMC)、RNase MC2、MAP30
抗ウイルス作用、抗真菌作用、抗腫瘍作用があることが発見されたゴーヤ特有のタンパク質です。
α-エレオステアリン酸
α-エレオステアリン酸は、オメガ6多価不飽和脂肪酸のひとつの共益リノール酸のグループで、脂肪代謝機能があることが報告されている特殊な脂肪酸です。
ゴーヤの実と種、特に種に多くの共益リノール酸が含まれています。
なお、「ゴーヤにはリノレン酸が含まれていて、それが体内で共益リノール酸になる」と記載しているブログ記事があるようですが、それは大嘘です。ゴーヤにはリノレン酸(オメガ3)は含まれていません。初めから共益リノール酸が含まれています。
ゴーヤ100g中の脂質は0.1gです。
ゴーヤの栄養成分
カリウム、クロム、モリブデン、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ビタミンC、食物繊維が、1日の必要量と推奨量を共に10%を超え豊富に含まれています。(米国食品医薬品局(FDA)の定義では、ある栄養素が1日の必要量の10%を超えて含まれている時、その栄養素が「豊富」と表現できます。)
その他、伝統的な栄養素では、セレン、ビタミンD、ビタミンB12を除く全ての栄養素が含まれています。
薬効成分で紹介した特殊なタンパク質の他、必須アミノ酸(タンパク質)も微量ですが含まれています。ゴーヤ100g中のタンパク質は1gです。
ゴーヤの機能
胃腸の健康維持改善
モモルデシンは、胃腸の粘膜を保護し、胃液の分泌を促し、胃腸の働きを助けます。
また、ゴーヤに含まれている豊富な食物繊維(1日の必要量の約20%、推奨量の15%)の80%以上が不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、腸を刺激し蠕動運動を促進させることで便秘が解消されます。
ただし、不溶性食物繊維で便秘が悪化する体質の人もいますので、体の声を聴くことが大切です。
疲労回復/夏バテ予防
モモルデシンによって胃の健康が保たれ、また、豊富に含まれているビタミンC(1日の必要量の89%、推奨量の76%)の働きによって、疲労回復や夏バテ予防に効果があると考えられています。
美肌効果
豊富なビタミンCによる美肌効果が期待できます。
ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンCは多く摂れば摂るほど美容と免疫力がアップするの嘘と本当』をご確認ください。
糖尿病予防/改善
植物性インスリンのチャランチンの働きとモモルデシンがインスリンに働きかけ、血糖値を下げてくれるため、糖尿病予防や糖尿病の血糖値管理に効果があると考えられています。
また、インスリンの働きを助ける機能を持っているミネラルのクロムを1日の必要量の10%も含んでいます。クロムの詳しい機能については『クロムで痩せられるは嘘|糖尿病でない人が痩せる目的でサプリメントを摂るのは危険』をご確認ください。
動脈硬化予防/老化予防/免疫力アップ
ゴーヤには、抗酸化作用のあるビタミンが、ビタミンCだけでなく、ビタミンEもビタミンAも含まれています。
ビタミンEは、1日の必要量の13%以上が含まれていて豊富です。
ビタミンAについては、レチノール当量で1日の必要量の3.6%しか含んでいないので決して多いとは言えませんが、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチンなど幅広く含まれています。
様々な抗酸化ビタミンの働きによって、脂質酸化が抑えられ動脈硬化の予防や改善、また、毛細血管を強くし、血行を改善し、免疫力を向上させ、そして細胞老化を予防・改善すると考えられています。
ビタミンEの詳細については『あなたのビタミンEはコンプリートですか?』を、ビタミンAについては『ビタミンAは必要不可欠でも過ぎたるは「及ばざるがごとし」以上に危険』をご確認ください。
高血圧予防
ゴーヤにはカリウムが1日の必要量の13%、推奨量の10%含まれていて豊富です。カリウムは、体内の過剰なナトリウムの排出を促し、血圧を下げる効果があります。
カリウムの詳しい機能については『欠乏すると心停止の危険でもサプリメントはもっと危険なカリウムの機能と多く含む食品』をご確認ください。
肝臓機能サポート
ゴーヤに含まれているククルビタシンが、肝臓のデトックス機能を助け、血液の浄化をサポートします。
また、特にゴーヤの種には、肝臓の脂質代謝を助け、肝脂肪を改善する効果が報告されている α-エレオステアリン酸(α-ESA)、シス9、トランス11、トランス13という特殊な共益リノール酸が高濃度で含まれています。
マウスを用いた動物実験では、α-エレオステアリン酸を1%混ぜた高糖食を5週間与えても、脂肪症の発症を予防する効果があったことが示されています。また、肝臓がん細胞への中性脂肪の蓄積度合いについて、αリノレン酸(オメガ3)と比較した研究では、αリノレン酸よりもα-エレオステアリン酸の中性脂肪低下効果が高かったことが報告されています。
共益リノール酸やαリノレン酸などの脂質の機能について、セルフドクターコースで詳しく教えています。
胎児/妊婦の健康
胎児の成長に欠かせない葉酸をゴーヤは豊富に含んでいます。葉酸の詳しい機能については『葉酸には2種類あるって知っていますか?』をご確認ください。
がん予防・改善
ゴーヤジュースを用いた多くの試験管試験は、ゴーヤには、がん細胞のアポトーシスや細胞周期停止を促し、オートファジーを誘発しがん幹細胞を排除することで、がん細胞の成長を阻害することが報告されています。
特に、生存率が最も悪いすい臓がん細胞を試験管試験では90%以上を死滅させることができたと報告されています。マウスを用いた研究においても、5%ゴーヤジュースを5週間与えたところ、すい臓がん細胞が64%減少したことが報告されています。
また、すい臓がんの抗がん剤であるゲムシタビンが効かない患者において、ゴーヤジュースとゲムシタビンの服用を併用した場合、ゲムシタビンの効果を得ることができたと報告されています。
ゴーヤの調理法
ゴーヤの薬効成分、特に苦味成分のモモルデシンは、外側の緑色の部分よりも内側の白い綿に多く含まれているので、綿の部分も一緒に調理すると良いですね。
なお、モモルデシンは水溶性成分です。そして、ゴーヤに含まれているビタミンCは熱に強いと考えられていて、ビタミンEやビタミンAは脂溶性ビタミンです。
そうしたことを総合的に判断すると、ゴーヤは茹でて食べるよりも、綿も一緒に油で炒めて食べることで、含まれている多くの素晴らしい成分を無駄にすることなく、いただくことができます。
ゴーヤチャンプルーは理にかなったお料理だったわけですね。
また、ゴーヤは熟すとオレンジ色になり、種はゼリー状のものに包まれて赤く甘くなります。
熟した種はそのまま食べることができます。
種の周りの赤いゼリー状のものは美味しいので、デザートとしてそのまま食べるのも楽しいのではないでしょうか。ただ種は、それでも少しだけ硬いので、ブレンダーでスムージーなどにしてしまえば、特殊なオメガ6のα-エレオステアリン酸がそのまま摂れます。
好き嫌いのある父もゴーヤの熟した種は大好きで、母はこれをスムージーにして父に飲ませていました。
ウリ科のお野菜の個性
今までに執筆したウリ科のお野菜それぞれの個性について詳しくお知りになりたい人は、こちらのリンクをご覧ください。
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参考文献:
- “Bitter melon: a panacea for inflammation and cancer”, Prasad R Dandawate, Dharmalingam Subramaniam, Subhash B Padhye, Shrikant Anant, Chin J Nat Med, 2016 Feb;14(2):81-100. doi: 10.1016/S1875-5364(16)60002-X, PMID: 26968675, PMCID: PMC5276711
- “Promise of bitter melon (Momordica charantia) bioactives in cancer prevention and therapy”, Komal Raina, Dileep Kumar, Rajesh Agarwal, Semin Cancer Biol, 2016 Oct;40-41:116-129. doi: 10.1016/j.semcancer.2016.07.002. Epub 2016 Jul 21, PMID: 27452666, PMCID: PMC5067200
- “Bitter melon fruit extract has a hypoglycemic effect and reduces hepatic lipid accumulation in ob/ob mice”, Dinia R Dwijayanti, Takumi Shimada, Toshinari Ishii, Tetsuya Okuyama, Yukinobu Ikeya, Eri Mukai, Mikio Nishizawa, Phytother Res, 2020 Jun;34(6):1338-1346. doi: 10.1002/ptr.6600. Epub 2019 Dec 17, PMID: 31845444
- “A conjugated fatty acid present at high levels in bitter melon seed favorably affects lipid metabolism in hepatocytes by increasing NAD(+)/NADH ratio and activating PPARα, AMPK and SIRT1 signaling pathway”, Gou-Chun Chen, Hui-Min Su, Yu-Shun Lin, Po-Yen Tsou, Jong-Ho Chyuan, Pei-Min Chao, J Nutr Biochem, 2016 Jul;33:28-35. doi: 10.1016/j.jnutbio.2016.03.009. Epub 2016 Apr 1, PMID: 27260465
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング