あなたのお肌に合うのはどのオイル?|植物性ナチュラルオイルの個性(3)

2023/07/22/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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植物性オイルの特性/個性

植物性ナチュラルオイルの特性は、『植物性ナチュラルオイルを選ぶ基準』でご紹介した異なる成分同士の相乗効果によって生まれます。

異なる有効成分の含有割合や組み合わせによって特性に違いが生まれ、それが個々のオイルの個性となります。

植物性ナチュラルオイルの特性には次のようなものがあります。

  • 抗酸化活性
  • 抗炎症特性
  • 直接的および間接的抗菌特性
  • 創傷治癒の促進
  • 抗がん性

よく目にする植物性ナチュラルオイル19種類の特性について分析調査した多くの研究の中から、信頼できる裏付けのあるものを基準に、科学的な根拠のある個々のオイルの特性を一覧にしたものが下の表です。

その研究成果を基に、ひとつひとつのオイルの特性/個性をご紹介していきます。

ここでは、シアバター、ジャーマンカモミールオイル、大豆油、ひまわり油、ビターアプリコットオイル、ピーナッツオイル、ホホバオイル、ボラジオイル、ローズヒップオイルについてお伝えします。

シアバター

シアバターは、シューツリーの種(仁)から採れる油です。

シアバターの主成分は、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、パルミチン酸などの脂肪酸からできているトリグリセリドと、不けん化物です。(詳しくは『トリグリセリド』、『不けん化物』をご確認ください。)

シアバターの不けん化物には、トリテルペン、トコフェロール(ビタミンE)、フェノール、ステロールなど、強力な抗炎症特性と抗酸化特性をもつ成分の割合が高いため、化粧品やスキンケア製品の多くに使用されています。

アトピー性皮膚炎に関する研究では、シアバター抽出物を含むクリームは、セラミド前駆体を含む製品と同じ効果があることが示されています。

ジャーマンカモミールオイル

アトピー性皮膚炎のマウスを用いた研究では、ジャーマンカモミールオイルを塗布することによって、皮膚を掻く行為の減少と共に、次の炎症性物質を減少させたことが報告されています。

  • 血液中のIgG1抗体とIgE抗体
  • 血液中のヒスタミン

また、ジャーマンカモミールがヘルパーT細胞2(Th2)の活性を抑え、免疫反応をコントロールすることによってアトピー性皮膚炎を改善できることが実証されています。

ハーブとしてのカモミールの機能については『カモミール』をご参照ください。

大豆油

大豆油に関する研究のほとんどは、大豆油そのものではなく、大豆油からの抽出物を用いて行われています。

大豆油の抽出物が、お肌乾燥を防ぎ、お肌バリアを回復させること、また、紫外線による炎症からお肌を保護することが報告されています。

こうした効果は、フィトステロールによる作用だと考えられています。

ひまわり油

ひまわり油は、ひまわりの種から採れるオイルです。ひまわり油の主成分は、オレイン酸とリノール酸です。

そのままスキンケアに使える

ひまわり油のオレイン酸とリノール酸の割合は、オリーブオイルと比べて、リノール酸が非常に多いです。そのため、そのままお肌に使用しても乾燥肌にはなりません。

ひまわり油は、角質のキメを正常に保ち、保湿力を改善することが示されています。発疹を起こすこともありません。リノール酸は、表皮細胞(ケラチノサイト)の増殖と皮脂の合成を促すので、お肌バリアの修復力が高まります。ひまわり油を塗っても皮脂バランスが崩れることがないことも確認されています。

皮膚がん予防

ひまわり油が、皮膚がんの2段階における発がん現象において、予防効果を示しています。ひまわり油に含まれているセサモールと呼ばれる成分に抗がん作用があると考えられています。

タール火傷のタール除去

ひまわり油は、タール火傷を負った患者の熱いタールの除去に推奨されているオイルです。

ビターアプリコットオイル

ビターアプリコットオイルは、ビターアプリコットの種(仁)から採られる油です。

東洋医学では、伝統的に皮膚病の治療に使用されてきました

ビターアプリコットオイルが、不死化ケラチノサイト細胞(ゾンビ細胞)のアポトーシスを促すことが試験管試験で示されています。このことから、ビターアプリコットオイルが、乾癬の治療に効果があるのではないかと期待されています。

ゾンビ細胞については、以前、IN YOU に提供した『若さを邪魔するゾンビ細胞を除去する食品』もご参照ください。

しかし、この研究結果から、ビターアプリコットの種ががんに効くという情報がネット上に出回り、2006年に欧州食品安全機関(EFSA)は、ビターアプリコットの種を食べないよう警告を発表しています。ビターアプリコットに限らず、アプリコットの種には、体内で青酸化合物を発生させるアミグダリンという成分が含まれているため、微量であれば代謝によって解毒されるものの、大量に摂取した場合には重篤な中毒を起こし、死に至る可能性があります

皮膚がん細胞の研究に用いられたのは、あくまでも、ビターアプリコットの種のオイルです。種そのものではありませんし、ましてやオイルを食用にした研究ではありませんから、オイルを飲まないように!

ピーナッツオイル

ピーナッツオイルに、保湿効果があることが示されています。

また、ピーナッツオイルには、お肌を紫外線から保護し、皮膚がん予防効果があることも示されています。

ただ、ピーナッツが7大アレルゲンのひとつであることから、ピーナッツオイルの使用を心配する人もいるかもしれませんね。でも、ピーナッツオイルを外用にする場合に限り、アレルギーがある人も安全に使用できると報告されています。

そのため、ピーナッツオイルが手についたくらいでは、あまり心配しなくても良さそうですが、それが誤って口に入らないようには気をつけてくださいね。

ホホバオイル

ホホバは、長寿命で干ばつに強い多年生植物です。

ホホバオイルには、高い酸化安定性と劣化耐性があります。そのため、日焼け止めや保湿剤などの幅広いスキンケア製品に配合されています。

浸透力は平均的ですが皮脂になじみやすく保湿に優れ、さらりとしているので、キャリアオイルとして使いやすいオイルです。すべての肌質と髪質に使用できます。

また、他の成分のお肌への浸透力を高める作用があります。

ワックスエステルを多く含んでいるため、脂漏性皮膚炎、湿疹性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、にきびなど、お肌バリアに問題のある皮膚疾患にとって、優れた選択肢となります。

また、皮膚感染症、お肌老化、創傷治癒などでの抗炎症効果が実証されています。

ボラジオイル

ボラジオイルは、ボラジの種から採れる油です。やや粘性の高いオイルです。

ボラジオイルには、お肌の構造と機能に重要な役割をもっているオメガ6のひとつ、ガンマリノレン酸が高濃度で含まれています。月見草オイルの3倍になります。

ボラジオイルは、アトピー性皮膚炎の治療に用いられ、お肌バリア機能を正常化する作用があることが示されています。

アトピー性皮膚炎の子供を対象に行われた二重盲検プラセボ対照臨床試験では、ボラジオイルでコーティングされた下着をつけたグループで、背中の皮膚の乾燥が改善し、副作用が起きなかったことが報告されています。

女性ホルモンに働きかける作用もあるため、ホルモンバランスの乱れによって起こる肌荒れやストレス性の肌荒れにも効果があります。

こちら『ボラジオイル』もご参照まで。食用のボラジについては『ボリジ/ルリジサ』をご覧ください。

ローズヒップオイル

ローズヒップオイルは、ローズヒップの種子から抽出されるオイルです。

ローズヒップオイルには、大量の不飽和脂肪酸が含まれています。主成分は次の通りです。

  1. リノール酸(35.9〜54.8%)
  2. α-リノレン酸(16.6〜26.5%)
  3. オレイン酸(14.7〜22.1%)

多種多様な親油性抗酸化物質、特にトコフェロール(ビタミンE)とカロテノイドを多く含んでいます。また、p-クマル酸メチルエステル(抗メラニン形成作用)、バニリン(バニラの香り成分)、バニリン酸(抗酸化物質)などのフェノール類を高濃度で含んでいることから、ローズヒップオイルは、炎症と酸化ストレスからお肌を保護する作用が非常に高いオイルです。 

詳しいカロテノイドの働きについては『カロテノイド』、ビタミンEについては『ビタミンE』をご参照ください。

ビタミンCを含む珍しいオイルです。αリノレン酸も豊富です。乾燥肌、老化肌、アレルギー肌、荒れた肌に対し、アンチエイジング、肌に潤い、肌荒れをケア、ハリ、シワの予防、シミや老化肌の改善、美白効果を生みます。

詳しいビタミンCの働きは『ビタミンC』をご参照ください。

アトピー性皮膚炎、神経皮膚炎、口唇炎などの様々な炎症性皮膚炎に対する効果を検証した研究では、ローズヒップオイルが有効であることが実証されています。

アトピー性皮膚炎やひどい肌荒れに

ローズヒップオイルとボラジオイルの混合油は、アトピー性皮膚炎の改善のために用いられています。

配合の割合は

ローズヒップオイル:ボラジオイル
1:1

野生のラベンダーやジャーマンカモミールのメディカルグレートの精油を添加すると更に効果的です。

その他の植物性ナチュラルオイル

残りの10種類+その他5種類については、こちらをご覧ください。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング