バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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ベーコンの味がする海藻
2015年、今から10年くらい前に米国のオレゴン州立大学のハットフィールド海洋科学センター(Hatfield Marine Science Center)が「ベーコンの味がする海藻」として発表し、欧米で話題になった海藻があるって、ご存じですか?
通称「ダルス」と呼ばれている紅藻類に分類される海藻です。
学名パルマリア・モリス(Palmaria mollis)として有名になった太平洋東岸に自生している海藻です。現在は、属の分類が変更になってディヴァレラ・モリス(Devaleraea mollis)に改名されているので、学術論文を検索する人はご注意くださいね。
スコットランドなどの大西洋北部でも「ダルス」と呼ばれ食用されている海藻があり、同じ種類だと思われていましたが、現在ではDNA鑑定が進み、大西洋北部のダルスは学名パルマリア・パルマータ(Palmaria palmata)で、厳密には少し違うようです。
また、北海道近海にもダルスが生息しています。学名 Devaleraea inkyuleei というそうで、やはりDNA的には異なるようですが、北海道大学が詳しい研究をしています。
つまり、一般的に「ダルス」と呼ばれる紅藻は、学名が微妙に異なる多様な海藻の総称ということのようです。例えば、レタスや大根やトマトにさまざまな種類があるのと同じです。さまざまな種類があるけれどもレタスはレタス、大根は大根なのと同じで、とりあえずざっくりと食用としての「ダルスはダルス」ということのようです(笑)。
海藻なのにベーコンの味がするということに興味を惹かれ、現在までに発表されている研究論文を基に今回の記事を執筆することにしました。なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
まずは、海藻について基本的な情報から整理しておきたいと思います。
海藻と海草
海草も海藻も両方とも「かいそう」と読めて、海の中で育つ植物ですが、同じではないんです!
海藻
読んで字のごとし、海の中で育つ藻類のことです。藻なので茎・葉・根の区別がなく、胞子によって繁殖します。でも、地上の植物と同様に光合成をします。
北海道大学によれば、海藻には500種類ほどあり、すべて食用にできると考えられています。既に食用されている海藻は、100種類以上あるそうです。
海草
海の中で育つ種子植物です。種子植物なので、茎・葉・根がはっきり区別できて、花もあるし種も作ります。
海草は、通常、食用にはなりません。
海藻の種類
海藻にはさまざまな色彩がありますが、その色彩は、海の深さによって届く日光の波長と量が異なることから、それに合わせて海藻に含まれる色素が異なることで生じています。
海藻が生息している海の深さ、つまり、その色彩によって、大きく次の3つのグループに分けられます。
- 緑藻類(りょくそうるい)・・・アオサ、アオノリ、ウミブドウなど
- 褐藻類(かっそうるい)・・・・昆布、ヒジキ、メカブ、モズク、ワカメなど
- 紅藻類(こうそうるい)・・・オゴノリ、テングサ、トサカノリ、フノリなど
緑藻類
一番浅瀬に生息している海藻です。陸上の植物に近く、葉緑体を多く含んでいます。光合成に必要な緑色の色素「クロロフィルa」と「クロロフィルb」を多く持っています。
褐藻類
緑藻類より少し深いところに生息しています。緑色のクロロフィルだけでなく、フコキサンチンという赤褐色の色素をもっています。混ざり合って黒っぽい緑色や赤っぽい黒色になります。
褐藻類には、フコダインという粘り気のある水溶性食物繊維を多く含むものが多いです。
紅藻類
海の深いところに生息しています。緑色のクロロフィルももっていますが、紅色のフィコエリスリン、青色のフィコシアニンなどの色素を多くもっているので、混ざり合って鮮やかな紅色に見えるのが特徴です。
ところで食卓でおなじみの普通の海苔は紅藻類なんですって!私には黒っぽい緑色に見えますが紅藻なんですって!確かに赤黒く見える海苔もありますが、ちょっと意外でした(笑)
そして、今回の記事の主人公「ダルス」は、この紅藻類です。
ダルスがスーパーフードである理由
ダルスがスーパーフードとして注目されている理由にはたくさんあります。代表的なものを以下にご紹介します。
特に、次の機能にとって重要な成分を含んでいることに着目して読んでくださいね。
- 甲状腺の機能が正常に働くために必要な栄養素や成分
- 女性と男性の生殖機能の健康にとって大切な栄養素
- 血圧と血糖値管理をしてくれる成分
なお、文部科学省の食品成分表にもUSDA(米国農務省)のデータベースにもダルスの公式な登録がありません。そのため、海外の独立した研究で発表されているさまざまな成分の含有量を参考に掲載しています。
USDAのデータベースには、各メーカーのダルス製品に記載されている含有量の掲載がありますが、USDAが検証したものではなく、メーカー発表のものなので参考にしていません。同様に、販売メーカーがスポンサーになっている研究発表についても参考にしていません。
1. ミネラル豊富な海のパセリ
ダルスのミネラル含有量について、アイルランドとポルトガルの研究が乾燥ダルスについて発表していました。
ダルスは乾燥したものをチップスのように食べることができますが、でも、乾燥したままではお料理は使いにくいと思い、「理研のわかめちゃん」が水で戻すと重量比で10倍になることを参考にダルスも同様だと仮定し、乾燥ダルスの数値を10分の1にして考えることにしました。
FDA(米国食品医薬品局)の基準では、可食部100g中に1日の必要量を10%以上含んでいれば、その栄養素を「豊富」に含んでいると表現できます。
発表されていた数値には、下のグラフのような違いがありましたが、カルシウムの含有量を除いて、カリウム、鉄分、マンガンが、そしてマグネシウムも、豊富に含まれていると言って良さそうです。
各ミネラルの詳しい機能については、それぞれにリンクを貼っていますので、ご確認ください。
ダルスの外見から「海のパセリ」なんて呼ばれることもあるそうですが、鉄分が豊富なところもパセリに似ていますね。
また、豊富とまでは言えないものの、亜鉛と銅も含まれているのが嬉しいです。これらは甲状腺ホルモンが体内で機能する時に必要となるミネラルです。
2. 海藻なのに塩分少なめ
海産物で気になるのがナトリウムの多さですが、ダルスのナトリウム含有量は、水戻し後100g中175.9mg~208mgと、他の海藻類と比較して決して多くはありません。
上のグラフからも分かるように、100g食べても1日の必要量の3分の1にしかなりません。
ちなみに、乾燥わかめ100gには9,300mgものナトリウムが含まれています。水戻し後100gにしても930mgもあり、1日に必要とする量の1.5倍にもなります。素干し真昆布100g中にも2,600mgも含まれています。
この点において、ダルスは高血圧を心配する必要のない海藻と言えそうです。
3. 過剰ではなくヨウ素豊富
ヨウ素は甲状腺ホルモンの体内合成には欠かせないミネラルとしてご存じの方も多いと思います。甲状腺だけでなく、乳房や前立腺の健康にとっても必要なミネラルです。また、すべての細胞にはヨウ素を受け取る受容体があり、私たちの生理機能にとって不可欠なミネラルなんです。
なお、ヨウ素の詳しい機能については『ヨウ素』をご確認ください。
ノルウェー・フランス・アイスランド・米国の研究者グループが藻類のヨウ素含有量を調べた論文の中にダルスを見つけることができました。
EUでは成人のヨウ素の1日の推奨量が150μgに設定されているため、乾燥ダルスはたった2,149mg(約2g)でその基準を満たすことができると記載されています。ちなみに日本人の食品摂取基準での1日の推奨量は、130μgです。
例えば、昆布ではたった32mgで1日の推奨量を満たしてしまいます。1gの30分の1です。
そのため研究者は、次のように述べています。
ダルスを2g以上食べたからと言って、
必ずしも、昆布のように
ヨウ素の過剰摂取のリスクがあるわけではない
つまり、ワカメや昆布などの褐藻類と比較すると、ダルスに含まれているヨウ素の量はかなり少なく、更に、加工による減少や吸収率を考慮すれば、過剰摂取を心配する必要のないヨウ素補給源と言えそうです。
ちなみに、海藻に含まれているヨウ素は、収穫後の加工(乾燥や淡水での煮沸)によって数分で減少し、海藻に含まれているヨウ素の 49~82% だけがヒトの消化管で吸収されます。
4. ゴイトロゲンフリー
ダルスにはヨウ素吸収を阻害して甲状腺肥大の原因となるゴイトロゲン成分が含まれていません。
そのため、甲状腺機能に心配がある人にとって、安心して食べられる海藻です。
5. 海藻としてはタンパク質多め
アイルランドの研究は、乾燥ダルス100g中のタンパク質の量は約20gと発表しています。ポルトガルの研究では、乾燥ダルス100g中のタンパク質の量は約42gでした。
海藻の中では断トツ
2つの研究による数値にはかなりの幅がありますが、他の海藻類(素干し真昆布 5.8g、乾燥わかめ 17.9g)と比較すると、どちらの研究においても、ダルスが多くのタンパク質を含んでいることが分ります。
現在までのところ、焼きのり100gに含まれているタンパク質の量が41gで海藻類の中では断トツですが、ダルスは、焼きのりに匹敵するタンパク質量を含んでいると言えそうです。
生野菜とほぼ同じくらい
アイルランドとポルトガルの研究に基づけば、乾燥ダルスを水で戻した100g中のタンパク質は、2~4gくらいですから、他の生野菜100gとの比較では、ものすごく多いというわけではなさそうです。
大豆の1/4~1/2
乾燥大豆100g中のタンパク質は 33.9gです。水で戻した大豆は4倍になるので、この数値を4分の1にすると、100g中 8.5g で、ダルスの2~4倍です。
そのため、ダルスのタンパク質は、大豆やナッツ類などの代替になるほどではありません。でも、大豆やナッツ類の補完的な植物性タンパク源としては、有力候補になりえそうですね。
6. 良好なアミノ酸バランス
ダルスに含まれているタンパク質の必須アミノ酸のバランスについては、アイルランドの研究のみに掲載されていました。
ただし、トリプトファンの記載がなかったため、トリプトファンを含んでいないのか、単に研究対象ではなかっただけなのかは、不明です。
例えば、体重50kgの女性が1日に必要とする必須アミノ酸量と比較した、水戻し重量100gに含まれている、トリプトファンを除く8つの必須アミノ酸のバランスは下のグラフの通りです。
1日の必要量の10%以上になるのはトレオニンだけで、他の必須アミノ酸は10%を超えません。
ただし、ポルトガルの研究が示すように総タンパク質量が4gであれば、単純計算で、このグラフの約2倍の量を含んでいることになるので、十分にアミノ酸バランスの良いタンパク源になりえます。
栄養成分を分析した研究の数が少ないことと、ダルスも生物なので、生息地や生育環境によって栄養素の質も量も変わるであろうことを考えると、ダルスをタンパク源とする際には、収穫地や収穫された季節などに着目して選ぶことが重要になりそうですね。
7. 旨味成分豊富
出汁をとる時に使う昆布などと同じように、ダルスにも旨味成分のグルタミン酸(アミノ酸)が含まれています。乾燥ダルス100gに約2g含まれています。乾燥わかめと同じ量です。素干し真昆布が1.5gなので、真昆布よりも多く含まれています。
化学調味料(旨味調味料)を使うよりも、粉末ダルスを用いる方がずっと安心で美味しくできそうです。
また、ダルス(ディヴァレラ・モリス、Devaleraea mollis)を焼いて食べるとベーコンのような味がすることが海外での人気のひとつですが、それはこのグルタミン酸のお陰なのかもしれませんね。
グルタミン酸は体内でグルタミンに変換されたり、GABAに変換されます。夕食にダルスのサラダを食べたら質の良い睡眠導入の助けになりそうです。
8. チロシンやアルギニンを含んでいる
ダルスに含まれているアミノ酸の中には、チロシンもあります。チロシンは芳香族アミノ酸の一種ですが、甲状腺ホルモンの主成分でもあります。
また、アルギニン(アミノ酸)は、男性ホルモン・テストステロンを増やす作用があることで知られています。
9. 食物繊維豊富
アイルランドの研究によれば、乾燥ダルス100g中に含まれる食物繊維の総量は 34.9gと、なんと総重量の3分の1超が食物繊維です!そのうち、不溶性食物繊維が22g、水溶性食物繊維が12.9gです。
ポルトガルの研究では、乾燥ダルス100g中に含まれる食物繊維の総量は 26.5gで、総重量の4分の1超を占めます。うち、不溶性食物繊維が16.7g、水溶性食物繊維が9.8gです。
水戻し重量100gで考えても、1日に女性に必要とされる量の20%~26%を含んでいることになるため、十分に食物繊維が豊富と言えます。
便秘予防や改善に薬を飲むよりもダルスを食べてみることも役に立ちそうです。
10. ビタミンC豊富
スペインの研究者がダルスの乾燥粉末100g中に49.04mg~71.18mgのビタミンCが含まれていると報告しています。粉末にしてもなお100g中に平均して約60mgもビタミンCを含んでいるのなら、生の状態ではもっと多くのビタミンCが期待できるのかもしれません。
ビタミンCの1日の必要量は85mg、推奨量は100mgなので、ビタミンC豊富と言って差し支えなさそうですね。
ビタミンCにはミネラル吸収を促す作用があります。そのため、ミネラル豊富なダルスは、鴨がネギを背負っているようなものでしょうか?(笑)素晴らしいですね。
ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンC』をご確認ください。
11. ビタミンB12豊富
スペインの研究者がダルスの乾燥粉末100g中に66.7μg~67.4μgのビタミンB12が含まれていると報告しています。単純平均で約67μgもビタミンB12を含んでいることになります。
ビタミンB12の1日の必要量は2μgで、推奨量は2.4μgなので、乾燥したものを水で戻したと仮定して量を10分の1にしたとしても、約6.7μgですから、十分すぎる量です。
ビタミンB12は、藻類を除くとほぼ動物性食品にしか含まれていない栄養素なので、動物性食品をあまり食べないか、まったく食べないベジタリアン/ヴィーガンの人たちにとっては、サプリメントよりもずっと安全なビタミンB12の補給源になりますね。
詳しいビタミンB12の機能については『ビタミンB12』をご確認ください。
12. EPAを直接含んでいる
EPAは、わたしたちの体内にあるオメガ3不飽和脂肪酸の一種です。
亜麻仁油やえごま油に多く含まれているオメガ3はアルファリノレン酸という植物性のオメガ3です。そのため、動物であるヒトの体内で機能するためには、体内でEPA/DHAに変換されなくてはなりません。しかし、その変換効率は非常に低いことが分っています。
一方、魚や貝類などの動物性食品に多く含まれているオメガ3は、ヒトと同じEPAとDHAです。そのため、体内でそのまま活用できます。
EPAやDHAが植物性食品に含まれていることは稀ですが、ダルスにはEPAが直接含まれていることをポルトガルの研究が報告しています。
ダルスの飽和脂肪酸の大半はミリスチン酸で、パルミチン酸と併せてほぼ90%を占めます。一価不飽和脂肪酸の大半はオレイン酸で、多価不飽和脂肪酸の約60%がEPAです。
ただし、ダルスの脂質含有量は多くありません。
アイルランドの研究では、乾燥ダルス100g中の脂質は約1.5g。ポルトガルの研究では、乾燥ダルス100g中の脂質は約0.3gです。
なので、EPAが含まれていることは嬉しいニュースですが、オメガ3の主要な補給源にするのは難しそうですね。
13. 熱にも酸にも強い抗酸化作用
ダルスには強力な抗酸化作用があることがいくつかの研究によって報告されています。
日本近海のダルスを用いた北海道大学の研究は、高温加熱(120℃)や酸性環境においても強い抗酸化活性を示すことを明らかにし、食品加工に活用するための研究が進められています。
熱にも酸にも強いのなら、さまざまな調理に安心して使えますね。
ただし、乾燥させると抗酸化力が低下するという報告もあります。なので、ダルスの抗酸化作用を得るのなら、乾燥したものを水でもどして使用するよりも、生を直接調理した方がよさそうです。
14. カロテノイドを含んでいる
ダルスの色素は、カロテノイドと共に存在しています。そのため、ダルスにはカロテノイドも豊富だと考えられています。
ただ、どのカロテノイドがどれくらい含まれているかを具体的に示した研究を見つけることはできませんでした。
カロテノイドの種類とそれぞれの詳しい働きについては『カロテノイド』をご確認ください。
15. 降圧作用
血圧の上昇や心筋の肥大に関わっている物質(アンジオテンシンII)の生成を抑え、血圧を下げる作用が、ダルスにあることが発見されています。
つまり、ACE阻害薬(アンジオテンシンIIの合成を阻害する薬)と呼ばれる降圧剤と同じ働きがダルスにあることが示されたのです。
研究者によって、ダルスに含まれている色素タンパク質のうち、フィコビリ・タンパク質と呼ばれるグループに属する次の2種類が、アンジオテンシンIIの生成を阻害していると結論づけられています。
- フィコエリトリン(紅色)
- フィコシアニン(青色)・・・スピルリナの青色と同じ色素
16. 食後血糖値の上昇を抑制する作用
ダルスの紅色は1~2月に最も鮮やかになります。そして、4月以降になると紅色のフィコビリ・タンパク質が減少することで色落ちが生じます。
上でご紹介した降圧作用はフィコビリ・タンパク質によって生じるため、色落ちしたダルスには降圧作用はないことになります。
この降圧作用が失われたダルスから抽出したオリゴ糖に血糖値抑制作用があることを北海道大学、カメルーン・マルア大学、岡山県農林水産総合センターによる合同研究チムーが発見しています。
血糖値の上昇に関与しているα-アミラーゼとα-グルコシダーゼの阻害効果が確認されたのです。ただし、医薬品のアカルボースほどの抑制効果はありませんでした。
そのため、研究者は、薬のような副作用を心配することなく、食事に加えるだけで、食後の血糖値の上昇を穏やかに抑えることができる機能性食品となるのではないかと述べています。
色鮮やかな冬には血圧のために、色落ちした春~夏には血糖値のためになるという無駄のない海藻ですね。
ダルスの食べ方
ダルスは、次の形で購入することが可能です。
- 粉末
- 乾燥ダルス
- 塩蔵ダルス
- 生のダルス・・・収穫地でないと入手困難かもしれません。
粉末と乾燥ダルスは、比較的容易に入手可能です。
乾燥ダルス
ネットで検索すると北海道の生産者さんが各々通販サイトを開設されています。
乾燥ダルスは、そのままスナックとして食べることもできます。上の写真はアイルランドでスナックとして袋に入れて売られているダルスです。
水でもどして海藻サラダにしても良いし、水で戻した後、フライパンで焼いてベーコンのように使うこともできるようです。
粉末ダルス
iHerbなど海外の製品を取り扱っているネット通販サイトに多く掲載されています。
粉末は、塩と同じように使うことができます。ダルス重量の約1.7~2%がナトリウムです。他の海藻類よりもナトリウム含有量が少なく、旨味(グルタミン酸)を含んでいるので、上手に減塩するための調味料として便利ですね。
粉末ダルスを使った簡単レシピ
夏のデトックスと栄養補給にお勧めのレシピです。
塩蔵と生ダルス
塩蔵品と生は、まだまだ現地(北海道/カナダ/アイルランドなど)に行かないと入手は難しそうです。
ダルスの認知度がまだまだ低いため、生や塩蔵したダルスを普通のスーパーで見かけることはありませんが、北海道大学にがんばっていただき、そのうちに北海道外の地域でも購入できるようになったら嬉しいですね。
ちなみに、NHKの「あさイチ」や北海道のテレビ番組などではダルスの食べ方などを過去に紹介したことがあるようです。
こちらは以前参加した海藻のイベントでふるまわれた「トサカノリ」の揚げ春巻きです。
トサカノリは、ダルスと同じ紅藻類です。少量のチーズと一緒に春巻きになっています。とても美味しかったですよ。きっとダルスも同じように使えるのではないかと思います。
こぼれ話
以前参加した『海藻のイベント』の主催者たちは、「ダルスにはベーコンの味はない」「あまり美味しくない」とおっしゃっていました。
海外で注目されていて伝統的にもダルスを食べる習慣のある国まであるのに、海藻の可能性を広げたいとおっしゃっていたはずのシーベジタブル社の友廣社長が、ダルスに対して非常にネガティブな反応をされたことが印象的でとても不可解でした。
その後、北海道大学のダルス研究について書かれた北海道新聞の2024年8月4日の記事『海藻「ダルス」活用模索・コンブ養殖の厄介者・血糖値抑える糖質生成』を読んでその謎が解けました。
ダルスって、昆布養殖にとっては厄介者だったんですね。シーベジタブル社は昆布の養殖を主に手掛けているため、あのようなダルス全否定発言になったのだろうと勝手に納得しました(笑)
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
これだけ素晴らしい栄養機能があることが分ると、入手してお料理に使いたくなります。
毎日の食事やお料理にほんのちょっとお塩としてとか、サラダとしてとか、チップスの代わりに加えるだけで、カラダにとても良いなんて素敵です。
しかも冬には血圧に、春~夏は血糖値に良いなんてまるで魔法の海藻ですね。
甲状腺機能に不安がある人、血圧や血糖値に不安がある人、性ホルモンのバランスによる不調や不安がある人は、ダルスを食事のレパートリーに加えることを検討してはいかがでしょうか。
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献
- 「【第2回】海の中の赤い植物”紅藻”の謎」、村上明男(神戸大学・内海域環境教育研究センター)、日本植物学会
- 「海藻の種類一覧」、Shufoo!プラス
- 「日本のダルス(Devaleraea inkyuleei)」、ダルス(Devaleraea inkyuleei)、鈴木雅大、2011年6月10日(2022年9月19日更新)、生きもの好きの語る自然誌
- “Characterization of Antioxidant Activity of Heated Mycosporine-like Amino Acids from Red Alga Dulse Palmaria palmata in Japan”, Yuki Nishida, Wataru Saburi, Yoshikatsu Miyabe, Hideki Kishimura, Yuya Kumagai, Mar Drugs, 2022 Mar 1;20(3):184. doi: 10.3390/md20030184
- “An Assessment of Selected Nutritional, Bioactive, Thermal and Technological Properties of Brown and Red Irish Seaweed Species”, Halimah O. Mohammed, Michael N. O’Grady, Maurice G. O’Sullivan, Ruth M. Hamill, Kieran N. Kilcawley, Joseph P. Kerry, Foods 2021, 10(11), 2784; https://doi.org/10.3390/foods10112784, Revised: 8 November 2021, Published: 12 November 2021
- “Chemical Composition and Antioxidant Potential of Five Algae Cultivated in Fully Controlled Closed Systems”, Nova, P.; Pimenta-Martins, A.; Maricato, É.; Nunes, C.; Abreu, H.; Coimbra, M.A.; Freitas, A.C.; Gomes, A.M. Molecules 2023, 28, 4588. https://doi.org/10.3390/molecules28124588
- “Nutritional and bioactive compounds of commercialized algae powders used as food supplements”, Martínez–Hernández GB, Castillejo N, Carrión–Monteagudo M del M, Artés F, Artés-Hernández F, Food Science and Technology International. 2018;24(2):172-182, doi:10.1177/1082013217740000
- “Iodine content in bulk biomass of wild-harvested and cultivated edible seaweeds: Inherent variations determine species-specific daily allowable consumption”, Michael Y Roleda, Jorunn Skjermo, Hélène Marfaing, Rósa Jónsdóttir, Céline Rebours, Anna Gietl, Dagmar B Stengel, Udo Nitschke, Food Chem, 2018 Jul 15:254:333-339. doi: 10.1016/j.foodchem.2018.02.024, Epub 2018 Feb 7, PMID: 29548461
- “Angiotensin I Converting Enzyme Inhibitory Peptides Derived from Phycobiliproteins of Dulse Palmaria palmata”, Tomoe Furuta, Yoshikatsu Miyabe, Hajime Yasui, Yasunori Kinoshita, Hideki Kishimura, Mar Drugs, 2016 Feb 4;14(2):32. doi: 10.3390/md14020032, PMID: 26861357, PMCID: PMC4771985
- “Understanding Antidiabetic Potential of Oligosaccharides from Red Alga Dulse Devaleraea inkyuleei Xylan by Investigating α-Amylase and α-Glucosidase Inhibition”, Martin Alain Mune Mune, Tadashi Hatanaka, Hideki Kishimura, Yuya Kumagai, Molecules, 2024 Mar 29;29(7):1536. doi: 10.3390/molecules29071536, PMID: 38611816, PMCID: PMC11013419
- 「色落ちした紅藻”ダルス”から血糖抑制が期待されるオリゴ糖を調製~低利用資源の有効活用への貢献に期待~」、水産科学研究院 准教授 熊谷祐也、2024年5月17日
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング