バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
緑のピーマンにカロテンが多いは嘘
緑色のピーマンと言えば、子供が嫌いな野菜ベスト3以内に必ず入るお野菜ですね。
ピーマンは、その濃い緑色に反して、カロテノイド(カロテン)を言うほど含んでいません。そうなんです。ピーマンにビタミンA/カロテンが多いと書いている記事は大ウソつきなんです。
少し細かいことを説明すると、体内でビタミンAとして働く様々な成分、例えば、βカロテンやβクリプトキサンチンなどは、体内に吸収された後にレチノール(ビタミンA)に変換されて初めてあなたの細胞が活用できる形になります。
βカロテンの体内吸収率は1/6で、レチノールへ変換されるのはそのうちの50%です。つまり、食品に含まれているβカロテンの12分の1だけが、体内で実際に使える量なんです。
βクリプトキサンチンは、24分の1です。
文部科学省の食品成分表によれば、100gの緑ピーマンのカロテンの量は次の通りです。
- βカロテン・・400μg
- βクリプトキサンチン・・ 3μg
ですから、100gの緑のピーマンが体内でレチノールになる量は、33μg。1日に必要とする量の 4%に過ぎません。
ある食品の可食部100g中に含まれている栄養素が、1日の必要量の10%以上である時、「その栄養素を豊富に含んでいる」と言えると、FDA(米国食品医薬品局)は定めています。
ですから、ビタミンAを 1日の必要量の4%しか含んでいない緑のピーマンは「ビタミンAが豊富なお野菜」ではないんです。
赤ピーマンはカロテン豊富
一方で、赤ピーマンに含まれているカロテンは次の通りです。
- βカロテン・・940μg
- βクリプトキサンチン・・230μg
レチノール活性当量にすると 88μgです。1日に必要とする量の 11%です。そのため、FDAの基準に照らしても、ビタミンA豊富、カロテンを豊富に含んでいると表現して問題ありません。
緑ピーマンに価値がないわけではありません!
見ために反してカロテンをそれほど含んでいない残念なお野菜の緑ピーマンですが、だからと言って、子供に嫌われて当然の食べる意味のないお野菜ではありません!
今回は、緑ピーマンを正しく理解しましょうという意味合いを込めて、今後期待される新しく発見された効果と共にピーマンの本当の栄養価についてお伝えします。
なお、裏付けとなっている研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
と、その前に
ピーマンは加熱してから食べた方が良い
ピーマンの旬は、6月~8月の夏のお野菜です。
ピーマンはナイトシェード
ピーマンは、ナイトシェードと呼ばれる、夜に成長する夜行性のお野菜です。トマトやナスと同じ仲間です。
夜行性のお野菜は、レクチンと呼ばれる成分を多く持っているため、火を通してから食べると良いのです。その詳しい理由は、『レクチン』をご確認ください。
ピーマンのビタミンCは加熱に強い
ピーマンには、ヘスペリジンというフラボノイドとルテインが含まれており、それらが結合してビタミンCを保護していることが分っています。
そのため、ピーマンのビタミンCは熱に強いのです。
また、ピーマンには抗酸化ビタミンであるビタミンEも多いことから、加熱による酸化ストレスにも強いお野菜と言えます。
悪玉コレステロールが効果的に下がる
胆汁酸の合成力が強いは、悪玉コレステロールを低下させ、がんの発症リスクを低下させる効果があることが明らかにされています。
胆汁酸の合成力を、コレステロール低下薬で比較すると、
- コラードグリーンとケールとからし菜: 13%
- ブロッコリー: 10%
- 芽キャベツとホウレン草: 8%
- 緑ピーマン: 7%
- キャベツ: 5%
の順です。
これらの野菜を蒸したところ、胆汁酸の合成力が更に上昇したことが報告されています。
つまり、コレステロールを低下させたいのであれば、これらのお野菜を生でサラダで食べるのではなく、蒸してから食べるようにするとより効果的ということになりますね。
ピーマンは大人の女性の救世主になるかも?
抗がん作用に期待膨らむ
緑のピーマンには、抗がん作用をもつ特殊な多糖類(ポリサッカライド)が含まれていることが発見されています。
マウスを使った動物実験ですが、ヒト乳がん細胞を移植したマウスに21日間、次の食事を与え効果を比較しています。
- 緑色のピーマンから抽出したペクチン系多糖類を体重1kg当たり、50mg/100mg/150mg投与
- 抗がん剤(メトトレキサート)を5日置きに体重1kg当たり2.5mg投与
- 偽薬(1日に1回経口投与)
結果、ピーマンのペクチン系多糖類が乳がん細胞の増殖を48%も遅くさせたことが報告されています。また、投与量が多ければ多いほど効果が高かったとのことです。
このペクチン系多糖類が白血球(単球)の数を2倍に増やし、がんに対する免疫機能を格段に向上させたことも観察されています。
更に、がん細胞による血管新生を46%も減少させました。つまり、がん細胞の栄養補給路を絶ち、がん細胞を餓死させる作用があったことになります。
もちろん、ヒトを対象とした実験ではないため、ヒトにおいても同様の効果があるかどうかはまだ確証はありませんが、裏付けとなる研究が増えているようです。
ダイエット効果
ピーマンにはビタミンB6も豊富です。1日の必要量1.2mgに対して、次のように豊富にふくまれています。
- 緑ピーマンには0.19mg(約16%)
- 赤ピーマンには0.37mg(約31%)
- 黄ピーマンには0.26mg(約21%)
ビタミンB6は、脂質の代謝に関与しているビタミンですから、体の余分な脂肪を燃焼してくれます。そして、ピーマンには糖代謝に関わっているパントテン酸も微量ですが含まれています。
露出が多くなる夏を前に、今、旬のピーマンをたくさん食べておくと良さそうですね。もちろん、加熱してから!やっぱり季節と共に食べることで、様々な心配から解放されて、あなたの毎日はとてもシンプルになります。
詳しいビタミンB6の機能については『ビタミンB6』をご参照ください。
美肌効果(ハリ、シミ予防、目の下のクマとり)
上述した通り、ピーマンにはビタミンCが豊富です。ビタミンCはお肌にハリを与えるコラーゲンを作るために必要なビタミンですし、シミやそばかすを予防するのにも大切なビタミンです。
お肌の傷の治りを速め、紫外線によるお肌老化を予防してくれます。
ピーマンにはビタミンEも豊富です。食品摂取基準は、αトコフェロールでのみ設定されていますが、ビタミンEは、抗酸化ビタミンです。
- 緑ピーマンには、1日の必要量6.5mg – 7mgの約12%(0.8mg)
- 赤ピーマンには、なんと4.3mg(約64%)
- 黄ピーマンには2.4mg(約36%)
ビタミンEの詳しい機能については『ビタミンE』をご参照ください。
更に、ビタミンKも豊富です。ビタミンKは、鉄分と共に血行促進効果があります。目の下に溜まった血液を流し、クマを予防したり薄くしてくれます。
1日の必要量1μgに対して、次の通り非常に多く含んでいます。
- 緑ピーマンには、なんと!20μg、20倍
- 赤ピーマンには7倍
- 黄ピーマンには3倍
目の下のクマとりには、断然、緑ピーマンがお勧めです!
でも、ビタミンKには、血液凝固作用があるため、脳梗塞や心疾患のために血液をサラサラにする医薬品を処方されている方には、お勧めできません。
ビタミンKの詳しい機能については『ビタミンK』をご参照ください。
更に更に、ピーマンには、微量ですが硫黄成分(必須アミノ酸のシスチンとメチオニン)が含まれています。
硫黄成分にはお肌のデトックス効果があり、吹き出物やニキビを予防してくれます。硫黄の詳しい機能などについては『お肌を修復し肌荒れの予防と改善に効く野菜と果物』をご確認ください。
骨粗鬆症予防・改善
ピーマンには、どの色にも、カルシウムは微量にしか含まれていません。
カルシウムが腸で吸収されるためには、ビタミンDが必要ですが、吸収されたカルシウムが骨に取り込まれるためには、ビタミンKが必要なんです。骨粗鬆症の患者さんにビタミンKが処方されることもあるんですよ。
上でお伝えした通り、ピーマンにはビタミンKが豊富に含まれています。
骨の健康のためには、カルシウムだけ摂っていたら良いわけではありません。なお、骨を健康にする意外な食品については『骨粗鬆症を予防』をご参照くださいね。
胎児の健康
胎児の成長には、葉酸が必要です。葉酸は DNAの合成に必要ビタミンです。
ただし、サプリメントから摂る葉酸には、多くの懸念が存在しています。できるだけ食品から摂ることを心がける必要があります。詳しくは、先ほどリンクした葉酸についての記事をご確認くださいね。
ピーマンは、安全に摂れる葉酸として、妊婦さんに最適な食品ですね。
風邪予防
免疫力といえば、ピーマンには、ビタミンCが豊富です。
ビタミンCの1日の推奨量は100mgです。次のように、ピーマンは何色であっても、ビタミンC豊富なお野菜です。
各ピーマン100g中に含まれているビタミンCの量
- 緑のピーマン・・・76mg
- 赤ピーマン・・・170mg
- 黄色ピーマン・・・150mg
ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンC』をご確認ください。
うつ予防・改善
ビタミンB6は、体内のセロトニン合成に必要なビタミンです。セロトニンは、幸福ホルモンと呼ばれるホルモンです。セロトニンが不足するとうつ症状が現れます。
また、ピーマンの苦さの元「クエルシトリン」と呼ばれるフラボノイドには、抗うつ作用があるとお茶の水大学が2012年に発表していますが、これを裏付ける論文を見つけることができませんでした。
抗酸化作用についての論文は見つけられましたが、抗うつ作用については不明です。
ADHD・認知症予防・改善
ビタミンB6の不足は、ADHAやアルツハイマー病との関連性も報告されています。不足させないことが重要ですね。
ピーマンには、葉酸も豊富です。1日の必要量240μgに対して次のように豊富に含んでいます。
- 約11%(26μg)が緑ピーマン
- 赤ピーマンには約28%(68μg)
- 黄ピーマンには約23%(54μg)
葉酸が不足すると血液中のホモシステインというアミノ酸が増えてしまいます。このホモシステインの蓄積によってアルツハイマー病にかかるリスクが2倍になると報告されていますから、十分に摂ることが大切ですね。
葉酸の詳しい機能については『葉酸』をご参照ください。
その他、赤と黄ピーマンには、神経保護機能をもつビタミン、ナイアシンも1日の必要量(11mg-15mg)の10%以上が含まれており、パーキンソン病などの予防になると考えられています。
動脈硬化予防して心疾患予防
先に述べたように、ピーマンには、葉酸が豊富です。葉酸が不足すると血液中に増える毒性のあるアミノ酸、ホモシステインは、動脈硬化の原因にもなります。
不足させないことが大切ですね。
目の健康(白内障予防)
ピーマンには、ルテインが含まれていることが報告されています。
ルテインは目の黄斑部や水晶体に多く存在していて、不足すると、黄斑変性や白内障など、眼の老化が起こりやすくなるといわれています。
そのため、ルテインを摂ることで、白内障の予防改善に効果があると言われてきたビタミンですが、ここ最近、ルテイン単体(サプリメント)での効果が検証できないという報告が相次いでいます。
ルテインは、他の栄養素と一緒に摂ることで、その効果を発揮するようです。やはり、栄養素はサプリメントからではなく、ホールフードで食べることに意味があります。
詳しいルテインの機能については『ルテインとゼアキサンチン』をご参照ください。、また、ルテインと一緒に摂ると良い栄養素については、『目の健康のためにサプリメントを飲んでいる人は期待が裏切られるかもしれません』をご覧ください。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
是非、この季節、ピーマンをたくさん食べてみてくださいね!
もし健康に心配なことがあって、おひとりで食事改善に取り組むことに不安や難しさを感じているのなら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。
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参考文献:
- “Antineoplastic effect of pectic polysaccharides from green sweet pepper (Capsicum annuum) on mammary tumor cells in vivo and in vitro”, Adami ER, Corso CR, Turin-Oliveira NM, Galindo CM, Milani L, Stipp MC, do Nascimento GE, Chequin A, da Silva LM4, de Andrade SF, Dittrich RL, Queiroz-Telles JE, Klassen G, Ramos EAS, Cordeiro LMC, Acco A. Carbohydr Polym, 2018 Dec 1;201:280-292. doi: 10.1016/j.carbpol.2018.08.071. Epub 2018 Aug 20.
- “New findings on green sweet pepper (Capsicum annum) pectins: Rhamnogalacturonan and type I and II arabinogalactans”, do Nascimento GE, Iacomini M, Cordeiro LMC, Carbohydr Polym. 2017 Sep 1;171:292-299. doi: 10.1016/j.carbpol.2017.05.029. Epub 2017 May 11.
- “和漢薬由来アラビノガラクタンなどの多糖の構造と生理活性―腸管免疫系に対する作用と活性発現糖鎖”, 清原寛章, 北里大学北里生命科学研究所和漢薬物学研究室 准教授, 北里大学東洋医学総合研究所基礎研究部 副部長
- “New volatile sulfur-containing constituents in a simultaneous distillation-extraction extract of red bell peppers (Capsicum annuum)”, Naef R, Velluz A, Jaquier A, J Agric Food Chem. 2008 Jan 23;56(2):517-27. doi: 10.1021/jf072493y. Epub 2007 Dec 29.
- “Vitamin B6 in clinical neurology”, Bernstein AL, Ann N Y Acad Sci. 1990;585:250-60. (ADHDについて)
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- “Dietary carotenoids, vitamins A, C, and E, and advanced age-related macular degeneration. Eye Disease Case-Control Study Group”, Seddon JM, Ajani UA, Sperduto RD, Hiller R, Blair N, Burton TC, Farber MD, Gragoudas ES, Haller J, Miller DT, et al, JAMA. 1994 Nov 9;272(18):1413-20.
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- “Steam cooking significantly improves in vitro bile acid binding of collard greens, kale, mustard greens, broccoli, green bell pepper, and cabbage”, Kahlon TS, Chiu MC, Chapman MH, Nutr Res. 2008 Jun;28(6):351-7. doi: 10.1016/j.nutres.2008.03.007
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング