アトピー性皮膚炎に最も効果があった薬用クリームとは?

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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ソフィアウッズ・インスティテュートのクライアントさんの中にもアトピー性皮膚炎をご自身がお持ちだったり、お子さんがお持ちだったりすることが案外あります。かつてサラリーマンだった時の上司にもアトピー性皮膚炎を持っている人がいらっしゃいました。

アトピー性皮膚炎は今やとても身近な疾患になっているという印象をもっています。

ハーバード大学から届いたニュースレターの中に、4万人以上のアトピー性皮膚炎患者(平均年齢18歳)を対象とした200以上のランダム化試験で、約70種類のアトピー性皮膚炎の外用薬の効果を比較した研究がありました。

また、メディカルトリビューンから届いたニュースレターの中に、食品成分から造られているアトピー性皮膚炎用の薬用軟膏がステロイド剤と同等の効果が得られたことを報告する研究がありました。

そのため、これらの研究による発見について、和訳要約してお伝えすることにします。

アトピー性皮膚炎に悩まされている人たちにとって、少しでも役に立つ情報であれば嬉しいです。

まずは、アトピー性皮膚炎について良く知らないという人のために、簡単に説明したいと思います。

アトピー性皮膚炎は慢性炎症性皮膚疾患です。

発症することが比較的多い体の部位は、顔、手、足、肘や膝の後ろの皮膚のひだなどです。

アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症、発赤、かゆみを引き起こす慢性(長期にわたる)疾患です。小児期に始まることが多い疾患ですが、年齢を問わず誰でもこの病気にかかる可能性があります

アトピー性皮膚炎の原因はまだわかっていません。ただ、遺伝、免疫機能、環境がこの病気に関与していると考えられています。でも、伝染性はないため、人から人へうつることはありません。

アトピー性皮膚炎は、皮膚に激しいかゆみを引き起こします。掻くことで赤みが増し、腫れ、ひび割れ、透明な浸出液が滲み出し、かさぶたができ、鱗屑になります。

症状が悪化する期間と「寛解」と呼ばれる症状が改善または完全に治る期間が繰り返されます。

アトピー性皮膚炎は、毎日ケアする努力が必要な症状です。

かゆみを伴う皮膚の炎症は、睡眠や社会生活だけでなく、その他多くの日常の活動を妨げ、普通に生活することが困難になることが多いこともアトピー性皮膚炎がもたらす大きな問題です。

『アレルギーと臨床免疫学ジャーナル(The Journal of Allergy and Clinical Immunology)』がオンラインで発表した2023年の研究によると、アトピー性皮膚炎の薬用クリームは、その主成分の違いによって、効果に違いがありました

研究者は、4万3000人以上のアトピー性皮膚炎患者(平均年齢18歳)を対象とした200以上のランダム化試験を評価し、局所治療薬と呼ばれる皮膚の患部に塗布するように開発された約70種類の薬用クリームと軟膏を比較しています。

治療薬は大きく次の5つのカテゴリーに分類することができます。

  1. 局所コルチコステロイド剤| 最も強力なものから最も弱いものまで7つのクラスがあります。ホスホリパーゼA2と呼ばれる炎症性化学物質の放出を減少させます。
  2. 局所ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤| 細胞に浸透し、炎症シグナルを遮断します。
  3. 局所 PDE4 阻害剤| ホスホジエステラーゼ4(PDE4)と呼ばれる成分の体内産生を増やし、体の炎症反応を低下させます。
  4. 局所カルシニューリン阻害剤| 体の防御を強化するよう免疫細胞に指示する伝達物質の生成を抑制します。
  5. その他の局所治療薬| 抗生物質や薬用保湿剤など

1番以外は、非ステロイド剤です。

研究者は、どの薬剤が患者にとって効果的な結果をもたらすかを次の指標に照らして調べています。

  1. 生活の質の向上
  2. 湿疹の重症度
  3. かゆみ
  4. 睡眠障害
  5. 再発予防効果
  6. 重篤な副作用が少ない
  7. 重篤な副作用により使用が中止された報告がない

この研究による総合優勝者は、非ステロイド剤が2剤とステロイド剤が2剤の次の4剤でした。

  1. ピメクロリムス(エリデル)・・・7つの評価項目のうち6項目で改善を示し、睡眠障害と湿疹の再発予防効果が最も優れていました。
  2. 高用量タクロリムス(プロトピック)0.1%・・・評価項目の5項目で改善を示し、かゆみと炎症の軽減が最も優れていました。

評価項目の4~6項目で改善を示し、かゆみ、炎症、重篤な副作用の軽減が最も優れていました。

  1. フルオシノロン・アセトニド(シナラークリーム 0.025%)
  2. トリアムシノロン・アセトニド(ケナログクリーム/軟膏0.1%)

この結果を踏まえ、ハーバード大学付属のブリガム・アンド・ウィメンズ病院で湿疹患者の治療を行う皮膚科医のコニー・シー医師は次の様に述べています。

「最も強力なステロイド剤は、
湿疹の重症度を軽減するのに最も効果的である印象を与えます。

でも、ステロイドの長期使用によって起こる
薄毛のリスクなどを最小限に抑えるためには、
非ステロイド剤や中度のステロイド剤に切り替える
ことが検討に値します。」

症状や部位にもよるとは思いますが、ステロイド剤と同じくらいかそれ以上に効果のある非ステロイド剤があるということは安心ですね。

この研究では、薬用クリームを1日に2回使用しても、1日に1回しか使用しなくても、ほとんど効果に違いがなかったことを報告しています。

「従来の指導は、1日2回です。

それが1日1回でいいのなら、使いやすくなりますし、
耐性を発生させることなく治療を継続できるようになります。」

と、シー先生はおっしゃっています。

特に、小さなお子さんの場合には、1日に塗る回数が1回減るだけでも、本人にとってもケアをする保護者にとっても心の負担が少なくなるのではないでしょうか。

アトピー性皮膚炎の症状の改善に最も効果が低かったのは、抗生物質の外用薬でした。

(ソフィアウッズの独り言:抗生物質はバクテリアにしか効かないので、アトピー性皮膚炎はバクテリア感染症ではないということの再確認ですね・・)

ルーマニアの郡立救急臨床病院の聖アポストール・アンドレイ病院(County Emergency Clinical Hospital Sf. Apostol Andrei)の医師らは、軽症~中等症のアトピー性皮膚炎の小児患者(6カ月~12歳)42名を対象に、XG-PPクリーム製剤の有効性と忍容性をヒドロコルチゾン軟膏(ステロイド剤)と比較する多施設前向き試験を実施しました。

どちらかのクリームを1日2回、14日間、塗布する治療を行っています。

XG-PPクリーム製剤は、次の食品由来成分から造られています。

  • タマリンド(マメ科植物)の種子由来の多糖類キシログルカン(XG)・・・米国食品医薬品局(FDA)が食品添加物として承認している成分で、創傷治癒作用が有ることが証明されています。
  • エンドウ豆タンパク質(PP)・・・炎症とバクテリアの増殖を抑制する作用があると考えられています。

なお、成人のアトピー性皮膚炎患者を対象にしたXG-PP製剤を用いた二重盲検ランダム化比較試験では、使用開始後8日後にプラセボ(偽薬)と比べて重症度が有意に改善することが示されています。

研究者は次のように結論づけています。

「XG-PPクリームの有効性は、ヒドロコルチゾン軟膏と同等で、
ステロイドを減量できる
安全かつ有効な代替療法になりうることが示された。」

できるだけ天然素材のものでと考えている方にとっては朗報になるかもしれません。

シー先生は次のようにおっしゃっています。

同じ治療法に対する反応はひとりひとり異なるため、
参加者に効果があったことが、あなたにも効果があるとは限りません。

治療法を処方する際には、
年齢、発症している皮膚の場所、湿疹の重症度、
潜在的な副作用など、考慮すべき要素が数多くあります。」

そして、次のようにも述べています。

「もしある治療法があなたに効果を示しているのであれば、
重大な副作用がない限り、それを続けてください。

もし現在の治療法が上手くいっていない場合には、
あなたが試してみたい別の薬用クリームや軟膏について
医師または皮膚科医に相談してください。」

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

ヘルスコーチとして、アトピー性皮膚炎のためによる眠れないクライアントさんやそのお子さんのお話をお伺いすることが多いので、今回の情報が少しでもお役に立てるのなら嬉しいです。

シー先生がおっしゃるように今回の研究結果が、あなたやあなたの大切な人にとって効果があるものかどうかは分かりません。でも、医学も科学も化学も日々進化していることを考えたら、もし少しでもご関心あれば、お医者様にご相談してみてもよいのではないかと思います。

そして、どんな薬用クリームを使っても使わなくても、私たちは毎日1日3食、食べます。だから、その食事が体内の炎症の改善や免疫機能の正常化に役に立つものであることが理想的です。

豆の成分から造られた薬用クリームにステロイド剤と同等の効果があるのなら、お豆をたくさん食べることも助けになるのではないでしょうか。もちろん、お豆は医薬品ではありませんから、薬用クリームを塗るような即効性を期待することはできません。また、大豆にアレルギーをもっている人も少なくありません。

ただ、あなたは食べたものでできています。

あなたの炎症も免疫細胞もあなたが食べたものから作られます。外側からケアするだけでなく、内側からのケアも忘れないでくださいね。

ちなみに、JAK阻害剤と同様の作用が確認されているナチュラルレメディについては『神経障害性掻痒』をご確認ください。また、皮膚炎の予防改善に良い食事については『慢性的なお肌トラブルの原因は〇〇〇〇?』、『クロレラ』、『肌荒れの予防と改善』もご参照いただければ嬉しいです。

そして、もしおひとりで取り組むことに不安や難しさを感じるのでしたら、ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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新学期は、3月と9月です。講座でお会いしましょう。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング