バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
慢性疲労と疲れの違い
しっかり寝ているのに、毎朝、残っている疲労感があり、弱々しく日中を過ごし、夜には疲れ切っているのなら、それは、慢性疲労かもしれません。
では、単なる疲れと慢性疲労との境界線は何でしょうか?
ハーバード大学提携ベス・イスラエル・ディーコネス・メディカル・センターの内科医ダニエル・サンズ医師は次のようにおっしゃっています。
「疲れている、眠たい、という状態と、慢性疲労は違います。
もちろん、両方に共通した症状はあります。
例えば、十分な睡眠がとれない日が続けば疲労は慢性化します。しかし、慢性疲労は、例えば、トイレに行くとか、皿洗いをするなど、
普通の日常の動作にも疲れを感じる状態です。」
慢性疲労は、どんなに寝てもリフレッシュできない疲労です。日々を楽しむことなど忘れ去られ、毎日、疲れ切って1日を終わる状態です。
会社員時代のわたしが正にその状態でした。
慢性的な疲労感は加齢のせい?
慢性的な疲労を口にする高齢者が多いので、歳をとったら疲れやすくなるのは普通だと考えている人が多いようです。
でも、実際には、何かしらちゃんとした原因があるものです。
『リハビリテーション看護(Rehabilitation Nursing)』誌に掲載された2021年の研究レビューによると、慢性疾患を抱える高齢者の40%~74%が慢性疲労をもっているとのことです。
つまり、多くの場合、
高齢者が疲れやすいのは、基礎疾患があるから
なんです。大抵の高齢者はどこかしらに疾患を抱えています。高血圧、糖尿病、神経痛など・・だから、疲れやすいんです。
歳をとったら疲れやすくなるわけではないんです。
慢性疲労を起こす要因
加齢以外で慢性疲労を起こす要因には、さまざまなものがあります。
基礎疾患
高齢者でなくても次のような病気によって、エネルギーの消耗が起こることが知られています。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 更年期障害
- 甲状腺疾患
- 糖尿病
- 関節リウマチ
- 自己免疫疾患
- 肝臓・腎臓・心臓の病気
- 感染症
- がん
- COPD(肺気腫)
- 膠原病
- 多発性硬化症などの神経疾患
- 下垂体機能低下症
コロナウイルス感染の後遺症によっても慢性疲労が起こることがあります。
慢性的な疲労をもっている人は、上記したような何かしらの病気が隠れている可能性があります。特に、40代後半~50代の女性のは、甲状腺機能低下症や更年期障害の可能性を考慮して、病院で検査をしてもらうと安心です。
これらの疾患を治療することで慢性疲労を改善あるいは解消することができるはずです。
ライフスタイル要因
ライフスタイルによっても慢性疲労は起きます。
例えば、次のような状況が長引けば、大抵、エネルギーが枯渇します。
- 睡眠不足/低い睡眠の質
- アレルギー
- 風邪/インフルエンザ
- 鉄欠乏性貧血
- 栄養失調/偏食/極端なダイエット
- 運動不足
特定の病気や原因が見つからない疲労感は、単なる運動不足であることが多いと、サンズ先生はおっしゃっています。
「毎日、ほとんど運動しない人が、いつも疲れている場合、
それはおそらくは、単なる運動不足です。」
上記したことが原因で起きている慢性疲労は、食事やライフスタイルの改善によって、解消することが比較的に容易です。
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、ある日突然、原因不明の強い疲労感が起こり、日常生活が困難になる病気です。
単なる疲労感ではなく、高熱が出た時のような「重だるさ」を伴う疲労で、発熱や痛みやリンパの腫れを伴います。十分に休息や睡眠をとっても改善しません。
ストレスによる免疫機能不全が原因ではないかと考えられていますが、明確な原因は不明です。そのため、慢性疲労症候群の有効な治療法は未だ確立されていません。
ミトコンドリア病
難病情報センターの説明によれば、ミトコンドリア病は、細胞内のミトコンドリアの働きが低下することが原因でおこる病気です。
遺伝子の変異によってミトコンドリアの働きが弱い人に発症することが圧倒的に多いのですが、稀に、薬の副作用などによってミトコンドリアの機能が低下して、ミトコンドリア病を発症することがあります。
ちなみに、ミトコンドリアは、私たちが生きていく上で必要な活動エネルギーを産生してくれている、細胞内に共生しているバクテリアです。
病院に行くべきサイン
病院で診察を受けるべきかの境界線はどこにあるのでしょうか?
ハーバード大学附属ブリガム・アンド・ウィメンズ大学フィリス・ジェン・プライマリ・ケア・センターの内科医ソヘイラ・ガリブ医師は、次のようにおっしゃっています。
「私が心配するのは、週3回5km走っていた人が、
突然1kmも走れなくなった時です。また、散歩、孫の子守、料理など、
今まで楽しんでやっていたことをやらなくなったら、
それは心配すべき兆候です。」
体からの警告サイン
具体的には、次のような状態が大きな警告サインだと、ガリブ先生はおっしゃいます。
- 階段が上れない
- 息切れ
- 着替えができない
- 食事の準備ができない
- 普段しない日中の寝落ち
それに加えて、次のような症状が伴っている場合は、しっかりと診断を受ける必要があります。
- 理由のない体重減少または増加
- 頻繁に起こる頭痛
- 慢性の痛み
- 筋力低下
- 思考力や記憶力の低下
- 気分の乱れ/情緒不安
- 睡眠の問題(不眠症、日中の激しい眠気、睡眠導入困難など)
検査によって慢性疲労を起こしている病気が発見されれば、その治療が慢性疲労の解決策となります。
ちなみに原因不明の体重減少については、『カケクシア』をご参照ください。
特定の病気が見つからない場合
検査によって特定の病気が発見されない場合、厚生労働省のガイドライン(2012)に沿って、次の症状のうちの5つ以上に該当する場合に、慢性疲労症候群と診断されます。
- 十分休息し1日経ってもとれない疲労感
- 筋肉痛/筋力低下
- 痛み(関節痛、頭痛、のどなど)
- 睡眠障害(不眠・過眠・リズム障害)
- 思考力・集中力の低下
- 微熱
- 首のリンパ節の腫れ
慢性疲労症候群に該当する疲労感
慢性疲労症候群に該当する疲労感は、「PS(performance status)」という基準に沿って、
全身に倦怠感があり、仕事や学校を、
月に数日以上、休み休養する必要がある
疲労感
と定義されています。
病気ではない人(健常者)が感じる一般的な疲労度と、慢性疲労症候群、あるいは、ミトコンドリア病の人が感じる疲労の度合いの違いを見える化したグラフがあります。
健常者が感じる普通の疲労の2~3倍の疲労を慢性的に感じていることが一目でわかります。
慢性疲労を改善するライフスタイル
特に大きな病気が見つからなかった、でも慢性的な疲労感がある人は、次の方法を試してみてはいかがでしょうか。
1. 運動する/体を動かす
特に、あまり普段から運動をしていない人は、サンズ先生がおっしゃる通り、運動不足が原因している可能性が高いです。
定期的に運動することで、適切な筋肉量と筋力を維持でき、疲れにくい体を作るのに役立ちます。 逆説的ですが、運動をしないでいる方が、皮肉なことに疲れを感じやすくなります。
疲れている時に運動なんて、絶対やりたくないと感じるかもしれません。
でも、慢性的な疲労を断ち切って、体にエネルギーのスイッチを入れるには、適度な運動が役に立つことが、最近の研究によっても示めされています。
2022年6月3日発刊の「心理学最前線(Frontiers in Psychology)」誌に、7,000人以上の成人を対象とした81件の研究論文のレビュー論文が掲載され、定期的な運動が、慢性疲労とエネルギーや活力の状態をある程度改善できることが示されています。
この研究での「定期的な運動」とは、週に少なくとも1回以上の運動と定義されています。筋トレと有酸素運動の両方が含まれます。
なぜ運動が疲労回復に役に立つのか?
サンズ先生は、次のように説明しています。
「筋肉や臓器への血流が増加し、血液を循環させたり、
酸素を吸収する心臓や肺の機能が強化されます。また、運動によって、
エンドルフィンと呼ばれる快楽ホルモンが放出され、
気分の改善だけでなく、睡眠の質も改善します。」
定期的な運動とは
ガリブ先生は、今まで運動をしてこなかった人は、
「1日15分から始めて、週5日1日30分の運動を目標としましょう。」
と、おっしゃっています。また、サンズ先生は
「エレベータを階段にする、入口から遠いところに車を停める、
一駅前で降りて歩くなど日常生活でできることで十分だ」
と、おっしゃっています。
あなたの生活の中で無理なく取り入れられる運動について考えてみてくださいね。
慢性疲労を改善する食事
2. 栄養バランスの良い食事
今までの食事を振り返ってください。
例えば、ファスティングとか〇〇抜きダイエット、〇〇だけダイエットなど極端なダイエットを定期的にしてきた人、あるいは、アレルギーや偏食がある人は、栄養失調に陥っている可能性があります。
「空のコップからは飲むことはできない」
ということわざの通り、エネルギーの素を体に入れてこなければ、エネルギーは生まれません。栄養失調や鉄分欠乏性貧血が慢性疲労の原因ならば、バランスのとれた食事が慢性疲労の改善に役に立ちます。
次のような多様な食品をバランスよく、全てほどほどに食べることが健康の基本です。
- 全粒穀類(玄米、全粒粉、雑穀など)
- 良質なたんぱく質
- 果物
- 野菜
- 海藻類
3. ラム/マトン(羊肉)
ミトコンドリア機能の診断に用いられる指標のひとつが、血液中のカルニチンの量です。そして、慢性疲労症候群とミトコンドリア病の人では共通して、カルニチンの量が低いことが明らかになっています。
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)は、カルニチンの摂取が、ミトコンドリアの機能を回復させ、慢性疲労症候群の治療に有効となるのではないかと期待しています。
カルニチンは、L-カルニチンとしてサプリメントがあります。
でも、ミトコンドリア病や慢性疲労症候群と診断されていないのであれば、サプリメントではなく毎日の食事にカルニチンを多く含む食品を食べることをヘルスコーチとしてはお勧めします。
なお、厚生労働省の食品摂取基準にはカルニチンの登録がないため、上の画像は、その含有量を調べた海外の研究論文を基に作成しています。
4. CoQ10豊富な食品
コエンザイムQ10は、最も研究されているミトコンドリア酵素です。コエンザイムQ10の低下は、一貫して疲労感と関連していることが報告されています。
また、疲労感がない人と比較して、慢性疲労症候群とミトコンドリア病の人では、CoQ10が少ないことも判明しています。
こちらもサプリメントがありますが、慢性疲労症候群ではない人は、食事からCoQ10をを摂ることをお勧めします。ちなみに、量の多少はありますが、CoQ10はすべての食品に含まれている成分です。
また、サプリメント会社のホームページなどでは、1日どれくらい摂取することが好ましいか記載されているケースがありますが、現在までに、CoQ10の正式な摂取基準は存在しません。そのため、サプリメントを利用する際には、体の声を聴きながら注意深く摂取することが求められます。
5. ベリー類
慢性疲労症候群とミトコンドリア病の人は共通して、体内の抗酸化成分が少ないこと、そして、酸化ストレスが高いことが報告されています。
そのため、抗酸化成分を多く含む、果物や野菜、特に、ベリー類などを積極的に食べることをお勧めします。
こちら『フラボノイド』も参考にしてくださいね。
6. 白砂糖を避ける
白砂糖を多く含む加工食品(ケーキ、クッキー、菓子パンなど)を食べた後、急激な眠気や疲労感、エネルギーの急低下を経験したことがある人は、少なくないはずです。
甘いものが食べたい時には、白砂糖や人工甘味料が使われているものではなく、自然な甘味(蜂蜜、メープルシロップ、黒砂糖など)が用いられたものを選ぶようにしましょう。一番のお勧めは、甘いお野菜や果物を食べることです。
白砂糖が、体内炎症や免疫機能の暴走を起こすことについては『白砂糖』を、カロリーゼロの人工甘味料については『人工甘味料』をご確認ください。
7. アルコールを避ける
アルコールには鎮静作用があり、エネルギーの低下を引き起こします。そして、アルコールによって寝落ちた時は、大抵、途中覚醒し睡眠の質が低下します。
その結果、目覚めた時に疲労感が残るのです。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
次の疾患を持っている人は、それぞれのリンク内に症状を改善する食事について詳しく記載していますのでご確認ください。
どんな病気をもっていても、どんな症状があったとしても、私たちは1日3食食べるのです。その食事があなたの症状や病気の改善に寄与するものであることが基本です。
私たちは食べたものでできています。病気を作るのも、悪化させるのも、改善するのも、あなたが口に入れたもの次第です。
でももし、おひとりで取り組むことに不安やむずかしさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献
- “When fatigue leaves you drained, depleted, and dumbfounded”, Maureen Salamon, September 1, 2023, Harvard Women’s Health Watch, Harvard Health Publishing
- “Chronic Illness and Fatigue in Older Individuals: A Systematic Review”, Rehabilitation Nursing 46(3):p E12-E13, 5/6 2021, DOI: 10.1097/RNJ.0000000000000334
- “The Effect of Chronic Exercise on Energy and Fatigue States: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials”, Carly L. A. Wender, Mika Manninen, Patrick J. O’Connor, Front. Psychol., 03 June 2022, Sec. Movement Science, Volume 13 – 2022, https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.907637
- “Perceived fatigue is highly prevalent and debilitating in patients with mitochondrial disease”, Gráinne S Gorman, Joanna L Elson, Jane Newman, Brendan Payne, Robert McFarland, Julia L Newton, Douglass M Turnbull, Neuromuscul Disord, 2015 Jul;25(7):563-6. doi: 10.1016/j.nmd.2015.03.001. Epub 2015 Apr 23, PMID: 26031904, PMCID: PMC4502433
- “Association of Mitochondrial Dysfunction and Fatigue: A Review of the Literature”, Filler K, Lyon D, Bennett J, McCain N, Elswick R, Lukkahatai N, et al., BBA Clin. 2014;1:12–23
- “Radioisotopic determination of l-carnitine content in foods commonly eaten in Western countries”, Jean Demarquoy, Béatrice Georges, Caroline Rigault, Marie-Charlotte Royer, rançoise Le Borgne, Pages 137-142, Volume 86, Issue 1, Food Chemistry, 2004
- 「ミトコンドリア病」、難病情報センター
- 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班、日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業 神経・筋疾患分野
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング