バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
肝臓は痛みを感じない臓器
お酒が好きな人が、健康診断で気にするのが肝臓の数値ですが、お酒好きな人だけでなく、肝臓は私達皆にとって重要な働きを担っています。
でも、肝臓には痛みを感じる神経がありません。
だから肝臓細胞にダメージがあっても、かなり病状が進むまで自覚症状が現れません。症状が現れた時にはかなり悪い状態であることがほとんどです。そのため、治療に長い時間がかかるだけでなく、肝臓の細胞が硬くなってしまった後では元の状態に戻すことはかなり難しくなります。
肝臓の主な4つの働き
肝臓は私達の体の中でも比較的大きな臓器です。そして何百もの役割を果たしています。
代謝/変換
ビタミンやホルモンを貯蔵したり、体内で使える形に変換して、体細胞へ供給しています。肝臓で生理活性した状態に変換されなければ、いくらビタミンを摂っても、ホルモンが体内で造られても、正常に機能しません。
つまり肝臓が機能していないと、ビタミン欠乏の症状やホルモン不足(甲状腺機能低下症、更年期症状、副腎疲労など)の症状が現れます。
有害物質の無毒化/デトックス
肝臓は、2つのデトックス機能を通して私達の血液を浄化してくれています。
第一段階のデトックス
私達が口に入れるもの全てが、最終的に肝臓を通過します。そして、肝臓は、アルコール、医薬品、化学物質、その他の有害物質を無毒化してくれています。
第二段階のデトックス
サプリメント、毛染め剤、プラスチック製品に使用されている化学成分、殺虫剤、除草剤、農薬など、そうしたもの全てを体の外へ排出するデトックス機能も肝臓が担っています。
胆汁酸の産生
肝臓は、毎日約2~3カップ分の胆汁を作ります。
胆汁は、胃酸から腸を守る働きをしている他、脂肪を分解する消化液です。胆汁は、洗剤のように脂肪を分解します。
胆汁の詳しい働きについては『脂肪燃焼に不可欠な胆汁酸をたくさん作ってくれる野菜は?』をご確認ください。
コレステロールを一定に保つ
肝臓はコレステロールを合成しています。体重1kgあたり1日に12~13 mg(例えば、体重 50 kg の人なら1日に600~650 mg)のコレステロールを体内で造っています。
ちなみに食事から摂取されたコレステロールの体内吸収率は 40~60%です。食事性コレステロールは体内で作られるコレステロールの 1/3~1/7 に過ぎません。
また、肝臓にはコレステロールのフィードバック機能があり、コレステロールを多く摂取すると肝臓はコレステロールの合成を減少させ、少なく摂取するとコレステロールの合成を増加させ、体内のコレステロールが一定に保っています。
抗酸化物質の産生
私達の生命維持に不可欠なCoQ10、グルタチオン、カタラーゼなどの強力な抗酸化物質を造ってくれています。
カタラーゼについては『唾液にも含まれている抗酸化酵素カタラーゼをたくさん作った方が良い理由と作り方』をご参照ください。
肝臓が機能していない兆候
肝臓が機能しない、あるいは機能が弱くなると、毒があなたの体内に蓄積していきます。
毒素が体内に蓄積していることを示す初期の主な症状には、次の様なものがあります。
- 原因不明のかゆみ
- 吐き気
- 腹痛
- 目の黄ばみ
などあります。
また、あまり知られていませんが、肝炎の兆候には、口の中の奇妙な「苦い味」や「金属の味」があります。
更にひどくなると、脱力感、倦怠感、足首の腫れ、尿の色が濃くなることがあります。
更に進むと、腎臓と肝臓の機能障害、黄疸、そして最終的には死に至る様々な疾患が起こります。
肝機能に障害をもたらす原因
肝臓病の多くは、肝細胞が破壊される肝炎です。そして、肝炎が起こる原因には、アルコール性、非アルコール性、ウイルス性、薬剤性、自己免疫性などがあります。
アルコール性肝炎
お酒の飲みすぎによる肝障害です。
でも、アルコール性肝炎が急に起こることはありません。多量のアルコールを長年飲み続けた結果、飲んだ量に比例して(飲めば飲むほど)肝臓に炎症が起こるのです。
このグラフは、WHOがアルコールと様々な病気の発症リスクについて調査した結果を厚生労働省がグラフにしたもののうち、肝硬変のグラフです。
肝臓疾患が、直ぐに起こる病気ではなく、油断した頃に急激にリスクが高まる病気であることが判ります。
アルコール性肝炎になる前に、まず「アルコール性脂肪肝」になります。アルコールによって肝臓に脂肪が溜まり、肝機能が低下した状態です。それでも飲酒を控えないでいると「アルコール性肝炎」になります。アルコール性肝炎が劇症化すると死に至ります。そしてアルコール性肝炎は、「アルコール性肝硬変」へと悪化していきます。
非アルコール性肝炎
飲酒だけでなく、食べすぎ、肥満、運動不足でも脂肪肝になります。「非アルコール性脂肪肝」は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という肝炎を起こし、その後、肝硬変、肝がんへ悪化することがあります。
糖尿病、脂質異常症、高血圧があると、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進行する可能性が高くなります。
ウイルス性肝炎
肝臓が肝炎ウイルスに感染し、肝機能障害を引き起こす病気で、日本人に最も多い肝臓病です。
肝炎を引き起こすウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型などがあり、日本人に多いのがB型とC型です。
A型肝炎
A型肝炎ウイルス(HAV)による一過性の急性肝炎です。糞便で汚染された水や食品を飲食することで感染します。魚介類の生食などによる経口感染がほとんどです。そのため発展途上国に多く、先進国では減少している肝炎ですが、性行為や輸血による血液感染の報告もあります。
B型肝炎
B型肝炎ウイルス(HBV)が血液/体液を介して感染します。感染した時期や感染したときの健康状態によって、一過性で終わるものと感染が一生継続するもの(持続感染)とに分かれます。出生時~3歳未満で感染すると持続感染を起こします。
C型肝炎
C型肝炎ウイルス(HCV)が血液/体液を介して感染します。感染すると約70%の人が持続感染となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんに進行します。日本では約100万人がC型肝炎を起こしていると考えられていますが、自覚症状がないため感染を知らない人が多いと言われています。日本の慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の60%がC型肝炎ウイルスの感染者とのことです。
D型肝炎
D型肝炎ウイルスによって引き起こされる急性と慢性の肝疾患です。D型肝炎は、B型肝炎ウイルスが存在しなければ感染しません。B型肝炎ウイルスの単独感染よりも重篤な病態が引き起こされます。
E型肝炎
経口伝播型のE型肝炎ウイルス(HEV)による急性肝炎です。E型肝炎の致死率はA型肝炎の10倍といわれ、妊婦の致死率は20%(5人にひとり)に達します。発展途上国に多い肝炎ですが、日本でもイノシシ、豚、鹿の生あるいは加熱不十分のレバーを食べて感染したケースが複数報告されています。
薬剤性肝障害
処方薬、薬局で購入できる薬、サプリメントなどに含まれている成分/薬剤が原因で起こる肝機能障害です。「中毒性」と「特異体質性」があります。
中毒性
薬やサプリメントの成分そのもの、あるいはその代謝物質が肝臓に炎症を起こすものです。中毒性の薬剤性肝障害については『アセトアミノフェンからあなたの肝臓を守る解毒食品』もご確認ください。
特異体質性
個々人の体質などによる影響で、アレルギーに類似した反応で起こる肝障害です。発症の予測が難しいと言われています。
自己免疫性肝炎(AIH)
自らの免疫細胞が、何等かの原因によって肝細胞を攻撃することによって起こる自己免疫疾患のひとつです。40代以降の女性に多く見られ、他の自己免疫疾患を発症していることが多いです。
自己免疫疾患については『あなたのその症状は自己免疫疾患かもしれません』をご参照ください。
肝炎の症状
肝炎は、病状や進行度合いによって「急性肝炎」「慢性肝炎」「劇症肝炎」に分けられます。
急性肝炎
肝炎の初期に急性に発症するものです。原因となるウイルスや薬剤等は短期間で排除され、肝細胞の破壊も短期間で終息します。
慢性肝炎
原因となるウイルスや薬剤が速やかに排除されず、6ヵ月以上続くものです。ただし、肝炎の種類によっては症状がないまま進行し、気づいたときには慢性化していることがあります。
肝硬変は、慢性肝炎が更に長期化し、肝細胞が硬くなり、肝臓が小さくなってしまった状態です。肝臓病の末期的な症状のことです。
劇症肝炎
急性肝炎が短期間で急激に悪化した状態です。重症の場合は昏睡に陥り、死に至ることもあります。
肝臓機能をサポートする食品
肝臓の健康のために積極的に摂り入れると良い食品をご紹介します。各食品について以前執筆した記事をリンクしましたので、各食品がどのように肝機能に良いのか詳しく知りたい方はご確認ください。
タンポポの根
タンポポの根のお茶?コーヒー?には、胆汁酸の産生を助け肝臓の負担を軽減したり、利尿作用や減肥作用があることが報告されています。
ギシギシ/イエロードック
日本では根を下剤や皮膚疾患の民間薬として煎じて飲んだり、東北地方では葉が開く前の若芽を山菜として用いられてきた雑草です。
欧米では風邪の症状や炎症を抑える民間薬として用いられています。
ギシギシの薬効成分は、クリソファノールと呼ばれる天然のアントラキノンです。クリソファノールは多くの漢方薬、例えば、大黄、センナなどにも含まれている薬効成分で、腸・肝臓・リンパ系の排毒作用、抗菌作用、抗炎症作用、抗がん作用があると考えられています。イタドリ、ドクダミ、アロエにも含まれています。
ただし、クリソファノール単独では、肝毒性や通常細胞への細胞毒性があることが報告されています。やはり食品/ハーブは、成分ではなく、ホールを用いることが肝要ですね。
肝臓機能をサポートする食品成分
セレン豊富な食品
肝臓がグルタチオンを作るためにはセレンが必要です。グルタチオンは肝臓を健康に保つために不可欠な抗酸化物質です。
セレン豊富な食品については『希少ミネラルのセレンの作用と多く含む食品』をご確認ください。
グルタチオンの材料となる食品
グルタチオンは肝臓に多く含まれていますが、レバーを食べても私達に必要なグルタチオンは得られません。体内でグルタチオンとなる材料を食べなければなりません。
グルタチオンの材料となる食品については、『お肌を修復し肌荒れの予防と改善に効く野菜と果物』をご参照ください。
コリン豊富な食品
コリンは、肝臓に蓄積した脂肪を排出してくれる物質です。特に、非アルコール性脂肪性肝の改善が期待できます。
コリン豊富な食品については『ホスファチジルコリンの大切な機能』をご確認ください。
腸内細菌と肝臓病との関係
2022年3月に科学専門誌『ネイチャー』に発表された論文によれば、腸内細菌と肝臓とは直接的な関係があることが判明したと報告しています。
非アルコール性肝炎やウイルス性肝炎などの肝臓疾患によって、腸内細菌の顔ぶれが変わり(悪玉菌が増え)、当然、腸内細菌代謝物も変化し(菌が変わるので発生する物質も変わる)、肝がん発症の遺伝子のスイッチがオンになるとのことです。
公認ヘルスコーチとしては、肝炎による腸内環境への影響は止められないとしても、善玉菌を増やす食事や食品を積極的に摂り入れることで、悪玉菌の増殖を抑制し、その影響を軽減することができるのではないかと考えます。悪玉菌と善玉菌の勢力争いなのであれば、善玉菌を応援する生活をすることで、肝炎を肝がんに進行させずに済むかもしれないのです。
お酒が大好きで肝臓が心配な人のための食事
肝臓のことは心配だけど、お酒は止められないという人は、『ロックスターもやっている飲み会続きでも健康でいる方法』を参考にしてくださいね。
また、お酒を上手に減らしたい人やお酒との上手な付き合い方を知りたい人は、『減酒したい人へアメリカ連邦アルコール乱用依存症研究所が勧める11の方法』をご参照ください。
もしひとりで取り組むことに不安があるのなら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?
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参考文献:
- 『ウイルス性肝炎って、どんな病気?』、ウイルス性肝炎、気になる病気辞典、全国健康保険協会
- 『肝臓の役割とおもな病気』、肝臓の病気、気になる病気辞典、全国健康保険協会
- 『それぞれの肝臓病についての情報』、肝炎情報センター、国立研究開発法人国立国際医療研究センター
- 『D型肝炎について(ファクトシート)』、2017年7月 WHO、厚生労働省検疫所FORTH
- 『E型肝炎とは』、IDWR 2004年第13号掲載、国立感染症研究所
- “Artichoke, Cynarin and Cyanidin Downregulate the Expression of Inducible Nitric Oxide Synthase in Human Coronary Smooth Muscle Cells”, Ning Xia, Andrea Pautz, Ursula Wollscheid, Gisela Reifenberg, Ulrich Förstermann, Huige Li, Molecules. 2014 Mar; 19(3): 3654–3668, Published online 2014 Mar 24, doi: 10.3390/molecules19033654, PMCID: PMC6271736, PMID: 24662080
- “Increased serum selenium levels are associated with reduced risk of advanced liver fibrosis and all-cause mortality in NAFLD patients: National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) III”, Mishal Rejaa, Michael Makara, Aayush Visariab, Daniel Marinoc, Vinod Rustgid, Vol. 19. Issue 6. Annals of Hepatology, pages 635-640 (November – December 2020), DOI: 10.1016/j.aohep.2020.07.006
- “Polygoni Multiflori Radix derived anthraquinones alter bile acid disposition in sandwich-cultured rat hepatocytes”, Li Kang, Luqin Si, Jing Rao, Dan Li, Ya Wu, Sanlan Wu, Minghui Wu, Sijie He, Wenwen Zhu, Yang Wu, Jiaqiang Xu, Gao Li, Jiangeng Huang, Toxicol In Vitro, 2017 Apr;40:313-323, doi: 10.1016/j.tiv.2017.01.022. Epub 2017 Feb 2, PMID: 28161596
- “Cytochrome P450 mediated metabolic activation of chrysophanol”, Ying Sun, Xin Xin, Kehan Zhang, Tiantian Cui, Ying Peng, Jiang Zheng, Chem Biol Interact, 2018 Jun 1;289:57-67. doi: 10.1016/j.cbi.2018.04.015. Epub 2018 Apr 24, PMID: 29698620
- “The gut–liver axis: host microbiota interactions shape hepatocarcinogenesis”, Maruhen A.D. Silveira, Steve Bilodeau, Tim F. Greten, Xin Wei Wang, Giorgio Trinchieri, REVIEW| VOLUME 8, ISSUE 7, P583-597, JULY 01, 2022, DOI:https://doi.org/10.1016/j.trecan.2022.02.009
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング