更年期の女性の体の変化と対処法|減少するエストロゲンと増加する体内炎症に統合食養学的アプローチ

2022/11/24/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

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あなたが日常生活の中でできることはたくさんあります。

ホルモンが落ち着くのを待つ間、体が上手に変化に適応できるよう、そして増加する体内炎症を抑えられるよう、食事とライフスタイルを変化させていくことが大切になります。

1. 虹色に食べる

様々な美しい色の果物や野菜をたくさん食べましょう。

果物とお野菜は、抗炎症性物質を豊富に含んでいます。ヴィーガンになる必要はありませんが、野菜や果物中心の食事をすることは更年期を楽しく過ごすためにとても重要です。

2024年に発表された過去5年間のゲノムワイド関連研究のデータを主に解析した研究によって、ファイトケミカル(植物性化学物質)を多く含む食事をすることが更年期症状の改善に効果があることが示されています。

研究者は、中でも、アブラナ科の野菜が非常に優秀であったと述べています。

また、東京科学大学病院更年期外来が2025年に実施した包括的健康栄養教育プログラム(SHNEP)に登録した中高年女性545人を対象とした研究では、ファイトケミカル豊富な食品を多く食べているほど、血管運動神経症状が軽減されることを明らかにしています。

血管運動神経症状とは、血管の拡張や収縮を司る自律神経の機能が低下して起こる症状の総称で、更年期のホットフラッシュや動悸やめまいなどの原因のひとつと考えられているものです。

次のようなファイトケミカルを豊富に含むお野菜や果物を積極的に食べるようにしましょう。詳しい機能とそれぞれを多く含む食材について、以前、執筆した記事をリンクしましたので併せてご確認ください。

海藻類、キノコ類、根菜類には、更年期で低下する代謝を助けてくれるビタミンを多く含んでいます。

また、これらの食品には食物繊維が豊富です。

便秘は更年期の症状を悪化させてしまうので、便秘の改善は、更年期症状の改善にとって大切なことです。

こちらの記事もご参照ください。

大豆由来のイソフラボン(ダイゼイン)から腸内細菌によって造られる「S-エクオール」には、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン/ゴナドトロピン放出ホルモン)を分泌する脳の視床下部の能力を高めたり、エストロゲンの分解を促進する酵素の分泌を抑制する作用があります。

GnRHは、性ホルモンのラスボスのようなホルモンですから、これがちゃんと分泌されないと様々な性ホルモンが分泌されません。

そのため、女性ホルモンが減少して起こる更年期の症状の予防と改善のためには、大豆や大豆製品を積極的に食べましょう。

ただし、大豆からエクオールを産生する腸内細菌を持つ人は、人口の45%(2人にひとり弱)だと考えられています。

そのため、エクオールを産生する能力をもつビフィズス菌、ラクトコッカス菌、乳酸菌が豊富な発酵食品を積極的に食べる必要もあります。

東洋医学の陰陽説でも、更年期の女性は大豆食品を食べるなら発酵させてからが好ましいと考えます。この点において、科学的な見解と相違ありませんね。

詳しくは『東洋医学の大豆』と『大豆と乳がんの関係』もご参照ください。

3. 加工食品と肉類を避ける

体内炎症を起こすことが知られている食品には次のようなものがあります。

食品添加物は、スーパーやコンビニなどで販売されている加工食品に多く含まれているものです。特に、袋や箱に入っているものにはもれなく含まれています。

穀類は茶色いもの、例えば、玄米や全粒分を、甘味には白砂糖ではなく甜菜糖やブラウンシュガー、メープルシロップ、はちみつ、本みりんなどを使う必要があります。

そして、できるだけ自分で料理をすること、調味料に気を付けることで不要な添加物を体内に入れずに済みます。

4. 健康的な脂質を摂る

オメガ3多価不飽和脂肪酸であるDHAが脳の視床下部によるGnHRの分泌を直接的に増加させることが明らかにされています。

オメガ3オイルといえば、亜麻仁油を思い浮かべる人が多いと思います。でも、亜麻仁油に含まれているオメガ3は、αリノレン酸です。この植物性オメガ3は、一旦肝臓で、ヒトが使える状態に変換されなくてはなりません。そしてその変換効率はあまり高くはないのです。

オメガ3を体内に取り込むのに最も優秀な食品は、魚です。

マグロやサーモンやイワシなどには、DHAやEPA、つまり動物性のオメガ3が直接含まれています。そのため、ヒトの体内で直ぐに利用可能です。研究でもDHAがGnRHの分泌を増加させると報告していますから、魚を食べましょう。

エストロゲンよりも強力な抗酸化作用をもつカテコールエストロゲンというホルモンがあります。しかし、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)という酵素が増えると、カテコールエストロゲンは不活化されてしまいます。

エキストラ・ヴァージン・オリーブが、そのCOMTの作用を阻害し、カテコールエストロゲンの不活化を阻止することが報告されています。

ナッツとシーズには、ビタミンEが豊富に含まれています。

ビタミンEによって閉経後女性のホットフラッシュを改善することが示されています。

ビタミンEの抗酸化作用によって、体内炎症と酸化ストレスが軽減されるためではないかと考えられています。

ビタミンEの詳しい機能については『ビタミンE』をご確認ください。

また、ナッツ類には様々なミネラルが豊富に含まれています。特にマグネシウムはホルモンが体内で正常に働くことをサポートするミネラルです。

さまざまなナッツ類の詳しい個性については『ナッツ』をご参照ください。

ホルモンは健康的なコレステロールから造られます

コレステロールの材料となるのは、主に飽和脂肪酸(パルミチン酸)です。しかし、飽和脂肪酸は摂り過ぎると返って視床下部の働きを抑制してしまうことが指摘されていますので、多くなり過ぎない程度に、でも不足しない程度に、ほどよく食事に執り入れることが重要です。

飽和脂肪酸は、動物性脂肪、バター(乳脂肪)、ココナッツオイルなどに多く含まれています。

5. 貝類・甲殻類を採りいれる

これらの食品は、タウリンを多く含んでいます。

タウリンは肝機能を健康に保つ働きをし、代謝を高める作用をもっています。

また、ホルモンは肝臓でメチル化という装飾をされて初めて体内で機能できるようになります。そのため、肝機能を健康に保つこともホルモンが体内で適切に働くために重要です。

貝類、特に牡蠣は、東洋医学で更年期によるイライラに効くと考えられている食品です。

5. スパイスとハーブを活用する

スパイスの中には、抗炎症性作用をもっているものがたくさんあります。スパイスやハーブをお料理に頻繁に使用することをお勧めします。

ブラックコホーシュの根のお茶がホットフラッシュの改善に効くことは、WHOやドイツのコミッションEなどによって承認されています。

詳しくは、『ブラックコホーシュ』をご確認ください。

サフランが更年期のホットフラッシュの改善に有効であることが報告されています。

更年期でホットフラッシュの症状をもつ60名の女性を対象に、サフランのサプリメントを1日2回(1回15mgずつ)6週間の服用を続けたところ、偽薬を服用していたグループと比較し、次の改善が見られました。

  • ホットフラッシュの症状が有意に改善
  • 服用している期間が長くなるほど軽減

ただし、ホットフラッシュが起こる頻度は、2つのグループで大きな違いはなかったとのことです。

研究者は、サフランには副作用がないため、ホルモン充填療法を受けるよりも安全だと述べています。

なお、サフランの詳しい機能については『サフラン』をご確認ください。

東洋医学では、更年期の貧血の改善に、サフランが良いと考えられています。

東洋医学の薬膳では、紫蘇やミントが更年期におけるホットフラッシュや不眠に効くと考えられています。

ターメリックの主成分であるクルクミンには抗炎症作用があり、閉経後の女性のホットフラッシュを改善することが示されています。更年期症状が表れ始めた頃に、ターメリックを食事に加えることで、酸化ストレスを表す次の指標が改善すると期待されています。

  • 総抗酸化能
  • マロンジアルデヒド(MDA)・・脂質酸化を表す指標でタンパク質変性やDNA損傷を引き起こす可能性がある物質
  • 高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)

ターメリックの詳しい機能については『ターメリック』をご確認ください。

ターメリックは、ショウガ科の植物ですよ。

生姜にはエストロゲン調節作用があります。詳しい生姜の機能については『生姜』をご確認ください。

島月桃(しまげっとう)は、沖縄だけに自生しているショウガ科の植物です。東南アジアや南米で広く見られる月桃は「タイリン月桃/コロニア/パコヴァ」と呼ばれているもので異なる植物です。

島月桃は、葉、茎、花、実、種子など、様々な部分を食べることができますが、沖縄では、葉と花を香りづけやお茶などとして、食用として利用されている他、精油(芳香蒸留水)は化粧水として用いられているようです。

島月桃には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用などがあるとされています。

更年期症状との関係で調べてみると、「女性ホルモンバランスを整える」とするネット上の記述も見受けられましたが、Pub Med でそれを裏付ける研究を見つけることはできませんでした。

でも、島月桃はショウガ科の植物ですから、生姜と同様にエストロゲン調節作用があるのかもしれません。

一方で、うつ症状との関係を調べた研究があり、月桃の成分がドーパミン(快楽ホルモン)とノルアドレナリン(やる気のホルモン)の分泌を刺激することが報告されています。そのため、更年期に起こりやすい気分の落ち込みや無気力感の改善効果は期待できそうです。

ただし、セロトニン(幸せホルモン)やGABA(リラックスホルモン)の分泌には影響しなかったようです。

6. 東洋医学の薬膳を採りいれてみる

東洋医学には、ホルモンという概念はありません。

体内の「気・血・水」の循環をスムーズにすることによって、体内のホルモンを間接的にバランスするよう促すことを目的としています。

東洋医学の薬膳が更年期症状の改善に勧める食品の中で、まだ今回紹介していない次の食品も採り入れてみてはいかだでしょうか。

  • 血行不良・ムクミ|黒豆
  • のぼせ・不眠|百合根
  • 更年期の気鬱|山芋

7. 心を落ち着ける

心を落ち着けリラックスすることで、血液中の炎症性物質が減少することが判っています。

あなたの気持ちがリラックスして落ち着く行為ならなんでも構いません。

例えば、次のような活動はいかがでしょうか

更年期は、ちょうど子供が就職や進学などで家から巣立つ時期と重なることが多いため、まるでヒナ鳥が飛び立って空になった鳥の巣のような、空虚感が生じやす時期でもあります。

そうした空虚感から生じる無気力な心の状態を「エンプティ・ネスト(空の巣)症候群」と呼びます。

心に空いた穴を少しでも埋める何かを見つけることが大切になります。

もちろん、子供に替わるものなんて存在しません。だから、子供の代わりになるものを探すのではなく、一時しのぎでも、時間つぶしでも良いので、あなたの時間を埋める新しい趣味を見つけたり、仲の良いご友人達と旅行にでかけたりしてみましょう

最初は一時的な気分転換であっても、それが、日常化、習慣化すれば、気持ちの切り替えができる時間が少しずつ長くなっていきます。

それに、家の中でうつうつと過ごすよりも、思い切って、外に出てしまう方が、体も心もきっと軽くなります。

8. 運動する

定期的に運動をして、心拍数を高めることで、ストレスも体内の炎症性物質も減少することが判っています。ちょっとだけきついかなと感じる適度な運動を生活の中に取り入れてください。

西洋医学が薬以外で更年期の症状を改善するために勧めるアドバイスは、「血行の改善」です。ホルモンは血液にのって体中に届けられため、更年期で少なくなったホルモンを体のすみずみの細胞まで届けるためには、血行を良くすることが不可欠です。

加齢によって減少したホルモンの量を増やすことはできませんが、体内における循環を促すことはできます

  • 適度な運動(ウォーキングなど)
  • マッサージ
  • 入浴

などを習慣することで血行だけでなく、自律神経がバランスされ更年期による気鬱の改善にも効果があります。

血行が良くなれば冷えが緩和され、夜、よく眠れるようにもなります。お風呂上りのマッサージも効果的です。

適度な運動がストレス解消になることは、様々な研究によって報告されていますから、更年期によるイライラの改善にも役立ちます。

更に、東洋医学の陰陽道では、運動や活動は「陽」のエネルギーを持っていると考えます。更年期の女性の強く「陰」に傾いた体内エネルギーを中庸に導いてくれるはずです。

詳しくは、次の記事をご参照ください。

更年期になると睡眠の質が低下することを訴える女性が多くなります。

でも睡眠不足は、更年期の症状を悪化させます。

7~8時間の十分な睡眠をとっていると、満腹ホルモン(レプチン)と空腹ホルモン(グレリン)が正常に分泌されます。しかし、睡眠時間が4時間以下になると、空腹ホルモンのグレリンの分泌が73%も増加します。

エストロゲンの中で最も強い生理作用を持つ17β-エストラジオールは、食欲抑制作用ももっています。つまりエストロゲンが減少すると、グレリンの分泌が増えるのです。

そして、2024年に発表された過去5年間のゲノムワイド関連研究のデータを主に解析した研究は、更年期のグレリン(胃で分泌される空腹ホルモン)の上昇と、ホットフラッシュの発生率に正の相関関係があることを明らかにし、更年期の女性のメタボリスクが高いことの裏付けとなったと研究者は述べています。

エストロゲンの減少によって空腹ホルモンが増加し、その結果、ホットフラッシュとメタボが悪化するというメカニズムです。

女性ホルモンを増やすことはできなくても、十分な睡眠を確保することで空腹ホルモンの増加を抑制できるのですから、しっかりと眠ることで、メタボとホットフラッシュの発生リスクを減少させることができる可能性があります。

更年期の睡眠の質の改善については『タルトチェリー』をご参照ください。

10. 禁煙してお酒はほどほどに

眠れないことを理由に、40代になってから寝る前にお酒を飲む習慣をみにつける女性が増えるそうです。

しかし、アルコールは睡眠の質を低下させるだけで、改善してはくれません。

また、アルコールはがんリスクと関係していますから、ほどほどにした方が良いでしょう。

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ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

マインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースでは、食事やライフスタイルの対応の仕方だけでなく、家庭の外で働いている女性も多い現代ですから、職場編とご家庭編に分けて、ストレスを減らして心を守っていく具体的な方法についても教えています。

もちろん、男性の更年期についてもカバーしています。

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公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

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参考文献

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング