アスパラガスを食べた次の日のおしっこの臭い|気になりますか?なりませんか?

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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この記事を初めて執筆したのは、2014年6月のことでした。

その後、新しい発見や新しい栄養成分の発見などが報告され、その都度、情報を更新してお伝えしています。

アスパラガスには白と緑がある

まずは、基本から(笑)

ホワイト・アスパラガス

アスパラガスには、白色と緑色があるのはご存知だと思いますが、白色は缶詰のアスパラガスだとまだ思っていませんか?

確かにわたしが子供の頃は、日本でアスパラガスといえば缶詰しかなく、しかも白色でした。そして、決して美味しいといえるものではありませんでした。

でも、白アスパラガスは、れっきとした生の食材です。

白アスパラガスの旬は、4月中旬~6月頃です。

欧州(特にドイツ?)では、白アスパラガスは、5月初旬の初夏の短い期間にだけ食べることのできる、春を知らせる季節のご馳走です。

溶かしバターやオランデーズソースで食べるのが定番です。

写真は、わたしが作ったオランデーズソースをかけたホワイトアスパラガスです。

最近では、日本のスーパーでも、生の白アスパラガスを見かけるようになりましたね!

グリーン・アスパラガス

緑色のアスパラガスの旬は、3月~8月です。

日本では、初夏から夏にかけてよく見かける馴染みのあるお野菜になりました。

緑のアスパラガスを食べ過ぎると、おしっこが緑色になってしまうこともあるって知っていましたか?でもそれは、変な病気になったわけではありませんから、ご心配なく。

さて、アスパラガスを食べた次の日の朝、おトイレに行くと、おしっこがなんだかプラスチックのような変な臭いになっていることに気がつきませんか?

実は、この臭い、感じる人と感じない人がいるんです。

2014年にこの記事を執筆した時には、誰しもが臭いを感じるのだと思って書いたのですが(わたし自身臭いを感じるので、笑)、2016年にBMJ(英国医療ジャーナル)に掲載された論文によれば、男性の 58.0%と女性の61.5%にこの臭いを感じない遺伝子変異をもっている人がいるのです。

なんと、2人にひとり以上です!

だから、当時、この記事を読まれた人の2人にひとり以上は、「あら?わたしのおしっこは全然臭わないけど?」と思ったのではないでしょうか。

臭いの正体は、アスパラギン酸アスパラガス酸です。どちらの名前でも呼ばれますが、文部科学省の食品成分表には「アスパラギン酸」で登録されています。

アスパラギン酸は、含硫アミノ酸です。

つまり、硫黄成分を含んでいるアミノ酸です。そして、体内で次のような揮発性化合物に代謝されます。

  • メタンチオール(腐ったタマネギ臭)
  • ジメチルスルフィド(腐ったキャベツ臭)
  • ジメチルスルホン(無臭)
  • など

これらの代謝成分は、腎臓を介して15分~30分後にはおしっこの中に取り込まれ排泄されます。揮発性なので、直ぐに空気中に舞うため、臭うのです。

アスパラガスを食べた次の日に、おしっこが臭わないと感じる人は、あなたのおしっこが無臭だからなのではなく、あなたの嗅覚遺伝子が硫黄臭を敢えて感じ取らないように変異しているからです。

でも、この変異は病気ではありません。

原始人時代からほんの40年ほど前までの、現代ほど衛生環境が整っていなかった時代を、気分よく生活するために起こった遺伝子変異ではないかと研究者は考えているようです。

ただ、人口の約5%くらいの人の中には、アスパラガスを食べてもまったく硫黄臭のないおしっこをする人がいるのだそうです。こちらの方が、アスパラギン酸を代謝する酵素が欠乏しているなどの心配があるようです。

アスパラギン酸の健康機能

腐敗臭に変換されてしまうアスパラギン酸は、臭いを感じる人にとって迷惑なだけのものなのでしょうか?

アスパラギン酸には、次のようなさまざまな健康効果があることが報告されています。

1. 筋肉痛予防/疲労回復

アスパラギン酸は体内の代謝酵素と結びつき、窒素代謝やエネルギー代謝を高めます。

そのため、運動後、筋肉に乳酸が蓄積されることを予防します。結果、筋肉痛になりにくく疲労回復が促されます。

また、窒素含有量の高い食品、例えば、肉類といっしょに食べることで、窒素が体内に蓄積され過ぎることを予防します。

2. お肌のターンオーバー促進/シミ予防

アスパラギン酸による新陳代謝の促進によって、お肌のターンオーバーが活性化され、シミになりにくいお肌を保つことが期待できます。

アスパラガスが、紫外線が気になり始める季節に旬を迎えるのは、偶然ではありませんね。

また、硫黄成分は、皮膚、髪、関節などの健康をサポートするコラーゲン、ケラチン、軟骨の形成に不可欠な栄養素です。

3. ムクミ予防・改善

アスパラギン酸には、利尿作用があります。そのため、体内の余分な水分が排出されるので、ムクミが改善されます。

また、窒素は代謝されると、毒性のあるアンモニアを作ります。アスパラギン酸は窒素代謝を促進させることで、体内のアンモニアを増やしてしまいますが、その利尿作用によって、アンモニアを速やかに体の外へ排出することも同時に促します。

「立つ鳥跡を濁さず」の精神をもつ成分ですね(笑)

4. イライラ/情緒不安/不眠症の予防

アスパラギン酸の利尿作用によって、アンモニアが速やかに排出されることで、中枢神経が守られ、神経性の障害の予防となります。

結果、イライラや情緒不安が予防・改善され、不眠症などの予防や改善にもなります。

5. 高血圧/冷えの改善

アスパラギン酸は、末梢血管を拡張して血行を改善することで心機能をサポートします。

加えて、アスパラギン酸の利尿作用によって、血圧を下げる効果が期待でき、血行改善によって冷えの予防や改善も期待できます。

6. 貧血/PMS の予防・改善

アスパラギン酸には、鉄分の吸収を促進する効果があると考えられています。

そのことから、貧血予防、生理痛やPMSの改善・予防への効果が期待されます。

鉄分と生理痛・PMSとの関係については『生理痛・PMS』をご参照ください。

2018年2月、動物を用いた実験で、体内のアスパラギンを不足させると、乳がん細胞の転移が抑制されることがサイエンス誌『ネイチャー』に報告されました。

アスパラギンは、体内でアスパラギン酸がアスパラギン合成酵素(アスパラギン・シンテターゼ)と結合することで造られる物質です。

じゃぁ、アスパラガスは食べない方が良いの??

という疑問が浮かびますが、ご心配なく!

そもそもアスパラガスに含まれているアスパラギン酸の量は、例えば、大豆や魚類・海苔・海藻類とピーナッツほど多くはないのです。

それに、研究によって判明したのは、体内のアスパラギンが不足したら、がんの転移が抑制されたということであって、アスパラギンが増えるとがんの転移が促進されるということではありません。しかも、これは動物実験の結果です。ヒトの体内でどうなるかは分かっていないのです。

とはいえ、乳がんや良性の乳房腫瘍と診断された人は心配かもしれませんね。もし心配であれば念のため、アスパラギンの材料となるアスパラギン酸を多く含む食品を控えても良いかもしれません。

もちろん、健康な人は、気にせず、アスパラガスを食べましょう!

その他のアスパラガスの健康効果

アスパラガスには、アスパラギン酸だけでなく、次のようなビタミンとミネラルや抗酸化物質が含まれています。

  1. ビタミン・・・B群、C、E、K、βカロテン
  2. ミネラル・・・カリウム、銅、モリブデン
  3. ルチン
  4. グルタチオン
  5. プロトディオシン
  6. アスパラプチン

アスパラガスには、ビタミンB12を除く全てのビタミンB群が含まれています。しかもビオチンを除く他の全てのビタミンB群が100g中に1日の必要量の10%以上含まれています。

可食部100g中に1日の必要量の10%以上、ある栄養素を含んでいる時、その栄養素が「豊富である」と表現できると、米国食品医薬品局によって定義されています。

ビタミンB群は、エネルギー代謝のビタミンであり、デトックスビタミンです。詳しいビタミンB群の機能については『ビタミンB群』をご確認ください。

抗酸化ビタミンであるビタミンCビタミンE(αトコフェロール)の両方が、アスパラガスには豊富に含まれています。

また、骨や肺の健康に不可欠ビタミンKも豊富に含まれています。更に、さまざまな健康効果が知られているβ-カロテンも含まれています。

β-カロテンはサプリメントで摂ると疾患リスクが高まり、食品を食べることで疾患予防になることを多くの研究が明らかにしています。詳しいβ-カロテンの機能については『β-カロテン』をご確認ください。

ミネラルの中では、カリウム、モリブデンを豊富に含んでいます。

カリウムには、細胞内の過剰なナトリウムを排出することで、ムクミを解消し、血圧を下げる効果があります。

銅は、体内の酵素の働きを助けたり細胞に酸素を運ぶ助けもしています。銅が欠乏しても貧血になるんですよ。

モリブデンは、肝臓での解毒作用をサポートしたり、呼吸や心血管機能をサポートするミネラルです。

アスパラガスの穂先には、ルチンとグルタチオンが豊富です。

ルチンは、ポリフェノールの一種で、ビタミンPとも呼ばれています。

抗酸化作用があり、毛細血管を強化し、利尿作用、ビタミンCの吸収促進などを行っています。

強力な抗酸化物質で、細胞が活性酸素によって傷つけられることから守ります。そのため、老化予防/アンチエイジングになる他、美肌効果を生みます。

ちなみに、グルタチオンは肝臓で造られる抗酸化物質で、肝臓の解毒(デトックス)作用を担っていて、がん細胞も殺すことのできる強力な抗酸化成分です。

そして、アスパラギン酸などの含硫成分は、グルタチオンの再生と合成をサポートします。

アスパラガスの下の方には、プロトディオシンと呼ばれる成分が豊富に含まれています。

プロトディオシンは、脂肪吸収を抑制する効果や腫瘍/がん細胞の増殖を抑える効果があることが示されている成分です。

アスパラプチンは、2015年に理化学研究所によってアスパラガスから発見された新しい成分です。

今回発見されたアスパラプチンは、アルギニンとアスパラギン酸で構成されている含硫代謝物であることが明らかにされています。

一般的に含硫代謝物には、抗酸化作用、抗がん作用、抗炎症作用がありますが、アスパラプチンにも血圧を上昇させる酵素の活性を阻害する働きがあることが示されています。

研究者によれば、アスパラギン酸とアルギニンを個別に摂るよりも、両者が結合したアスパラプチンとして摂取する方が効果が高いとのことです。

やっぱり、抽出された成分を個別にサプリなどで摂るというよりも、ホールフードで食べることには意味がありますね。

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

こんなにたくさんの素晴らしい成分を含んだアスパラガスですから、この季節、十分に食べておきたいですね!

そして、次の日のおしっこが臭うかどうか確認してみてくださいね。

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング