白内障は老人だけの病気じゃない|白内障予防にサプリメントは効果なし

2019/03/12/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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白内障になるのは老人だけではない

白内障は、加齢によって起こるケースが大半なので、老人の病気と思われがちです。私もそう思っていました。

でも、若い人にも起こる可能性のある病気です。

実際、わたしがまだ40代になったばかりの頃、急性の白内障になり、ある朝目が覚めたら、突然、目が見えなくなっていたという体験があります。

今回は、そんな誰にでも起こる可能性のある白内障についてお伝えします。

白内障は、加齢以外にも次のような様々な原因によって起こります。

  • 紫外線
  • 強度近視
  • アレルギー(アトピー)
  • 薬物(副腎皮質ステロイド、向精神薬、不整脈治療薬(アミオダロン)、高脂血症薬(スタチン), 縮瞳薬等)の副作用
  • 喫煙

強度近視の人が紫外線を多く浴びると、白内障を発症するリスクが14倍になることが報告されています。

先天的にアトピーをもっている赤ちゃんは、目が既に白濁して誕生することがあります。

また、母親が妊娠中に風疹に罹患すると、赤ちゃんが先天性の白内障を発症することがあります。

白内は白内とは書きません

白内障が白内症と書かない理由は、白内障が「病気」ではなく、「障害」だからです。

白内障は目の水晶体(眼球内にあるレンズ)のタンパク質が変容して濁ってしまう疾患です。でも、なぜ変容してしまうのか、直接的な原因はまだ判っていません。

現在までに判っている白内障と関係のある事柄

  • 遺伝的な影響|白内障になった家族がいると白内障に罹る確率が高まることが判っています。
  • 人種的な影響|黒人よりも白人に多く発症します。

ただ、それが遺伝子によるものなのか、家族や人種に特有の食事やライフスタイルなどによるものなのかは不明です。

白内障の主な自覚症状

一般的には、次の様な症状が知られています。

  • まぶしさ
  • 目のかすみ
  • 視力の低下

白内障の種類

白内障と一言で言っても、大きく2つのカテゴリーに分けることができます。

水晶体の中心部は「核」、その周辺は「皮質」と呼ばれます。

核白内障

主に「核」が濁っている白内障を白内障と呼びます。

核が濁ると、水晶体は黄ばむみます

しかし、核が黄ばむ速度は比較的ゆっくりなので、視力低下もゆっくりと進むため、自覚症状があまりなく生活に不自由を感じません。

そのため、視力に問題がない多くの人で、実は白内障が進行していることがあると報告されています。

皮質白内障

主に「皮質」が濁っている白内障を皮質白内障と呼びます。

皮質が濁ると、水晶体は白濁します。かすみ感が強いため、早い段階で自覚があり生活に支障をきたす事が多いタイプです。

私の場合

突然左目が見えない

40代に入ったばかりのある日の朝、目が覚めたら突然左目が見えなくなっていました。

きっと、少しづつ見えなくなっていっていたのかもしれませんが、多忙と日々の緊張で、自分の身体のことなんて気にしている余裕もなく、完全に見えなくなるまで、まったく気づきませんでした。

前の晩ベッドに入るまでは見えていた目が、朝起きるとまったく見えないというのはかなりの恐怖体験です。

お医者様によれば、「これほど急劇に白内障で失明することは稀だ」とのことでした。頭を強く打ったのでなければ、極度のアレルギーが原因ではないかとの診断でした。当時の私には無数のアレルギーがあったからです。結局、確かなことは判明していません。

左目の手術の1年後には、右目も同じように見えなくなり、手術となりました。

なぜあの時、突然、白内障になったのか、統合食養学を学んだ今、改めて考えてみると、疑わしい要因が少なくとも次の4つあることが分りました。

  1. 目の酷使・・・当時は証券会社の研究所の調査部で、毎日数値の分析をしていました。長時間、目を酷使していたことは確かです。
  2. アレルギー・・・当時、食生活の乱れは甚だしく、様々なアレルギーを発症していました。後述する、目に良いという食品はほぼ不足していたと断言できます。
  3. 超ド近眼・・・小学校に上がる時には既に近視でした。視力は悪くなる一方で、裸眼では水の中で物を見ているような感じにしか見えないような状態でした。
  4. 紫外線・・・10代後半~20代を米国コロラド州ボルダーというロッキー山脈の尾根にあるような標高2000mほどの、かつ、湿度2%しかない、紫外線が強く降りそそぐ街で、サングラスもせずに元気いっぱい過ごしていました。

これだけあれば、十分、70歳でもない私が白内障になっても不思議はなかったと今は思います。

緊急手術に

證券会社の朝は早いのでパニクっている時間もなく、かろうじて見える右目で、会社の上司にメールして、ネットで眼科を調べて予約して・・・

お医者様は、即手術が必要と判断され、白内障の名医と呼ばれる三井記念病院の赤星先生に紹介状を書いてくださいました。赤星先生も緊急手術が必要と診断され、3か月先まで予約でいっぱいと言われていた先生の予定に、急遽3日後に手術が予定され、慌ただしい1週間となりました。

目が見えない恐怖を体験

手術までの間、普通に出勤していたのですが、その時、周囲の人達の行動が恐怖でした。と、言うのも、周囲の人達からしたら、私の左目が見えていないなんてわからないですから、左側にいる彼等の存在に私が気がついていると思い込んでいますから、例えば、駅でものすごい速さで左側から横切ってくる人などもいて、私からしたら、突然、目の前に人が現れるわけですから、冷や汗ものです。

私も普通に見えていた時には、私の隣を歩いている人の目が見えていないかもしれないなんて想像したこともありませんでしたから、しかたがないことなのかもしれません。

「白い杖をもっていない=見えている」ではないことを思い知りました。

片目だけとは言え、目の見えない人の恐怖を少し実感できたように思います。

白内障の基本の予防法

一般的に白内障の予防に効果があると考えられている生活上の行動です。

紫外線による目への酸化ストレスが大きな白内障の原因のひとつですから、紫外線が強くなる初夏から夏の間は、紫外線カットが施されているサングラスを着用し、帽子や日傘を使うことが必要です。

特に、強度近視の人は、UVカットつきのコンタクトレンズや眼鏡を使用することが不可欠です。

金沢医科大学眼科学の宮下久範博士は、次のように述べ、強度近視者に紫外線カット機能のある眼鏡やコンタクトレンズの使用するよう啓蒙する必要があるとしています。

「紫外線カット機能のないコンタクトレンズを使用した場合、
長時間の屋外活動は核白内障リスクを上昇させ、
若年での核白内障発症につながる可能性がある」

もっと早くにこのことを知っていたらと思う私です(笑)

アレルギーによっても白内障が起こる可能性があるため、何等かもアレルギーを持っている人は、腸内環境を整えたり、免疫力を改善するなど、できることから始めましょう。

アレルギーと免疫機能の改善について執筆した記事は『アレルギー・免疫』のページをご確認ください。

喫煙と白内障の発症リスクに関係があることが明らかにされています。

白内障に限らず、喫煙は多くの疾患と関係していますから、禁煙するだけで万病予防になるはずです。

白内障予防に効果がある食品

ルテインとゼアキサンチン

目の健康に良いと言われている栄養素と言えば、カロテノイドのルティンとゼアキサンチンです。その両方を多く含む食品は次のリストの通りです。

しかし、ルテインとゼアキサンチンと白内障に関する多くの研究論文が、ルテインとゼアキサンチンのサプリメントの服用による白内障の予防効果は、非常に限定的か皆無である可能性を指摘しています。

ただし、ルテインとゼアキサンチンを多く含む食品を食べることによっては、予防効果があることが示されています。ルテインとゼアキサンチンは、摂り方が重要だと言えそうです。

ルテインとゼアキサンチンと白内障との詳しい関係については、『ルテインとゼアキサンチン』をご参照ください。

オレンジ

毎日1個のオレンジを食べると白内障予防に効果があることが、オーストラリアのシドニー大学の研究者によって報告されています。2,000人以上の50歳のオーストラリア人を15年間に渡って追跡調査した結果です。

オレンジをまったく食べない人と比較して、毎日1個以上のオレンジを食べていた人は、白内障の発症リスクが60%も低く、1週間に1個食べるだけでも、リスクが有意に低下しています。

オレンジにも、目の健康に良いと言われている「ルテイン」と「ゼアキサンチン」が含まれています。

上記した研究の同じ研究者が、ルテインを含んでいる他の食品(紅茶、リンゴ、赤ワイン)を用いて、同様の調査をしましたが目の疾患に関して、特に有効だという事実は発見できなかったと、報告しています。

リンゴ・紅茶・赤ワインにはルテインは含まれていますが、ゼアキサンチンはあまり含まれていなこと、ルテインの含有量もオレンジと比較してあまり多くないことも有効性が発見できなかった理由のひとつかもしれません。

やはり栄養素は、ミクロ栄養素(サプリメント)で摂るのではなく、ホールフードを食べることが重要ですね。

オレンジの旬

国産オレンジ・・・旬は3月です。12月に収穫し、しばらく貯蔵してから2月~4月に出荷されます。

輸入オレンジ(バレンシア)

  • 米国産|カリフォルニア産が6月~11月、フロリダ産が6月
  • 南アフリカ産|5月~6月

輸入オレンジ(ネーブル)・・・12月~3月頃

ただし、輸入オレンジには、イマザリルなどの経皮吸収される防カビ剤が使用されているので、取り扱いには要注意です。

キウイフルーツ

キウイフルーツにも白内障予防効果が報告されています。キウイフルーツにもルテインが豊富に含まれています。

1日にキウイフルーツを1個半未満しか食べない人と比べて、1日に3個以上キウイフルーツを食べている人は、加齢による白内障になるリスクが36%低下することが報告されています。

詳しくは、『キウイフルーツ』をご覧ください。

レバー/海藻/ナッツ

これらの食品に共通して豊富に含まれている栄養素は、ビタミンB群です。

米国・国立眼研究所(National Eye Institute:NEI)による横断的前向きコホート研究AREDS(Age-Related Eye Disease Study:AREDS)によって、食事由来のビタミンB群が、加齢による白内障の発症を予防する可能性が明らかになりました。

研究グループは、55~80歳の3,115人(6,129個の眼)を約9.6年間追跡調査し、ビタミンB群の食事による摂取量と白内障の有病率および発症率との関連を分析しています。

下に記載するビタミンB群の分析結果は、いずれも各栄養素を最も多く食事から摂取していたグループの数値です。最も少なく摂取していたグループと比較した際の白内障の発症リスクを示しています。

栄養素をサプリメントからではなく、食事から摂った際の効果が検証されているのが嬉しいですね。

ビタミンB2

  • 軽度 核白内障|発症率を22%低下
  • 中度 核白内障|発症率を38%低下
  • 軽度 皮質白内障|発症率を20%低下

ビタミンB6

  • 中度 核白内障|発症率を33%低下

ビタミンB12

  • 軽度 核白内障|発症率を22%低下
  • 中度 核白内障|発症率を38%低下
  • 軽度 皮質白内障|発症率を23%低下

ビタミンB2とビタミンB12

ビタミンB2とビタミンB12の両方共に最も多い食事をしていた人は、量が多くなればなるほど、核白内障と皮質白内障の両方の発症が低下したことが示されています。

各ビタミンB群を豊富に含む食品はこちらのリンクからご確認ください。

コラーゲン

目の健康のためにはコラーゲンも必要です。

コラーゲンの詳しい機能やコーランゲンを多く含む食品については、『コラーゲン』をご確認ください。

こちらもサプリメントで摂るよりも食品を食べることが大切です。

カロテンはフルーツから摂るべし

カロテンと白内障との関係について、11万人の男女を対象に、女性は平均18年間、男性は平均12年間、追跡調査した研究は、次のことを報告しています。

この研究の対象となったカロテンは、βカロテンなど、プロビタミンAと呼ばれるものです。そのため、ルテインとゼアキサンチンは対象ではありません。

サプリメントに白内障予防効果なし

βカロテンやビタミンAをサプリメントで摂っても、加齢による白内障予防への効果が確認できませんでした。

βカロテンはフルーツから摂れ

白内障予防として有意な効果が認められたのは、βカロテンを含むフルーツを多く食べていた人たちだったことが示されています。

野菜を多く食べていた人での効果は確認できなかったとのことです。

マルチビタミン剤は要注意

マルチビタミン剤を飲んでいたグループで、葉酸を豊富に含んでいる食品を食べる量が最も多かったグループでは、軽度の後嚢下(こうのうか)白内障の発症リスクが増加したことが示されています。

後嚢下は、水晶体の裏側?奥側?の、脳に近い所を指します。後嚢下白内障では自覚症状が強いかすみが起こります。

葉酸は、緑色のお野菜に多く含まれている栄養素です。お野菜を多く食べながら、更にマルチビタミン剤を飲んでいると、返って、目には悪いことになります。ヘルシー志向の人、健康意識の高い人がやりがちな行動ですが、不要なビタミン剤は飲まない方が返って健康的だということの証ですね。

葉酸については『葉酸』をご確認ください。

ビタミンB群の機能

ビタミンB群の詳しい機能については、以前、執筆した次の記事もご参考しください。記事内にビタミンB群のひとつひとつのビタミンの詳しい機能について記載した記事へのリンクもあります。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

ちなみに、白内障以外の目の疾患については『目は口ほどにものを言う?』をご確認ください

さて、やっぱり栄養素は単体で、サプリメントから摂ることを考えるのではなく、ホールフードで食事から摂ることに意味があるのだと確信する結果でしたね。

目の健康のためには、「サプリメント」ではなく

オレンジ、キウイフルーツ、海藻、ナッツ、レバーなどを
たくさん食べる!

ことが大切です。

そして、マルチサプリを飲みながら、グリーンスムージー(葉酸多し)なんて飲んでいたら、もっともやっかいな白内障にかかるリスクが高まってしまう可能性があるということ。

もし目の健康について心配がある、あるいは、健康のために食事を改善したいと思っている、でも、ひとりで取り組むことに不安や難しさを感じているのなら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング