バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
10人中7人に生理痛
月経前症候群(PMS)は、排卵から月経開始までの間に現れる、身体的・精神的に起こる痛みや不快感を指します。生理が始まると和らぎます。
以前、WOMAN HEALTHに掲載されたデータによれば、女性の10人に7人は生理痛を経験しています。100人に3人は寝込むほどの重症で、生理痛のある4人に1人は鎮痛薬など何かしらの薬を服用していると回答しています。
薬は症状を抑えているだけ
月経に関連した不調で病院を受診すると、低用量ピルが処方されることが一般的です。
低用量ピルは、その名の通り、昔のピルと比較して人工 エストロゲン(女性ホルモン)の含有量が低量となったことや、人工 プロゲステロン(もうひとつの女性ホルモン)との混合剤になったことなどから、副作用がほとんどなくなったと言われています。
確かに、ホルモン剤そのものによる副作用(吐き気、頭痛、気分のムラなど)は軽減されたかもしれません。しかし、認知症や婦人科系のがんの発症リスクの増加や他のホルモン(特にセロトニン合成)への影響などが報告されており、ヘルスコーチとしては、気軽に飲んでほしいとは言えません。
それに、不足しているホルモンを補充しているだけですから、そもそもなぜホルモンが不足しているのか、なぜホルモンのバランスが乱れているのかなどの根本的な原因を改善しているわけではありません。だから生理がある間(閉経するまで)は、ずっと飲み続けなければならないものになってしまいます。
最近では、低用量ピルではなく、漢方薬を処方してくれる病院も多くなったようです。
漢方薬なら体に優しくて安心だと思っている人が多いようですが、しかし、日本で処方されている漢方薬は、あなたが想像するような昔ながらの生薬ではありません。薬効成分だけを化学的に合成して作った化合物です。普通に医薬品です。ですから副作用も依存性もあります。
また、生理痛やPMSの症状を楽にするために次のような様々な薬が併せて処方されることもあります。
- むくみに利尿剤
- 痛みに鎮痛剤
- イライラや精神不安に精神安定剤や抗うつ剤
こうした薬が、生理痛やPMSの原因を取り除いてくれることはありません。ただ、不快な症状を軽くしてくれているだけです。原因が解決されていないので、毎月、繰り返し不調が起こり、薬を手離すことができないのです。
フィードフィックス/医食同源アプローチ
痛みや不安という「症状」を一時的に抑える「薬」に頼るではなく、心や体の状態を根本から食事で改善することを「フードフィックス」と呼びます。
医食同源のアプローチです。
あなたは食べたものでできています
痛みの原因も心の風邪もあなたが今まで食べてきたもの ー 体に入れたもの、心に入れたもの ー で造られています。
今回は、生理痛やPMSなど女性ホルモンのバランスの乱れによって起こる症状に対して、食べるもので対処する科学的なエビデンスに基づいた統合食養学のアプローチと東洋医学に基づく薬膳の考え方をお伝えします。
でも、食べ物ですから、薬のように一口食べたら直ぐに痛みがなくなったりすることはありません。一回食べたらそれで終わりでもありません。
薬が直ぐに必要なくなるわけでもありせん。
でも、あなたは食べたものでできています。
そして、あなたは少なくとも1日3食は食べるのです。その食事があなたに必要なホルモンが不足しない、薬が必要になるほどバランスを崩すことがない、あるいは、崩れても直ぐに回復できる体を作るものであることが重要です。
あなたは食べたものでできています。一口食べるごとにお薬を必要としない体を作っているのだと思える食事が必要です。
海苔・海藻類・貝類
海苔や海藻類、そして貝類には、鉄分とマグネシウムを豊富に含んでいる食品が多いです。もちろん、亜鉛やカルシウムなどの他のミネラルも多いです。
鉄分
鉄分が不足している女性は、生理痛や月経前症候群の症状が重くなる傾向にあることが報告されています。
この研究は、3,000人の女性を10年に渡って観察し、1日に鉄分を10mg以下しか摂取していない女性と比べて、1日に20mg以上の鉄分を食事から摂取していた女性は、月経前症候群になる率が約40%低いことを報告しています。
だからと言って、鉄分をサプリメントから摂ることはお勧めできません。その理由と鉄分の詳しい機能については『鉄分』をご確認ください。また、鉄分を多く含む食品については『鉄分を多く含む食品』をご確認ください。
マグネシウム
マグネシウムは神経伝達物質の伝達をスムーズにする働きがあり、痛みの発生を抑えたり、痛みを和らげる作用があります。
マグネシウムの詳しい機能と多く含む食品については『マグネシウム』をご確認ください。
干しエビ・煮干し・胡麻
これらの食品にはカルシウムが豊富に含まれています。
食事中のカルシウム不足とPMSの発症率との間に関連性があることが複数の研究で報告されています。また、カルシウムを補給することで、症状が改善したことも報告されています。
看護師健康研究 II コホート内で行われた症例対照研究では、1991 年の研究開始時点で PMSのない 27~44歳の女性を10 年間追跡調査しています。追跡調査期間中にPMSを発症したのは1,057人で、残りの1,968人はまったく症状がないか、あってもごく僅かでした。
年齢、出産回数、喫煙の有無、その他のリスク要因を調整した後、食事からカルシウムを1日に平均して約529 mgしか摂取していなかったグループと比較して、1日に平均約1,283 mg 摂取していたグループは、PMS発症のリスクが30%低かったことが示されています。
なお、サプリメントからカルシウムを摂取していた場合には効果がなかったことも報告されています。
カルシウムを多く含む食品については『カルシウム』をご確認ください。
肉類よりも魚介類
魚介類にはビタミンDとオメガ3不飽和脂肪酸のDHA/EPAが豊富に含まれています。
ビタミンD
いくつかの研究によってビタミン D が月経前症状と関連していることが実証されています。
PMS がある女性は血液中のカルシウム濃度が低いだけでなく、ビタミン D 濃度も低いことが示されています。
上で紹介した看護師健康研究 II コホート内で行われた症例対照研究では、食事からの総ビタミンD摂取量が最も低いグループの女性(1日平均112IU)と比較して、最も高いグループの女性(1日平均706IU)のリスクは、0.59倍(40%減)だったことが報告されています。
DHA/EPA
オメガ3脂肪酸がPMSに及ぼす影響について、明らかにするためにランダム化臨床試験に限定し系統的レビューとメタ分析が行われ、メタ分析の結果、オメガ3脂肪酸がPMSの重症度を軽減するのに効果的であることが示されています。特に、摂取期間が長いほど有意な効果が得られることが明らかにされています。
また、PMSによる身体的な症状の改善だけでなく、心理的な症状の改善にも効果があることが示されています。
ただし、オメガ3脂肪酸のサプリメントでは逆効果になりかねないことも判明しています。オメガ3の効果を得るためには食事で摂ることが不可欠です。
オメガ3脂肪酸は、亜麻仁油やエゴマ油などにも多く含まれていますが、オメガ3脂肪酸を多く含む食品と併せて、詳しくは『DHA/EPA』をご確認ください。
こんにゃく・寒天・キノコ類
こんにゃく、寒天、キノコ類には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維の摂取による血液中のエストロゲンの濃度に与える影響が閉経前の女性62名を対象に調査されました。
PMSや生理痛は、女性ホルモンのバランスから見ると、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れ、エストロゲン過剰の状態になっていることによって起こります。
2か月間、食事による1日の食物繊維の推定摂取量を平均15~30g増やすと、血液中のエストロンとエストラジオール(エストロゲンの仲間)が有意に減少しました。しかし、プロゲステロンや性ホルモン結合グロブリンの濃度には影響がなかったことが示されています。
食物繊維豊富な食事を続けることで、エストロゲン過剰の状態が改善できれば、他のさまざまな婦人科系の疾患(乳がん、卵巣がん、子宮がん、多嚢胞性卵巣症候群など)の予防になることも期待できます。
唐辛子・トマト・モロヘイヤ・切干大根
これらの食品には、ビタミンB6とマグネシウムが豊富に含まれています。
サプリメントを用いた無作為比較試験において、ビタミンB6とマグネシウムのどちらかのみを摂取したグループや偽薬を服用したグループと比較し、両方一緒に服用したグループで、PMSの症状の改善が大きかったことが報告されています。
統合食養学のヘルスコーチとしては、サプリメントではなく食品で摂ってほしいと思いますので、両方を1日の必要量の10%以上を含む食品の中からベスト10を表にしました。
興味深いことに、唐辛子が実(乾燥と生)と葉で、合計3つがランクインしたことです。辛いものが苦手では無ければ、さまざまなお料理に使ってみることをお勧めします。
運動と日光浴
運動して健康的な体重を維持しましょう。
有酸素運動は気分を高揚させるエンドルフィンの分泌を促すだけでなく、PMSの身体的・精神的な症状を予防する効果があることが示されています。
アスリートではない女性を対象とした研究では、週3回、60分間の有酸素運動をすることでPMSが大幅に軽減したことが示されています。
また、体脂肪率を適切な範囲に維持することで、血液中のエストロゲン濃度が下がり、PMSが軽減されることも示されています。
また、日光浴によって、体内でビタミンDの合成が促されます。
東洋医学によるアプローチ
日本の漢方薬に頼る前に、同じ東洋医学をベースにした医食同源の薬膳を取り入れてみませんか?
循環する体内を作る
東洋医学には、ホルモンという概念がありません。
月経にかかる症状は、次のような体内の「気・血・水」のバランスの乱れによるものと考えます。
- むくみ、吐き気、めまい等は、「水」の滞り
- 下腹部や頭の痛みは、「血」の滞り
- そしてイライラや精神不安は、「気」の異常
気血水の滞りを無くし、スムーズに循環する体を作ることで、症状が楽になると考えられています。ホルモンに直接働きかけるのではなく、体内の循環に働きかけることによって、穏やかに症状を改善させていくことが可能です。
1. 便秘改善
便秘は、生理痛やPMSの症状を悪化させます。生理痛やPMSがあるという女性の多くは胃腸の不調をもっていると考えられます。
次の食品を意識して食べるようにしましょう。
- 食物繊維を多く含む食品
- 発酵食品
そして、水分補給を忘れずに。この時の水分補給は、必ず「水」でなければなりません。お茶でもコーヒーでもジュースでもありません。「水」を飲むようにしてくださいね。
食物繊維については、体力が少なめな華奢で疲れやすい人は、不溶性食物繊維が多い食品はかえって便秘を悪化させてしまうことがあります。食物繊維の中でも水溶性の食物繊維が多い食品(ヌメリのある野菜、ヌメリのあるイモ類、キノコ類、寒天、こんにゃくなど)を増やしましょう。
便秘を改善するナチュラルな方法については『便秘』をご参照ください。
2. 血行改善
何らかの冷えがある人は、冷えを助長する食品を避け、血行を改善する食品がお勧めです。
- 白い砂糖や白砂糖を使用した食品(お菓子類やお料理)を避ける
- 冷たい飲み物・食品を避ける
- サフラン、紅花、ニラを食事に加える
サフランの詳しい機能については『サフラン』をご覧ください。
また、次の活動を生活の中に取り入れましょう。
- 軽めの運動
- シャワーではなくお風呂
オフィスで長時間同じ姿勢でいることが多い、座りっぱなしという人は、定期的に洗面所に立ったり、周囲を歩き回るなど、さりげなく体を動かす工夫が重要です。
3. その他お勧め食品
そのほかにも東洋医学(薬膳)では、次のような食品が生理痛やPMSの改善に役に立つと考えられています。
- イライラ・・・ゴマ
- 痛み・・・ナッツ類、魚介類、海藻類、大豆と大豆製品
- むくみ・・・塩分を控える
4. 規則正しい生活と睡眠
規則正しい生活のリズムと、十分な良質な睡眠もとても重要です。
睡眠不足と女性ホルモンとの関係については『睡眠』をご確認ください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
いかがでしょうか。
科学的な研究によって効果が裏付けられている食品と、東洋医学によって伝統的な実績によって裏付けられている食品が、とてもよく似ていることに気がつきましたか?
生理痛がひどいPMSが辛いという人は、是非、今回ご紹介した食品とライフスタイルを日常生活の中に取り入れていってくださいね。
ソフィアウッズ・インスティテュートでは、セルフドクターコースの中で、女性ホルモンの手なずけ方について詳しく教えています。生理周期に合わせた対処法や症状別の対処法などできるだけ薬に頼らずにできることをお伝えしています。
もちろん、女性ホルモンのことだけでなく、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルが学べます。
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参考文献:
- “Calcium and vitamin D intake and risk of incident premenstrual syndrome”, Elizabeth R Bertone-Johnson 1, Susan E Hankinson, Adrianne Bendich, Susan R Johnson, Walter C Willett, Joann E Manson, Arch Intern Med, 2005 Jun 13;165(11):1246-52. doi: 10.1001/archinte.165.11.1246, PMID: 15956003
- “Effect of omega-3 fatty acids on premenstrual syndrome: A systematic review and meta-analysis”, Mohammad Mehdi Mohammadi, Nahid Dehghan Nayeri, Monireh Mashhadi, Shokoh Varaei, J Obstet Gynaecol Res, 2022 Jun;48(6):1293-1305. doi: 10.1111/jog.15217. Epub 2022 Mar 9, PMID: 35266254
- “High-fiber diet reduces serum estrogen concentrations in premenopausal women”, Rose DP, Goldman M, Connolly JM, Strong LE, VOLUME 54, ISSUE 3, P520-525, SEPTEMBER 1991, doi:https://doi.org/10.1093/ajcn/54.3.520
- “Evaluating the effect of magnesium and magnesium plus vitamin B6 supplement on the severity of premenstrual syndrome”, Nahid Fathizadeh, Elham Ebrahimi, Mahboube Valiani, Naser Tavakoli, Manizhe Hojat Yar, Iran J Nurs Midwifery Res. 2010 Dec; 15(Suppl1): 401–405, PMCID: PMC3208934, PMID: 22069417
- “The effects of 8 weeks of regular aerobic exercise on the symptoms of premenstrual syndrome in non-athlete girls”, Zeinab Samadi, Farzaneh Taghian, and Mahboubeh Valiani, Iran J Nurs Midwifery Res, 2013 Jan-Feb; 18(1): 14–19, PMCID: PMC3748549
- “Body fat, energy balance and estradiol levels: a study based on hormonal profiles from complete menstrual cycles”, Ziomkiewicz A1, Ellison PT, Lipson SF, Thune I, Jasienska G, Hum Reprod. 2008 Nov;23(11):2555-63. doi: 10.1093/humrep/den213. Epub 2008 Jul 18
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング