バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
女性が更年期だと気づくまでに約1年以上かかる
生理や生理痛に関すること、また、妊娠や妊娠中のことについては、たくさんの情報があり、体にどんな変化が起こるのか等について詳しい様々な情報を得ることができます。
でも、女性の人生の中盤で起こる「閉経」と、そこに辿り着くまでの状態(更年期)について、あまり大きな声で語られることはありませんし、具体的にどんな変化が起こるのかについての情報もなかなか見つかりません。
私自身も40代の中頃から、少しずつ、いままでとは違う体調の変化が気になり始めていました。ただ、当時、企業買収などという超ストレスフルな仕事をしていて慢性的な睡眠不足、運動不足、疲労感もあり、食事はむちゃくちゃでしたから体調不良の原因があり過ぎて、たまに「更年期?」と疑問に思って調べてみても、「これ」と言った欲しい情報もないまま、うやむやにして過ごしていました。
あなたはどうでしょうか。
ハーバード大学提携のブリガム女性病院の中年期~閉経期の専門医ヘザー・ハーシュ医師によれば、体に起こる不可解な症状について、それが更年期のせいだと気づき、女性が対処し始めるまでには、大抵1年以上あるそうです。
確かにそうかもしれません。
私も「これって更年期の始まりなの?それともたまたま?気のせい?」と思い始めてから、自分が更年期に入ったのだと確信するまで、何年も(1年よりもかなりもっと)ありました。
原因が何なのか取り敢えず直ぐに分かれば、もっと不安が減ったのかもしれないのにね。
更年期の始まりはいつ?
これです。これがはっきりしてくれれば、ずっともっと安心して暮らせるのに、今の科学ではこれを予言することはできないんです。
閉経の前後5年間、45歳~55歳くらいの期間を、更年期と呼ぶことになっています。
「閉経」とは、「生理が止まる」ことだと言うことは皆知っていると思います。でも、いつ止まるのかは医者にも誰にも判りませんし、だから、その約5年前と言われる更年期の始まりを予測することもできないのです。
日本人女性の平均閉経年齢は、50.5歳です。ちなみにアメリカ人の平均は52歳です。でも、50.5歳になったら、突然、生理が止まるわけではありません。
更年期の生理
このことに関する情報もあまりありません。私が調べた時には有益だと思える情報に出会えませんでした。なので、敢えてここに書きます。
更年期に入ると、平均7日間あった生理期間が次第に短くなり3日とか4日で終わるようになります。一方で、生理周期が速まることを経験する女性が多いです。多くの人は、生理が遅くなると思っていますが、更年期の前半では、その逆、今まで28日~30日周期で来ていたものが、25日とか20日で来るようになります。
私は当時、更年期では生理が遅くなると思い込んでいたので、生理周期が速まってきた時には何か別の病気なのではないかと不安になりました。
そんなこんなが何年か続いた後、皆さんが予想している通り、生理周期は次第に2か月ごと、3か月ごと、半年ごとと長くなっていきます。そして最後に生理が来てから1年以上生理が来なくなったら「閉経」が宣言されます。
煩わしい毎月のイベントからの解放です。
更年期の症状はホットフラッシュ以上
更年期について語られる時よく耳にする不調には次のようなものがあります。
- ホットフラッシュ(ご参考に『ホットフラッシュを改善するナチュラルレメディ』)
- 情緒不安定/気分のムラ
- 膣の乾燥/膣の痛み
しかし、更年期の症状はこれだけに留まりません。
たった2~3年前まで健康そのものだったのに、突然、
「まるで自分の体が自分のものでなくなったように感じる」
と表現する女性は少なくありません。
何が変わったのかと言えば、そうです、女性ホルモンが減少したのです。
女性ホルモンがピンポン玉の様に動く
減少するだけではありません。
更年期に入ると、全ての女性ホルモンがピンポン玉のような挙動をし始めます。激しく変化しながら、数年かけて減少していきます。
特に、エストロゲンが激減することで軽度の体内炎症の波が起こります。それが体中に不調を起こします。
全ての臓器がエストロゲンと関係している
全ての臓器には、エストロゲン受容体があります。
つまり、全ての臓器がエストロゲンと何等かの関係を持っているということです。エストロゲンの変化は、全ての臓器に影響を与えます。
減少するエストロゲンと増加する体内炎症は悪循環を作り不調を悪化させていきます。
2020年の『神経炎症ジャーナル(Journal of Neuroinflammation)』に掲載された論文は、 閉経を「炎症の引き金」と表現しています。
更年期の後半、生理周期が60日以上になる頃、症状がピークに達することが多いと言われています。
エストロゲンの減少が起こす影響
脳への影響
更年期の女性から、「私は認知症でしょうか?」と訊かれることがとても多いと、ハーシュ医師は言います。
エストロゲンが減少すると、頭にモヤがかかったようになり、何かを考えたり、集中したりすることが難しくなることがあります。いわゆる「ブレイン・フォグ(脳の霧)」という状態です。すると、認知症のような現象が起こります。
例えば、認知症のサインには次の様なものがあります。
- 物忘れ
- 集中力の欠如
- 情報を理解する力の低下
など
でも、認知症が中年期に起こることは稀です。例えば、65歳以下でアルツハイマー病を発症する人は、人口の10%もいません。
でももし、単なる物忘れや集中力の欠如だけでなく、次のような症状がある場合や、家族やご友人から指摘されたことがある場合には、病院を受診してみることをお勧めします。
- 知っている場所で迷子になる
- 日常的な仕事のやり方を忘れてしまう。例えば、ジャケットのファスナーの締め方やガスコンロの使い方など
- 失くし物が増えたり、変な場所にものを仕舞ったりする
私も物忘れが多くなりました。今までだったらあり得ないようなことを、ザルからこぼれ落ちるようにボロボロ忘れます(笑)。今のところ大事には至っていませんが(その前に思い出している)、ヒヤっとしたことは1度ではありません(悩)
消化器官への影響
更年期の女性の約半数が、胸やけや逆流性食道炎を起こすとの調査報告があります。
体内の炎症は、リーキーガットとして知られている症状と関係しています。リーキーガットは、腸の内壁の間を病原菌が通り抜けられるようになってしまった状態で、ガスを発生させたり、炎症性腸炎の症状を引き起こします。
エストロゲンの減少によって起こる体内炎症が消化器官に炎症を発生させたり、既にある炎症を悪化させることがあります。
逆流性食道炎の改善については『逆流性食道炎』をご参照ください。
皮膚/お肌への影響
更年期には、肌乾燥や皮膚が薄くなるなど、目に見える変化が起こるのが一般的です。更年期の女性の約半数が、症状の悪化を訴えています。
肌荒れや発疹、吹き出物や赤ら顔などが起こったり、悪化します。乾癬も増えます。
お肌を若々しく保つには『サプリメントからは得られないお肌を老化させずに若々しく保つ成分と最強食品』もご参照ください。
関節への影響
更年期の女性の半分以上が、関節痛を経験するという調査報告があります。
関節がこわばったり、痛みをともなう腫れが起こったりします。エストロゲンの減少による体内炎症が大きく影響し、骨関節炎を起こしたり、悪化させていると考えられています。
関節の痛みについては『イブプロフェンに頼らなくても痛みを和らげてくれる食品』をご参照ください。
また、30代~50代の女性に多い関節リウマチについては『関節リウマチはヴィーガンで治る?』をご参照ください。
目への影響
更年期の女性の10人に6人以上(60%以上)に次の様な目の症状が起きます。
- ドライアイ
- 目のかゆみ
- めやに
- 目の炎症
など
2017年の『閉経(Menopause)』ジャーナル誌には、性ホルモンの減少によって、涙液層の質と量に変化が起こることが報告されています。
目の乾燥と改善法については『ドライアイの改善に役立つ食品と意外な習慣』をご参照ください。また『目の健康のためにサプリメントを飲んでいる人は期待が裏切られるかもしれません』もご覧ください。
耳への影響
体の平衡感覚を司っている内耳も性ホルモンから影響を受け、めまいや立ちくらみを起こします。
個人的なことですが、義叔母が更年期の時に左耳が聞こえなくなり、今でも、聞こえません。平衡感覚だけでなく、聴覚にも影響を与える可能性があります。
顎/口への影響
2022年の『閉経(Menopause)』ジャーナル誌には、更年期の女性は、男性の2倍の確率で顎関節症になりやすいことが報告されています。特に、生理サイクルが60日以上になった頃に、顎関節症を発症する女性が最も多いとのことです。
心臓への影響
更年期の女性の約47%が動悸を経験すると、ハーシュ医師は述べています。
また、動悸は、エストロゲンの減少だけでなく、心臓そのものに疾患がある可能性もあることから、検査することを勧めています。
動悸が起きた日と時間帯を、その他の更年期の症状と共に記録しておくことが重要とのことです。
アレルギーの発症と悪化
エストロゲンの減少によって、40代になった途端に花粉症になったり、花粉症の症状が悪化したり、今まで何ともなかった食べ物にアレルギーが発生したりすることが起こります。
性ホルモンの減少が体内のヒスタミンを増加させたことによるアレルギー反応です。
そう言えば、私がアトピー性の白内障で失明をしたのも40代に入ってからでした。その頃は、その他にもたくさんのアレルギーが発症していて、てっきりその当時の食生活とライフスタイルとストレスによるものだとばかり思っていましたが、エストロゲンの減少も一枚噛んでいた可能性もありそうですね。
減少するエストロゲンと増加する体内炎症と付き合うには
ハーシュ医師は、更年期は全身症状であることを考慮して、更年期の女性の診断については、特定分野の医師だけで判断するのではなく、総合的に不調の関連性に対処していくことが重要だと述べています。
私達が日常生活の中でできることもたくさんあります。
ホルモンが落ち着くのを待つ間、体が上手に変化に適応できるよう、そして増加する体内炎症を抑えられるよう、食事とライフスタイルを変化させていくことが大切になります。
虹色に食べる
様々な美しい色の果物や野菜をたくさん食べましょう。
果物とお野菜は、抗炎症性物質を豊富に含んでいます。
ヴィーガンになる必要はありませんが、野菜や果物中心の食事をすることは更年期を楽しく過ごすためにとても重要です。
楽しくお野菜や果物を増やす方法として『楽しく野菜生活』もご参照ください。
加工食品を避ける
食品添加物や精白されたお砂糖(白砂糖)や穀類(白米、小麦など)は、体内の炎症を加速させます。そして、加工食品には大抵、食品添加物が入っていますし、袋や箱に入っているお菓子には白砂糖が使われています。
できるだけ、自分で料理をすること、調味料に気を付けることが大切です。
加工食品の問題点については『超加工食品は〇〇になりやすくてすぐ死ぬ!?』をご確認ください。
健康的な脂を摂る
既に大人気のオメガ3オイルは、ご存知の通り、抗酸化オイルです。
オメガ3オイルというと、亜麻仁油を思い浮かべる人が多いと思いますが、オメガ3を体内に取り込むのに最も優秀な食品は、魚なんです。
植物性のオメガ3は一旦肝臓で、ヒトが使える状態に変換されなくてはなりませんが、マグロやサーモンやイワシなどに含まれている動物性のオメガ3オイルは、私達の体内で直ぐに利用可能な状態になっています。
また、ホルモンは健康的なコレステロールでできています。少しでもホルモンを増やしたいなら良質な脂質を取り入れなければなりません。
オメガ3オイルの詳しい違いや機能については、その他様々なオイルの成分と併せて、マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースで教えています。
スパイスを活用する
スパイスの中には、抗炎症性作用をもっているものがたくさんあります。そうしたスパイスやハーブをお料理に頻繁に使用することをお勧めします。
様々なハーブとスパイスについては『キッチンを薬局に』をご参照ください。
ちなみに、ハーシュ医師はターメリックを勧めています。ターメリックの詳しい機能については『ターメリック』をご確認ください。
心を落ち着ける
心を落ち着けリラックスすることで、血液中の炎症性物質が減少することが判っています。
- リラックス作用のあるヨガ(『ヨガの心疾患予防効果』)
- 瞑想(『あなたに合った瞑想法を見つける方法』)
- 読書
- 音楽を聴く(『音楽の医学的効果』)
- 散歩する
など、あなたが気持ちがリラックスして落ち着く行為ならなんでも構いません。
運動する
定期的に運動をして、心拍数を高めることで、ストレスも体内の炎症性物質も減少することが判っています。ちょっとだけきついかなと感じる適度な運動を生活の中に取り入れてください。
運動については『ハーバード大学の医師が勧めるベストな運動』、『スポーツで乳がんが予防できる』もご参照ください。
禁煙してお酒はほどほどに
更年期になると睡眠の質が低下することを訴える女性が多くなります。
それに伴い、40代になってから寝る前にお酒を飲む習慣をみにつける女性が増えるそうです。
しかし、アルコールは睡眠の質を低下させるだけで、改善してはくれません。
更年期の睡眠の質の改善については『タルトチェリー』をご参照ください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
更年期の上手な過ごし方については『更年期症状の予防と改善のための統合食養学的アプローチ』と『女性が若々しくいるための秘訣を東洋医学から得る』もご参照ください。
また、マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、食事やライフスタイルの対応の仕方だけでなく、家庭の外で働いている女性も多い現代ですから、職場編とご家庭編に分けて、ストレスを減らして心を守っていく具体的な方法についても教えています。
もちろん、男性の更年期についてもカバーしています。
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私自身、統合食養学に沿った食事をするようになってから、日常に影響するほどの症状を起こすことなく過ごせています。
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献
- “Beyond hot flashes”, Maureen Salamon, Executive Editor, Harvard Women’s Health Watch, September 1, 2022
- “The peri-menopause in a woman’s life: a systemic inflammatory phase that enables later neurodegenerative disease”, Micheline McCarthy, Ami P Raval, J Neuroinflammation, 2020 Oct 23;17(1):317. doi: 10.1186/s12974-020-01998-9, PMID: 33097048, PMCID: PMC7585188
- “Dry Eye Syndrome in Menopause and Perimenopausal Age Group”, Travis Peck, Leslie Olsakovsky, Shruti Aggarwal, J Midlife Health, 2017 Apr-Jun;8(2):51-54. doi: 10.4103/jmh.JMH_41_17, PMID: 28706404, PMCID: PMC5496280
- “Does temporomandibular disorder correlate with menopausal symptoms?”, Alessandra Pucci Mantelli Galhardo, Marcia Katsuyoshi Mukai, Maria Cândida P Baracat, Angela Maggio da Fonseca, Cristiane Lima Roa, Isabel Cristina Espósito Sorpreso, Edmund Chada Baracat, Jose Maria Soares Junior, Menopause, 2022 Jun 1;29(6):728-733. doi: 10.1097/GME.0000000000001962, PMID: 35544600
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング