
バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ひどく辛い生理痛やPMSが繰り返される月経困難症を訴える若い女性が増えている印象をもっています。20代~30代のわたしのクライアントさんにも多くみられます。
そもそも生理は子宮のデトックス

生理中は、子宮の内膜が剥がれ落ち、それに伴い経血が流れます。要らなくなった子宮内膜を素早く体外に排出するために子宮は収縮を繰り返します。言い換えれば、生理は子宮のデトックスの仕組みなんです。
そして、子宮のデトックスの働きが活発な時に、つまり、子宮の収縮が強い時に、主に生理初日と二日目に、多少の痛みや不快感を覚える女性は少なくありません。
日常生活に支障が出るほどの痛みは問題ですが、多少の違和感は、「ちゃんと働いていますよ」という子宮からのメッセージですから、悪いことと捉えずに「今月も働いてくれてありがとう」という気持ちで子宮からのメッセージを受け取ってあげてくださいね。
このデトックスがちゃんと機能していないと今回のテーマである疾患の原因のひとつとなります。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
月経困難症
中には生理によって日常生活に支障が起こるほどの大きな痛みが起こったり、その結果、頭痛が起きたり、精神的に大きな影響が現われたりする女性もいらっしゃいます。
そうした通常の範囲を超える生理痛が起こる症状は、月経困難症と呼ばれます。
月経困難症は、大きく次の2つに分けられます。
- 機能性月経困難症
- 器質性月経困難症
1. 機能性月経困難症

子宮のデトックス機能(子宮収縮)が過剰になることで起こります。何か他の病気が原因しているわけではありません。
10代~20代前半の女性に多く起こる現象で、初潮が始まって6か月後くらいから起こることもあると言われています。
機能性月経困難症は、年齢と共に、妊娠出産経験と共に軽減されていきますが、最近では出産の高齢化などに伴い、30代・40代に入ってからも機能性月経困難症が起こる女性が増えています。
機能性月経困難症の改善には『生理痛・PMSのナチュラルレメディ』をご参照ください。
2. 器質性月経困難症

一方、器質性月経困難症は、次のような特定の疾患が原因で起こる月経困難です。
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 子宮腺筋症
- など
機能性月経困難症は、子宮の収縮運動が過剰になって起こりますが、器質性月経困難症では、収縮運動が低下(子宮のデトックス機能が低下)します。「月経困難」という症状は似ていても、そのメカニズムは全く異なります。

器質性月経困難症は、20代~40代で起こることが多いようですが、最近では、10代~20 代で子宮内膜症や子宮筋腫を発症する女性が増えているとのことです。
そこで今回は、子宮内膜症についてまとめます。
子宮筋腫については、『子宮筋腫のナチュラルレメディ』をご確認ください。
子宮内膜症と子宮内膜炎の違い
まずは、子宮内膜症と子宮内膜炎の違いについてふれることにします。
どちらも妊娠に至るためには大きな障害となり、名前が似ているので、同じもののように感じている女性も少なくないように思います。
名前は似ていますが、この2つは異なる疾患です。
1. 子宮内膜炎

子宮内膜炎は、子宮内膜が細菌に感染して起こる炎症です。
子宮内膜は、生理のたびに剥がれ落ちて排出されるので、通常、炎症を起こすことはありません。でも、病原菌(大腸菌、ブドウ球菌、クラミジア、淋菌など)に感染すると炎症が起こります。
子宮内膜炎の症状
子宮内膜炎の一般的な症状には次のようなものがあります。
- 悪臭のある膿性のおりもの、褐色のおりもの(膿性帯下)
- 下腹部痛(生理でない時にも生理痛がある)
- 不正出血(生理でない時の出血)
- 排便痛・排尿痛
- など
子宮内膜炎のナチュラルレメディについては『クロレラ』をご参照ください。
2. 子宮内膜症
子宮内の内膜が子宮以外の場所で増殖したり剥離したりを繰り返す疾患です。
子宮内の子宮内膜は、生理の時に、子宮から剥がれ落ち、経血と一緒に排出されるので問題を起こしません。
しかし、子宮以外の場所で発生した内膜は、そのままそこに留まってしまうことが多く、そこで炎症や癒着を起こします。その結果、生理痛がひどくなるだけでなく、生理ではない期間でも、腹痛、腰痛、排便痛、性交痛などを起こし、不妊症の原因となります。
子宮内膜症は、生理のある年齢の女性の約1割(6~12%)に発症し、多くは20代~30代で発症し、30歳~40歳がピークといわれています。
不妊症の女性の35~45%が子宮内膜症であることが明らかにされている、妊孕性に影響を与える疾患です。
子宮内膜症と子宮内膜炎の関係
子宮内膜症と子宮内膜炎は、異なる疾患ですが、じゃぁ、まったく無関係な疾患同士かといえば、そうでもありません。名前が似ているだけあって、お互いに関係しています。
子宮内膜症の女性の38.5%が子宮内膜炎を発症することが示されています。子宮内膜症ではない女性の子宮内膜炎の発症率は14%なので、約2.7倍です。
その理由のひとつとして、子宮内膜症になると、生理中の子宮の収縮運動が低下し、経血が子宮内に残ってしまうことで子宮内膜炎が起こりやすくなるのだと考えられています。
子宮内膜が発生する場所

子宮以外の場所では、骨盤の中の次のようなさまざまな場所に発生する可能性があります。
- 卵巣
- ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)
- 膀胱子宮窩(子宮と膀胱の間のくぼみ)
- 子宮とその周りの靭帯
- 卵管
- など
子宮内膜が発生する場所によって、子宮内膜症には次のような疾患が含まれます。
- 卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)・・・子宮内膜が卵巣に入り込む子宮内膜症
- 子宮腺筋症・・・子宮の筋層内で子宮内膜が増殖
- 稀少部位子宮内膜症・・・腸管、腟、へそ、肺などで子宮内膜が増殖
子宮内膜症の原因
子宮内膜症は、女性ホルモンのひとつプロゲステロンに対して、もうひとつの女性ホルモン・エストロゲンが過剰に分泌されていることによって起こる、エストロゲン過剰による慢性炎症性疾患と定義される疾患です。
抗炎症特性を持つプロゲステロンが減少することで、受精卵を着床させるために増殖・肥厚しなければならない子宮内膜が破壊され、また、子宮内膜の脱落化と呼ばれる内膜が剥がれ落ちるプロセスも阻害され、妊娠が妨げられます。
ただ、なぜエストロゲン過剰の状態が起こるのかのメカニズムについては、さまざまな仮説があります。
1. エストロゲン過剰のサイン

ホルモンバランスが、エストロゲン過剰であることを示す要因には次のものが含まれます。
- 初潮年齢の低さ
- 月経回数の多さ(妊娠・出産未経験)
- 初産年齢の高齢化
- 妊娠・出産回数の減少
- など
そして、女性の社会進出によって、生理のない男性社会のリズムに合わせて女性が働いている現在の社会環境が、女性の体内におけるホルモンバランスを崩す要因のひとつと考えられています。
2. 経血の逆流
また、エストロゲン過剰のひとつの症状である過多月経によって、経血の逆流が起こることが、子宮以外の場所で子宮内膜が増殖するきっかけのひとつになると考えられています。
3. フソバクテリア感染
更に、名古屋大学病院の産婦人科は、フソバクテリア(Fusobacterium)という細菌感染が子宮内膜症発症の要因のひとつであることを発見しました。抗菌薬によって、内膜症の病変の形成が抑制されることをマウスを用いた実験によって示しています。
フソバクテリアは、歯周病菌のひとつで、病原性をもつ常在菌ですが、増殖し過ぎなければ問題を起こすことはないと考えられている菌です。
この菌がどのようにして子宮内膜に感染するのかのメカニズムは不明です。
乳幼児の生育環境と子宮内膜症リスク

フランスのパリ・サクレイ大学(Université Paris-Saclay)は、フランスの厚生連帯省が主導している前向き大規模コホート研究「ニュートリネット・サンテ(NutriNet-Santé)」のデータを用いて、幼少期の環境曝露と将来の子宮内膜症/子宮腺筋症との関連を2万5,251人(年齢21〜92歳)の女性を対象に調査しています。
1. リスク要因
次の要因は、あなたの子宮内膜症リスクを高めます。
- 母親の妊娠中の喫煙・・・1.86倍
- 出生体重2,500g未満・・・1.43倍
- 住居内のカビ曝露・・・1.42倍
- 幼少期のペット曝露(イヌ・ネコ両方)・・・1.23倍
幼少期のペットとの生活がアレルギーの発症を予防するという研究が多く発表されている中、一方で子宮内膜症のリスクを上昇させてしまう可能性があるという報告は、にわかには信じられませんが、分析結果は結果としてお伝えしておきます。
これらがあなたの子宮内膜症リスクを上昇させるとしても、今更、過去を変えることはできません。でも、リスクがあることを知ることで、ひどい生理痛が続くような時には、鎮痛剤を飲んで我慢するのではなく、迷わず婦人科を受診するきっかけになるのではないでしょうか。
2. 予防要因

次の要因は、子宮内膜症の予防になります。
- 親が農業従事者・・・0.72倍
- 幼少期の農場生活・・・0.77倍
- 母親の高齢出産・・・0.83倍
母親の高齢出産によって誕生したことが、その後のあなたの子宮内膜症予防になっているというのは興味深い結果ですが、それがなぜなのかという理由は不明ですし、これも今更、努力によってはどうにもならないことです。
しかし、農場とまではいかなくても、家庭菜園など土や自然に触れる生活に子宮内膜症の予防効果があるのだとしたら、今からでも、始められることではないでしょうか。
3. 無関係要因
なお、あなたの子宮内膜症リスクとあなたが誕生した時の次の要因との間には、今回の調査では関係はありませんでした。
- 出生時の身長
- 早産(未熟児)
- 兄弟姉妹の数
- 分娩方法(自然分娩か帝王切開か)
- 授乳方法(母乳で育ったか否か)
最後の2つの要因については、共生細菌などの研究によってさまざまな違いがある可能性が指摘されていることから、今後のその他の研究による報告を待ちたいですね。
母乳育児が子宮内膜症を予防

これは、妊娠・出産を経験したことのある女性と今後、妊娠・出産予定のある女性にとっての予防の話です。
米国で、1989年~2011年に行われた「看護師健康調査II(Nurses’ Health Study Ⅱ)」の参加者の7万2,394人の女性を対象に、母乳育児歴と子宮内膜症との関係を調査した研究は、子宮内膜症リスクが次の条件で低下することを明らかにしています。
- 1回の出産で合計授乳期間が3か月延びるごとに・・・8%低下
- 1回の出産で完全母乳育児期間が3か月延びるごとに・・・14%低下
そして、母乳育児経験のない女性と比較して、生涯の合計授乳期間が36カ月以上の女性では、子宮内膜症リスクが40%も低いことが明らかにされています。
母乳で育てることの赤ちゃんへの健康効果については、ご存知の方も多いと思いますが、母乳で授乳することが母親にとっても有益であるというのは、素晴らしい発見ですね。
医療による治療法

子宮内膜症の治療には、ホルモン剤の投与による偽閉経療法と手術による病巣切除があります。卵巣のチョコレート嚢胞は、数年~数十年後にがん化することがあるため、大きさや痛みの度合いによっては、摘出手術が行われます。妊娠の希望の有無や年齢などを考慮して治療法が決められますので、詳しくは産婦人科の先生によくご相談くださいね。
投与されるホルモン剤にはさまざまな種類があります。でも目的はひとつ、エストロゲンの分泌を抑えることです。そのため、副作用が伴ないます。
ホルモン剤の投与も病巣の切除も、結局は、症状を抑えるための治療法であって、なぜ、エストロゲンが過剰になってしまうのかという根本原因を治しているわけではありません。そのため、医療によるどのような治療法を選択しても、子宮内膜症は再発するリスクが高い病気だといわれています。
子宮内膜症の改善のための食事
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