バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。
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目次
ナツメグは世界4大スパイス
ナツメグは、コショウ、シナモン、クローブと共に世界4大スパイスのひとつと言われています。
肉料理と相性の良い甘い香りのスパイスですが、米国ではサンクスギビングのパンプキンパイやクリスマスのエッグノックや眠れない夜のホットココア/ミルクのトッピングとしてよく用いられています。
日本では、粉末のナツメグが一般的に売られていますが、お勧めはホールのナツメグです。
使う時にすりおろして使うことで、ナツメグの濃厚なフレーバーを楽しめます。
ナツメグのトリビア
ナツメグの世界一の生産国はインドネシアです。
ナツメグは、ナッツの様に見えまずが、実は、フルーツの種なんです。これを乾燥させてすりおろしてスパイスとして使います。
ナツメグの種の周囲には、赤いレースのようなものが巻き付いています。「メース」と呼ばれるもので、これもスパイスとして使われます。ナツメグよりも上品な風味があります。
ナツメグの薬効成分
ナツメグは、和名を肉荳蔲(にくずく)といい、生薬として胃痙攣、下痢、リウマチ関節炎の治療等に古くから用いられてきました。
ナツメグには薬効をもった様々な香り成分が含まれています。
ピネン、オイゲノール(ユージノール)、ミリスチシンなどです。
ピネン
ヒノキやスギなどに含まれている防虫効果のある香り成分です。神経の興奮を鎮静する作用があります。
オイゲノール(ユージノール)
抗菌作用、殺菌作用、麻酔作用があること、胃腸の働きを助ける作用があること等が知られており、医薬品成分として活用されています。クローブやバジルにも含まれています。
ミリスチシン
気分を良くしてくれる作用があることが知られています。穏やかな鎮静作用をもたらします。その他、抗コリン作動作用、抗菌作用、肝機能保護作用があることが知られています。
ミリスチシンは、パセリ、アニス、シナモン、クローブ、フェンネル、パセリ、スターアニス、バジルにも含まれています。でも、ナツメグほどには、多く含まれていません。
ナツメグの機能
様々なものと同じ様に、ナツメグにも長所と短所があります。短所については後で説明しますが、ナツメグを摂り過ぎさえしなければ問題は起こりません。
高血圧予防改善
ナツメグには、血圧の調節に役立つミネラル、例えば、カリウム、マグネシウム、亜鉛、銅、リンが豊富に含まれています。
FDA(米国食品医薬品局)の定義では、ある栄養の1日の必要量を100g中に10%以上含んでいる場合には、その栄養素を「豊富」に含んでいると表現できるとしています。
ナツメグ100g中には、1日に必要なカリウム量の約21.5%、マグネシウム量の約76.6%、リンの約26.3%、 亜鉛の約18.6%、そして銅の約2倍が含まれています。わお!
それぞれのミネラルの詳しい機能については、『カリウム』、『マグネシウム』、『亜鉛』、『銅』をご確認ください。
骨粗鬆症予防
ナツメグには骨の形成に必要なミネラルも豊富です。カルシウム、マグネシウム、リン、マンガンなどです。
カルシウムは1日に必要な量の約29.1%も含まれています。マンガンは76.6%にもなります。
マンガンは、骨の代謝に関わっているミネラルです。
カルシウムの詳しい機能については『カルシウム』をご確認ください。
貧血予防
貧血予防にとって必要なミネラルも豊富です。鉄分と銅です。
鉄分は1日に必要な量の約32.6%も含まれています。
鉄分の詳しい機能については『鉄分』をご確認ください。
睡眠導入
上記したミネラルは、神経伝達物質でもあります。私達の神経を落ち着かせて安らかな眠りをもたらしてくれます。また、香り成分ピネンやミリスチシンの鎮静作用によっても緊張が和らぎ、心地よい眠りを得ることができます。
胃腸の不調の改善
ナツメグに含まれている香り成分オイゲノールは、消化管に好い刺激を与えます。腹部膨満、下痢、消化不良、便秘等に役立つことが判明しています。
ナツメグは、低FODMAPs食品でもあります。
お腹の調子が悪い時には、ナツメグをひとつまみ、カモミールティやトゥルシーティ、ジンジャーティなどに加えると効果が高まるかもしれませんよ。
偏頭痛予防/美肌サポート
ナツメグには、ビタミンB2が豊富に含まれています。ビタミンB2には偏頭痛を改善する効果があることが判明している他、タンパク質の合成に関与しているため、お肌や髪の健康にとって重要なビタミンです。
ナツメグ100g中には、1日に必要なビタミンB2の約10%が含まれています。
ビタミンB2の詳しい機能については『ビタミンB2』をご確認ください。
糖尿病予防
ナツメグにはナイアシンも豊富に含まれています。100g中に1日に必要な量の15.8%も含まれています。
ナイアシンは脂質/コレステロールの代謝に関わっているだけでなく、インスリンの合成にも関与しているビタミンです。
二日酔い予防
ナツメグに豊富に含まれているナイアシンには、アルコールによって体内で発生するアセトアルデヒドの分解をする働きもあります。
お酒を飲む際には、ナツメグをスパイスに使ったおつまみと作ると効果的ですね。
アレルギー症状の予防/緩和
アレルギー疾患で主要な役割を果たしていることが判っているCCR3と呼ばれるケモカインの働きを100 μg/mLのミリスチシンが阻害したことが観察されています。
ケモカインは、体内で炎症が起きている場所で大量に発生して、血管内にいる免疫細胞を炎症した組織へ向かわせる役割を持っています。
抗炎症作用/鎮痛作用
ミリスチシンには、カルシウム経路を介して、一酸化窒素、サイトカイン(炎症性物質)、ケモカイン、そして、マクロファージ(免疫貪食細胞)の成長因子の阻害に関連して、抗炎症作用があることが報告されています。
また、ナツメグ自体の抗炎症作用についても様々な研究が行われています。特に、ナツメグオイルを用いた研究がほとんどです。しかし、ナツメグオイルは外用として塗布しても鎮痛効果がないことが報告されています。あくまでもお料理に使うのが良さそうです。
がん予防効果への期待
ナツメグから、次の4種類のリグナンを検出し、8種類のがん細胞株への細胞毒性活性が調査されています。
- メソジヒドログアイアレチン酸 (DHGA)
- マセリグナン
- フラグランシンA2
- ネクタンドリンB
試験管試験では、ナツメグのリグナンの内、DHGAが、H358(ヒト細気管支肺胞上皮細胞) に対して強力な細胞毒性を示したこと、また、マウスを用いた動物実験でもDHGAがH358に対して抗腫瘍活性を示したことが報告されています。
過剰摂取による脳への作用と影響
ナツメグには、良い面だけでなく悪い面もあります。
ナツメグに含まれている数種類のリグナンが血液脳関門 (BBB)を通過できることが判明しています。特に、ナツメグに含まれているミリスチシンとエリミシンは天然の精神活性剤としての作用をもっています。
適度に摂れば、ナツメグに含まれているこうした成分やミネラルは、神経鎮静効果を発揮してくれます。問題は過剰に摂取した場合です。
交感神経を刺激する
ミリスチシンは体内でノルアドレナリンに変換され、交感神経を刺激するよう作用します。そのため、大量に摂り過ぎると、心拍数が上昇し、動悸を起こし、血圧を上げます。
抗コリン作用がある
ミリスチシンには、抗コリン作用があります。
コリン(ホスファチジルコリン)は、神経伝達物質アセチルコリンの材料です。コリンを阻害する(抗コリン作用がある)ということは、ミリスチシンがアセチルコリンの作用を阻害して、副交感神経が一時的に機能しなくなることを意味します。
詳しいコリンの機能については『ホスファチジルコリン』をご確認ください。
ナツメグの過剰摂取の症状
ナツメグを過剰に摂取すると、次のような症状(副作用)が起こります。
- 口が乾き
- 目がかすみ
- めまい
- 錯乱
- 幻覚
- 不整脈
- 吐き気/嘔吐
など
一時的な記憶障害が起こることもあります。死に至ることもあります。
特に、抗うつ剤などの向精神病薬と一緒にナツメグを大量に摂取すると非常に危険な状態になります。
過剰摂取の症状は直ぐに起きないから怖い
ナツメグを大量に摂取しても直ぐに上記した様な症状は起きません。数時間後にしか現れません。
ナツメグが消化されミリスチシンが吸収され、血流にのって脳に達し、それが作用するまでに数時間かかるためです。そのため、知らぬ間に大量摂取してしまうことも可能です。
またこのことが、救急搬送された病院での医師の診断を難しくします。食中毒にしては時間が経ちすぎているため原因の特定が難しく、結果、適切な治療法が決定され施されるまでに時間がかかってしまうのです。その間に死に至る可能性もあります。
ナツメグの適切な量
5g以上で上記した様な副作用が現れると言われています。
また、ナツメグ2個分を一度に摂取すると死に至ると言われています。心臓血管系に課題を持っている人は、小さじ1~2杯(2g~4g)で死に至る可能性があります。
しかし、お料理で使用する「ひとつまみ」の量は小さじ4分の1以下(約0.2g~0.5g)ですから、ナツメグをお料理に使うことを心配する必要はまったくありません。
摂取量についての補足
ナツメグの良い作用を紹介した上の項で、ナツメグ100gに含まれている各栄養素の量を記載しました。それは、ナツメグがいかに栄養価に優れた食品かを示すために記載したものですから、ナツメグで1日に必要なミネラルやビタミンを摂取しようなどと考えないでくださいね。
100gも一度に食べれば確実に死にます。
ナツメグはあくまでもスパイスです。メインの食材でもサプリメントでもありません。
ちなみに、上の赤いお花はナツメグの花です。
ナツメグを使ったレシピ
今までソフィアウッズ・インスティテュートが紹介した簡単レシピの中で、ナツメグを使用しているものをこちらにリンクしておきます。
- 『スパイシーチャイラテ』
- 『トマトソースをお肉を使わずにミートソースに変身させる』
- 『かぼちゃと栗の洋風煮物』
- 『キッチンを薬局に|基本の15ハーブの機能と使い方』
- 『ドイツ伝統のクリスマス菓子エリーゼンレープクーヘンを作ってみた』
その他、ナツメグは、クランベリーソース、ロールキャベツ、ハンバーグ、パンプキンパイなどにも使用されています。
ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス
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参考文献
- “Neolignans from the Arils of Myristica fragrans as Potent Antagonists of CC Chemokine Receptor 3”, Toshio Morikawa, Ikuko Hachiman, Kazuhiko Matsuo, Eriko Nishida, Kiyofumi Ninomiya, Takao Hayakawa, Osamu Yoshie 1, Osamu Muraoka, Takashi Nakayama, J Nat Prod, 2016 Aug 26;79(8):2005-13. doi: 10.1021/acs.jnatprod.6b00262. Epub 2016 Jul 15, PMID: 27419473
- 「ケモカイン」、薬学用語解説、公益社団法人 日本薬学会
- “Anti-inflammatory effect of myristicin on RAW 264.7 macrophages stimulated with polyinosinic-polycytidylic acid”, Ji Young Lee, Wansu Park, Molecules, 2011;16(8):7132-42. doi: 10.3390/molecules16087132, PMID: 21991618, PMCID: PMC6264243
- “Herbal medicinal products or preparations for neuropathic pain”, Adele Boyd, Chris Bleakley, Deirdre A Hurley, Chris Gill, Mary Hannon-Fletcher, Pamela Bell, Suzanne McDonough, Cochrane Database Syst Rev, 2019 Apr 2;4(4):CD010528. doi: 10.1002/14651858.CD010528.pub4, PMID: 30938843, PMCID: PMC6445324
- “The Blood-Brain Barrier Permeability of Lignans and Malabaricones from the Seeds of Myristica fragrans in the MDCK-pHaMDR Cell Monolayer Model”, Ni Wu, Wei Xu, Gui-Yun Cao, Yan-Fang Yang, Xin-Bao Yang, Xiu-Wei Yang, Molecules, 2016 Jan 22;21(2):134. doi: 10.3390/molecules21020134, PMID: 26805808, PMCID: PMC6274353
- “Cytotoxic and anti-tumor activities of lignans from the seeds of Vietnamese nutmeg Myristica fragrans”, Phuong Thien Thuong, Tran Manh Hung, Nguyen Minh Khoi, Hoang Thi My Nhung, Nguyen Thi Chinh, Nguyen Thi Quy, Tae Su Jang, Minkyun Na, Arch Pharm Res, 2014 Mar;37(3):399-403. doi: 10.1007/s12272-013-0185-4. Epub 2013 Jul 23, PMID: 23877238
ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング