かぼちゃの驚くほど広範囲な健康効果|かぼちゃは絶対タネも食べた方がいい

2021/12/14/

バイオ個性で食べて、心と体をつなぎ、健康と幸せを手に入れるホリスティックな食事法をコーチングする、ソフィアウッズ・インスティテュート代表 公認統合食養ヘルスコーチ(CINHC)、公認国際ヘルスコーチ(CIHC)の森ちせです。

心と体をつなぐホリスティックな食事法について、
ニュースレター登録者限定のキャンペーン情報等も配信しています。
ご登録は、こちらから
もれなく統合食養学ホリスティック栄養学冊子が無料ダウンロードできます

冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない

日本では冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないと言われていますね。今年(2021年)の冬至は11月22日です。

アメリカでは10月31日ハロウィーンの時期からスパイスの効いたパンプキンパイを食べるようになります。その他にもかぼちゃを使った様々なお料理が11月~12月の食卓を飾ります。

私もスパイスの効いたパンプキンパイは大好きです。

かぼちゃの収穫の旬は夏・味の旬は秋・冬

でも、かぼちゃの旬は夏だってご存知でしたか?

かぼちゃは、夏に収穫される夏野菜なんです。南瓜と書くように瓜(ウリ、キュウリ)の仲間です。

でも収穫したばかりのかぼちゃは水分が多くてあまり美味しくありません。収穫後2-3か月保存して水分をほどよく乾燥させてから食べた方が美味しいので、秋~冬に多く出回るのです。

夏野菜なので、生で食べると私達の体を冷やす作用をもっています。もちろん、かぼちゃを生で食べる人もいないと思いますが、かぼちゃを煮たり、焼いたり、蒸したりして食べることは、様々な観点からも理にかなっているんです。

西洋かぼちゃと日本かぼちゃ

西洋かぼちゃとか日本かぼちゃとかという名称は、かぼちゃの品種のことかと思っていましたが、そうではないようです。(参考:『旬の食材百貨』)

西洋かぼちゃ

明治維新の後でアメリカ人からもたらされた、南アメリカ原産のかぼちゃの総称です。

表面が滑らかで、皮が白や黄色(コリンキー)やオレンジ色(ハロウィーン)のかぼちゃもこのグループに入ります。

日本かぼちゃ

室町時代にポルトガル人からカンボジア経由でもたらされたメキシコや中米原産のかぼちゃの総称です。

日本原産のかぼちゃという意味ではないことを知り驚きました。

バターナッツは、このグループに入ります。

植物学的にはかぼちゃはフルーツ

植物学の観点から、かぼちゃはフルーツなんです。

まぁ、フルーツでもお野菜でも、どちらのグループに属していたとしても、かぼちゃには、私達の心臓やDNAを保護する抗酸化栄養素が多く含まれています。

また、かぼちゃの栄養価は、その果肉だけでなく、種や種から採った油にもあります。その健康効果は驚くほど広範囲に及びます。今回は、ひとつひとつの効果と、それを裏付けるかぼちゃに含まれている豊富な栄養素についてお伝えします。

免疫力アップ

かぼちゃには、私達の免疫力をアップしてくれる様々な栄養素が豊富に含まれています。

ビタミンC

かぼちゃの果肉には、ビタミンCが豊富に含まれています。「豊富」というのはFDA(米国食品医薬品局)の定義に従い、可食部100g中に1日に必要とされる量の10%以上を含んでいる場合に使用できる言葉です。

しかもかぼちゃに含まれているビタミンCの量は、茹でてもあまり変わりません

例えば、日本かぼちゃには、1日に必要とする量の約19%(ゆでても変化なし)、西洋かぼちゃには約51%(ゆでても約38%)のビタミンCが含まれています。しかしかぼちゃの種には含まれていません

ビタミンCは、ご存知の通り、免疫力を高めてくれるビタミンですから、冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないと言った昔の人の言葉は嘘ではなかったということですね。(ビタミンCのその他の効果については『ビタミンC』をご確認ください。)

プロビタミンAカロテノイド

日本かぼちゃにも西洋かぼちゃにもビタミンA(レチノール)そのものは含まれていないのですが、プロビタミンAを豊富にもっています。

プロビタミンA(ビタミンA前駆物質)カロテノイドは、体内で、ビタミンAに変換されるカロテノイドのことです。

約50種類ほどあり、カロテンもそのひとつです。カロテンには、α-カロテンβ-カロテンなどがあり、β-カロテンはビタミンAへの変換効率が最も高いものです。

カロテノイドには多くの健康効果がありますが、免疫力の向上(粘膜保護作用)もそのひとつです。

プロビタミンAは、必要に応じてビタミンA(レチノール)に体内で変換されて利用されます。ビタミンA(レチノール)は、過剰摂取すると肝機能に障害を起こすものですが、カロテノイドはたくさん食べても必要な量しかビタミンAに変換されないので、心配はありません。

かぼちゃに含まれているプロビタミンAを全てビタミンAに変換した場合のレチノール当量でみると、日本かぼちゃには、1日の必要量の約15%、西洋かぼちゃにはなんと約70%も含まれています。

ビタミンA(レチノール)の詳しい機能については『ビタミンA』をご参照ください。カロテンについては、『カロテノイド』『β-カロテン』『α-カロテン』をご参照ください。

ビタミンB6

ビタミンB6は、免疫機能の調節に関与しているビタミンです。

かぼちゃの果肉と種の両方には、ビタミンB6だけでなく、他のビタミンB群も豊富に含まれていて、かぼちゃの種には、ビタミンB12以外の全てのビタミンB群が全て豊富に含まれています

ビタミンB群は、ビタミンAが十分にないと、上手く効果が発揮されないと言われているビタミンですが、かぼちゃには、両方豊富に含まれているのですから心配ありません。やっぱり自然食品を食べる方が効果的ですね。

日本かぼちゃには、1日に必要なビタミンB6の約13%、西洋かぼちゃには約20%が含まれていて、こちらも茹でてもほぼ変化ありません。種には約16%含まれています。

詳しいビタミンB6の作用については『ビタミンB6』をご覧ください。

ビタミンE(α-トコフェロール)

ビタミンEは抗酸化ビタミンです。

ビタミンEには8つの同族体が存在していますが、食品摂取基準には、α-トコフェロールの基準しか設けられていません。そのため、α-トコフェロールの量が十分かどうかについてしか述べられませんが、かぼちゃの果肉と種の両方にα-トコフェロールは豊富に含まれています

日本かぼちゃには、1日に必要なα-トコフェロールの約37%、西洋かぼちゃには約78%、種には約10%が含まれています。

サプリメントとして売られているビタミンEには、α-トコフェロールしか含まれていません。近年、α-トコフェロールのみをサプリメントで摂取することの危険性が報告されてきています。(詳しくは『ビタミンE』をご確認ください。)でも自然食品に含まれているビタミンEは、他の同族体も含んでいるので、抗酸化ビタミンとしての働きがちゃんと期待できます。

また、ビタミンEも、ビタミンAが十分にないと上手く効果が発揮されないと言われていますが、両方豊富に含んでいるかぼちゃを食べたら安心です。

セレン

セレンは、過酸化物質を分解する抗酸化物質グルタチオンの必須成分で、希少ミネラルのひとつです。ビタミンEと一緒になると、その抗酸化力は2倍になると考えられていて、また、ビタミンCと協働して免疫力を高める作用があると言われています。(詳しいセレンの作用については『セレン』をご参照ください。)

かぼちゃの果肉にはセレンは含まれていませんが、かぼちゃの種には1日に必要なセレンの約25%含まれています。一方で、かぼちゃの果肉には、種に含まれていないビタミンCが豊富です。

免疫力アップには、果肉も種も一緒に食べる方が効果的です。

スクワレン

スクワレンは、不飽和脂肪酸の一種で、私達は自前で造ることができます。スクワレンはお肌や骨髄やリンパ節に多くあって、細胞に酸素を供給する働きをしています。

かぼちゃの種、特に種から採れるオイル(パンプキンシードオイル)に多く含まれています。

中東イランで行われた研究で、植物の種油から抽出したスクワレンを用いて、新型コロナウイルスの患者の治療効果を調べ2021年8月に報告された研究がありました。30名の患者を年齢と基礎疾患に応じて、標準治療グループと研究対象グループに分け、研究対象グループには、1日2回スクワレン5mgが静脈注射で投与されました。

6日後、標準治療グループと比較し、スクワレンの静脈注射を受けたグループで、

  • 人工呼吸器の利用
  • 2日間の無熱
  • 肺の高解像度コンピューター断層撮影

で有意な改善が観察されたことが報告されています。副作用はなかったとのことです。

家庭で静脈注射するのは難しいですが、かぼちゃの種やパンプキンシードオイルを日々のお料理に用いることでコロナだけでなく、インフルエンザや他の風邪の咳や気管支炎の予防や感染後の重篤化予防が期待できそうです。

心疾患予防(高血圧・ムクミ改善)

かぼちゃには、心臓血管系に良い働きをする栄養素も豊富です。

特に豊富なプロビタミンA(カロテノイド)を用いた日本人を対象とした研究がありました。

北海道に住む39歳から80歳の361人の被験者を11年間追跡調査した研究です。結果、血中にα-カロテンとβ-カロテンなどのカロテノイドの濃度が高い人は、循環器疾患(心臓血管疾患・脳卒中)による死亡率が有意に低かったことが報告されています。

α-カロテン

2011年に発表された別の研究では、20歳以上の米国成人15,318人の血中α-カロテン濃度と死亡リスクの直接的な関係を調査しています。

血液中のα-カロテン濃度が高かった参加者は、心疾患、がん、および、全ての死亡原因におけるリスクが約30%低かったことが報告されています。この結果は、人口統計学的特性、生活習慣、健康リスク要因によって分類したほとんどのサブグループにおいても有意だったそうです。

α-カロテンの詳しい働きについては『α-カロテン』をご参照ください。

カリウム

カリウムは健康な細胞の維持、生命維持に欠かせないミネラルです。心臓を含む体内の筋肉の収縮や弛緩が正常に行われたり、神経伝達が正常に行われるよう働きます。(カリウムの詳しい働きについては『カリウム』をご参照ください。)

カリウムは体内の余分なナトリウムの排出を促すことで、ムクミを改善して高血圧を予防し、心疾患予防・改善にとっても大切なミネラルです。

日本かぼちゃには、1日の必要な量の約24%、西洋かぼちゃには約22%、種には約42%が含まれています。

マグネシウム

マグネシウムは、カルシウムが体内で効率よく使われるように調節する役割をもっています。また、筋肉や動脈を弛緩させることで血圧を下げ、リラックス効果をもたらします。(マグネシウムの詳しい作用については『マグネシウム』をご確認ください。)

残念なことに日本かぼちゃには、1日に必要なマグネシウムの約6%しか含まれていないものの、西洋かぼちゃには約10%、種にはなんと約226%が含まれています。

植物ステロール

植物ステロールは、コレステロール(動物性のステロール)の吸収を抑える脂質で、かぼちゃの種に多く含まれています。

活力源・肥満予防・糖尿病予防

糖尿病や肥満を予防してくれる次の栄養素は、かぼちゃの果肉には僅かしか含まれていませんが、種に豊富に含まれています。

ビタミンB群(B1、B2)

これらのビタミンB群は、かぼちゃの果肉には微量に含まれているだけですが、種に豊富に含まれています。

ビタミンB1は炭水化物の代謝を、ビタミンB2は脂肪の代謝を主にサポートしています。ビタミンEが脂質が酸化してしまうことを防ぐのに対し、ビタミンB2は、酸化してしまった脂質の分解を促します。

がぼちゃにはEも入っているわけですから、かぼちゃが太るなんて嘘です。太るとしたらお料理に使用している調味料(白砂糖等)の入れすぎのせいではありませんか?

かぼちゃの種には1日に必要なビタミンB1とB2の両方とも、約19%ずつ含まれています。

ビタミンB群(ビオチン)

ビオチンは炭水化物やタンパク質や脂質がエネルギーになるまでの代謝の過程をサポートするビタミンです。かぼちゃの果肉にはほとんど含まれていませんが、種には、1日に必要な量の約26%が含まれています。

ビタミンB群(パントテン酸)

パントテン酸は、体内でコエンザイムAになり、体内の100以上の酵素の補酵素として働きます。例えば、ビタミンB1(炭水化物代謝)やB2(脂質代謝)の働きを助け、善玉コレステロールの合成やホルモンの合成にも関与しています。コエンザイムAは私達の元気の素ATP(アデノシン三リン酸)の産生にも必要です。

日本かぼちゃには、1日の必要量の約10%、西洋かぼちゃには約12%、種には約13%が含まれています。

クロム、モリブデン

これらのミネラルは、かぼちゃの果肉にはほぼ含まれていませんが、かぼちゃの種に豊富に含まれているミネラルです。

クロムは、インスリンの働きを助け、モリブデンは様々な代謝産物の排出に関与しているミネラルです。かぼちゃの種には1日に必要なクロムが約130%、モリブデンが約210%含まれています。

リン、マンガン

リンは、私達の元気の素ATPの材料です。マンガンは、糖尿病や肥満予防をしてくれているミネラルです。

かぼちゃの種には1日に必要なリンが約138%、マンガンが約125%も含まれています。かぼちゃの果肉には僅かしか含まれていません。

その他

既にご紹介済みの次の栄養素も肥満や糖尿病を予防してくれます。これらは果肉にも豊富に含まれています。

  • ビタミンB群(B6)|タンパク質の代謝をサポートしています。
  • カロテノイド|抗炎症作用(リウマチ、多発性硬化症、糖尿病などの予防)があります。
  • マグネシウム|糖の代謝も助けています。マグネシウムが糖尿病患者の空腹時血糖値、コレステロール値、血圧、中性脂肪などを改善させることを多くの研究が報告しています。

糖尿病予防にもやっぱり、かぼちゃの果肉と種の両方を食べた方がより効果的ですね。

目の疾患(夜盲症、黄斑変性症、白内障など)の予防と改善

目の健康にとって良い働きをするかぼちゃに豊富に含まれている栄養素は次の通りです。

プロビタミンA(カロテノイド)の目に対する詳しい働きについては『目の健康のためにサプリメントを飲んでいる人は期待が裏切られるかもしれません』をご参照ください。

また、かぼちゃの種に多く含まれているスクワレンは、血液を浄化し、目の健康に必要な成分だと考えられています。

ビタミンB群(B2、B6、ナイアシン)

ビタミンB6、B2、ナイアシンは白内障の予防と改善に良いことが報告されているビタミンです。(上のリンク内に詳しく記載しています。)

ビタミンB2は種は豊富に含まれていますが、かぼちゃの果肉にも微量に含まれています。かぼちゃの種には1日に必要なB2が約19%含まれています。

ナイアシンは、日本かぼちゃには、1日の必要量の約12%、西洋かぼちゃには約19%が含まれていて、両方とも茹でてもほぼ変化ありません。種には100gで1日の必要量の約137%も含まれています。

様々ながん予防

かぼちゃに豊富なプロビタミンA(カロテノイド)は、乳がん、大腸(結腸直腸)がん、肺がん、および前立腺がんの予防と化学療法(抗がん剤成分として)の候補として研究開発が進められています。

ビタミンE(γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコモノエノール、γ-トコモノエノール)

これらはビタミンEの同族体です。この4つは、種に多く含まれていますが、かぼちゃの果肉にも微量に含まれています。当然、これらのビタミンEの同族体はサプリメントには入っていません。かぼちゃの種100gには、γ-トコフェロールが15mgも含まれています。

4つのうちα-トコモノエノール と γ(ガンマ)トコモノエノールの2つは、新しく発見された生体利用可能なビタミンEの同族体です。他の同族体以上の抗酸化力を持っている可能性に期待が寄せられています。

また、α-トコフェロールと異なり、γ(ガンマ)トコフェロールとδ(デルタ)トコフェロールは、活性酸素だけでなく、活性窒素も除去することができることが判明しています。抗血管新生効果やNF-κB経路などの阻害効果があることも判っており、γ-トコフェロールとδ-トコフェロールの抗がん作用は他のビタミンEの同族体にはない作用(α-トコフェロールしか含まれていないサプリメントには期待できない効果)です。

その、γ-トコフェロールとδ-トコフェロールの両方がかぼちゃの種に含まれています。日本かぼちゃの果肉にも微量ながら含まれています。しかし、西洋かぼちゃの果肉にはありません。

大腸がん予防

かぼちゃには、プロビタミンA(カロテノイド)の他に、食物繊維が豊富に含まれています。

日本かぼちゃは、1日の必要な食物繊維の量の約27%、西洋かぼちゃは約30%、種には約55%を含んでいます。その約75%~78%が不溶性食物繊維です。

こうした観点からもかぼちゃが大腸がん予防に良いことにもうなずけます。当然、便秘改善にも効果が期待できます(ただし不溶性食物繊維で便秘が悪化してしまう体質の人もいるので、体の声を聴きながら・・)

かぼちゃの種に多く含まれている、ビタミンEの8つの同族体のひとつγ-トコフェロールは、大腸(結腸直腸)がんの予防薬として研究開発が行われています

肺がん予防

かぼちゃに豊富なプロビタミンA(カロテノイド)は、肺がんの予防と化学療法(抗がん剤成分として)の候補として研究開発が進められています。

β-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンもプロビタミンAで、かぼちゃにも多く含まれています。β-クリプトキサンチンは黄色をしています。トウモロコシ、蜜柑、柿、黄パプリカ、卵黄、バターなど、黄色またはオレンジ色は、β-クリプトキサンチンの色です。

ニコチン誘発性肺がんを発症させたマウスを用いた研究では、肺がん誘発物質(ニコチン製剤)を投与する前の2週間と、投与後の16週間にβ-クリプトキサンチンを与えています。すると、マウスの血中と肺の両方でβ-クリプトキサンチンの量が有意に増加したものの、体内のビタミンA(レチノール)の量に大きな変化があらわれなかったことが観察されています。

β-クリプトキサンチンを投与されていない肺がんのマウスと比較して、血中β-クリプトキサンチン濃度が濃くなるほど、肺がん腫瘍が52%~63%も有意に減少していたことが報告されています。

このことから、研究者は、レチノールの増加とは独立して、ニコチン誘発性肺がんの予防薬と治療薬としての可能性が、β-クリプトキサンチンにはあると述べています。

タバコを吸われる人は、是非、かぼちゃをたくさん食べてくださいね。

また、その他のβ-クリプトキサンチンの詳しい機能については『β-クリプトキサンチン』をご参照ください。

婦人科系がん(乳がん等)

かぼちゃに多く含まれているカロテノイドは、乳がんの予防と化学療法(抗がん剤成分として)の候補としても研究開発が進められています。

リグナン

かぼちゃの種とオイルには、リグナンが含まれています

リグナンは、植物性エストロゲンで、腸内細菌がエンテロラクトンという体内のエストロゲン量を調節する物質に変換し、その後、体内に吸収されます。

エンテロラクトンは、女性ホルモン過剰で起こる様々な婦人科系がん(乳がん、卵巣がんなど)の予防や抑制、また、女性ホルモンが足りないことで起こる男性の前立腺がんなどの治療に役立つことが報告されています。

2002年から2005年の間に閉経後に乳がんと診断された50〜74歳の1,140人の2009年末までの生死と血中のエンテロラクトンの濃度との関係を調査した研究がありました。

2009年末時点で死亡している患者と生存している患者のエンテロラクトン濃度の中央値は、それぞれ17.0と21.4 nmol / Lで、生存者の血中エンテロラクトン濃度が高いことはわかりました。そして、エストロゲン受容体陰性腫瘍の場合に限り、血中のエンテロラクトン濃度が非常に高いと死亡リスクが低下する(生存可能性が高まる)ことが報告されています。なお、エストロゲン受容体陽性腫瘍との関連性はなかったとのことです。

閉経後に乳がんになった人は、リグナンを多く含む食品、例えば、かぼちゃの種やパンプキンシードオイルだけでなく、亜麻仁油などを意識して摂るようにすると良いかもしれませんね。

前立腺がん

かぼちゃに豊富に含まれているカロテノイドは、前立腺がんの予防と化学療法(抗がん剤成分として)の候補として研究開発が進められています。

ヒトの前立腺がん細胞を用いた研究では、抗がん剤ドセタキセルを単独で用いるよりも、ビタミンEの同族体のγ-トコトリエノールとα-トコフェロールを、抗がん剤と併用する方が効果的であったことが報告されています。

また、スウェーデンで行われた前立腺がんとリグナンや血中エンテロラクトン濃度との関係を調査した研究では、

  • 食事から摂るリグナンの量と前立腺がんリスクとは関係性が見られなかったこと、
  • しかし、血中のエンテロラクトン濃度が高いほど、前立腺がんのリスクが低下すること

が報告されています。

つまり、リグナンを多く含む食品を多く食べることよりも、リグナンを効率よくエンテロラクトンに変換して吸収できることが重要だということになりますね。変換してくれるのは腸内細菌ですから、腸内環境の善し悪しが関係しているということではないでしょうか。

大腸がんのところでご紹介した通り、かぼちゃには腸内環境を改善してくれる成分も多く含まれているので、リグナンだけを摂るよりも、かぼちゃを食べる方が効果的かもしれませんね。

女性更年期症状の緩和

自然&医原性閉経後の女性を対象に、小麦胚芽油かパンプキンシードオイルを1日2g12週間摂取してもらった(無作為二重盲検)研究がありました。

パンプキンシードオイルを摂取していたグループで

  • 善玉(HDL)コレステロール
  • 下(拡張期)の血圧
  • 更年期症状に関する質問票(ほてり、頭痛、関節痛など)

が有意に改善したことが報告されています。

骨粗鬆症予防・改善

ビタミンK

ビタミンKは、腸から吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助け、骨粗鬆症予防に不可欠なビタミンのひとつです。

日本かぼちゃと西洋かぼちゃの両方に、1日の必要量の約17%が含まれています。しかし種にはほとんど含まれていません。

また前述した通り、かぼちゃの種には、骨の形成に必要なリンとマンガンも豊富です。

リンは骨や歯の材料になります。マンガンは、骨の代謝に関与しているミネラルです。両方とも種に豊富に含まれていますが、かぼちゃの果肉には僅かしか含まれていません。

カルシウムが体内で効率よく使われるように調節する役割をもっていて、骨や歯の形成をサポートしているマグネシウムもかぼちゃに豊富に含まれています。

骨のためには、かぼちゃは、果肉と種の両方を食べた方が良いことになりますね。やっぱりホールフードですね。

胎児の成長

ビタミンB群(葉酸)

葉酸は、細胞の再生や健康な赤血球の生成をサポートして、胎児の成長には欠かせないビタミンです。(葉酸の詳しい作用については『葉酸』をご確認ください。)

葉酸は西洋かぼちゃよりも日本かぼちゃに多く含まれています。日本かぼちゃには、1日の必要量のなんと約40%、西洋かぼちゃにも約20%が含まれています。種にもなんと約40%含まれています。

妊婦さんにたくさん食べて欲しいお野菜です。

貧血予防・改善

銅は貧血予防に不可欠なミネラルです。貧血の時には鉄分のことばかりが注目されがちですが、銅が無いと鉄分は利用できず無駄になってしまうんですよ。(銅の詳しい作用については『』をご確認ください。)

日本かぼちゃと西洋かぼちゃの両方に1日の必要量の約12%、種には約226%が含まれています。

かぼちゃに豊富なビタミンB群(葉酸)も悪性貧血の予防と改善に効果があります。

鉄分、亜鉛

貧血予防に大切なこれらのミネラルもかぼちゃの種には豊富に含まれています(かぼちゃの果肉にも微量に含まれています。)詳しい鉄分の作用については『鉄分』を亜鉛については『亜鉛』をご確認ください。かぼちゃの種には1日に必要な鉄分が約85%、亜鉛が約110%も含まれています。

美肌効果・アンチエイジング

かぼちゃの豊富なビタミンCは当然、冬の肌荒れ予防にもなります。また、カロテノイドの効果には、美肌効果(ターンオーバー促進、シミ予防)もあります。

かぼちゃの果肉と種の両方に豊富な葉酸は、細胞の再生をサポートしていますから、若々しくいたいなら、かぼちゃはマスト食品ですね。

銅も活性酸素の除去や、コラーゲンの生成などに関与していて、美肌とアンチエイジングに貢献しています。

かぼちゃの種に多く含まれているスクワレンは、お肌(皮脂の成分)で細胞に酸素を供給する働きをし、美肌に必要な成分だと言われています。化粧品などに配合されている「スクワラン」は、スクワレンをより安定性が高く酸化されにくく加工したものです。

過活動膀胱

過活動膀胱による尿機能障害をもる45人の被験者を対象に行われた実験では、1日10gのパンプキンシードオイルを12週間飲んでもらったところ、過活動膀胱の症状が有意に減少したことが報告されています。

男性型脱毛症の改善

既にマウスの実験で、パンプキンシードオイルが5αリダクターゼと呼ばれる酵素の作用をブロックして抗アンドロゲン(抗男性ホルモン)作用を起こすことが示されていました。

そのため、パンプキンシードオイルを用いて、軽度から中等度のアンドロゲン性脱毛症(AGA)の男性76名の被験者を次の2つのグループに分け、無作為化プラセボ対照二重盲検試が韓国で行われています。

1日400mgのパンプキンシードオイルを24週間摂取したグループは、偽薬グループと比較して、

  • 自己満足度評価が有意に高い
  • 頭髪数が実験前と比較し40%増加した

ことが、報告されています。

女性型脱毛症の改善

60名の女性型脱毛症(FPHL)患者を30名ずつ、ミノキシジル5%の発毛剤を塗布するグループと、パンプキンシードオイルを塗布するグループに分け、3か月後の効果を比較している研究がありました。

両方のグループで、治療前と比較して、

  • 毛幹の多様性と軟毛が有意に減少したこと
  • 直立した再成長毛が大幅に増加したこと

が報告されています。

ミノキシジル5%の発毛剤を塗布したグループとの比較では、毛幹の多様性と軟毛の減少効果にはあまり違いはありませんでしたが、再成長毛の増加は、ミノキシジル5%の発毛剤には及びませんでした。

ちなみに、ミノキシジル5%が配合されている発毛剤には、リアップX5、スカルプD メディカルミノキ5、リグロEX5、ミノアップがあります。

二日酔い予防と改善

かぼちゃに豊富に含まれているナイアシンは、体内で炭水化物(糖質)と脂質の代謝を助ける補酵素(NAD)に変換されます。この補酵素はアルコール分解も助けます。そのため、かぼちゃは、二日酔いの予防や改善に役に立つんですよ。

お酒のおつまみに、かぼちゃの素揚げや、かぼちゃの種は最適ですね。

うつ予防・幸せ体質を作る

トリプトファン

トリプトファンはビタミンB6と共に、幸せホルモンのセロトニンの合成に必要な栄養素です。1日に必要なトリプトファンは体重1kgあたり4mgです。例えば体重50kgの人なら200mg必要ということになります。日本かぼちゃの果肉の可食部100gには、24mg(12%)、西洋かぼちゃには18mg(9%)、種には510mg(255%)が含まれています。

かぼちゃの果肉と種の両方にトリプトファンとビタミンB6の両方が含まれているのですから、かぼちゃは、憂鬱な気分になりがちな寒い冬に絶対食べた方が良い食べ物ですね。

2012年のうつ病にしたマウスを用いた研究では、抗うつ薬のイミプラミン(トフラニール)よりもかぼちゃの種を食べさせたマウスの方が、うつ症状を緩和したことが報告されています。

その他、かぼちゃの種には、情緒の安定に関係しているミネラル・セレンが豊富です。セレンが不足するとうつの症状が現れます。また、西洋かぼちゃと種に豊富なマグネシウムには、神経伝達物質の伝達をスムーズにするようサポートする働きがあります。

かぼちゃを食べると幸せな気分になるのは、その甘さだけではなさそうですね。そして種も一緒に食べると更に効果的です。

さて、こんなにたくさんの栄養素を、こんなにたくさん含んでいるかぼちゃを食べない理由はありませんね!

私のパンプキンシードオイル

コールドプレスです。とてもコクと風味があって美味しいです。大好きです。

ただ、このボトルには、注ぎ口がないので、少量ずつ使うのが難しいです。注ぎ口のついた遮光性の他の瓶に移して使うと良いように思います。

かぼちゃを使ったレシピ

ソフィアウッズ・インスティテュートからのアドバイス

公認ホリスティック・ヘルスコーチは、食事だけでなく、あなたを取り巻く様々なこと(環境、仕事、家族、人間関係など)を考慮して、プログラムに反映させ、あなたが、なりたいあなたになれるようコーチングを提供します。

ヘルスコーチと、一度、話をしてみませんか?

プライベート・ヘルスコーチング・プログラムについて
お気軽にご相談ください。
初回相談を無料でお受けしています。

あるいは、ソフィアウッズ・インスティテュートのマインド・ボディ・メディシン講座セルフドクターコースで学びませんか?セルフドクターコースでは、あなたが食を通してご自身の主治医(セルフドクター)になるために、必要な知識とスキルを教えています。

新学期は、毎年3月と9月です。講座でお会いしましょう。

心と体をつないで健康と幸せを手に入れる
ニュースレターのご登録は、こちらから
統合食養学(ホリスティック栄養学)冊子が無料ダウンロードできます

参考文献:

ソフィアウッズ・インスティテュート – ホリスティックヘルスコーチング