バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
スキンケアクリームを手作りする理由
このブログでもここ数年毎年ご紹介していますが、私は顔も含めた全身のお肌用の『ボディバター』を、その時々のお肌の状態に合うよう複数の植物性オイルをブレンドして作っています。
植物性オイルは、精油(エッセンシャルオイル)と固定油(キャリアオイル)に分けられますが、スキンケアクリームに用いているのは主にキャリアオイルです。精油は主に香りづけに使っています。
食べても安全なもの
自分で作る一番の理由は、食べても大丈夫なくらい安全なもので、お肌のケアもしたいからです。保存料や酸化防止剤や香料やよく分からないカタカナやアルファベットが並んだ化学物質が入っていないものを使いたいからです。
それに植物性のナチュラルオイルは、ただそれだけで、お肌バリアを強化し保湿だけでなく他の有効成分の浸透を促すことによって、オイルを塗った箇所での成分の生体利用率(体が活用できる割合)を高め、お肌の健康を保つ機能をもっています。
実際、植物性のオイルは、長年に渡って化粧品だけでなく、医療でもお肌の健康のために用いられてきました。
植物性ナチュラルオイルの選び方
スキンケアのために植物性のナチュラルオイルを選ぶ際には、エッセンシャルオイルを選ぶのと同様に次のことに留意して選ぶことをお勧めします。
これをトリプルピュリティ(3つの純粋/清浄)基準+α(プラス・アルファ)と呼びます。
1. オーガニック/無農薬栽培されたもの
お野菜や果物と同様に、オイルを搾る種や実に農薬が残留していたら、有害な成分がオイルに混入してしまっている可能性があります。そうした残留農薬成分がお肌トラブルの原因になることが心配です。
そのため、オイルを搾る種や実が、オーガニックあるいは自然栽培されたものであることが大切です。
2. 遺伝子組換えされていないもの
オイルを搾る種や実が遺伝子組換え技術によって作られたものでないことも確かめましょう。
日本の遺伝子組換え表示の規則では、原料の原形が残っていない食品、例えば、油や醤油などは、遺伝子組換え原料を使用したかどうかを表示しなくて良いことになっています。
そのため、製造メーカー側の「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」という任意表示に頼らざるを得ません。それでも確認することをお勧めします。
3. 添加物の使用がないもの
保存料や酸化防止剤や香料などが添加されていないものを選びましょう。そうした化学物質がお肌トラブルの原因となることもあるからです。
4. コールドプレスされたもの
上記した「トリプル基準」に追加したい「プラスα」は、抽出方法です。
固定油の抽出方法には様々あります。そして抽出方法の違いによって、オイルに含まれる成分の種類と量が大きく異なることとなります。
例えば、一般的なオイルの抽出に用いられているのが、ヘキサンと呼ばれる劇薬です。ヘキサンによって食品中からオイルを溶かし出すのです。ヘキサンは加熱によって蒸発するため、溶かし出したオイルは加熱され、ヘキサンを飛ばしてから販売されます。
この方法で抽出されたオイルはあまり好ましくありません。その理由は次の通りです。
- 加熱によって成分変化が起こっている可能性があること
- 加熱による成分変化を抑制するために酸化防止剤などが添加されている可能性があること
- ヘキサンが微量残留している可能性があること
一方、コールドプレス(冷温圧搾)された植物性オイルは、抽出の過程で熱による成分変化や薬品処理による栄養素の損失が少なく、また、薬品の残留の心配もありません。だから、食用としてもスキンケア用としても、安心です。
なお、エッセンシャルオイル(精油)の選び方については『エッセンシャルオイルを選ぶ基準』をご確認ください。
植物性オイルの成分
ボディバターを作る時に、複数のオイル/バターをブレンドして使うことにも理由があります。
まず、オイルに含まれている成分の種類や含有量が、オイルによって異なること、そして、お肌の状態よって、それぞれの成分がお肌に与える効果や影響が異なることなどです。
そこで今回は、ご自宅で植物性のナチュラルオイルを使ってスキンケア用のクリームなどを作る際に役に立つ、それぞれのオイル(キャリアオイル)の個性について、『International Journal of Molecular Sciences(IJMS、分子科学国際ジャーナル)』 に掲載されていた論文をもとにお伝えします。
裏付けとなる論文は最後に参考文献として一覧にしていますが、この論文が引用している研究については、元の論文内の索引をご確認ください。
植物性のオイルには、お肌にとって多くの生理学的な利点をもつ次のような成分が含まれています。しかし、含まれている成分の種類と量は、オイルによって異なります。それがオイルの個性を作ります。
- トリグリセリド(中性脂肪)
- 遊離脂肪酸
- ステロール
- スタノール
- ワックス
- スクアレン
- フェノール類
- 抗酸化物質
- リン脂質
などです。ここからもう少し詳しくひとつひとつお話していきます。
トリグリセリド(中性脂肪)
トリグリセリドは、脂肪酸3本をグリセリン1本で束ねたものです。
お肌の表面に留まり、角質の深くにまでは浸透しません。お肌を保護するバリアとなって、お肌からの水分の喪失を防ぎ、瑞々しさをキープしてくれます。
遊離脂肪酸
遊離脂肪酸は、長鎖脂肪酸で構成されています。主なものは、パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸とオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸です。
それぞれのオイルに含まれているトリグリセリドと遊離脂肪酸の種類と割合によって、お肌に与える保湿力や刺激などの特徴が、大きく異なります。
お肌バリアはリノール酸濃度
トリグリセリドに対する遊離脂肪酸(特に、リノール酸)の濃度が多ければ多いほど、お肌バリア機能が高くなることが検査によって判明しています。
リノール酸は、お肌の保湿にとって不可欠なバリアとして働きます。
浸透力はオレイン酸濃度
遊離脂肪酸(特に、オレイン酸)には、浸透促進作用があります。
多価不飽和脂肪酸(リノール酸)よりも一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)の方が、浸透性が高いことが判っています。
オレイン酸には、お肌バリアを壊す働きがあります。そのため、オレイン酸そのものだけをお肌に塗り続けると炎症が起こります。しかし、オレイン酸はお肌バリアを壊すことによって他の成分がお肌へ浸透するのを助けるため、トリグリセリドに対するオレイン酸の濃度で、お肌への浸透力は決まります。
例えば、具体的な植物性オイルの浸透性は、次の順番になります。
オリーブオイル > アボカドオイル > グレープシードオイル > ココナッツオイル
創傷治癒にはオレイン酸
また、多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、炎症反応にも影響を与えます。
リノレン酸(オメガ3)とリノール酸(オメガ6)とオレイン酸(オメガ9)などの不飽和脂肪酸の遊離脂肪酸を、手術後の皮膚に塗ると傷口の閉鎖が促進されます。
特に、オメガ3(リノレン酸)やオメガ6(リノール酸)などの多価不飽和脂肪酸よりも、オメガ9一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)は、傷口での一酸化窒素の産生を強力に阻害し、素早く傷口をふさぐことができることが報告されています。
ちなみに、オメガ3オイルは、術後3時間以内に一酸化窒素の発生がピークに達し、傷口の閉鎖が最も遅かったことが報告されています。食事として摂ることで様々な効果が実証されているオメガ3オイルですが、お肌の再生には、オメガ9に負けるようですね。
グリセリン(グリセロール)
グリセリンには、角質に水分を留まらせる保湿効果があります。
リン脂質
リン脂質は、角質の外側にある皮脂と一緒になり、他の成分の浸透性を高める役割をしていると考えられています。
不鹸化物
アルカリ性の物質(水酸化ナトリウムなど)と一緒に加熱すると、オイルは石鹸とグリセリンに分離します。
この時、石鹸にはならないけれども石鹸の中に残っている成分が「不鹸化物(ふけんかぶつ=石鹸にならない物質)」です。
この不けん化物も植物性オイルの機能にとって重要な働きをもっている成分です。
例えば、次のような成分は、抗酸化活性があり、お肌バリアの恒常性の維持や抗炎症作用や創傷治癒など、生理学的プロセスに関与しています。
- トコフェロール(ビタミンE)
- カロテノイド
- トリテルペン
- フラボノイド
- フェノール酸
など
フェノール類
フェノール類は、どんな植物性オイルにも含まれていますが、その濃度は様々です。
トリテルペン
トリテルペンは、多くの植物に含まれている成分ですが、植物性オイルにはほんの少しだけ含まれています。トリテルペンには、様々な種類があり、多くの生物学的反応に関与しています。
例えば、細胞の移動と増殖、コラーゲンの蓄積を誘発し、また、傷口で活性酸素種が発生することを抑制するので、傷口がふさがるまでの時間を短縮し、傷の治りを早めます。
科学的根拠を伴う植物性オイルの特性一覧
植物性オイルの特性は、上で紹介した異なる成分同士の相乗効果として生まれます。
異なる有効成分の含有割合や組み合わせによって特性に違いが生まれ、それが個々のオイルの個性となります。
研究によって判明している植物性ナチュラルオイルに期待できる特性には次のようなものがあります。
- 抗酸化活性
- 抗炎症特性
- 直接的および間接的抗菌特性
- 創傷治癒の促進
- 抗がん性
よく目にする植物性ナチュラルオイル19種類の特性について分析調査研究した多くの研究の中から、信頼できる裏付けのあるものを基準に、科学的な根拠のある個々のオイルの特性を一覧にしたものが下の表です。
上の表に掲載している19種類ひとつひとつのオイル、プラス、今回の研究論文には含まれていなかったものの人気のあるナチュラルオイル5種類を加えて、それぞれの特性と使用上の注意など下のリンクよりご確認いただけます。
これから徐々に公開していきますので、楽しみにしていてくださいね。
- 『あなたのお肌に合うのはどのオイル?|植物性ナチュラルオイルの個性(1)』
アーモンドオイル、アボカドオイル、アルガンオイル、オーツオイル、オリーブオイル - 『あなたのお肌に合うのはどのオイル?|植物性ナチュラルオイルの個性(2)』
グレープシードオイル、ココナッツオイル、ごま油、ザクロオイル、サフラワーオイル(紅花油) - 『あなたのお肌に合うのはどのオイル?|植物性ナチュラルオイルの個性(3)』
シアバター、ジャーマンカモミールオイル、大豆油、ひまわり油、ビターアプリコットオイル、ピーナッツオイル、ホホバオイル、ボラジオイル、ローズヒップオイル - 『あなたのお肌に合うのはどのオイル?|植物性ナチュラルオイルの個性(4)』
米ぬかオイル、椿油、ヘンプシードオイル、マカダミアナッツオイル、カクタスシードオイル
一般的に考えられてきたオイルの特性
なお、科学的な裏付けは乏しいものの「一般的に良い」とされてきた各植物性ナチュラルオイルの特性は、次の一覧表の通りです。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献:
- “Anti-Inflammatory and Skin Barrier Repair Effects of Topical Application of Some Plant Oils”, Tzu-Kai Lin, Lily Zhong, Juan Luis Santiago, Int. J. Mol. Sci. 2018, 19(1), 70; https://doi.org/10.3390/ijms19010070
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング