バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
季節性アレルギーを解消しました
季節性のアレルギーといえば、花粉症。
ですが、花粉症に限らずアレルギー性の鼻炎や目のかゆみがあると辛いですね。
私は長い間、様々なアレルギーに悩まされてきました。しかし、2013年から1年間、IIN(米国ニューヨークにある世界最大のヘルスコーチ養成学校)で学んだ統合食養学のアプローチを実践し、公認ヘルスコーチとなった2014年2月、私は、自分のアレルギーについて次のように書いています。
「食事を変えていくうちに、次第にアレルギー症状が出なくなっています。
2014年2月
花粉症は、まだありますが、
でも、薬を飲まなくても過ごせるくらいまでになりました。」
また、次のようにも書いています。
「私のアレルギーが改善したのは、腸内の環境をリセットしてからだと思います。
根本的なアレルギーの解消には、
腸との良い関係を築きなおすことが大切ですから、
長期プロジェクトとして気長に取り組むことが大切です。」
そして、このブログの内容を前回更新した2020年には、次のように書いています。
「2020年2月現在の私にアレルギーは一切ありません(イエーィ!)」
さて、腸内環境を整える以外に私がいったい何をしたのか?は、ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースの中で詳しくお伝えします。
ここでは、花粉症などの季節性アレルギーを治すという観点からではなく(それは講座で、笑)、科学的な研究で、アレルギー症状を緩和/改善すると報告されている食品やハーブについてお伝えします。
なお、統合食養学はミクロ栄養素で栄養を摂ることを勧めません。今回は季節性アレルギー症状の改善に効くことが報告されている食品成分についてお伝えしますが、サプリメントからではなく、ホールフードを食べることをお勧めします。そのため、そうした成分を豊富に含んでいる食品も併せてお伝えします。
なお、裏付けとなる研究論文は、最後に参考文献として一覧にしています。
ケルセチン
これらの食品には、ケルセチンと呼ばれるポリフェノールが豊富に含まれています。ケルセチンは、天然の抗ヒスタミン剤です。
アレルギー反応は、ヒスタミンと呼ばれる炎症性物質が体内で放出されることで起こります。ケルセチンが、そのヒスタミンを放出するマスト細胞を鎮静化させ、アレルギー症状を軽くすることが、多くの研究によって示されています。
また、ケルセチンが、抗ヒスタミン剤のクロモリンと同程度にヒスタミン放出を抑制したことが報告されています。それだけでなく、クロモリンは、アレルギー症状が起きた後でのみヒスタミンを抑制できるものの、ケルセチンは、アレルギー症状が起きる前に予防薬として働くことが示されています。
つまり、ケルセチンは、アレルギー症状がでないようにもしてくれるということです。
ただし、ケルセチンは、一部の人に頭痛を引き起こす可能性があることが判明している成分です。多ければ多いほど良いわけではありませんから、サプリメントからではなく、食品から摂ることをお勧めします。
なお、上の画像を作成するにあたり、厚生労働省の食品成分表にケルセチンの登録がないため、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構が2015年に発表した、日本人が日常的に口にする食品の中でケルセチンを多く含む夏と冬の食品リストと、海外の研究者によって調査された複数の研究論文を用いています。
ケルセチンの抽出に用いられた方法が研究ごとに異なることから、単位は揃えましたが、数値(ケルセチン量)には、ある程度の誤差や幅があることをご承知おきください。なお、数値は全て「生」の食材からの抽出量です。
国産の食品のケルセチン量
農業・食品産業技術総合研究機構が調べた国産の食品だけに限定して一覧にしたのが下の表です。
ざっくりとした私の印象では、夏に収穫される食品にケルセチンが多く含まれている傾向があるように思いました。
ブロッコリー
ブロッコリーの旬は冬なので、ビタミンやミネラルは冬のブロッコリーに多いのですが、ケルセチンに関しては、夏にハウス栽培されたブロッコリーの方が冬の3倍も含まれているということにとても驚きました。
玉ねぎ
夏に収穫したものを冬まで保存しておくと、ケルセチン量が多くなるとのことです。
りんご
りんごは、皮に多くのケルセチンが含まれていますので、皮ごと食べることをお勧めします。りんごの詳しい機能については『りんご』をご参照ください。
なお、ケルセチンを多く含む食品と含まない食品についても『目のかゆみ』に詳しく掲載していますので、そちらをご確認ください。
日本人の主なケルセチン摂取源
研究機構は、実際に私たち日本人が、どの食材からケルセチンを主に摂取しているかについても、北海道の住民を対象に調査を行っていました。
このグラフを見ると、ケルセチンを多く含む玉ねぎやアスパラガスが上位に来ているのは予想通りですが、緑茶が上位に来ていることが意外です。何気に飲んでいる緑茶が、私たちのケルセチンの摂取源になっていたんですね。
目のかゆみが気になる人は、ペットボトルの緑茶ではなく、ちゃんと煎茶を自分で注いで毎日飲むようにするだけでも違いが表れてくるかもしれません。
ケルセチンは、サプリメントとしても販売されています。
でも、ヘルスコーチとしては、ケルセチンを豊富に含む食品を積極的に食べて欲しいと思います。もちろん、食品は薬ではありませんから、食べたら直ぐに目のかゆみが無くなるなんてことはありません。でも、日々の食事の中に多く取り入れることで、次第に自前でアレルギー反応に負けない体を作っていけると考えます。
ビタミンC
体内でビタミンCが不足すると、アレルギー発症の確率を高めることが知られています。また、ビタミンCは、アレルギー症状を短期化するよう働きます。
1日に500mg以上のビタミンCがアレルギー症状の改善に良いという報告があります。ビタミンCの詳しい機能については『ビタミンC』をご参照ください。
ブロッコリー
ブロッコリーは、抗ヒスタミン作用をもつ2種類の成分、ケルセチンとビタミンCが豊富ですから、とてもお勧めです。
苺は要注意
苺にもたくさんのビタミンCが含まれていますが、苺はヒスタミンの放出を促すと考えられているため、アレルギー症状の緩和のためにはお勧めしません。
ビタミンE
ビタミンEは、マスト細胞によるヒスタミンの放出を阻害します。そして、細胞へのカルシウム(Ca2+)の取り込みを増加させて、血管壁の酸化を防ぐ作用をもっています。詳しいビタミンEの機能については『ビタミンE』をご確認ください。
ビタミンEは、豆やナッツ、シーズ(種)の油に多く含まれています。そのため、ナッツやシーズをそのまま食べることでも効果があります。さまざまなナッツの栄養価や個性については『ナッツ』をシーズについては『シーズ』をご参照ください。
フルーツ
また、フルーツにもビタミンEを多く含むものがあります。
ビタミンCとEの両方を含むフルーツ
ビタミンCとEを両方とも豊富に含んでいる、アレルギー症状の改善にとって非常に効率の良いフルーツです。しかもベリー類には、一般的にケルセチンも豊富です。
ミネラル
日本人の男性275名、女性977名を対象に、花粉症の人とそうでない人達の髪の毛に含まれているミネラルを比較した研究がありました。
花粉症でない人と比較して、次のことが明らかにされています。
- 花粉症の男性は鉄分が有意に少ない
- 花粉症の女性ではカルシウムとクロムが有意に少なく、セレンが多い
それぞれのミネラルを豊富に含む食品の一覧表を下に掲載します。
なお、鉄分は非ヘム鉄を含む食品のみを掲載しています。なぜなら、ヘム鉄は動物性食品に多く含まれており、動物性脂肪によってアレルギー症状が悪化する可能性が指摘されているためです。
こうしてみると、この3つのミネラルを共通して豊富に持っている食品は、ひじきですね。
男性も女性も、季節性アレルギー症状が出る季節の数か月前から、ひじきを積極的に食べることで、症状の予防や改善が期待できるかもしれません。
もちろん、ひじきに限らず、花粉症の男性は鉄分の多い食品を、花粉症の女性はカルシウムとクロムが多い食品を積極的に食べると予防あるいは症状の緩和が期待できるかもしれません。
そして、くれぐれもサプリメントで摂ろうなんて考えないでくださいね。3つのミネラルの詳しい機能とサプリメントで摂ることの危険性について『鉄分』『カルシウム』『クロム』をご参照ください。
オメガ3は効果なし
オメガ3不飽和脂肪酸が季節性アレルギーなどの症状の緩和に良いことを報告している研究論文をPub Med で見つけることはできませんでした。
Pub Med で見つけた論文の全てが、アレルギー症状とオメガ3との間には、何の関係性も発見できなかったと報告しています。
アーユルヴェーダのハーブ薬
アーユルヴェーダ(インド伝統医療)で季節性アレルギー症状の改善に用いられてきたハーブなどの効果を二重盲検ランダム化臨床試験によって証明したことが報告されていました。
西洋ふき(バターバー)
西洋ふき(バターバー)が季節性のアレルギー症状の改善に最も効果が高いことが示されています。
ただし、バターバーには、肝毒性があるとして2012年に英国医薬品庁が自主回収等の措置を講じています。それを受け、厚生労働省医薬食品局食品安全部も、摂取を控えるよう注意喚起をしていますので、安全性が確認されるまで食することは控えたほうが安心です。
アレル 7
アレル7は、アーユルヴェーダ(インド伝統医療)でアレルギー症状の緩和のために用いられる7つのハーブの混合剤です。
トリファラ・・・7つのハーブのうち3つはトリファラと呼ばれるアーユルヴェーダの別のハーブ混合薬です。トリファラの詳しい機能については『トリファラ』をご確認ください。
ヒハツ・・・日本でも香辛料として購入できます。
グドゥッチ
これもアーユルヴェーダのハーブです。
えごま、胡椒
えごま、胡椒、生姜は、比較的どこでも購入しやすい食品ですね。
生姜
生姜は、ヒスタミンを阻害して、サイトカイン(炎症性物質)の量を適切に保ち、免疫機能にとって良い働きをすることが報告されています。
生姜の抽出液500mgを摂取するグループとロラタジン10mgを摂取するグループに分け、それぞれ6週間摂取した後の症状の改善度を比較した結果、改善度合いが同程度であったことが報告されています。
つまり、生姜がクラリチン(抗ヒスタミン剤、主成分ロラタジン)と同程度にアレルギー性鼻炎の症状を改善できることが示されたのです。
更に、生姜の抽出液を摂取したグループでは、抗ヒスタミン剤特有の眠気や倦怠感や便秘といった副作用が起こらなかったことから、生姜は、クラリチンよりも優れた抗ヒスタミン食品であると結論づけられています。
詳しい生姜の機能については『生姜』をご覧くださいね。
東洋医学のアレルギー
上記したアーユルヴェーダ薬の研究の中では、中医学(日本の漢方の源)に用いられる生薬にも効果が認められたことが記載されています。
そのため、東洋医学における季節性アレルギーについて、ここからお伝えします。
免疫機能は「正気」
東洋医学における体の免疫機能は「正気」です。アレルゲンやウィルスや菌(バクテリア)など、外部から侵入して健康を損なうものを「外邪(がいじゃ)」と呼びます。
「正気」は「外邪」と戦いつづけています。
「正気」が勝っている状態が「健康」です。「外邪」が勝っている状態が「病気」です。
「正気」が弱い時、つまり、健康が損なわれている時に、「外邪」となるアレルゲンと接することで、アレルギー症状が起きると考えられています。
小青竜湯
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、季節性アレルギー症状(特に、鼻炎)の緩和に処方されることが多い、どの体質にも良いとされる漢方薬のひとつです。
次の8つの生薬がブレンドされています。
- 麻黄(まおう)
- 芍薬(しゃくやく)
- 乾姜(かんきょう)
- 甘草(かんぞう)
- 桂皮(けいひ)
- 細辛(さいしん)
- 五味子(ごみし)
- 半夏(はんげ)
この中で、私たちが食品として入手可能なのは、乾姜と桂皮ですね。乾姜は文字通り生姜を乾燥させたものです(詳しいキッチンでの作り方は、セルフドクターコースでお伝えしています。)桂皮はシナモンです。また、芍薬や甘草はハーブとして購入できるほか、様々な加工食品に香料として用いられています。
ただ漢方薬の薬効は、生薬同士のシナジーにあるとされていますので、個別に食べて同じ効果が得られるかは分りませんが、生姜は、アーユルヴェーダでも薬の成分として用いられていることを考えると、食べて悪いことはありませんね。
東洋医学による薬膳
アレルギー性鼻炎
季節性のアレルギー症状が主に鼻に表れる人は、体質によりますが、生姜やネギ類、あるいは、ミントや柑橘類などが症状の改善に役に立つと考えられています。
生姜は、アーユルヴェーダのハーブ薬の中にも配合されている食品ですね。また、玉ねぎにはケルセチンが豊富ですし、柑橘類にはビタミンCが豊富です。科学的にも裏付けられそうですね。
アレルギー性の目のかゆみ
季節性のアレルギー症状が主に目に表れる人には、いくつかのハーブ茶が良いとされています。
- へちま茶
- オオバコ茶
- どくだみ茶
- はぶ茶
いくつか試しながら、お口に合うもの、あなたのバイオ個性に合うものを見つけてくださいね。
なお、季節性のアレルギーによる目のかゆみの解消法については『目のかゆみ』(2024年2月公開予定)で詳しくお伝えしていますので、併せてご確認ください。
目と鼻の両方に効く食品
芋類、豆類、甜茶などが、体質によらず、両方の症状の改善に効くと言われています。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
今回は、かなりたくさんの情報をお伝えしましたが、私の印象では、次の食品が総合的に季節性アレルギーの救世主になりそうだと感じました。
- ブロッコリー
- 玉ねぎ
- ベリー類
- 生姜
- ひじき
繰り返しになりますが、これらはあくまでも食品です。薬ではありませんから、一口食べたら症状が治まるというものではありません。毎日、適量食べ続けることで、アレルゲンに負けない体を作ることができるものです。
ぜひ、今年は、薬で一時的に季節をやり過ごすのではなく、根本的な体づくりに着手していただけたら嬉しいです。
なお、『風邪とアレルギーの見分け方とアレルギー症状を楽にしてくれる食品』もご参照ください。
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参考文献:
- “Quercetin is more effective than cromolyn in blocking human mast cell cytokine release and inhibits contact dermatitis and photosensitivity in humans”, Zuyi Weng, Bodi Zhang, Shahrzad Asadi, Nikolaos Sismanopoulos, Alan Butcher, Xueyan Fu, Alexandra Katsarou-Katsari, Christina Antoniou, Theoharis C Theoharides, PLoS One, 2012;7(3):e33805. doi: 10.1371/journal.pone.0033805. Epub 2012 Mar 28, PMID: 22470478 PMCID: PMC3314669
- “Quercetin with the potential effect on allergic diseases”, Morteza Jafarinia, Mahnaz Sadat Hosseini, Neda Kasiri, Niloofar Fazel, Farshid Fathi, Mazdak Ganjalikhani Hakemi, Nahid Eskandari, Review Allergy Asthma Clin Immunol, 2020 May 14;16:36. doi: 10.1186/s13223-020-00434-0. eCollection 2020, PMID: 32467711 PMCID: PMC7227109
- “Vitamin C depletion is associated with alterations in blood histamine and plasma free carnitine in adults”, C S Johnston, R E Solomon, C Corte, J Am Coll Nutr, 1996 Dec;15(6):586-91. doi: 10.1080/07315724.1996.10718634, PMID: 8951736
- “Different signals induce mast cell inflammatory activity: inhibitory effect of Vitamin E”, L Tettamanti, Al Caraffa, F Mastrangelo, G Ronconi, S Kritas, I Frydas, P Conti, J Biol Regul Homeost Agents, 2018 Jan-Feb;32(1):13-19, PMID: 29504360
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- “Anti-inflammatory activities of Aller-7, a novel polyherbal formulation for allergic rhinitis”, N Pratibha, V S Saxena, A Amit, P D’Souza, M Bagchi, D Bagchi, Int J Tissue React, 2004;26(1-2):43-51, PMID: 15573692
- “Ginger extract versus Loratadine in the treatment of allergic rhinitis: a randomized controlled trial”, Rodsarin Yamprasert, Waipoj Chanvimalueng, Nichamon Mukkasombut, Arunporn Itharat, Clinical Trial BMC Complement Med Ther, 2020 Apr 20;20(1):119. doi: 10.1186/s12906-020-2875-z, PMID: 32312261 PMCID: PMC7171779
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- 「赤ワインで頭痛が生じる人がいるのはなぜ?」、メディカルトリビューン、2023年12月4日
- 「バターバー(西洋フキ)を含む食品の摂取に関する注意喚起についての対応」、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室、平成24年2月8日
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング